「飼う」と「買う」の違い|決定的な違いがあった!【例文60】

日本語には、読み方が同じでも意味がまったく異なる「同音異義語」が数多く存在します。その中でも「かう」と読む「飼う」と「買う」は、特に混同されやすい代表例です。
「犬をかう」「本をかう」など、ひらがな表記では同じでも、文脈によって使われる漢字は異なります。ですが、意味の違いが曖昧なまま使っていると、誤解を招いたり、恥ずかしいミスにつながることもあります。
この記事では、「飼う」と「買う」の意味の違い、使い分けのポイントをわかりやすく解説します。さらに、それぞれの使い方を例文で紹介し、よくある間違いも取り上げながら、類語や英語表現まで網羅的にご紹介します。
同音異義語を正しく使いこなすことで、文章力や会話力が一段と洗練されます。ぜひこの機会に、「飼う」と「買う」の違いをしっかりマスターしましょう。
目次
「飼う」の意味

「飼う(かう)」とは、動物や生き物を世話して育てることを意味します。一般的には、ペットとして動物を自宅などで飼育する行為を指しますが、農業や畜産業などで家畜を育てる場合にも使われます。
主な対象
- 犬・猫・鳥・魚などのペット
- 牛・豚・鶏などの家畜
- 昆虫(カブトムシなど)や爬虫類などの特殊動物
ポイント
「飼う」には、単に所有するという意味ではなく、「日常的に世話をする」「面倒を見る」という継続的な行為が含まれています。そのため、命ある存在への責任や愛情が伴う言葉といえます。
「買う」の意味

「買う(かう)」とは、金銭を支払って物品やサービスを手に入れる行為を指します。これは日常生活で非常に頻繁に使われる言葉で、対象は食品や衣服、書籍、家具、さらには不動産や株式など多岐にわたります。
主な対象
- 商品(食べ物、衣類、本など)
- サービス(チケット、体験、アプリなど)
- 価値のある抽象的なもの(信頼、評価、怒りなど)
ポイント
「買う」は単に物を手に入れるだけでなく、場合によっては「評価を受ける」「リスクを背負う」といった比喩的な意味でも使われます(例:「反感を買う」「命を買う」など)。このように、物理的な買い物に限らず、幅広い使い方ができる言葉です。
「飼う」と「買う」の違い・使い分け

「飼う」と「買う」は同じ「かう」という読み方をしますが、意味や使われる対象、ニュアンスが大きく異なります。以下の表に、それぞれの違いをわかりやすくまとめました。
項目 | 飼う | 買う |
---|---|---|
意味 | 生き物を世話しながら育てること | お金を支払って物やサービスを手に入れること |
主な対象 | 動物、家畜、昆虫など | 商品、サービス、権利、評価など |
ニュアンス | 命を預かり、継続的に面倒を見る | 所有・獲得を目的とした取引行為 |
使い方の例 | 「犬を飼う」「牛を飼っている」 | 「本を買う」「チケットを買う」 |
比喩的な使い方 | 少ない(例:「期待を飼う」は不自然) | 多い(例:「信頼を買う」「恨みを買う」) |
継続性の有無 | 基本的に継続的な行為 | 一度の取引で完結することが多い |
- 生き物を対象にする場合は「飼う」を使う(ただし、ペットショップで「犬を買う」という言い方は購入時に限って自然)。
- 商品やサービスが対象であれば、必ず「買う」を使う。
- 比喩的な意味で使いたい場合(例:反感を買う)は「買う」が適切。
このように、文脈や対象によって使い分けることが非常に大切です。
「飼う」の使い方【例文20】

「飼う」は動物や生き物に対して使われる表現です。日常生活や趣味の場面で使われる具体的な例を20文ご紹介します。
- 子どものころからずっと犬を飼っています。
- 小さなアパートでも金魚を飼うことができます。
- 週末は庭でウサギを飼っている友人の家へ遊びに行きます。
- 学校の課題で昆虫を飼育することになりました。
- 祖父は庭で大量の鶏を飼っています。
- 初めて猫を飼うので、フード選びに悩んでいます。
- 子どもがハムスターを飼いたいと言い始めました。
- この動物園では希少な鳥を飼育しています。
- ペットショップでウーパールーパーを飼った経験があります。
- 高齢でも介護が必要なペットを飼うのは大変です。
- 海水魚を飼うには水質管理が重要です。
- 爬虫類を飼うには専用のケージが必要です。
- 彼は猫を飼いながら写真家として活動しています。
- 毎日うさぎを飼うためにエサを持って行きます。
- 子どもと一緒にチョウを飼う観察日記をつけています。
- ペットホテルで犬を飼っているスタッフに相談しました。
- 酸素ボンベを使って熱帯魚を飼うのが趣味です。
- 学生時代、実験用のマウスを飼っていました。
- 地元のボランティアが猫を飼い主に繋げる活動をしています。
- 犬を飼うには散歩の時間を確保しないといけません。
「買う」の使い方【例文20】

「買う」は商品やサービス、そのほか抽象的な対象にも幅広く使われます。以下に日常・ビジネス・比喩などで使える例文20選を示します。
- 新しいスマートフォンを買いました。
- 毎月定期的に日用品を買っています。
- 映画のチケットをオンラインで買った。
- 駅前でコーヒーを買うついでに立ち話した。
- オンラインショップで洋服を買うことが多いです。
- 株を買うには証券口座が必要です。
- 新車の購入を来月に買う予定です。
- 友人へのプレゼントを買ってきました。
- 雑誌を定期購読で買っています。
- 音質の良いイヤホンを買うためにレビューを調べた。
- チケットを転売で高額に買うのは避けた方がいいです。
- ポイントを使って本を安く買えました。
- このソフトは高いが、価値を買ったと思えば納得できる。
- 弁護士費用を買うようなものだ。*
- 彼は信頼を買うために真摯な態度で接した。
- 反感を買う発言は控えよう。
- 幸運を買うお守りを神社で買いました。
- 健康保険を買うイメージでスポーツジムに入会した。
- 株価が下がったときに安く買うチャンスです。
- 高額な美術品を買うには専門知識が必要です。
間違えやすい使い方【例文20】

「飼う」と「買う」は読み方が同じため、使い方を間違えることがあります。以下は、混同しやすい例を挙げ、正しい使い方も併記しています。
- (誤)犬を買っています。 →(正)犬を飼っています。
- (誤)金魚を買って世話しています。 →(正)金魚を飼って世話しています。
- (誤)小鳥を買い始めた。 →(正)小鳥を飼い始めた。
- (誤)ウサギを買いたいです。 →(正)ウサギを飼いたいです。
- (誤)ハムスターを買って毎日掃除しています。 →(正)ハムスターを飼って毎日掃除しています。
- (誤)動物園でパンダを買いました。 →(正)動物園でパンダを飼育しています。
- (誤)子どもが虫を買ってきた。 →(正)子どもが虫を飼ってきた。
- (誤)犬のえさを飼いました。 →(正)犬のえさを買いました。
- (誤)猫のトイレを飼いました。 →(正)猫のトイレを買いました。
- (誤)金魚鉢を飼う予定です。 →(正)金魚鉢を買う予定です。
- (誤)犬を買って十年になります。 →(正)犬を飼って十年になります。
- (誤)魚を買って水槽で育てています。 →(正)魚を飼って水槽で育てています。
- (誤)馬を買って牧場で走らせています。 →(正)馬を飼って牧場で走らせています。
- (誤)亀を買っていますがとてもかわいいです。 →(正)亀を飼っていますがとてもかわいいです。
- (誤)セキセイインコを買って家族になりました。 →(正)セキセイインコを飼って家族になりました。
- (誤)ペットを買いたいと思って調べました。 →(正)ペットを飼いたいと思って調べました。
- (誤)猫を買う費用は高いですね。 →(正)猫を飼う費用は高いですね。
- (誤)犬を買った後、毎日散歩しています。 →(正)犬を飼った後、毎日散歩しています。
- (誤)チワワを買って毎日楽しいです。 →(正)チワワを飼って毎日楽しいです。
- (誤)熱帯魚を買ってから、水質の管理にハマっています。 →(正)熱帯魚を飼ってから、水質の管理にハマっています。
「飼う」の類語(言い換え)・英語表現
「飼う」は文脈に応じて他の表現に言い換えることができます。ここでは、主な類語と英語表現、それぞれの簡単な例文を紹介します。
「飼う」の類語(言い換え)
類語 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
飼育する | 動物などを育てて管理すること | 学校でウサギを飼育しています。 |
世話をする | 日常的に面倒を見ること | 祖母が猫の世話をしています。 |
育てる | 生き物を成長させること | ひな鳥を大切に育てています。 |
面倒を見る | 手間をかけて世話をすること | 妹が犬の面倒を見ています。 |
「飼う」の英語表現
英語表現 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
keep (a pet) | ペットを飼う | I keep a dog at home. |
raise | 動物や子どもを育てる | They raise chickens on the farm. |
have | ペットを所有する | She has a cat and two rabbits. |
take care of | 世話をする | He takes care of his goldfish. |
「飼う」は文脈に応じて、「飼育する」や「育てる」に置き換えると、より丁寧または専門的な表現になります。
「買う」の類語(言い換え)・英語表現
「買う」は「物やサービスを金銭で取得する行為」を表す基本語ですが、場面に応じて言い換えや英語表現も使い分けられます。以下に主な類語と英語表現を一覧で紹介します。
「買う」の類語(言い換え)
類語 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
購入する | 公式・ビジネス文脈での「買う」 | パソコンをオンラインで購入しました。 |
手に入れる | 手段を問わず何かを得る | 限定品をようやく手に入れた。 |
入手する | 特に必要なものを得る | 情報を早く入手したい。 |
求める | 商品や情報を欲して手に入れる | 高品質の商品を求めています。 |
「買う」の英語表現
英語表現 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
buy | 最も一般的な「買う」 | I bought a new jacket. |
purchase | フォーマルな表現 | You can purchase the item online. |
get | 日常会話での「買う」も含む | I got a ticket for the concert. |
pay for | 支払いに焦点を当てる表現 | She paid for the shoes with a credit card. |
フォーマルな文書では「購入する」「purchase」が好まれ、カジュアルな会話では「買う」「get」「buy」が自然に使われます。
よくある質問

ここでは、「飼う」と「買う」に関して多くの人が混乱しやすいポイントをQ&A形式で解説します。
Q1. 「ペットを買う」は間違いですか?
A. 購入する場面では「ペットを買う」で正解ですが、継続して世話をする行為には「飼う」が正しいです。例:「ペットショップで犬を買った」→正しい、「犬を10年買っている」→誤り(「飼っている」が正解)。
Q2. 生き物以外に「飼う」は使えますか?
A. 基本的には命のある動物に限定されます。植物や物には「育てる」「持つ」「使う」など他の動詞を用います。
Q3. 「飼う」と「育てる」の違いは?
A. 「飼う」は世話をすること自体に焦点があり、「育てる」は成長させることに重きがあります。動物ではどちらも使えますが、観点が異なります。
Q4. 「買う」は感情や評価にも使える?
A. はい、使えます。例:「信頼を買う」「反感を買う」「評価を買う」など。これは比喩表現で、相手から感情や評価を“得る”という意味です。
Q5. 英語でも「飼う」と「買う」の使い分けはありますか?
A. はい、あります。「飼う」は “keep” や “raise”、“take care of” などを使い、「買う」は “buy” や “purchase” です。意味が異なるため英語では混同されにくいです。
まとめ
「飼う」と「買う」は同じ「かう」と読む言葉ですが、意味や使い方には大きな違いがあります。「飼う」は動物などの生き物を世話して育てる行為、「買う」はお金を支払って物やサービスを手に入れる行為です。
この記事では、それぞれの意味と使い分けを表で整理し、具体的な例文60個を通して実践的に解説しました。また、間違いやすい表現や、類語・英語表現も紹介し、言葉の使い方に自信が持てる内容になっています。ぜひ、日常会話や文章作成の参考にしてください。