日日是好日とは?意味や【使い方例文10選】人生に活かすヒントを解説

「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」——この言葉に、どこか心が落ち着くような響きを感じたことはありませんか?
禅の教えから生まれたこの言葉は、「どんな日であっても、それ自体がかけがえのない一日である」という深い意味を持っています。忙しさやストレスに追われがちな現代にこそ、この考え方は大きなヒントになるかもしれません。
この記事では、「日日是好日」の本来の意味や、茶道や日々の暮らし、仕事や人間関係といった具体的な場面での実践方法を紹介します。また、「日々是好日」との違いや、似た意味を持つ言葉との比較、ビジネスやSNSでの使い方、さらには例文10選まで幅広く解説。
読むことで、毎日を前向きに受け止めるヒントがきっと見つかるはずです。
目次
「日日是好日」とは?

「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」とは、禅の教えのひとつで、「どんな日も良い日である」という意味を持つ言葉です。これは単なるポジティブな表現ではなく、「その日その日をありのままに受け入れ、大切に生きることが重要である」という深い思想を示しています。
この言葉は、中国宋代の禅僧・雲門文偃(うんもんぶんえん)の言葉として、『碧巌録(へきがんろく)』という禅の書物に記されています。禅宗では、公案(こうあん)と呼ばれる修行者への問いや課題の一つとして伝えられ、悟りを深めるための言葉とされています。
「日日是好日」の本当の意味
「日日是好日」を直訳すると「毎日が良い日」となりますが、ここでいう「好日(こうじつ)」は単に楽しく嬉しい日を指すのではありません。
一般的に「良い日」と聞くと、楽しいことがあった日や、成功した日を思い浮かべるかもしれません。しかし、禅の視点では、雨の日も、失敗した日も、悲しいことがあった日も、すべて「好日」です。
これは、「良し悪しを判断せず、ただその日を受け入れる」という考え方に基づいています。人生には思い通りにならないことがたくさんありますが、それを嘆くのではなく、その日その日を大切に生きることが大切なのです。
天気や状況に左右されない心の持ち方
例えば、雨の日を「嫌だな」と思うか、「雨音が心地よいな」と思うかで、その日の気分は大きく変わります。同じ出来事でも、それをどう受け止めるかによって、感じ方が変わるのです。
「日日是好日」は、外的な要因に左右されるのではなく、自分の心の持ち方次第で、どんな日も充実したものにできるというメッセージを伝えています。楽しいことだけでなく、困難や試練さえも学びとして受け止めることで、毎日をかけがえのないものにすることができるのです。
「日日是好日」を日常に生かす方法

禅の教えは、決して特別なものではなく、私たちの日常生活にも役立てることができます。「日日是好日」の考え方をどのように実践できるのかを見ていきましょう。
茶道と「日日是好日」
茶道では、「一期一会」という言葉とともに、「日日是好日」の精神が大切にされています。これは、「今日という日、この瞬間は二度と訪れない」という考えに基づき、目の前の時間や出会いを大切にすることを意味します。茶道の稽古や日常生活にも深く根付いており、その瞬間を丁寧に味わいながら生きることの重要性を教えてくれます。
茶道では、茶を点てる動作や客とのひとときを心を込めて大切にします。決められた手順で進めるものの、その日の天気や季節、茶室の雰囲気、道具の組み合わせによって、同じ茶会は二度とありません。たとえ天候が悪くても、道具が古びていても、それを「あるがままに受け入れる」ことが大切とされており、これこそが「日日是好日」の精神に通じています。
また、茶道の稽古では同じ動作を繰り返し行いますが、毎回微妙に異なり、新たな発見があるものです。自分の未熟さに気づくこともあれば、ふとした瞬間に美しさを感じることもあります。一つひとつの動作を丁寧に味わいながら行うことは、日々を豊かにすることにつながります。茶道を通じて学ぶのは、単なる作法ではなく、どんな状況でもその瞬間を大切にし、あるがままを受け入れる生き方そのものなのです。
日々の生活と「日日是好日」
「日日是好日」の考え方を日常生活に取り入れることで、どんな状況でも穏やかに過ごすことができます。
- 天気を受け入れる
晴れの日はもちろん気持ちが良いですが、雨の日も「雨音を楽しむ」「しっとりとした空気を味わう」といった視点で捉えることで、どんな天候でも心穏やかに過ごせます。 - 家事を丁寧に行う
毎日の掃除や料理を単なる作業とせず、「綺麗にすることで気持ちが整う」「料理の香りや音を楽しむ」といったように、目の前のことに意識を向けると、充実感が生まれます。 - 何気ない日常を味わう
同じ道を歩いていても、季節の移ろいに気づく、鳥のさえずりを聞くなど、五感を使って日常を感じることで、日々がより豊かなものになります。
仕事と「日日是好日」
仕事では、結果や効率を求めがちですが、「日日是好日」の考え方を取り入れることで、より充実した働き方ができます。
- ミスを成長の機会とする
仕事で失敗すると落ち込みますが、「この経験から何を学べるか?」と考えることで、ただのミスではなく、自分を成長させる貴重な機会になります。 - 目の前の業務に集中する
仕事の忙しさに追われると、ただこなすだけになりがちですが、一つひとつの業務を丁寧に行うことで、ミスが減り、結果的に良い仕事につながります。 - 人と比べず、自分のペースで進める
周囲と比べて焦るのではなく、「今日は昨日の自分より少し成長できた」と考えることで、プレッシャーを減らしながら前向きに取り組むことができます。
人間関係と「日日是好日」
人との関わりにおいても、「日日是好日」の考え方を持つことで、より良い関係を築くことができます。
- ありのままの相手を受け入れる
相手に期待をしすぎると不満が生まれやすくなりますが、「この人はこの人のままで良い」と受け入れることで、ストレスが減り、自然な関係が築けます。 - その瞬間の会話を大切にする
スマホを見ながら話すのではなく、目の前の人との会話にしっかり向き合うことで、関係が深まり、より充実したコミュニケーションが生まれます。 - 感謝の気持ちを持つ
些細なことでも「ありがとう」と伝える習慣を持つことで、自分も相手も温かい気持ちになり、良好な人間関係を築くことができます。
「日日是好日」は、特別なことをしなくても、日常の中で少し意識するだけで、より穏やかで豊かな生活へとつながっていきます。
日日是好日を座右の銘にしても良い?

「日日是好日」は、座右の銘としても非常におすすめです。日々の暮らしには、嬉しいこともあれば、思い通りにいかないこともあります。そんなとき、この言葉は、たとえ雨の日であっても、失敗した日であっても、それを「好日」として受け止める心構えを私たちに与えてくれます。感情に振り回されず、「今この瞬間」を丁寧に生きようという意識が芽生え、忙しい毎日の中でもふと立ち止まり、自分と向き合うきっかけとなるでしょう。こうした姿勢は、マインドフルネスや自己肯定感の向上にもつながります。
現代において、「日日是好日」が持つ価値はますます高まっています。この言葉は、無理に前向きになろうとするのではなく、“あるがまま”を受け入れる哲学です。たとえば、「今日は天気が悪い」とネガティブに捉えるのではなく、「これも自然の一部であり、自分の一日」と柔らかく受け止める視点を与えてくれます。心がざわついたとき、「ああ、今日は好日なんだ」と自分に言い聞かせることで、ストレスや焦りを和らげ、心に余白を生む手助けになるはずです。
もし、日々を穏やかに、丁寧に生きたいと考えているなら、「日日是好日」はまさにぴったりの言葉です。特別な日を待つのではなく、今日という日を大切に過ごす。その積み重ねこそが、本当の意味での“良い日”につながるのかもしれません。座右の銘として、あなたの毎日に静かな支えを与えてくれることでしょう。
「日日是好日」を使った例文【10選】

「日日是好日」は、文章の締めくくりやSNS投稿など、さまざまな場面で使える美しい表現です。ここでは、日常生活・ビジネス・SNS向けに分けて、実際に使える例文を10個ご紹介します。
日常生活での使い方
- 「今日は仕事で少し落ち込むことがあったけれど、学びがあった。日日是好日、だね。」
→ どんな日にも意味があると自分を励ます言葉として。 - 「忙しい一日だったけど、美味しいごはんを食べられた。うん、日日是好日。」
→ 日々の中にある小さな幸せを大切にする気持ち。 - 「天気は雨だけど、家でゆっくりできる日も悪くない。日日是好日。」
→ ネガティブな状況でも前向きに捉える視点を表現。 - 「今日も特別なことはなかったけれど、家族と過ごせた。日日是好日。」
→ 平凡な日常の中にある豊かさを感じるときに。
ビジネスシーンでの使い方
- 「予想外の展開になりましたが、チームで学びの多い経験ができました。まさに、日日是好日です。」
→ トラブル後の前向きな振り返りとして。 - 「困難なプロジェクトでしたが、全員で乗り越えた経験は大きな財産です。日日是好日。」
→ 成果にかかわらず、努力の過程を大切にする姿勢を表す。 - 「日々の業務の中にも気づきがあります。何気ない一日も大切に。日日是好日。」
→ 定例会議や社内メッセージの締めなどに使いやすい表現。
SNSやブログ投稿での使い方
- 「花が咲いた朝、コーヒーの香り。日日是好日。」
→ 季節感のある風景とともに短くまとめると美しい投稿に。 - 「今日は何も特別なことはなかったけど、それもまた良し。日日是好日。」
→ 「ありのまま」を受け入れる価値観を表す。 - 「今を大切に。日日是好日。」
→ シンプルで強いメッセージ。プロフィールやサインにも◎
「日々是好日」か「日日是好日」どっちが正解?

「ひびこれこうじつ」もしくは「にちにちこれこうじつ」と読むこの言葉、インターネットや書籍を見ていると「日々是好日」という表記と「日日是好日」という表記が混在していて、どちらが正しいの?そしてどう読むの?と思った方も多いのではないでしょうか。
実は、両方とも意味としては同じですが、正確な表記としては「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」が本来の形とされています。
表記 | 読み方 | 出典 | 備考 |
---|---|---|---|
日日是好日 | にちにちこれこうじつ | 禅語(中国・雲門文偃) | 禅の経典や語録に登場するオリジナルの形 |
日々是好日 | ひびこれこうじつ | 日本での一般的な表現 | 現代日本語で自然な語感として広まる |
つまり、「日日是好日」が元の言葉(禅語)で、「日々是好日」は現代日本語に合わせて読みやすくした表現です。
厳密な禅語として使うのであれば「日日是好日」が正式です。ただし、日常会話やエッセイ、SNSなどでは、親しみやすく柔らかい印象の「日々是好日」も広く受け入れられています。
どちらも「その日その日を大切に生きる」という美しい意味を持つ言葉ですので、あなたのスタイルや文脈に合わせて、しっくりくる方を選んで大丈夫です。
「日日是好日」とは誰の言葉?

「日日是好日」という言葉には、深い禅の教えが込められています。では、この言葉は一体誰が最初に言ったのでしょうか?ここでは、この禅語の起源と、それを広めた人物や文化的背景について解説します。
「日日是好日」は、中国唐代の禅僧である雲門文偃(うんもんぶんえん)(862年–949年)が語ったとされる言葉です。彼は「雲門宗」という禅宗の一派の開祖であり、多くの印象的な禅語を残しています。
この言葉は、彼の語録『雲門広録(うんもんこうろく)』に収録されています。ある弟子が「仏法の核心は何ですか?」と問うたときに、雲門が答えたのがこの一言:
「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」
この一言の中に、「良い日とは、自分がその日をどう受け取るかにかかっている」という、禅の本質が込められています。
「日日是好日」と似た言葉【10選】

「日日是好日」は、禅や仏教の思想に基づいた言葉ですが、日本にはこれと似た意味や精神性を持つ表現が他にもたくさんあります。
ここでは、「日常を丁寧に生きる」「今を大切にする」「心の持ちよう次第で幸せはある」といった価値観に通じる、日本語の名言・表現を10個ご紹介します。
① 一期一会(いちごいちえ)
「今この瞬間の出会いは、二度とないかもしれない」
茶道の教えにも通じる言葉で、「今日」という時間をかけがえのないものと捉える感覚が、「日日是好日」とよく似ています。
②諸行無常(しょぎょうむじょう)
「すべての物事は常に変化している」
仏教の根本的な教え。変わりゆく毎日だからこそ、今日を大切にしようというメッセージにつながります。
③足るを知る(たるをしる)
「満ち足りることを知る人こそが、真に豊かな人」
現状に感謝し、今あるものを喜べる心を育てるという点で、「日日是好日」の実践的な意味合いと重なります。
④今を生きる(いまをいきる)
「未来や過去にとらわれず、今この瞬間を全力で」
仏教やマインドフルネスの基本姿勢。日々を丁寧に味わう精神です。
⑤無事是貴人(ぶじこれきにん)
「特別なことがなく、平穏であることこそが尊い」
禅語の一つで、「特別な日」よりも「穏やかな日」を尊ぶ感覚が、「日日是好日」と重なります。
⑥小さな幸せ(ちいさなしあわせ)
「日常の中にあるささやかな喜び」
コーヒーの香り、花のつぼみ、風の音。そんな日々の中にこそ「好日」がある、という気づきを与えてくれる表現です。
⑦今日という日を生きる
「明日でも昨日でもない、“今日”に集中する」
「日日是好日」の核となる思想と同じで、今を受け入れ、大切にする意識を育てます。
⑧雲自ずから山を出ず(くもおのずからやまをいず)
「雲はただ自然に山を離れていく」
禅語で、物事は自然のままに任せるのが最良であるという教え。日々を流れに逆らわず生きるという点で共鳴します。
⑨あるがまま
「何も足さず、何も引かず、ただそのままに受け止める」
「好日」であるかどうかは、状況ではなく、自分の受け取り方次第——まさに「日日是好日」の哲学です。
⑩心静かに日々を送る
「心穏やかに毎日を過ごすことが何よりの幸せ」
目立たないけれど深く心に残る生き方を象徴するような言葉。禅の教えと通じる静けさがあります。
まとめ

「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」という言葉は、単に「毎日が楽しい」という意味ではなく、「どんな日も大切に生きること」の重要性を示しています。人生には晴れの日もあれば雨の日もあり、順調な日もあれば思い通りにいかない日もあります。しかし、それらを「良い」「悪い」と決めつけず、そのまま受け入れることができれば、どんな日も意味のある一日になるというのが、この言葉の本質です。大切なのは、目の前の出来事に対して心を開き、変化に流されるのではなく、今この瞬間をしっかりと生きることです。
日々を穏やかに、そして豊かに過ごすためには、物事をありのままに受け入れる姿勢が必要です。例えば、天気が悪い日には「嫌だな」と思うのではなく、「雨音が心地よい」と感じるように視点を変えることができます。また、何気ない日常の中にも、小さな幸せを見つける習慣を持つことで、日々の暮らしはより充実したものになります。道端に咲く花に気づいたり、朝のコーヒーの香りをじっくり味わったりするだけでも、日々の過ごし方が変わってくるでしょう。過去の出来事を悔やんだり、未来のことを心配しすぎたりするのではなく、「今、この瞬間」に意識を向けることが、穏やかで充実した生き方につながります。
この考え方を日常生活に取り入れるために、できることはいくつもあります。例えば、朝の時間を丁寧に過ごし、静かなひとときを味わうことで、心に余裕を持って一日を始めることができます。また、身近な出来事に感謝の気持ちを持つことも大切です。何気なく過ごしている日常の中には、実は多くの恵みがあり、それに気づくことで日々の充実感が増します。そして、自分の気持ちに素直になり、無理をしないことも重要です。何かに追われるように生きるのではなく、時には立ち止まり、自分自身をいたわることで、心に余裕が生まれます。
「日日是好日」の考え方を取り入れることで、どんな日も価値のある一日になります。大切なのは、どんな状況でもその瞬間を大事にし、目の前の出来事を素直に受け入れること。そうすれば、日々の暮らしはより穏やかで、充実したものになっていくでしょう。この言葉が、毎日をより良く生きるためのヒントになれば幸いです。