一里って何キロ?江戸時代の距離を現代に置き換えて解説します!

散歩

「一里って、いったい何キロなんだろう?」そんな素朴な疑問を持ったことはありませんか?

学校の授業や歴史の本、あるいは時代劇や昔話の中で、「一里」という言葉を目にしたり耳にしたりした経験がある人は多いでしょう。しかし、現代の日常生活では「キロメートル(km)」や「メートル(m)」が主流のため、「一里」という単位がどれくらいの距離を示しているのか、具体的なイメージが湧きにくいものです。

この記事では、そんな「一里って何キロ?」という疑問に答えるべく、

  • 一里の正確な距離
  • 歴史的な背景や成り立ち
  • 日常生活の中での距離感との比較
  • 今も残る「里」を使ったことわざ

などを、わかりやすく丁寧に解説していきます。

古い単位である「一里」ですが、その意味や由来を知ることで、昔の人々の暮らしや旅のスケール感にも触れることができます。読み終えるころには、きっと「一里」という言葉がぐっと身近に感じられるはずです。

一里は何キロ?現代の単位で換算すると

ウォーキング

「一里(いちり)」という単位は、かつて日本で使われていた距離の単位です。現代ではほとんど使われることがなくなりましたが、歴史の話や古い文学作品、時代劇、地名などで耳にすることがあります。では実際、「一里」とはどのくらいの距離なのでしょうか?

一里は約3.927キロメートル

日本における「一里」は、約3.927キロメートル(正確には3.92727 km)です。これは江戸時代に定められた距離であり、1里 = 36町(ちょう)1町 = 約109メートルで計算されます。

計算式にすると:

1里 = 36町 × 約109.1メートル = 約3,927メートル(= 約3.927キロ)

この距離は、現代人が徒歩で移動するにはちょうどいい単位で、のんびり歩いて約1時間弱ほどかかります。

他の単位と比較すると?

単位距離の目安
1里約3.927 km
1マイル約1.609 km
1km(キロ)約0.254 里

「1マイルは1.6km」と覚えている方が多いかもしれませんが、それと比べると一里はマイルの2.4倍以上の距離になります。つまり、「一里歩いた」と言えば、かなりしっかりとした散歩になるイメージです。

なぜキロメートルに換算する必要があるのか?

現代ではすべての距離が「キロメートル(km)」で表されるため、「里」という単位に触れると混乱してしまう方も多いです。特に、観光案内板や歴史的な解説文に「○○里」などと書かれている場合、キロメートルに換算することでより具体的に距離をイメージすることができます。

一里の歴史と由来

万里の長城

「一里」という単位には、古代から続く日本人の暮らしや文化が色濃く反映されています。この章では、一里という距離の成り立ちや歴史的な背景、そして時代や地域による違いについて解説していきます。

一里の起源は中国にあり

「里」という単位は、もともと古代中国から伝わったものです。中国では紀元前から「里」という単位が使われており、距離だけでなく、行政区画の名称としても用いられていました。

日本には奈良時代ごろに中国の制度が取り入れられた際に、「里」も一緒に伝わりました。ただし、中国の一里と日本の一里は距離が異なります

  • 中国の古代の一里:約415メートル(時代によって異なる)
  • 日本の一里:約3.927キロメートル(江戸時代基準)

つまり、日本では中国の単位を取り入れつつ、独自の距離感で定義し直して使われてきたのです。

江戸時代に定着した「一里=約3.927km」

日本で「一里=約3.927キロ」と明確に定められたのは江戸時代です。当時の幕府は、街道整備や旅人の目安のために、一定の距離ごとに「一里塚(いちりづか)」という土の盛り塚を設置しました。

一里塚とは?

一里塚は、街道沿いに一里(約4km)ごとに設けられた目印で、旅人が自分の進んだ距離を把握するためのものでした。多くの場合、塚の上にはエノキや松などの木が植えられ、道標の役割も果たしていました。

江戸から出発して、目的地まで「何里あるか」を意識しながら旅をしていたため、「里」という単位は当時の人々の距離感の基準になっていたのです。

時代によって違いがあった?

実は、日本国内でも時代によって「一里」の定義に違いがありました。

地域・時代一里の距離
奈良時代(古代)約540メートル(6町)
江戸時代(一般)約3.927キロ(36町)

江戸時代の幕府が全国統一基準として「36町=一里」を導入したことで、以降はそれが広く使われるようになりました。

一里の距離感を体感しよう

サイクリング

「一里=約3.927キロメートル」と言われても、実際にどのくらいの距離かピンとこない方も多いかもしれません。この章では、現代の移動手段や感覚に置き換えて、一里という距離をよりリアルにイメージできるようにしていきましょう。

徒歩・自転車・車で一里を移動したら?

現代の代表的な移動手段を使って、一里を移動した場合のおおよその時間を以下にまとめてみました。

移動手段時速の目安一里(約3.927km)の所要時間
徒歩約4km/h約59分(ほぼ1時間)
自転車約15km/h約16分
約50km/h約5分弱

つまり、一里は「のんびり1時間歩く距離」と考えると非常にわかりやすいです。これが、江戸時代の旅人が1日に何里歩いたかを目安にして、宿場町を選んでいた理由でもあります。

たとえば「今日は10里歩こう」となると、約40kmの移動。朝から夕方までしっかり歩く距離ですね。

実際の一里塚の例:東海道五十三次の旅

江戸時代の主要な街道である「東海道」では、江戸(日本橋)から京都まで約126里(約495km)ありました。この道中には、一里ごとに一里塚が設置されていたため、旅人は自分がどこまで来たかを塚で確認することができました。

「東海道五十三次」という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、これは東海道に設けられた53の宿場町のこと。つまり、一日10里(約40km)ずつ歩くとすれば、約13日間の行程だったことになります。

現代の生活に置き換えると?

「一里=約4km」という距離を、現代の身近なシーンに当てはめてみると…

  • 通勤・通学の徒歩で片道30〜40分
  • 公園をランニングするときの標準的な距離(10周で一里)
  • 都市部では、2~3駅分の電車の区間

こうして考えると、「一里」は私たちの生活の中にある距離の感覚に、意外と近いことがわかります。

ことわざに残る「里」

ノート

「千里の道も一歩から」

有名なことわざですね。「どんなに長い道のりも、まずは一歩を踏み出さないと始まらない」という意味です。ここでの「千里」は、とてつもなく遠い距離を象徴しています。現代の距離にすると、千里=約3,927km。つまり、北海道から沖縄を往復してもお釣りが来るほどの距離です!

「親の心、子知らず。子の行く道は八千里」

この言葉も、里を「果てしない距離」として使っている例です。親が心配しても、子どもは遠くへ旅立ってしまう、という感情を「八千里=約31,000km」という大げさな距離で表現しています。

まとめ

「一里=約3.927キロメートル」という距離は、現代ではあまり馴染みがないものの、かつての日本人にとっては旅や生活の目安となる重要な単位でした。江戸時代には一里ごとに一里塚が設けられ、旅人が距離を把握するための指標として機能していたのです。

現代においても、「千里の道も一歩から」や「○○の里」といった表現に「里」は息づいており、単なる距離を超えて「人の営み」や「心の距離」を表す言葉として使われています。

この記事を通して、一里という言葉の持つ意味や背景に触れることで、普段見過ごしていた日本語や地名の奥深さに気づけたのではないでしょうか。今後「一里」という言葉を見聞きしたとき、より豊かなイメージでその距離や文化を感じてもらえたら嬉しいです。