「である調」「ですます調」の違い【例文160】使い方シーン別

ノートパソコン

日本語の文章を書く際に、「である調」と「ですます調」のどちらを使うか迷った経験はありませんか?この2つの文体は、それぞれ異なる印象や役割を持ち、読み手に与える影響も大きく異なります。

たとえば、論文や報告書などのフォーマルな文書では「である調」が好まれますが、ブログやメール、プレゼンテーションなどでは「ですます調」が一般的です。つまり、書く目的や読み手によって、適切な文体を選ぶことが求められるのです。

本記事では、「である調」と「ですます調」の違いを明確に解説し、それぞれの語尾の使い方や具体的な使用シーンを100の例文と共に紹介します。さらに、どちらの文体を使うべきか判断するポイントや、使い分けのメリット、注意点についても詳しく解説していきます。

文章を書く力は、読み手に正確な情報を届けるだけでなく、信頼や印象を左右する重要なスキルです。この記事を通して、文体の選択に自信が持てるようになり、より効果的な文章表現ができるようになることを目指しましょう。

目次

「である調」と「ですます調」とは?

ハテナマーク

文章の文体にはさまざまなスタイルがありますが、中でも「である調」と「ですます調」は、日本語文章においてもっとも基本的で、よく使われる二大文体です。それぞれの特徴や印象を理解することで、目的に応じた適切な使い方ができるようになります。

「である調」の特徴

「である調」は、文章の語尾に「である」「〜だ」などを用いる文体で、以下のような特徴があります。

  • 論理的で硬い印象を与える
  • 客観的・中立的に見える
  • ビジネス文書や論文、報告書に多く使われる
  • 権威性や専門性を強調しやすい

例文:
・この製品は高い耐久性を有している。
・当該データは、前年度比20%の増加である。

論理性が求められる文章に向いており、「信頼感」や「正確さ」を重視する場面で使われる傾向があります。

「ですます調」の特徴

「ですます調」は、語尾に「です」「ます」を使う文体で、日常的にもっとも親しまれている文体です。

  • 丁寧でやわらかい印象を与える
  • 親しみやすく、会話的
  • ブログ、説明書、プレゼン、接客文書に多用される
  • 読者との距離が近くなる

例文:
・この製品はとても丈夫です。
・データは前年より20%増加しました。

相手に対する配慮や、フレンドリーな関係性を築きたいときに適しており、特に一般の読者向けの文章では「ですます調」が好まれます。

比較まとめ

項目である調ですます調
印象硬い、論理的、客観的やわらかい、丁寧、親しみやすい
用途論文、報告書、専門記事などブログ、マニュアル、会話文など
主な読者層専門家、ビジネス関係者一般読者、顧客、初心者
文末表現例~である、~だ、~する~です、~ます、~しました

このように、文体は単なる表現の違いではなく、「誰に」「何を」「どう伝えるか」を左右する重要な要素です。次章では、より具体的に「である調」「ですます調」の語尾の使い分けを一覧表にして比較していきます。

「である調」「ですます調」の語尾一覧

文体を正確に使い分けるためには、語尾表現を理解することが非常に重要です。この章では、「である調」「ですます調」の語尾を、目的や意味ごとに分類して一覧表にまとめました。

以下に示す表は、各文末の意味(断定・疑問・否定など)に応じた「である調」と「ですます調」の語尾の対比です。

用法分類である調(文末表現)ですます調(文末表現)
断定~である、~だ~です、~ます
疑問~であるか?~ですか?、~ますか?
否定~ではない、~しない~ではありません、~ません
確認~であろう?~でしょうか?
推測~であろう~でしょう
提案~すべきである~したほうがよいです
指示~せよ、~すること~してください
勧誘~しようではないか~しましょう
過去~であった、~した~でした、~ました
未来~する予定である~する予定です
進行~している~しています
伝達~と述べた~と言いました
命令~せよ、~すること~してください
完了~した、~していた~しました、~していました

補足

  • 「である調」は命令や断定に強く、読者に対して一方的な印象を与えることがあります。
    そのため、使用する場面や読者層に注意が必要です。
  • 「ですます調」は基本的に丁寧さを保ちつつ、あいまいさや柔らかさを残すため、提案や推測などには向いています。
    ただし、あまりにも柔らかくなりすぎると、指示が不明確になることもあるため、表現のバランスが重要です。

このように、語尾を適切に使い分けることで、文章のトーンと伝わり方を大きく調整することができます。

「である調」「ですます調」が使われるシーン

カフェで勉強する人

「である調」と「ですます調」は、使用する場面によって適切な選択が求められます。それぞれの文体がどのような場面で使われるのかを知ることで、より効果的な文章作成が可能になります。

以下に、代表的なシーンごとにどちらの文体が適しているかを解説します。

「である調」が使われるシーン

シーン理由・特徴
論文・研究報告書客観性と論理性が求められるため。文章に権威性が生まれる。
ビジネスレポート上層部への報告や分析資料において、簡潔かつ明確な表現が好まれる。
専門書・教科書読者に対して知識を伝える立場であり、説明が論理的かつ断定的であることが多い。
法律文書・契約書曖昧さを排除し、正確な表現が必要とされる。
マニュアル(技術寄り)手順や仕様説明など、正確さと統一性が重要。

例文:

  • 本製品の構造は極めて単純である。
  • 被験者は10名であった。

「ですます調」が使われるシーン

シーン理由・特徴
ブログ・記事読者との距離が近く、親しみやすい印象を与える。
プレゼン資料・スライド聞き手に理解しやすく、柔らかい口調が伝わりやすい。
取扱説明書(一般向け)丁寧さとわかりやすさが重要。
接客メール・チャット礼儀正しい印象を与える必要がある。
教育・学習コンテンツ初心者にも親切な印象を持たせられる。

例文:

  • この製品はとてもシンプルな構造になっています。
  • ご利用ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております。

シーン別の使い方【例文160】

ビジネスパーソン

シーン①:ビジネス文書

である調(10例)

  1. 会議は来週火曜日に実施する予定である。
  2. 本案件は取締役会の承認を要する。
  3. 各部署は計画書を提出すること。
  4. 販売実績は前年比で15%の増加となった。
  5. 納期の変更は認められない。
  6. 問題点は次の三つである。
  7. 経費削減が急務である。
  8. 提案内容に不明点が多く、再検討が必要である。
  9. 社内稟議はすでに完了している。
  10. 顧客満足度の向上が課題である。

ですます調(10例)

  1. 会議は来週火曜日に行う予定です。
  2. この案件は、取締役会の承認が必要です。
  3. 各部署の皆様は、計画書をご提出ください。
  4. 販売実績は、前年に比べて15%増加しました。
  5. 納期の変更は承っておりません。
  6. 問題点は、次の三つです。
  7. 経費の削減が急務となっています。
  8. 提案には不明な点が多く、再度ご検討いただく必要があります。
  9. 社内の稟議はすでに完了しています。
  10. 顧客満足度の向上が重要な課題です。

シーン②:Web記事

である調(10例)

  1. 本書は初心者向けに書かれている。
  2. キーワード選定はSEO対策の基本である。
  3. 毎日続けることが成功への鍵である。
  4. 注意点として、更新頻度が挙げられる。
  5. 自分に合った学習方法を見つけるべきである。
  6. 試してみる価値はある。
  7. 情報収集は信頼できるソースから行うこと。
  8. 継続こそが力である。
  9. このアプリは非常に直感的である。
  10. 結果を出すためには努力が必要である。

ですます調(10例)

  1. この本は初心者向けに書かれています。
  2. キーワード選定は、SEO対策の基本です。
  3. 毎日続けることが、成功への鍵になります。
  4. 注意点としては、更新頻度が挙げられます。
  5. 自分に合った学習方法を見つけましょう。
  6. 試してみる価値は十分にあります。
  7. 情報は信頼できるソースから収集してください。
  8. 継続は力なり、という言葉があります。
  9. このアプリはとても使いやすいです。
  10. 成果を出すためには、努力が必要です。

シーン③:レポート・論文

である調(10例)

  1. 本研究は、従来の手法と比較して効率が高いことを示している。
  2. 実験の結果、反応速度は温度に依存することが明らかになった。
  3. 対象者は20歳から40歳の健常者である。
  4. データは平均値と標準偏差に基づいて分析された。
  5. この傾向は、過去の研究と一致している。
  6. 観察期間は3か月であった。
  7. 使用した機器は、以下の通りである。
  8. 本論文では、三つの仮説を検証した。
  9. 分析手法には回帰分析を用いた。
  10. 結論として、本モデルは有効であると考えられる。

ですます調(10例)

  1. この研究では、従来の手法と比べて高い効率が確認されました。
  2. 実験の結果、反応速度は温度に依存することがわかりました。
  3. 対象者は、20歳から40歳の健康な成人でした。
  4. データは平均値と標準偏差をもとに分析しました。
  5. この傾向は、これまでの研究結果と一致しています。
  6. 観察期間は3か月でした。
  7. 使用した機器は以下の通りです。
  8. この論文では、三つの仮説について検証を行いました。
  9. 分析には回帰分析を用いています。
  10. 結論として、このモデルは有効であると考えられます。

シーン④:SNS投稿

である調(10例)

  1. 今日のランチは、話題のラーメン店である。
  2. 新作映画を観た。期待以上の出来であった。
  3. 読書は心を豊かにする行為である。
  4. 運動後のプロテイン摂取は効果的である。
  5. 本日の気温は25度。過ごしやすい陽気である。
  6. この景色、まさに絶景である。
  7. 毎朝の散歩が日課となっている。
  8. 集中力が続かないのは睡眠不足が原因である。
  9. これが私の愛用しているカメラである。
  10. 週末は静かなカフェで読書を楽しんだ。

ですます調(10例)

  1. 今日のランチは、話題のラーメン店でした。
  2. 新作映画を観ました。期待以上の内容でした!
  3. 読書って、心が豊かになりますよね。
  4. 運動の後にプロテインを飲むと効果的ですよ。
  5. 今日の気温は25度で、とても過ごしやすいです。
  6. この景色、最高ですね!癒されます。
  7. 毎朝、散歩を日課にしています。
  8. 集中力が続かないときは、睡眠を見直すといいかも。
  9. こちらが、私の愛用カメラです📷
  10. 週末は、静かなカフェで読書を楽しみました。

シーン⑤:会話文(小説やスピーチ)

である調(10例)

※主に小説や演説など、格式やキャラクター性を演出したいときに使われます。

  1. 「それが真実である。信じるかどうかは君次第だ。」
  2. 「私は自分の信念を貫くつもりである。」
  3. 「我々に残された時間は、わずかである。」
  4. 「この決断が最良であると、私は確信している。」
  5. 「未来は我々の手に委ねられているのだ。」
  6. 「彼の行動は、決して許されるものではない。」
  7. 「この世界は、思っているよりも脆いものである。」
  8. 「私の話を、最後まで聞いてほしい。」
  9. 「選ぶのは君自身である。」
  10. 「人は変われる。私はそう信じている。」

ですます調(10例)

※スピーチ、プレゼン、ドラマのナレーションや教育的場面などに多く用いられます。

  1. 「これが真実です。信じるかどうかは、あなた次第です。」
  2. 「私は自分の信念を貫くつもりです。」
  3. 「残された時間は、わずかになっています。」
  4. 「この決断が最善だと、私は信じています。」
  5. 「未来は、私たちの手の中にあります。」
  6. 「彼の行動は、決して許されるものではありません。」
  7. 「この世界は、思っているよりも繊細なんです。」
  8. 「どうか、最後まで話を聞いてください。」
  9. 「選ぶのは、あなた自身です。」
  10. 「人は変われます。私は、そう信じています。」

シーン⑥:プレゼン資料

である調(10例)

※論理的で簡潔な印象を与えたいプレゼン資料や企画書などでよく使われます。

  1. 本プロジェクトの目的は、業務効率の最大化である。
  2. 課題は主に三つに分類される。
  3. 解決策として、以下の手法を提案する。
  4. 導入コストは年間300万円である。
  5. 競合他社との差別化が鍵となる。
  6. アンケート結果は次の通りである。
  7. 成果指標はKPIに基づき設定する。
  8. 次回のステップは、現場導入の検証である。
  9. 本提案は、短期的にも長期的にも効果が見込まれる。
  10. 以上が今回のプレゼンテーションの概要である。

ですます調(10例)

※聴衆が一般社員や外部パートナーなどの場合、丁寧な印象を与えるために適しています。

  1. このプロジェクトの目的は、業務効率を最大化することです。
  2. 課題は、大きく三つに分けられます。
  3. 解決策として、次のような方法をご提案します。
  4. 導入コストは、年間で約300万円になります。
  5. 他社との差別化が重要なポイントです。
  6. アンケートの結果は、以下の通りです。
  7. 成果の評価は、KPIに基づいて行います。
  8. 次のステップは、実際の現場での検証です。
  9. この提案は、短期的にも長期的にも効果が期待できます。
  10. ご清聴ありがとうございました。以上が今回の内容です。

シーン⑦:教育・解説文

である調(10例)

※教科書や専門書などで、論理的かつ客観的な説明が求められる場面で使用されます。

  1. 酸と塩基は、水中で互いに反応し、中和反応を起こす。
  2. 江戸時代は、1603年から1868年まで続いた時代である。
  3. 太陽系には、8つの惑星が存在している。
  4. 力とは、物体の運動を変化させる原因である。
  5. 単細胞生物は、ひとつの細胞で生命活動を行う。
  6. 英語の過去形は、動詞に-edをつけて表すのが一般的である。
  7. 経済とは、限られた資源を有効に使う仕組みである。
  8. ピタゴラスの定理は、直角三角形の辺の関係を表している。
  9. DNAは遺伝情報を担う分子である。
  10. 地球の自転により、昼と夜が交互に現れる。

ですます調(10例)

※子どもや初学者向けの教材、解説記事、動画スクリプトなどで広く使われます。

  1. 酸と塩基は、水に溶けると反応して「中和」を起こします。
  2. 江戸時代は、1603年から1868年まで続いた時代です。
  3. 太陽系には、全部で8つの惑星があります。
  4. 力とは、物の動きを変える原因のことです。
  5. 単細胞生物は、ひとつの細胞だけで生きています。
  6. 英語の過去形は、たいてい動詞のうしろに-edをつけて作ります。
  7. 経済とは、限られた資源をうまく使うしくみのことです。
  8. ピタゴラスの定理では、三角形の辺の長さの関係がわかります。
  9. DNAは、親から子へと受け継がれる情報を持つ物質です。
  10. 地球が回っていることで、昼と夜ができます。

シーン⑧:メール・チャット

である調(10例)

※形式的・ビジネス向けのやや硬めな文体として使われることもありますが、メールではやや珍しいスタイルです。

  1. ご依頼の件、確認済みである。
  2. 会議の議事録は添付ファイルに記載してある。
  3. その点については、後日説明する予定である。
  4. 本件について、上司の承認を得た。
  5. 発送は今週中に完了する見込みである。
  6. 提出期限は6月5日である。
  7. 変更があれば、速やかに連絡してほしい。
  8. 内容に誤りがある場合は、訂正をお願いしたい。
  9. 念のため、再確認をお願いする。
  10. 以上、よろしくお願いする。

ですます調(10例)

※ビジネスメールや社内チャットで最も多く使われる文体です。丁寧かつ明瞭な印象を与えます。

  1. ご依頼の件、確認いたしました。
  2. 会議の議事録を添付しておりますので、ご確認ください。
  3. その点につきましては、後日ご説明いたします。
  4. 本件については、上司の承認を得ております。
  5. 発送は今週中に完了する予定です。
  6. 提出期限は、6月5日ですのでご注意ください。
  7. 変更がある場合は、お手数ですがご連絡ください。
  8. 万が一、内容に誤りがございましたらご指摘ください。
  9. 念のため、再度ご確認をお願いいたします。
  10. 以上、どうぞよろしくお願いいたします。

「である調」「ですます調」を使うメリット

メリット

文体を適切に使い分けることは、文章の印象を大きく左右します。ただ単に丁寧・硬いという違いではなく、それぞれの文体には独自の「メリット」があります。この章では、「である調」「ですます調」を使用する際の利点について詳しく解説します。


「である調」を使うメリット

論理的で説得力がある

である調は、文末が断定的であるため、文章全体に論理的な印象を与えることができます。特に、意見や主張を明確にしたいときに効果的です。

例:

  • 「この方法は最も効率的である。」
    → 曖昧さを排し、確信を持って述べている印象を与える。

専門性・客観性が伝わる

学術論文や専門記事に多く用いられるため、読み手に対して信頼性や知識の深さを伝えやすいです。

例:

  • 「対象者は30名であり、全員が同意書に署名している。」
    → 第三者にも納得してもらえる客観的な表現。

文章が簡潔になりやすい

「です」「ます」に比べ、語尾が短くシンプルなので、文章全体が引き締まる傾向があります。特に長文では、読みやすさにつながります。


「ですます調」を使うメリット

丁寧で親しみやすい印象を与える

「です」「ます」は、読み手に対して敬意や配慮を示す表現です。ビジネスメールや一般向けの記事など、幅広いシーンで使われています。

例:

  • 「こちらの商品は、多くのお客様にご好評をいただいています。」
    → 相手への敬意が伝わり、信頼関係を築きやすい。

初心者や一般読者にも伝わりやすい

複雑な内容でも、やさしく伝えることができるため、教育・啓発系の文章に向いています。読者に安心感を与えたいときに最適です。

例:

  • 「この仕組みは、はじめての方でも簡単に使えます。」
    → 難しい内容でも、敷居を下げて理解しやすくする効果。

柔らかく、読みやすい文章が書ける

「である調」に比べて、トゲのない穏やかな表現が可能です。感情や気配りを込めたいときには特に有効です。

「である調」「ですます調」を使う上での注意点

中点

「である調」と「ですます調」は、どちらも正しい日本語表現ですが、適切に使いこなすにはいくつかの注意点があります。これらを無視してしまうと、文章全体の印象が損なわれたり、読み手に違和感を与えることがあります。

この章では、両文体を使用する際に意識すべきポイントを具体的に解説します。


①文体の混在は原則NG

●同一文内・同一資料内での混在は避ける

「である調」と「ですます調」は、文体のリズムやトーンが異なるため、混在すると読み手に不自然さや違和感を与えることがあります。

悪い例:

  • この製品はコストパフォーマンスに優れている。さらに、多くの方にご満足いただいています。
    →「である」と「ですます」が混在しており、文の統一感が崩れている。

良い例(である調):

  • この製品はコストパフォーマンスに優れている。さらに、多くの利用者が満足している。

良い例(ですます調):

  • この製品はコストパフォーマンスに優れています。さらに、多くの方にご満足いただいています。

●混在を許容するケースもある(ただし限定的)

個人ブログやエッセイなど、「会話的・感情的な表現」が含まれる文では、意図的な文体の切り替えが効果的に使われることもあります。ただし、読者層と場面を十分に考慮する必要があります。


② 読者に合った文体を選ぶ

  • 専門家・研究者向け:である調(論理性・信頼性重視)
  • 一般ユーザー・初心者向け:ですます調(親しみ・丁寧さ重視)

読み手の期待するトーンに合っていない文体を使うと、「読みにくい」「冷たく感じる」「幼稚に思える」といった印象を与えるおそれがあります。


③感情表現に気をつける

「である調」は感情を抑えた客観的な文章に適していますが、冷たく感じられることもあります。逆に「ですます調」は感情的に伝わりやすい反面、場によっては軽く見られる可能性もあるため、文体と語彙のバランスが重要です。


④書き手の「立ち位置」を意識する

たとえば、「教師→生徒」「専門家→一般読者」「上司→部下」など、書き手と読み手の関係性によっても文体選びは変わります。自分が「教える立場」なのか「案内する立場」なのかを明確にし、文体を選ぶことが大切です。


⑤コンテンツの目的に合っているかをチェック

  • 情報提供:どちらでもOKだが、内容の信頼性が求められる場合は「である調」が有効
  • 広報・案内:読み手に配慮した「ですます調」が好ましい
  • 販売・セールス:商品やサービスのイメージに合わせて柔軟に使い分ける

よくある質問(FAQ)

Q&A

「である調」「ですます調」の使い分けについて、多くの人が疑問に思うポイントをまとめました。文体の選び方で迷ったときの参考にしてください。


Q1. ビジネスメールでは「である調」と「ですます調」のどちらを使うべきですか?

A. 基本的には「ですます調」が推奨されます。
ビジネスメールは礼儀や信頼関係が重視されるため、丁寧で柔らかい「ですます調」が最も適しています。「である調」は命令口調や冷たい印象を与える可能性があるため、メールやチャットでは避けるのが無難です。


Q2. 文中で「である調」と「ですます調」を混在させても大丈夫ですか?

A. 原則として混在は避けるべきです。
文体の混在は文章の一貫性を損ない、読み手に違和感を与えます。特にビジネス文書や報告書、論文などでは統一が必須です。ただし、個人ブログや創作文では、意図的に文体を切り替えることで効果を狙うケースもあります。


Q3. 論文やレポートで「ですます調」を使ってはいけないのですか?

A. 基本的には「である調」を使うのが一般的です。
学術的な文章では、客観性や論理性を強調するために「である調」が使われます。ただし、大学のレポートなどで明確な指示がない場合は、指導教員に確認することをおすすめします。最近では「ですます調」で親しみやすさを出す論文も一部では見られますが、まだ少数派です。


Q4. Web記事ではどちらを使えばいいの?

A. 読者層と記事の目的によります。
一般読者向けのブログやメディア記事では「ですます調」が好まれます。一方、専門性が高い内容やBtoB向けの記事では「である調」を使うことで信頼感や権威性を高めることができます。


Q5. SEO的には、どちらの文体が有利ですか?

A. 文体そのものがSEOに直接影響することはほとんどありません。
重要なのは、「読者の検索意図にマッチしたわかりやすいコンテンツ」であることです。ただし、「ですます調」の方が初心者や一般読者に読みやすく、滞在時間や離脱率の改善につながることもあるため、間接的には有利に働く場合もあります。


Q6. 自分の中でうまく文体が定まらないときはどうすれば?

A. まずは「ですます調」から始めるのがおすすめです。
「ですます調」は柔軟性があり、読み手への配慮も伝えやすいため、特に初心者のうちはこちらをベースにするのが無難です。慣れてきたら「である調」も試し、文章の目的や読者層に応じて切り替えていきましょう。

まとめ

「である調」と「ですます調」は、日本語における二大文体として、文章の印象や伝達力に大きな影響を与える重要な要素です。それぞれに特徴があり、使い方を誤ると、読者に誤解や不快感を与える可能性もあるため、状況に応じた適切な選択が求められます。

「である調」は、論理的で簡潔、かつ客観的な印象を持たせたいときに適しており、論文・報告書・専門記事などで頻繁に使われます。信頼性や専門性を高めたい場合に有効な文体です。一方、「ですます調」は丁寧で親しみやすく、初心者や一般読者向けの記事、ビジネスメール、プレゼンなど、幅広い場面で活用できます。読者との距離感を縮め、情報をやさしく伝える効果があります。

また、文体の混在は原則として避けるべきであり、文章全体の一貫性とトーンの統一が重要です。ただし、個人ブログや物語など、自由な表現が許される場面では、意図的な使い分けが効果を発揮することもあります。

この記事では、両文体の特徴や使いどころ、語尾の比較、そして100個のシーン別例文を通じて、具体的に「である調」と「ですます調」の使い方を解説してきました。読者層や目的を明確にしたうえで文体を選ぶことで、より伝わりやすく、魅力的な文章を作ることができます。

文体は文章の「声」であり、「人格」でもあります。場面に応じて適切な声を選ぶことで、あなたの文章はさらに説得力と魅力を増すでしょう。