「移動」と「異動」の違い|店舗・住民票・部署はどっち?【例文】

「移動」と「異動」は、どちらも「ある場所から別の場所へ変わる」ことに関係する言葉ですが、その使い方には明確な違いがあります。似た音であるため、会話や文章の中で混同されがちですが、意味や使う場面が異なるため、正確に使い分けることが重要です。
特にビジネスシーンや公的な手続きでは、誤った言葉を使うと意図が伝わらず、相手に誤解を与えてしまう可能性もあります。たとえば「部署の移動」と書いてしまうと、「人の配置転換」ではなく「部署そのものが物理的に動くのか?」と解釈されてしまうことも。
この記事では、「移動」と「異動」の基本的な意味の違いから始まり、どんな場面でどちらを使うのか、さらに間違えやすい使い方や例文60個を通して、正確な使い分けをマスターできる内容となっています。
読み終わるころには、「店舗は異動?」「住民票は移動?」「転勤ってどっち?」といった疑問がすべてクリアになるはずです。
目次
「移動」と「異動」の違い

「移動」と「異動」は、どちらも「変化」を意味する言葉ですが、変化の対象や性質が異なるため、正しく使い分けることが大切です。
下記の表を使って、両者の違いを整理してみましょう。
比較項目 | 移動(いどう) | 異動(いどう) |
---|---|---|
意味 | 物理的な場所の変更 | 所属・職務・役割の変更 |
対象 | 人、モノ、動物、車両など | 人(組織に属する人物) |
動きの種類 | 空間的・物理的な動き | 組織内の配置や職務の変更 |
使用場面 | 日常会話、交通、物流、IT操作など | ビジネス、官公庁、教育現場などの人事 |
例文 | バスで駅まで移動する 荷物を隣の部屋に移動した | 営業部から広報部へ異動になった 4月1日付で人事異動が発表された |
使われる動詞 | 動かす、運ぶ、動く | 配属する、任命する、着任する |
モノに使えるか | ○(使える) | ×(使えない) |
- 「移動」は物理的な距離の変化。たとえば「会議室に移動する」「荷物を移動する」など。
- 「異動」は人の役割や立場の変化。たとえば「異動の内示を受けた」「新しい部署に異動する」など。
「移動」は日常でも頻繁に使われますが、「異動」はビジネス文脈や公的文書に特化した語である点にも注意しましょう。
「移動」の意味

「移動(いどう)」とは、物や人が今いる場所から別の場所へ動くこと、あるいは動かすことを指します。対象となるのは、人、モノ、動物、車両など、物理的な存在です。基本的に空間的な位置の変化が伴う場合に使われるのが特徴です。
たとえば、以下のような動きが「移動」に該当します。
- 電車やバスで他の駅や地域へ向かう
- 荷物を部屋から部屋へ運ぶ
- イベント会場に人が集まってくる
- 椅子や机の位置を変える
- 軍隊や組織が前線から後方へ動く
このように「移動」は、目に見える動きを伴う場面で使用されます。
また、「移動」は個人だけでなく、集団や物体に対しても使える汎用性の高い言葉です。ビジネスの現場では「会議室へ移動してください」や「資料を別のフォルダに移動しました」といったように、さまざまな場面で日常的に使用されています。
「異動」の意味

「異動(いどう)」とは、職場や組織内における所属・職務・地位などの変更を指す言葉です。特にビジネスや公的機関で、人の配置換えや役職の変更などに使われる専門的な用語です。
たとえば、以下のような状況が「異動」に該当します。
- 営業部から総務部への配属変更
- 課長から部長補佐への役職変更
- 地方支社から本社勤務になる
- 教員が別の学校へ配属される
- 国家公務員が他省庁に出向する
これらはすべて、「その人の所属や役割が変わる」ことであり、物理的に移動しない場合でも「異動」と表現します。たとえば、同じビルの中で部門が変わっただけでも、それは「異動」です。
また、「異動」は人に対してのみ使う言葉であり、モノや物体には使用されません。これは「移動」との大きな違いの一つです。
企業などでは「人事異動」という表現が一般的に使われ、人材の配置を柔軟に変える仕組みとして重要な役割を果たしています。
「移動」と「異動」の使い分け

「移動」と「異動」は、似た読みと字面を持つため混同しやすい言葉ですが、「何が変わるのか」によって明確に使い分けることができます。ここでは、その判断基準を具体的に説明します。
判断のポイントは「物理的な移動か、役割・所属の変更か」です。
状況 | 正しい表現 | 理由 |
---|---|---|
電車で会社に向かう | 移動 | 人が場所を変えている(物理的) |
営業部から経理部へ配属変更 | 異動 | 所属が変わっている(組織上) |
荷物を倉庫に運ぶ | 移動 | モノの位置が変わる |
人が別の支店に転勤(部署も変わる) | 異動+移動 | 所属も場所も変わるため、両方が関係 |
社員の机の位置が変わる(部署変更なし) | 移動 | 配置が変わるだけで所属は同じ |
社員の役職が主任から係長に変更 | 異動 | 職務上の役割が変わっている |
店舗は「移動」と「異動」どっち?

「店舗」という言葉が出てきたとき、「移動」と「異動」のどちらを使うべきかは、話の主語が“何”で、“どう変わる”のかによって異なります。
状況 | 適切な表現 | 解説 |
---|---|---|
店舗そのものの場所が変わる | 移動 | 店舗の物理的な位置が変わるため「移動」 |
店舗スタッフが別の店舗に配属される | 異動 | 人の所属が変わるため「異動」 |
本店が駅前に引っ越す | 移動 | 建物・施設の場所変更なので「移動」 |
販売員がA店からB店に変わる | 異動 | 販売員という“人”が配置転換されるため「異動」 |
使用例
- ✅ 店舗の移動
「老朽化のため、〇〇店は今月末に新しい場所へ移動します。」 - ✅ 店舗スタッフの異動
「4月1日付で、私は〇〇店から△△店へ異動になりました。」
このように、「店舗」という言葉自体が対象になる場合は「移動」ですが、その店舗に所属する人や職務が変わる場合には「異動」が正しい表現になります。
住民票は「移動」と「異動」どっち?

住民票の手続きを説明する際、「移動」と「異動」のどちらを使うか迷う方は多いですが、公的には「住民異動」という用語が正式に使われています。
ただし、日常会話では「住所を移動する」といった表現をする人もいます。ここでは、その違いを明確にしましょう。
状況 | 適切な表現 | 解説 |
---|---|---|
市区町村をまたいで引っ越す | 異動(住民異動届) | 法的な手続き名称が「住民異動」 |
区内で引っ越す | 異動(住所変更) | 区内であっても「異動」の扱い |
「住民票の住所を動かす」と言いたいとき | 移動(会話表現) | 日常的な表現では「移動」も自然 |
転出届・転入届などの総称 | 住民異動 | 行政用語として確立している |
使用例
- ✅ 正式な場面
「引っ越しに伴い、住民異動届を提出しました。」 - ✅ 会話・カジュアルな場面
「昨日、住民票を新しい住所に移動してきたよ。」
「住民異動」は、以下のような書類やシステム名称に使われています。
- 住民異動届
- 住民異動通知書
- 転出・転入・転居などの手続きの総称
つまり、「住民票」や「住所変更」に関しては、手続き上は「異動」が正しく、会話では「移動」も通じるというのが現実的な使い分けです。
部署は「移動」と「異動」どっち?

「部署」に関して使う場合、正しい表現は「異動」です。なぜなら、部署とは組織の構成単位であり、その中で人が配置換えになることは、所属や職務の変化であり、物理的な動きではないからです。
状況 | 適切な表現 | 解説 |
---|---|---|
営業部から経理部へ移る | 異動 | 所属部署の変更であり、人事の範囲 |
企画部から開発部に配属される | 異動 | 職務・役割の変化が発生 |
部署はそのままで座席が変わる | 移動 | 所属は変わらず、物理的な位置が変化 |
部署そのものが別のビルへ移転 | 移動 | 組織単位ではなく物理的な場所が変わる |
使用例
- ✅ 正しい使い方(人に対して)
「私は4月から営業部から総務部へ異動しました。」 - ✅ 正しい使い方(部署の物理的位置に対して)
「開発部のフロアは3階から5階に移動しました。」
- ×「営業部から総務部に移動になりました」
→「異動」が正解。部署の変更は職務の変更であり、組織内の再配置です。 - ×「部署の異動に伴い、机を動かしました」
→机を動かすのは「移動」。
「部署異動」「部署間異動」といった言い方も一般的に使われており、人事異動の一種です。ビジネス文書や社内メールでは「異動」の使用が必須といえます。
人事は「移動」と「異動」どっち?

「人事」に関する話題では、正しい表現は「異動」です。なぜなら「人事」とは、人材の配置・配属・昇格・降格などの役職や所属に関わる組織的な変更を指すからです。
企業や官公庁などでは、以下のような言い回しが使われます。
- 人事異動(じんじいどう)…職員の配属、役職、勤務地などを変更すること
- 異動内示…異動の予定を事前に知らせること
- 異動通知…正式に異動が決定したことを通知する文書
このように、「人事」と結びつくのは常に「異動」であり、「人事移動」とは言いません。
表現 | 意味 | 適切? |
---|---|---|
人事異動 | 組織内での人の配置変更 | ◎ 正しい表現 |
人事移動 | 一般的には使わない | × 誤用とされる |
使用例
- ✅ 正しい使い方
「本日、人事部から7月1日付の人事異動について発表がありました。」
「来月から管理部門へ異動することになりました。」 - ❌ 誤った使い方
「人事移動が決まったらしいよ。」
→「異動」が正解です。
人事異動に伴って勤務地が変わる場合、物理的な「移動」も伴うことはありますが、それでも表現としては「異動」が主語になります。
転勤は「移動」と「異動」どっち?

「転勤」は、勤務先(勤務地)が変わることを意味しますが、正確には「異動」の一種です。組織の人事判断によって勤務場所が変更されるため、「人事異動」の一環として扱われます。
ただし、転勤には物理的な移動(引っ越しなど)が伴うことが多いため、実際の状況によっては「移動」とも関係します。つまり、「異動が主」であり、「移動が副次的に発生する」という位置づけです。
用語 | 意味 | 表現 |
---|---|---|
転勤(てんきん) | 勤務地の変更。多くは引っ越しを伴う | 「異動」として扱う |
単身赴任 | 家族を残して一人で勤務地へ | 「異動」+「移動」両方の要素あり |
配置転換 | 同じ勤務地内で職務が変わる | 「異動」のみ(移動なし) |
使用例
- ✅ 正しい例文
「4月の人事異動で、大阪支社へ転勤することになりました。」
→ 組織上の配置換え=異動が正しい。 - ✅ 正しい例文(移動も含む)
「転勤に伴い、家族全員で関西へ移動します。」
→ 実生活上の物理的な動き=移動。 - ❌ 誤用例
「転勤が決まって、異動するかどうか分からない。」
→ 転勤自体が異動の一種なので、これは意味が矛盾しています。
社内通知・公文書では「異動」、生活上の話では「移動」も併用されることがあります。転勤は基本的に「人事異動の一種」。引っ越しなどの物理的な動きは「移動」だが、表現上は「異動」になります。
固定資産は「移動」と「異動」どっち?

「固定資産(こていしさん)」に関する表現では、物理的に動かす場合は「移動」、会計や管理上の区分が変わる場合は「異動」が正しい使い分けになります。
固定資産とは、企業や団体が長期的に保有する建物・車両・機械・土地などの資産のことを指します。これらは通常、物理的にも管理上も動かされることがあるため、文脈によって「移動」と「異動」を正しく使い分けることが重要です。
状況 | 適切な表現 | 解説 |
---|---|---|
工場内で機械を別の場所へ動かす | 移動 | 実際に物理的に位置が変わる |
本社から支社へ備品を送る | 移動 | 場所の変更があるため「移動」 |
固定資産の管理部門を経理部から総務部に変更 | 異動 | 管理上の所属変更であり、物理的には動かない可能性もある |
会計上の登録部門を変更(帳簿上の移動) | 異動 | 会計・財務処理上の変更なので「異動」 |
使用例
- ✅ 正しい例文(移動)
「大型プリンターを1階から3階へ移動しました。」 - ✅ 正しい例文(異動)
「固定資産管理システム上で、該当資産の管理部門を異動させました。」 - ❌ 誤用例
「この車両は営業部から開発部に移動しました。」
→ 車両の管理権限が変わったのであれば「異動」が適切。
企業や団体では、固定資産台帳(たいちょう)という帳簿で資産を管理しており、そこに記載される「資産の所有部門」や「使用部門」の変更が「異動」として扱われます。
その一方で、実際に資産を運搬するような場面では、一般的に「移動」を使います。
「移動」の使い方【例文20】

「移動」は、人やモノが物理的に場所を変えることを意味します。以下では、日常生活・ビジネス・交通・ITなど、さまざまな場面における「移動」の使用例を紹介します。
日常生活でのシーン
- 人混みを避けて、少し右に移動しました。
- 子どもが遊び場からベンチへ移動してきた。
- 会議中に、空いている席へ移動してください。
- 雨が降ってきたので、テントの中に移動しました。
- 写真撮影のために、みんなで前に移動した。
交通・旅行のシーン
- 東京から大阪まで新幹線で移動した。
- 週末は自転車で公園まで移動しています。
- 海外出張のため、空港へ移動中です。
- ホテルから観光地までタクシーで移動しました。
- 災害時には安全な場所へ移動する必要があります。
ビジネスシーン
- 資料を会議室へ移動しておいてください。
- 社員がセミナー会場へ移動しています。
- 商品の在庫を別の倉庫へ移動しました。
- 作業効率を上げるため、プリンターを近くに移動した。
- 面談のため、応接室へ移動をお願いします。
IT・パソコン操作のシーン
- フォルダ内のファイルを別の場所に移動した。
- ドラッグ&ドロップでアイコンを移動できます。
- サーバー内のデータを別のドライブに移動しました。
- メールを適切なフォルダに移動してください。
- アプリのアイコンをホーム画面から移動しました。
「異動」の使い方【例文20】

「異動」は、主に人の所属や職務、勤務地などの変更に使われる表現です。特にビジネスや公的機関での使用頻度が高く、「人事異動」「部署異動」などが代表例です。
以下では、「異動」がどのような場面で使われるのか、実際の例文を紹介します。
ビジネスシーン
- 今月から営業部から総務部へ異動になりました。
- 来年度の人事異動について通知が出ました。
- 管理職への異動が正式に決まりました。
- 部署異動に伴い、担当業務が変更されます。
- 昨日、部長から異動の打診を受けました。
公的・制度的なシーン
- 地方自治体の職員が他市に異動することになった。
- 4月の人事異動で教育委員会に配属されます。
- 転出入の手続きは「住民異動届」が必要です。
- 軍人が別の部隊に異動となった。
- 教師が他校へ異動することが決まりました。
社内・部署間でのシーン
- 同じビル内での異動ですが、仕事内容は大きく変わります。
- 開発部からマーケティング部に異動しました。
- 一時的な異動なので、半年後には戻る予定です。
- 異動先の上司からメールが届きました。
- 異動後の初出勤は緊張しました。
その他の使用シーン
- 希望する部署への異動願いを提出しました。
- 昇進を伴う異動で、責任が重くなります。
- 異動先の業務内容について、事前に研修を受けました。
- 人事異動の発表は社内イントラネットで公開されます。
- 異動に伴い、通勤時間が大幅に変わりました。
間違えやすい使い方【例文20】

「移動」と「異動」は、読み方が同じ「いどう」でも意味が異なるため、使い方を間違えると意味が通じない、あるいは誤解を招くことがあります。この章では、よくある誤用パターンと正しい表現をセットで紹介します。
誤用例と正しい例
- ❌ 来月から営業部に移動します。
✅ 来月から営業部に異動します。 - ❌ この荷物は物流部から総務部に異動しました。
✅ この荷物は物流部から総務部に移動しました。 - ❌ 昨日、住民票を新住所に異動した。
✅ 昨日、住民票を新住所に移動した。
※行政手続き上は「住民異動」も正しい。 - ❌ 異動するので、会議室に向かいます。
✅ 移動するので、会議室に向かいます。 - ❌ 今月の人事移動について通知が出ました。
✅ 今月の人事異動について通知が出ました。
- ❌ 営業先への異動は公共交通機関を利用してください。
✅ 営業先への移動は公共交通機関を利用してください。 - ❌ オフィスのレイアウト変更に伴い、部署の移動があります。
✅ オフィスのレイアウト変更に伴い、部署の異動があります。 - ❌ プリンターを管理部門に異動しました。
✅ プリンターを管理部門に移動しました。 - ❌ 昇進を伴う移動で、新しいポジションに就きました。
✅ 昇進を伴う異動で、新しいポジションに就きました。 - ❌ 来月から異動するので、新幹線で東京に異動します。
✅ 来月から異動するので、新幹線で東京に移動します。
正しく区別しよう:誤解を防ぐポイント
- 「人が職場・役割を変える」→ 異動
- 「人やモノが場所を変える」→ 移動
- 「制度・組織に関わる」→ 異動
- 「物理的に動かす」→ 移動
- 「役職変更」→ 異動
会話で混同しやすいパターン
- ❌ 「異動ってどこに座ればいいんだっけ?」
✅ 「移動ってどこに座ればいいんだっけ?」(座席の話) - ❌ 「この資料を異動しておいてください」
✅ 「この資料を移動しておいてください」 - ❌ 「異動先の机、重くて大変だったね」
✅ 「移動先の机、重くて大変だったね」 - ❌ 「このデータを異動する方法教えて」
✅ 「このデータを移動する方法教えて」 - ❌ 「引っ越しの異動準備が終わった」
✅ 「引っ越しの移動準備が終わった」
「移動」の類語(言い換え)・英語

「移動」は非常に汎用性の高い言葉で、状況に応じてさまざまな類語や英語表現に言い換えることができます。ここでは、「移動」の意味に応じた日本語の類語と英語表現を、簡潔な例文とともにご紹介します。
類語(言い換え)
類語 | 用途・ニュアンス | 例文 |
---|---|---|
移転(いてん) | 施設・拠点が別の場所へ動く | 本社が大阪に移転しました。 |
引っ越し | 住居の移動 | 来月、東京へ引っ越しします。 |
移送(いそう) | 人や物を運ぶ(やや硬い表現) | 患者を別の病院へ移送した。 |
移設(いせつ) | 設備・施設の移動 | 通信機器を新しい部屋に移設した。 |
転送 | データや荷物などを送る | メールを自動で転送しています。 |
動かす | 位置を変える | 椅子を少し動かしてください。 |
英語表現
英単語 | 意味・使い方 | 例文(英語) | 日本語訳 |
---|---|---|---|
move | 最も一般的な「動かす」「移動する」 | Please move to the next room. | 次の部屋へ移動してください。 |
transfer | 転送・移管・配置換えなど幅広く使える | The file has been transferred to another folder. | ファイルは別のフォルダに移動されました。 |
relocate | 拠点や人を「再配置する」 | Our office will relocate to Tokyo. | 私たちのオフィスは東京に移転します。 |
transport | 人・物の「輸送」 | Patients were transported by ambulance. | 患者は救急車で移送されました。 |
shift | 小さな動きや変化、立場の移動にも使える | He shifted his position slightly. | 彼は少しだけ体の位置を移動させた。 |
「異動」の類語(言い換え)・英語

「異動」は主に職務・部署・役職などの変更を意味し、ビジネスや公務などで頻繁に使われる言葉です。この章では、「異動」の意味に近い日本語の類語や英語表現を、簡潔な例文付きで紹介します。
類語(言い換え)
類語 | 用途・ニュアンス | 例文 |
---|---|---|
配属(はいぞく) | 新たに部門に割り当てられる | 新入社員は営業部に配属されました。 |
配置転換(はいちてんかん) | 担当業務や職務を変える | 能力に応じて配置転換が行われました。 |
転属(てんぞく) | 他の部署や部門に所属が変わる | 本日付で企画部へ転属となりました。 |
出向(しゅっこう) | 他社や他部署に一時的に勤務する | 関連会社に出向しています。 |
転任(てんにん) | 現在の役職・職場から別の役職へ | 教頭が他校に転任しました。 |
昇進(しょうしん) | 地位や役職が上がる | 今回の昇進で課長になりました。 |
英語表現
英単語 | 意味・使い方 | 例文(英語) | 日本語訳 |
---|---|---|---|
transfer | 組織内での配置換え(一般的) | I was transferred to the sales department. | 営業部に異動になりました。 |
reassignment | 再配置(ややフォーマル) | She received a reassignment to another division. | 彼女は別の部門に再配置されました。 |
relocation | 転勤などによる勤務地変更 | His relocation to Osaka was confirmed. | 彼の大阪転勤が決まりました。 |
promotion | 昇進(異動と昇格を伴う場合) | He got a promotion to section chief. | 彼は課長に昇進しました。 |
secondment | 出向(主にイギリス英語) | He is on secondment to a partner company. | 彼は関連会社に出向中です。 |
よくある質問

ここでは、「移動」と「異動」の使い分けに関して、読者の方からよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。
Q1. 「転勤」は「移動」でも「異動」でも合っていますか?
A. はい、どちらも関係しますが、基本的には「異動」が正しい表現です。「転勤」は人事上の配置変更(=異動)として扱われます。ただし、引っ越しなど物理的な動きも含むため、「移動」も関係する副次的要素です。
Q2. 「部署の移動」と「部署の異動」、どちらが正しい?
A. 正しくは「部署の異動」です。所属や職務が変わる場合は「異動」を使います。「部署の移動」と言うと、部署そのものが物理的に場所を変えるような意味に誤解される可能性があります。
Q3. 「住民票の移動」と「住民票の異動」、どちらが正式ですか?
A. 公的な表現では「住民異動」が正式です。役所では「住民異動届」として扱われます。ただし、日常会話では「住民票を移動する」と言うこともあり、意味は通じますが、公的手続き上では「異動」が正しい用語です。
Q4. IT業界でファイルやデータを移すとき、「異動」と書いていいですか?
A. いいえ、IT操作では「移動」が正解です。ファイルやデータなど、物理的またはデジタル上の位置を変える場合は「移動」を使います。「異動」は人に対する用語なので、データには使いません。
Q5. 「異動願い」「移動願い」、どっちが正しい?
A. 「異動願い」が正しいです。部署や勤務地の変更を希望する書類として「異動願い」が一般的に使われます。「移動願い」という表現は通常ありません。
Q6. 同じ部署内で座席が変わった場合はどちら?
A. この場合は「移動」です。物理的に席が変わっただけで、所属や役割に変化がないため「異動」ではありません。
まとめ
「移動」と「異動」は、同じ読み方をする日本語ですが、意味や使い方にははっきりとした違いがあります。
「移動」は、主に人やモノが物理的に場所を変えることを指し、日常生活からビジネス、IT、物流など、幅広い場面で使用されます。例えば、「会議室へ移動する」「荷物を移動する」など、実際に“動く”ものに使うのが特徴です。
一方、「異動」は人の所属・職務・役割などが組織内で変更されることを意味し、ビジネスや公的機関での人事関連の表現として使われます。たとえば、「営業部から人事部に異動する」「人事異動が発表された」など、見た目には動きがなくても立場が変わる場合に用いられます。
混同しやすい「転勤」「住民票」「部署変更」なども、文脈に応じて「移動」と「異動」を正しく使い分ける必要があります。特にビジネスメールや公式文書では、誤った使い方が信頼性を損ねる原因になることもあるため、注意が必要です。
本記事では、言葉の意味の違いに加え、例文や類語、英語表現まで幅広く紹介しました。60個の具体例を通して、「移動」と「異動」の正しい使い方が明確になったのではないでしょうか。
これからは、自信を持って適切な言葉を選び、誤解のないスムーズなコミュニケーションにつなげていきましょう。