「お問い合わせ」と「お問合せ」どっち?ビジネス・公用文の正解は?

「お問い合わせ」と「お問合せ」——どちらも日常的に見かける表記ですが、正式にはどちらが正しいのでしょうか?ビジネスメールやWebサイト、公的機関の文書など、使われる場面によって表記のゆれが目立ちます。
多くの人が、特に意識せずに使い分けているこの2つですが、実は言語的なルールや用途の違いがあります。本記事では、「お問い合わせ」と「お問合せ」の正しい使い方について、意味や語構成からビジネス・公用文の場面別での正解まで、具体的に解説します。
目次
「お問い合わせ」と「お問合せ」どっちが正解?

結論から言うと、正しい表記は「お問い合わせ」です。
理由:
- 「お問い合わせ」は、「問う(とう)」という動詞に、丁寧の接頭辞「お」と、動作の名詞化である「~合せ」が付いた言葉です。
- このように、動詞の語幹(ひらがな)+接頭辞や接尾辞(ひらがな)で構成される言葉は、公的にも「ひらがな」で表記するのが原則です。
たとえば:
- 「お願い」→「願う」+「お」+「い」
- 「お知らせ」→「知らせる」+「お」
つまり、「お問合せ」と書くのは、「問合せ」を一語の漢語のように扱った表記ですが、これは簡略化や視認性重視の商用的・Web的表記に過ぎません。文法的な正しさや丁寧さを求める場合には「お問い合わせ」が正解です。
ビジネスでは「お問い合わせ」と「お問合せ」どっちが正解?

ビジネス文書や社外向けのメール・案内文など、フォーマルな場面では「お問い合わせ」が正解です。
理由
- 「お問い合わせ」は、敬意を込めた丁寧な日本語表現として標準的であり、社外との信頼関係を築くうえで適切です。
- 企業のコーポレートサイトや官公庁のページでも、基本的に「お問い合わせ」と記載されています。
例外もある
- デザインやスペースの都合により、漢字を多用した「お問合せ」をWebサイト上で使う企業もあります。
- スマートフォンなどの小さい画面での視認性を考慮して、簡潔な漢字表記が選ばれることも。
ただし、そういったケースでも、ビジネス文章や書類では「お問い合わせ」を選ぶ方が無難で好印象です。
公用文では「お問い合わせ」と「お問合せ」どっちが正解?

公用文や公式文書においては、「お問い合わせ」が正解です。
理由
- 文化庁の「公用文作成の要領」では、「動詞の語幹に接頭語や接尾語が付いた語(例:お尋ね、お届け、お知らせなど)」は、ひらがなで表記することが推奨されています。
- 「お問い合わせ」も同様に、「問う」の語幹「と」+「お」+「合わせ」と解釈されるため、漢字を使わず「お+ひらがな+せ」が適切な表記です。
補足
- 官公庁や自治体のWebサイトや案内文でも、「お問い合わせ」という表記が統一されている傾向があります。
- 「お問合せ」のような漢字表記は、公文書の厳格なルールにそぐわず、略式・商業的な扱いと見なされることが多いです。
「お問い合わせ」が使われる場面

「お問い合わせ」は、丁寧さ・正確さ・公式性が求められる場面で広く使われます。以下のようなシーンでは、「お問い合わせ」という表記が適切です。
①ビジネス文書・社外メール
- 例:何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
- 相手への敬意を表し、信頼感を与えるために「お問い合わせ」と記載するのが基本です。
②コーポレートサイト・公式Webページ
- 「お問い合わせフォーム」「お問い合わせ窓口」などの見出しやリンク表記に用いられます。
- 特に、大手企業や公的機関のページでは統一された丁寧表記として「お問い合わせ」が定着しています。
③公的文書・行政書類
- 官公庁や自治体の広報、案内、通知文などで「お問い合わせ」が使用されます。
- 正式なルールに則った表記であり、文法的な整合性も保たれています。
④学校・教育機関
- 入学案内や学内通知などでも「お問い合わせ」が多用され、保護者や学生に対する丁寧な表現として用いられます。
このように、「お問い合わせ」はフォーマルな文脈における標準表記として、あらゆる業界・分野で使われています。
「お問合せ」が使われる場面

「お問合せ」は、視認性・デザイン性・簡潔さを重視する場面で使用されることがあります。これは文法的な正しさよりも、Web表記やUIデザイン上の配慮によるものです。
①Webサイトのメニュー・ボタン表記
- スマートフォンやタブレットなど画面サイズが限られるデバイスでは、「お問い合わせ」よりも短く収まる「お問合せ」が使われることがあります。
- 例:ナビゲーションバーやヘッダーに「お問合せ」と表示されているケース。
②一部のECサイト・企業サイト
- デザインの統一感や文字の読みやすさを優先し、すべてのメニューに漢字表記を使うことでバランスを取っている場合があります。
- 例:「会社案内」「商品情報」「お問合せ」など。
③SEO対策や検索性の観点
- ユーザーが「お問合せ」と検索することを想定し、ページタイトルやURLにこの表記を使うケースもあります。
- ただし、検索エンジンは「お問い合わせ」も「お問合せ」も同じ意味と認識するため、近年ではあまり明確な差はありません。
注意点
- 見た目の都合で「お問合せ」が選ばれることはあっても、公式文書やビジネス文書では避けるのが無難です。
- 「お問合せ」は略式表現であり、丁寧さに欠けると受け取られる可能性もあります。
よくある質問

Q1. 「お問合せ」は間違いですか?
A: 間違いではありませんが、文法的・公的には「お問い合わせ」が正しい表記です。「お問合せ」はWebデザインやスペースの都合による略式表記と考えましょう。
Q2. 「お問い合わせ」の方が丁寧に見えますか?
A: はい。「お問い合わせ」は、漢字とひらがなのバランスがとれており、相手への配慮が伝わりやすい丁寧な表現です。ビジネスや公式文書では好印象を与えるためにも適しています。
Q3. Webサイトでは「お問合せ」と書いても問題ありませんか?
A: 特に問題はありませんが、企業やサービスの信頼性を重視する場合は「お問い合わせ」が無難です。ユーザーの信頼を得るためには、表記の丁寧さも重要です。
Q4. どちらの表記を統一すればいいですか?
A: フォーマルで正確な表現を求めるなら「お問い合わせ」で統一するのが基本です。ただし、Webサイト内のデザイン上で「お問合せ」を併用する場合は、文脈と見た目のバランスを考慮すると良いでしょう。
まとめ
「お問い合わせ」と「お問合せ」は、どちらも目にする機会が多い表記ですが、正しいのは「お問い合わせ」です。これは、「問う」という動詞に丁寧語「お」と「合わせ」が付いた構造で、文化庁の表記ルールでもひらがなを使うことが推奨されています。
ビジネスや公的文書では「お問い合わせ」が適切ですが、Webデザインやスマートフォン表示などの都合で「お問合せ」が選ばれる場合もあります。使い分けのポイントは「場面と目的」に応じた判断です。丁寧さや信頼性を重視するなら、「お問い合わせ」で統一するのが最も安全です。