間違いすぎ?「意外」と「以外」の違い【例文60】使い方マスター

「意外」と「以外」。
どちらも日常的によく使われる言葉ですが、その意味や使い方を正しく理解している人は案外少ないかもしれません。
たとえば、次のような場面を考えてみてください。
「彼が来るとは意外だった」
「彼以外は全員出席した」
このように、「意外」と「以外」は使い方が少し違うだけで、文章の意味が大きく変わります。それなのに、読み方が同じ「いがい」なだけに、混同して使ってしまう人も多く、SNSやブログ、さらにはビジネスの場でも間違った使い方を見かけることがあります。
この記事では、「意外」と「以外」の違いを明確にし、それぞれの意味、正しい使い分け、そしてよくある間違いについて詳しく解説します。さらに、合計60の例文を使って、具体的な使い方を身につけていただけるよう構成しました。
言葉の使い方を正しく理解することは、読み手に信頼感を与えるうえでも非常に重要です。この記事を読み終えるころには、「意外」と「以外」を迷わず使い分けられるようになっていることでしょう。
目次
「意外」と「以外」の違い

「意外」と「以外」は、同じ読み方(いがい)ですが、意味も使い方もまったく異なります。ここでは、その違いをわかりやすく表で比較しながら解説します。
項目 | 意外(いがい) | 以外(いがい) |
---|---|---|
意味 | 予想に反すること/思いがけないこと | ~を除くこと/~とは別のこと |
品詞 | 形容動詞 | 名詞的用法(名詞+助詞) |
使い方の例 | 意外な結果だった 意外に楽しかった | 彼以外は全員来た 野菜以外に食べるものはない |
ニュアンス | 驚き・予想外・感情が入ることが多い | 論理的・客観的・除外や範囲を明示 |
英語訳の例 | unexpected, surprising | except, other than |
意外と以外、最も大きな違い
- 「意外」は、話し手の主観・感情が強く関わります。たとえば「意外に面白かった」と言えば、それは話し手が最初は面白くないと思っていたという前提が含まれます。
- 一方で「以外」は、客観的な事実や範囲の話に使われ、感情は入りません。例えば「彼以外は欠席だった」というのは、単に彼だけが出席したという情報を伝える文です。
「意外」の意味

「意外(いがい)」は、「予想や期待に反していること」「思っていたこととは異なること」を意味する言葉です。
主な意味
意味 | 説明 |
---|---|
予想外 | あらかじめ予想していたことと違っているさま。驚きを伴うことが多い。 |
思いがけない | 思ってもみなかったこと。予期していなかった出来事や状況。 |
驚きを含む | 使う場面の多くで、肯定・否定にかかわらず「驚き」のニュアンスがある。 |
使う場面
- 人の性格や行動が予想と違ったとき
- 結果や展開が予想を裏切ったとき
- 思い込みを覆されたとき
文法的な使い方のポイント
- 主に形容動詞として使われ、「意外だ」「意外な結果」「意外にも」などの形になる
- 名詞にかかるときは「意外な◯◯」という形をとる
- 副詞的に「意外に」「意外と」などの形で用いることも多い
「以外」の意味

「以外(いがい)」は、「それを除いて」「それとは別に」といった“除外”や“対象の外”を意味する言葉です。文中では、ある範囲や対象から何かを除いたり、他のものを指したりする際に使われます。
主な意味
意味 | 説明 |
---|---|
除外する | 特定の物や人を、あるグループや範囲から除くこと。 |
他にあるもの | あるものとは異なる別の対象や存在を示す。 |
対象外 | 該当しない、または当てはまらないものとして扱う。 |
使う場面
- 特定の人物や事柄を除外して話すとき
- 一般論から例外を取り出すとき
- 限定された範囲の外にあるものを明示するとき
文法的な使い方のポイント
- 「名詞+以外」の形で使われる(例:「彼以外」「日本以外」)
- 「〜以外に」「〜以外の」「〜以外は」など、後続する助詞の形に応じて柔軟に使える
- 除外の対象が明確である必要がある
「意外」と「以外」の使い分け

「意外」と「以外」は、意味も文法上の役割も異なるため、適切に使い分ける必要があります。この章では、よくある混同パターンを取り上げつつ、どちらを使えばよいか迷ったときのポイントを解説します。
判断ポイント
判断基準 | 該当する言葉 |
---|---|
驚き・意外性・予想と異なることを表したい | 意外 |
何かを除外・対象外にしたい | 以外 |
よくある混同例と正しい使い方
❌ 間違い例:「彼意外にも来るとは思わなかった」
→ この場合、「意外」に驚きの意味を込めたいので…
✅ 正しい使い方:「彼意外にも来るとは思わなかった」→ 「意外」にもが正解
👉 意味:彼が来るとは予想外だった(驚いた)
❌ 間違い例:「僕意外の全員が賛成した」
→ 除外の意味なので…
✅ 正しい使い方:「僕以外の全員が賛成した」
👉 意味:僕を除いて、全員が賛成した
紛らわしい文を見分けるコツ
- 文の中に驚き・感情・予想とのギャップがあるか? → 「意外」
- 範囲を区切ったり除外したりしているか? → 「以外」
「意外」の使い方【例文20】

「意外」は、予想外だったことや、思いがけない展開に対して驚きや感情を含めて使われる表現です。ここでは、実際の使い方を20の例文で紹介します。フォーマル・カジュアル、話し言葉・書き言葉など、さまざまな場面をカバーしています。
日常会話での使い方
- この映画、意外に面白かったよ。
- 彼女が料理上手なのは意外だったな。
- 意外と簡単に終わったね。
- テストの結果が意外に良かった!
- 彼がそんなこと言うなんて、ちょっと意外。
ビジネスシーンでの使い方
- 意外な提案に、会議室が一瞬静まり返った。
- クライアントの反応は意外にも好意的だった。
- 意外な事実が、調査中に明らかになった。
- 新サービスは意外な層に人気が出ている。
- 意外にも、社長はその案に賛成した。
書き言葉・ナレーション風の表現
- 彼の意外な一面を知ったとき、私は驚きを隠せなかった。
- 意外な展開に、読者の多くが戸惑ったに違いない。
- その静かな町に、意外な過去があった。
- 意外にも、それが解決の糸口となった。
- 意外な発見は、研究の方向性を大きく変えた。
その他(副詞的な使い方など)
- 意外と早く終電に間に合った。
- この店、外観は古いけど意外に清潔だった。
- 意外にも、彼はその場で謝罪した。
- あの選手が意外と真面目だとは思わなかった。
- 初めて行ったが、意外に居心地が良かった。
「以外」の使い方【例文20】

「以外」は、「〜を除いて」「〜のほかに」といった意味で使われ、対象を限定・除外する役割を持ちます。以下では、実際の使用シーンごとに20の例文をご紹介します。「以外に」「以外の」「以外は」など、形の違いにも注目してください。
「〜以外に」の使い方
- 彼以外に適任者はいなかった。
- 日本以外に住んだことがありますか?
- 水以外には何も飲まなかった。
- この方法以外に解決策はなさそうだ。
- その件以外に特に報告事項はありません。
「〜以外の」の使い方
- 私以外の全員が出席していた。
- 英語以外の言語も勉強しています。
- 社員以外の立ち入りは禁止されています。
- 彼以外の人に連絡してください。
- 上司以外の人には話さないでください。
「〜以外は」の使い方
- 田中さん以外は全員退社しました。
- 月曜以外は毎日営業しています。
- このページ以外は印刷しなくていいです。
- お金以外は特に必要ありません。
- 試験以外は順調に進んでいる。
その他の使用例
- 音楽以外に興味はないそうです。
- この分野以外での経験はありません。
- その人以外とは話したことがない。
- 天気以外の理由で中止になることはありません。
- 家族以外に頼れる人がいない。
間違えやすい使い方【例文20】

「意外」と「以外」は発音が同じ「いがい」であるため、文脈を理解せずに使うと誤用につながりやすい言葉です。ここでは、よくある誤用例とその正しい表現を対比しながら紹介します。実際の使用シーンに即した例文で、使い分けのポイントを整理しましょう。
誤: 彼以外にも来るとは思わなかった
正: 彼意外にも来るとは思わなかった
(驚きのニュアンスなので「意外」を使う)
誤: 意外の人は入場できません
正: 以外の人は入場できません
(除外の意味を表す場合は「以外」)
誤: この結果は本当に以外だった
正: この結果は本当に意外だった
(予想外という感情を含むため「意外」)
誤: 先生以外な話題を出した
正: 先生以外の話題を出した
(話題の範囲を限定しているので「以外」)
誤: 意外にも全員欠席だった
正: (正解。これは正しい用法)
(意外性を示す正しい使い方)
誤: この問題以外に驚いた
正: この問題に意外と驚いた
(驚きを表すなら「意外」)
誤: 私は田中さん意外とは話していません
正: 私は田中さん以外とは話していません
(除外を示すので「以外」)
誤: 結果が意外な人ばかりで驚いた
正: (正解。これは正しい使い方)
(思いがけない結果という意味で「意外」)
誤: この事実は非常に以外だった
正: この事実は非常に意外だった
(感情を表すので「意外」)
誤: チームのメンバー意外は来なかった
正: チームのメンバー以外は来なかった
(除外対象を示しているので「以外」)
誤: 意外の方法で解決した
正: 以外の方法で解決した
(方法を除外している)
誤: 彼以外な行動を取った
正: 彼にとっては意外な行動を取った
(予想外の行動という意味)
誤: 資料意外に必要なものはない
正: 資料以外に必要なものはない
(資料を除いて他に必要かどうか)
誤: この発言には以外だった
正: この発言には意外だった
(驚きの感情)
誤: 山田さん意外が参加予定です
正: 山田さん以外が参加予定です
(山田さんを除外)
誤: 意外な人は退席してください
正: 以外の人は退席してください
(除外を意味する)
誤: その行動は少し以外に感じた
正: その行動は少し意外に感じた
(主観的驚きを含む)
誤: 意外の選択肢を教えてください
正: 以外の選択肢を教えてください
(他の選択肢を尋ねる意味)
誤: 天候意外の理由で遅れた
正: 天候以外の理由で遅れた
(除外を示す)
誤: 意外と彼も参加しなかった
正: (正解。これは正しい使い方)
(驚きの意味で「意外と」)
このように、使い方を一文字間違えるだけで、文の意味が大きく変わることがあります。誤用を防ぐには、「感情や驚き」を表すのが「意外」、「除外や対象の外」を示すのが「以外」と覚えておくとよいでしょう。
「意外」の類語(言い換え)・英語・対義語

「意外」は、「予想外」「驚き」などの意味を持つ言葉で、文章や会話の中で頻繁に使われます。ここでは、「意外」の類語(言い換え可能な言葉)、英語表現、対義語をそれぞれ簡潔な例文とともにご紹介します。
類語(言い換え表現)
言葉 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
予想外 | 予測していなかったこと | 彼の行動は予想外だった。 |
思いがけない | 思ってもみなかったこと | 思いがけない来客に驚いた。 |
びっくりするような | 驚きを伴う | びっくりするようなニュースが飛び込んできた。 |
奇妙な | 普通ではない、不思議な | 彼の態度は少し奇妙だった。 |
異例の | 通常とは異なる | 異例の対応が取られた。 |
英語表現
英単語 | 意味 | 例文(英語) | 和訳 |
---|---|---|---|
unexpected | 予想外の | The result was completely unexpected. | 結果は完全に意外だった。 |
surprising | 驚くべき | Her decision was quite surprising. | 彼女の決断はかなり意外だった。 |
astonishing | 驚くほどの | It was an astonishing outcome. | 驚くべき結果だった。 |
対義語(反対の意味)
言葉 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
当然 | 予想通りであること | 成功するのは当然の結果だった。 |
予想通り | あらかじめ予測されたこと | 試合は予想通りの展開になった。 |
当たり前 | 特別ではないこと | それは当たり前の判断だと思う。 |
「意外」という言葉は、言い換えによってニュアンスの強さを調整したり、文章に変化をつけたりするのに便利です。ビジネス文書や作文で語彙の幅を持たせたいときは、これらの類語を使い分けるとよいでしょう。
「以外」の類語(言い換え)・英語・対義語

「以外」は、何かを除外したり、対象外であることを示す言葉です。正確に使うことで、論理的で明確な文章になります。ここでは、「以外」の類語(言い換え表現)、英語表現、対義語をそれぞれ例文とともにご紹介します。
類語(言い換え表現)
言葉 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
除いて | 対象から外すこと | 私を除いて全員が賛成した。 |
他に(は) | 他のものを示す | 彼の他には誰もいなかった。 |
~を除く | ~以外に相当 | 休日を除く平日に営業しています。 |
~を別として | ~以外の部分を扱う | 味はともかく、見た目は良い。 |
そのほかに | 別のもの | そのほかに質問はありますか? |
英語表現
英単語 | 意味 | 例文(英語) | 和訳 |
---|---|---|---|
except | ~を除いて | Everyone came except Tom. | トム以外は全員来た。 |
other than | ~とは別に | I like all fruits other than bananas. | バナナ以外の果物は好きだ。 |
excluding | ~を除く(ややフォーマル) | The fee is $100, excluding tax. | 税金以外で100ドルです。 |
対義語(反対の意味)
言葉 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
含めて | 何かを含むこと | 私を含めて5人で出席した。 |
全員 | 誰も除外されない | 全員が会議に参加した。 |
すべて | 全体を示す | すべての人に当てはまります。 |
「以外」は、文の中で条件を限定したり、特定の対象を外すときに不可欠な言葉です。似たような意味の表現と置き換えることで、表現の幅を広げることができます。ただし、言い換えによってニュアンスが変わることもあるため、文脈に応じた選択が大切です。
よくある質問

ここでは、「意外」と「以外」の使い方に関して、学習者や読者からよく寄せられる疑問にお答えします。
Q1. 「意外」と「以外」、よく使われるのはどっちですか?
A:
使用頻度は文脈によりますが、日常会話や感情表現が多い場面では「意外」がよく使われます。ビジネス文書や説明文、報告書などでは「以外」が多用されます。
例:
- 「意外に彼が優しかった」→日常会話
- 「対象者以外はご遠慮ください」→案内文やビジネス文書
Q2. 「意外にも〜」と「〜以外にも」の違いは何ですか?
A:
意味がまったく異なります。
- 意外にも:驚きや予想外の感情を強調する
例:意外にも彼が一番乗りだった。 - 以外にも:除外した対象のほかに何かがあることを示す
例:彼以外にも参加者がいた。
「意外にも」は感情、「以外にも」は範囲や数の話と覚えるとよいでしょう。
Q3. ビジネスメールでの正しい使い方は?
A:
どちらも使えますが、語調に注意が必要です。
- 意外はカジュアルに感じられる場合もあるため、ビジネスでは慎重に使いましょう。
例:
× 意外でした → ○ 予想と異なる結果でした - 以外はビジネス文書で一般的に使われます。
例:
「資料送付対象者以外への共有はお控えください」
Q4. 「意外と」「意外に」の違いはありますか?
A:
意味の違いはほとんどありません。どちらも副詞として「予想に反して」という意味で使われますが、「意外と」はやや口語的、「意外に」はやや文語的です。
例:
- 意外と静かだった(会話でよく使う)
- 意外に時間がかかった(やや丁寧)
まとめ
「意外」と「以外」は、読みが同じ「いがい」でありながら、意味も使い方もまったく異なる言葉です。
「意外」は、予想に反した出来事や驚きを表す主観的な表現です。文中では「意外だ」「意外な結果」「意外にも」などと使われ、感情を伴う文脈によく登場します。
一方、「以外」は、ある範囲や対象から除外する意味を持つ客観的な表現です。「〜以外に」「〜以外の」「〜以外は」といった形で、文章の中で限定・区別を行うために用いられます。
本記事では、それぞれの意味と違いを表で明確にし、60の例文を通して使い分けのポイントを具体的に解説しました。また、誤用しやすいパターンや類語・対義語、英語表現も紹介し、実践的な理解につながる内容となっています。
迷ったら、「驚き=意外」「除外=以外」と覚えておくと、使い分けがぐっと楽になります。
正しい日本語の使い方を身につけることは、相手に与える印象を良くするだけでなく、自分の考えを正確に伝えるうえでも非常に重要です。この記事が、言葉の使い分けに自信を持つきっかけになれば幸いです。