payrollとpaycheckの違い|超わかりやすく解説【例文30】

ビジネスの現場や英語学習の中で、「paycheck」や「payroll」という言葉を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか?どちらも「給料」や「給与」に関連する英語ですが、意味や使われ方には明確な違いがあります。
この2つの単語は見た目も似ており、意味も近いため、混同されやすい給与用語の代表格です。しかし、使い方を間違えると、英語でのビジネスコミュニケーションにおいて誤解を生んでしまうことも。
本記事では、「paycheck」と「payroll」の意味や違い、それぞれの使われ方について、初心者にもわかりやすく解説します。また、関連する給与用語もあわせて紹介し、ビジネス英語に自信を持てるようになる内容を目指します。
英語圏の企業で働く予定のある方や、海外とのやりとりが多いビジネスパーソン、またはTOEICなどの試験対策をしている方にも、役立つ情報満載です!
目次
「payroll」と「paycheck」の違い

「payroll」と「paycheck」は、どちらも「給料」に関係する言葉ですが、意味や使い方に大きな違いがあります。ここでは、それぞれの用語の特徴を整理しながら、具体的な違いを比較していきます。
項目 | payroll(ペイロール) | paycheck(ペイチェック) |
---|---|---|
意味 | 給与台帳、従業員リスト、給与管理業務 | 個人に支払われる給与、小切手または振込通知 |
対象 | 会社や組織が管理する「全体の給与」 | 個人が受け取る「1回分の給与」 |
使う人 | 人事担当者、経理部門、管理職など | 従業員、アルバイト、個人 |
名詞の種類 | 不可算名詞(数えられない) | 可算名詞(数えられる) |
使用場面 | 給与計算、労務管理、税務処理など | 給与明細の確認、銀行口座の入金確認など |
例文 | The company upgraded its payroll system. | I got my paycheck yesterday. |
ポイント
- payroll:企業視点。給与を「管理する側」の言葉。
- paycheck:従業員視点。給与を「受け取る側」の言葉。
「payroll」と「paycheck」の違いを理解するためのポイントは、視点と役割の違いにあります。
まず、「payroll」は企業側の視点で使われ、従業員全体の給与を管理・処理する仕組みや業務(=プロセス)を指します。たとえば、「当社では50人を雇っています(We have 50 people on our payroll)」や「税金処理は給与システムが行います(Our payroll system handles taxes automatically)」のように、会計・人事などビジネスシーンで使われる専門用語です。
一方、「paycheck」は従業員側の視点で使われる言葉で、個人が実際に受け取る給料(=結果)を指します。たとえば、「ようやく給料が入ったよ(I finally got my paycheck)」のように、日常会話でもよく登場するカジュアルな表現です。
つまり、「paycheckは“受け取るお金”」、「payrollは“支払う仕組み”」と覚えるとわかりやすくなります。
このように、受け取る側と支払う側の視点を意識することが、正確な使い分けのカギです。正しく使えば、英語でのビジネスコミュニケーションが一層スムーズになります。
「payroll」とは

「payroll」の意味
「payroll(ペイロール)」とは、企業が従業員に支払う給与に関する管理全般を意味する言葉です。日本語に直訳するのが難しい場合もありますが、主に以下の3つの意味で使われます。
①給与台帳(給与支払い記録)
企業が従業員に対して、いつ・いくらの給与を支払ったかを記録する帳簿のことを指します。会計や人事の業務で重要な管理資料です。
例:
- The accounting department is updating the payroll records.
②従業員の名簿(給与対象者の一覧)
給与の支払い対象となる全従業員のリストを意味します。たとえば、「今月のpayrollには50人が含まれている」というような使い方をします。
例:
- There are 120 employees on the payroll this month.
③給与管理業務・システム
企業の給与計算、税金控除、社会保険料の処理などを含む一連の給与管理業務そのもの、またはそれを支えるITシステムを意味します。
例:
- We use a cloud-based payroll system.
補足:複数形では使わない
「payroll」は基本的に不可算名詞(数えられない名詞)として扱われるため、「a payroll」や「payrolls」と複数形で使うケースはありません。
payrollは「会社側の視点」の言葉
第1章で紹介した「paycheck」が従業員の立場から見た「給料」だったのに対し、「payroll」は会社側の視点から見た「給与全体・従業員管理」のことを指します。
給与計算・税金控除・社会保険料の処理など、すべてがこの「payroll」に含まれます。つまり、payrollとは単なる「お金の支払い」だけでなく、給与に関する一連の事務処理全体を指す用語なのです。
よく使われるフレーズ
▷ on the payroll
これは「その会社に雇用されていて、給料をもらっている状態」を意味します。
We have over 200 employees on the payroll.
(当社には200人以上の従業員がいます。)
▷ payroll system
給与計算のためのシステム。勤怠管理・税金・控除などを自動で処理するソフトウェアのこと。
▷ payroll department
給与計算や支払業務を担当する部署。日本でいう「人事部」や「総務部」に近い役割。
「paycheck」とは?

「paycheck」の意味
「paycheck(ペイチェック)」とは、従業員が受け取る給料の支払い(支払額)そのものを指す言葉です。「payroll」よりも具体的で身近なニュアンスを持ちます。以下のような2つの意味で使われます。
①給与の支払い(小切手または振込通知)
元々は、紙の給与小切手(check)のことを指していましたが、現代では銀行振込での給与支払い通知なども含めて「paycheck」と呼ばれるようになっています。
例:
- I received my paycheck this morning.
(今朝、給料が振り込まれた)
②給与そのもの(金額)
転じて、給与の金額そのものを表すときにも「paycheck」が使われます。日常会話では、「給料が少ない」「次の給料日までお金がない」といった意味でも使われることがあります。
例:
- My paycheck barely covers my rent.
(給料じゃ家賃を払うだけで精一杯だ)
補足:複数形でも使える
「paycheck」は可算名詞(数えられる名詞)で、「a paycheck」「two paychecks」など、個数として数えることができます。
給与明細は「payslip」
「paycheck」と一緒によく出てくる用語に「payslip(ペイスリップ)」があります。これは給与明細のことで、支給額・控除額・最終的な支給額(net pay)が記載された書類です。
多くの企業では、以下のように連動して支給されます:
- paycheck(支払い):実際に振り込まれる給料
- payslip(明細):その支払い内容の詳細
「payroll」と「paycheck」の使い分け

「payroll」と「paycheck」は、給与に関する文脈で使われることが多いですが、立場や目的によって適切な使い分けが求められます。ここでは、具体的な使い分けのポイントを整理していきます。
①立場で使い分ける
- 企業側(支払う立場)は「payroll」を使う。
- 従業員側(受け取る立場)は「paycheck」を使う。
例:
- HR staff are working on the payroll for next month.
(人事部は来月の給与計算に取り組んでいる) - I was happy to see my paycheck today.
(今日、給料が入っていて嬉しかった)
②目的で使い分ける
- 給与を計算・管理・処理する文脈では「payroll」
- 給与を受け取る・確認する文脈では「paycheck」
例:
- We’re switching to a new payroll system to improve efficiency.
(効率化のため新しい給与システムに移行する) - His paycheck was less this month due to unpaid leave.
(今月の給料は無給休暇の影響で少なかった)
③書き言葉と話し言葉の傾向
- 「payroll」は書類や公式な文章に使われやすい。
- 「paycheck」は会話などカジュアルな場面でよく使われる。
例:
- The payroll report must be submitted by Friday.(書き言葉)
- Did you get your paycheck yet?(話し言葉)
「payroll」の使い方【例文10】

「payroll」は主にビジネスや人事・会計の文脈で使用される語です。以下に、実際の場面を想定した例文を10個ご紹介します。それぞれの例文には簡単な日本語訳と使用シーンの補足を加えています。
例文1
The company upgraded its payroll system to reduce errors.
→ 会社はミスを減らすために給与管理システムをアップグレードした。
(給与処理システムの話題)
例文2
She works in the payroll department of a large corporation.
→ 彼女は大企業の給与部門で働いている。
(部門名としての使用)
例文3
Payroll is processed every two weeks.
→ 給与は2週間ごとに処理される。
(給与処理の頻度)
例文4
The payroll report must be submitted to the finance team by Friday.
→ 給与報告書は金曜日までに経理チームに提出する必要がある。
(給与データのレポート)
例文5
We hired an external service to handle payroll and taxes.
→ 給与と税金の処理のために外部サービスを利用している。
(アウトソーシングの話)
例文6
There are over 200 employees on our payroll.
→ 当社の給与対象となる従業員は200人以上いる。
(従業員数の言及)
例文7
Payroll expenses have increased due to overtime payments.
→ 残業代の支払いにより人件費が増加した。
(コストの増加に関する文脈)
例文8
All payroll data must be kept confidential.
→ すべての給与データは機密として扱わなければならない。
(情報セキュリティの話題)
例文9
We need to verify the payroll records before issuing payments.
→ 支払いを行う前に給与記録を確認する必要がある。
(業務フローの一部)
例文10
The auditor reviewed last year’s payroll for compliance.
→ 監査人が昨年の給与記録を法令遵守のために確認した。
(監査・チェックの文脈)
「paycheck」の使い方【例文10】

「paycheck」は、個人が受け取る給与を表す可算名詞で、カジュアルな会話から実務的なシーンまで幅広く使われます。以下に10の例文とその日本語訳、使用シーンの補足をまとめました。
例文1
I received my paycheck this morning.
→ 今朝、給料を受け取った。
(支給直後の場面)
例文2
His paycheck was delayed due to a bank error.
→ 銀行の手違いで彼の給料が遅れた。
(トラブル時の表現)
例文3
I can’t wait for my next paycheck—it’s been a tough month.
→ 次の給料日が待ち遠しい。今月は厳しかった。
(日常会話・生活の苦しさ)
例文4
Your paycheck will be deposited automatically on the 25th.
→ あなたの給料は25日に自動で振り込まれます。
(支払スケジュールの案内)
例文5
My paycheck was lower than usual because I took unpaid leave.
→ 無給休暇を取ったため、今月の給料はいつもより少なかった。
(金額変動の説明)
例文6
Did you check your paycheck for any discrepancies?
→ 給料に間違いがないか確認しましたか?
(確認作業を促す場面)
例文7
I live paycheck to paycheck.
→ 給料から給料までの生活をしている。
(経済的にギリギリの状態)
例文8
This bonus will be added to your next paycheck.
→ このボーナスは次回の給料に加算されます。
(ボーナスと一緒の支給)
例文9
They offered a signing bonus with the first paycheck.
→ 初回の給料にサインボーナスがついていた。
(採用時の特典)
例文10
My paycheck barely covers my rent and bills.
→ 給料では家賃と光熱費を支払うので精一杯。
(生活費との関係)
間違えやすい使い方【例文10】

「payroll」と「paycheck」は意味が似ているため、誤用されることが非常に多い単語です。この章では、よくある誤用のパターンを取り上げ、「誤った例文」と「正しい例文」をセットで解説します。
例文1
❌ I received my payroll today.
→(×)「今日、給与管理システムを受け取った」?
✅ I received my paycheck today.
→(〇)今日、給料を受け取った。
例文2
❌ How much is your payroll this month?
→(×)「あなたの給与台帳の金額は?」不自然
✅ How much is your paycheck this month?
→(〇)今月の給料はいくら?
例文3
❌ We’ll send your paycheck data to the payrolls.
→(×)"payrolls"は通常複数形にしない
✅ We’ll send your paycheck data to payroll.
→(〇)あなたの給料データを給与システムに送ります。
例文4
❌ She’s on the paycheck list.
→(×)「paycheck list」という言い方は存在しない
✅ She’s on the payroll.
→(〇)彼女は給与支給対象者である。
例文5
❌ I need to check the paycheck report.
→(×)「paycheck report」は不自然
✅ I need to check the payroll report.
→(〇)給与レポートを確認する必要がある。
例文6
❌ He manages the paycheck department.
→(×)「給料部門」という意味では使わない
✅ He manages the payroll department.
→(〇)彼は給与部門の管理をしている。
例文7
❌ There are 300 people in the paycheck.
→(×)「paycheckの中に300人」は不自然
✅ There are 300 people on the payroll.
→(〇)給与対象の従業員は300人いる。
例文8
❌ My payroll was smaller than usual.
→(×)「payroll」は個人に対して使わない
✅ My paycheck was smaller than usual.
→(〇)給料がいつもより少なかった。
例文9
❌ Let’s automate the paycheck process.
→(×)「paycheck process」という表現は使わない
✅ Let’s automate the payroll process.
→(〇)給与処理を自動化しよう。
例文10
❌ I checked my payroll for deductions.
→(×)控除額を見るのは「paycheck stub」など
✅ I checked my paycheck for deductions.
→(〇)給料からの控除額を確認した。
他にもある英語の給与用語

給与に関する英語表現は、「payroll」や「paycheck」だけではありません。ここでは、ビジネス英会話や英文メール、HR・会計関連の文書で頻出する給与関連用語を、簡単な意味と例文つきでご紹介します。
①gross pay(グロス・ペイ)
- 意味:税引き前の支給額(額面)
- 例文:Your gross pay is $3,500 per month.
②net pay(ネット・ペイ)
- 意味:税金や社会保険料などを差し引いた後の手取り
- 例文:The net pay after deductions is $2,800.
③deduction(控除)
- 意味:税金・保険・年金などの差引項目
- 例文:Tax and health insurance deductions are shown on your paycheck stub.
④pay stub / paycheck stub(給与明細)
- 意味:給料の内訳を記載した明細書
- 例文:Keep your pay stub for your tax records.
⑤direct deposit(口座振込)
- 意味:給与を銀行口座に直接振り込む方式
- 例文:My paycheck is deposited via direct deposit every month.
⑥salary(給料/月給)
- 意味:固定された定額の報酬(通常は月給・年俸)
- 例文:She earns an annual salary of $60,000.
⑦wage(時給・日給)
- 意味:時間単位または日単位で支払われる報酬
- 例文:The minimum wage is $15 per hour in this state.
⑧overtime pay(残業代)
- 意味:法定労働時間を超えた労働に対する追加報酬
- 例文:He received overtime pay for working on the weekend.
⑨bonus(ボーナス/賞与)
- 意味:業績などに応じて支給される一時的な報酬
- 例文:Employees will receive a year-end bonus.
⑩withholding tax(源泉徴収税)
- 意味:給料から天引きされる税金
- 例文:The withholding tax has already been deducted from your paycheck.
よくある質問(FAQ)

給与に関する英語表現や用語は、使い方や意味を誤解しやすいものが多くあります。このセクションでは、「payroll」や「paycheck」をはじめとした英語の給与用語に関して、よくある疑問にQ&A形式でお答えします。
Q1. 「payroll processing」とは何ですか?
A.
「payroll processing(ペイロール・プロセッシング)」とは、給与計算のプロセス全体を指します。具体的には、従業員の労働時間の集計、控除の計算、税金処理、支払い手続きなどが含まれます。
📌 使用例:
We outsource payroll processing to a third-party service.
(給与処理は外部業者に委託しています)
Q2. 「paycheck stub」と「pay stub」は同じ意味ですか?
A.
はい、同じ意味です。どちらも「給与明細書」を指し、給料の内訳や控除内容が記載された書類のことです。「pay stub」の方がやや口語的で短く使われる傾向があります。
📌 使用例:
Check your paycheck stub to see your tax deductions.
Q3. 給与明細は英語で何と言いますか?
A.
「給与明細」は英語で一般的に「pay stub」または「paycheck stub」と表現します。企業によっては「salary statement」や「earnings statement」とも呼ばれます。
📌 比較表:
日本語 | 英語表現 | 説明 |
---|---|---|
給与明細 | pay stub / paycheck stub | 一般的・口語的な表現 |
給与明細書 | salary statement | 形式的・文書的な表現 |
所得明細 | earnings statement | より詳細な内訳を示すことが多い |
Q4. 「salary」と「wage」はどう違いますか?
A.
「salary」は通常、月給や年俸などの固定報酬を意味し、ホワイトカラーの仕事に使われることが多いです。一方、「wage」は時給・日給を意味し、アルバイトやブルーカラーの職種に使われる傾向があります。
📌 例文:
- She earns a salary of $50,000 a year.(年俸)
- He earns an hourly wage of $20.(時給)
Q5. 「on the payroll」とはどういう意味ですか?
A.
「on the payroll」は、「給与支給対象者である」「その会社に正式に雇用されている」という意味です。契約社員や外注スタッフなどには通常使いません。
📌 使用例:
We have 150 employees on the payroll.
(当社には150人の従業員が在籍しています)
まとめ
「payroll」と「paycheck」は、どちらも「給与」に関係する英語表現ですが、使われる場面や立場が異なることがこの記事を通してお分かりいただけたかと思います。
「payroll」は、主に企業側が使う言葉であり、従業員の給与を管理・処理するための業務やシステム、またはその対象となる従業員の一覧を指します。一方、「paycheck」は、従業員個人が受け取る給与そのもの、または給与支払いの通知や金額を指す表現です。
ビジネス英語の現場では、これらを正しく使い分けることが重要です。特に外資系企業や海外とのやりとりがある職場では、単語の選び方一つで誤解やミスコミュニケーションが生じる可能性があります。
また、この記事では「gross pay」「net pay」「pay stub」など、他にも役立つ給与関連の英単語も紹介しました。これらの知識を身につけておくことで、英語での給与明細の確認、給与交渉、英文メールでのやり取りもスムーズに進められるようになります。
「payroll」と「paycheck」は似て非なる言葉。視点(会社か個人か)と用途を意識すれば、使い分けに迷うことはなくなります。