ビジネスでの「お足元の悪い中」使い方【例文60】実はNGワード?

「お足元の悪い中、お越しいただきありがとうございます。」
ビジネスシーンや冠婚葬祭などで、こうした言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。日本語特有の丁寧な言い回しの一つであり、相手の労をねぎらう心遣いが感じられる表現です。
しかし、近年ではこの「お足元の悪い中」という言い回しが、「実は失礼ではないか?」「NGワードでは?」と指摘されるケースも出てきています。特に、相手の身体的特徴に言及しているのではないかと受け取られる可能性があることから、使用に慎重になる人も増えています。
本記事では、「お足元の悪い中」という表現の意味や正しい使い方、さらにはビジネスや冠婚葬祭などの具体的な例文を60個ご紹介しながら、安心して使える言葉なのかを丁寧に解説していきます。
この記事を読むことで、相手に配慮しつつも適切な言葉選びができるようになります。ぜひ、日常の敬語表現の見直しに役立ててください。
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「お足元の悪い中」の意味

「お足元の悪い中」とは、主に天候が悪い日や路面状況が悪いときに、相手がわざわざ来てくれたことに対して感謝を伝える表現です。日本語の敬語文化の中で、相手の行動に敬意を示しつつ、その労をねぎらう目的で使用されます。
「足元」とは何を指す?
「足元」とは、文字通り足の周辺を意味しますが、この表現では「足元=地面や道路の状態」という意味で使われています。たとえば、雨や雪で滑りやすくなっている道路、ぬかるんだ歩道などを指し、「足元が悪い」という言い回しになります。
「お足元の悪い中」は、それに丁寧語と接続助詞を加えた形であり、「足元が悪い状況にもかかわらず、わざわざ来てくださってありがとうございます」という感謝の気持ちを伝えるための言葉です。
どういうときに使う?
以下のような場面でよく使われます:
- 雨や雪が降っている日
- 台風など荒天の日
- 足場が悪い場所への来訪
- 早朝や深夜など、移動が大変な時間帯の訪問
つまり、相手の来訪や参加が「容易ではなかった」と思われる状況において、その労力に対して敬意を表すときに用います。
この表現は、単に「来てくれてありがとう」ではなく、「悪条件の中にもかかわらず来てくれてありがとう」という一歩踏み込んだ感謝の表現として、非常に丁寧かつ日本的な心遣いが込められているのです。
「お足元の悪い中」はNGワード?失礼?

「お足元の悪い中」という表現は、一部で「失礼にあたるのでは?」「使ってはいけないNGワードでは?」と懸念されることがあります。特に、ビジネスマナーに敏感な現代においては、慎重な言葉選びが求められる場面も少なくありません。
なぜ「失礼では?」と考えられるのか
この表現が誤解される理由の一つは、「足元」という言葉が「足の状態」や「足にハンディキャップのある人」を連想させてしまう可能性がある点です。
たとえば、相手の中に足が不自由な方がいた場合、「足元の悪い中」という言葉が「身体的な事情に触れているのでは?」と受け取られてしまうことがあるのです。もちろん、意図的に身体的な状態に触れているわけではなく、通常は「道の状態=足元」として使われているにもかかわらず、こうした誤解を招くリスクがあることは否定できません。
実際はNGワードではない
結論から言うと、「お足元の悪い中」はNGワードではありません。辞書やマナー書、ビジネス文例集などでも正しい表現として紹介されています。
この言い回しの「足元」は、あくまで「地面や道の状態」を意味しており、相手の身体的特徴や事情に言及する意図は含まれていません。そのため、丁寧な感謝表現として、今も幅広く使われています。
誤解を避けたい場合の対処法
それでも「万が一にも誤解されたくない」「相手の背景がわからない」などの理由で、使用をためらう場合は、別の表現に置き換えることも可能です。
たとえば:
- 「本日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございます」
- 「悪天候の中、ご足労いただき誠にありがとうございます」
- 「ご多用のところ、わざわざお時間をいただきありがとうございます」
こうした言い換えによって、同じように感謝の気持ちを丁寧に伝えることができます。
「お足元の悪い中」の正しい使い方

「お足元の悪い中」は丁寧な感謝の表現として広く使われていますが、その意味やニュアンスを理解し、適切なタイミングや場面で使うことが重要です。ここでは、ビジネスやフォーマルな場で失礼なく使えるよう、正しい使い方を解説します。
使用するタイミング
「お足元の悪い中」は、相手が来訪した直後や、イベントの冒頭・終わりの挨拶、あるいはメールや文書での謝辞など、次のような場面で使うと効果的です。
- 会議や面談などで相手がオフィスを訪れた際の冒頭あいさつ
- セミナーや講演会の主催者挨拶
- 結婚式・葬儀・法要などの式典での謝辞
- ビジネスメールでの来社・来場への感謝文
- 社外へのお礼状・礼状文面
実際の使い方のポイント
- 天候や状況に合わせる
「お足元の悪い中」は、実際に雨・雪・風などで移動が大変な状況があるときに使うのが自然です。晴天の日には使わないようにしましょう。 - 感謝の文脈に組み込む
基本的には、相手の労に対して感謝を伝える文脈で使います。「お足元の悪い中」とだけ言って終わらせるのではなく、「お越しいただきありがとうございます」「ご来場感謝申し上げます」などと組み合わせましょう。 - 一文目または冒頭に置く
文章や挨拶文では、最初の一言に添えることで、相手への配慮がより伝わります。話し手の礼儀正しさも強調されるため、冒頭で使うのが効果的です。
使い方の例
- 「本日はお足元の悪い中、ご来社いただき、誠にありがとうございます。」
- 「お足元の悪い中、当セミナーにご参加いただき、厚く御礼申し上げます。」
- 「悪天候の中お越しくださり、心より感謝申し上げます。」
このように、「お足元の悪い中」は、相手への気遣いと感謝を丁寧に伝えるための便利な表現です。ただし、状況に応じた使い方を心がけることで、より好印象なコミュニケーションを実現できます。
ビジネスでの「お足元の悪い中」の例文【20選】

ビジネスシーンでは、来社・来場・参加・出席など、相手の行動に感謝する機会が多くあります。ここでは、「お足元の悪い中」を使った丁寧な例文を20個ご紹介します。メール、口頭、挨拶文など、さまざまな場面で活用できるよう、用途別に分けて掲載します。
来社時の例文
- 本日はお足元の悪い中、ご来社いただき誠にありがとうございます。
- お足元の悪い中、ご足労をおかけし恐縮でございます。
- お足元の悪い中にもかかわらず、弊社までお越しいただき感謝申し上げます。
- このような悪天候の中、ご来訪いただき誠にありがとうございました。
- 雨の中、お足元の悪い中をご来社いただき、心より御礼申し上げます。
会議・打ち合わせ時の例文
- お足元の悪い中、会議にご出席いただきありがとうございます。
- 本日のご多忙にもかかわらず、悪天候の中ご調整いただき感謝申し上げます。
- お足元の悪い中をお運びいただき、誠にありがとうございました。
- お足元の悪い中、貴重なお時間をいただきありがとうございました。
- お足元の悪い中にもかかわらず、会議にご参加いただき深く感謝いたします。
セミナー・イベント・講演会時の例文
- 本日はお足元の悪い中、当セミナーにご参加いただき誠にありがとうございます。
- 悪天候の中、多くの皆様にお越しいただき心より感謝申し上げます。
- 雨天にもかかわらず、お足元の悪い中お集まりいただきありがとうございました。
- 本日はお足元の悪い中、わざわざご来場いただき感謝いたします。
- お足元の悪い中、ご出席いただき厚く御礼申し上げます。
メール・お礼状での例文
- 先日はお足元の悪い中、ご来社いただき誠にありがとうございました。
- お足元の悪い中、お時間をいただきありがとうございました。
- お足元の悪い中をご調整いただき、感謝申し上げます。
- 昨日はお足元の悪い中、ご対応いただきありがとうございました。
- このたびはお足元の悪い中、ご出席賜り誠にありがとうございました。
結婚式など冠婚葬祭での「お足元の悪い中」の例文【20選】

冠婚葬祭の場では、フォーマルかつ心のこもった言葉遣いが求められます。「お足元の悪い中」は、そうした改まった場面でも相手への敬意と感謝を丁寧に表現できる言い回しです。ここでは、結婚式・葬儀・法要などのシーン別に例文を紹介します。
結婚式・披露宴での例文
- 本日はお足元の悪い中、私たちの門出を祝うためにお越しいただき、誠にありがとうございます。
- 雨天にもかかわらず、お足元の悪い中ご出席いただき、心より感謝申し上げます。
- お足元の悪い中、遠方よりご臨席いただきありがとうございます。
- 本日はお足元の悪い中をお運びいただき、厚く御礼申し上げます。
- お忙しい中、さらにお足元の悪い中ご来場いただきまして、深く感謝しております。
葬儀・告別式での例文
- 本日はお足元の悪い中、故人のためにご会葬くださり、誠にありがとうございました。
- お足元の悪い中にもかかわらず、ご焼香いただき、心より御礼申し上げます。
- 雨模様の中、ご参列賜り誠にありがとうございました。
- お足元の悪い中、ご弔問いただき厚く御礼申し上げます。
- このような天候の中、ご会葬くださり遺族一同深く感謝しております。
法要・一周忌などでの例文
- 本日はお足元の悪い中、○回忌法要にお越しいただきありがとうございました。
- 雨天の中、ご多用にもかかわらずお足元の悪い中ご出席いただき感謝いたします。
- お足元の悪い中、ご焼香のためにお越しいただき、誠にありがとうございました。
- 本日はお足元の悪い中、わざわざご参列いただき、御礼申し上げます。
- お足元の悪い中、変わらぬご厚情を賜り感謝申し上げます。
お礼状・挨拶状などの文面での例文
- 先日はお足元の悪い中、ご多忙のところご出席いただきありがとうございました。
- お足元の悪い中にもかかわらず、心温まるご祝辞を賜り深く感謝申し上げます。
- お足元の悪い中、ご焼香くださり心より御礼申し上げます。
- このたびは、お足元の悪い中ご足労いただき、誠にありがとうございました。
- 悪天候の中にもかかわらず、ご丁重なお気遣いを賜り感謝の念に堪えません。
その他のシーンでの「お足元の悪い中」の例文【20選】

「お足元の悪い中」は、ビジネスや冠婚葬祭以外にも、日常生活のさまざまな場面で活用できます。学校行事や地域イベント、セミナー、交流会、講演、文化活動など、人が集まる機会において、丁寧な感謝の表現として使うことが可能です。
以下に、シーン別で使いやすい例文を20個ご紹介します。
学校・保護者関連の例文
- 本日はお足元の悪い中、保護者会にご参加いただきありがとうございました。
- お足元の悪い中、個人面談にお越しいただき感謝申し上げます。
- 雨の中、お足元の悪い中をお運びいただきありがとうございました。
- 天候の悪い中にもかかわらず、ご出席いただき誠にありがとうございます。
- お足元の悪い中、ご来校くださりありがとうございました。
地域イベント・自治会行事の例文
- お足元の悪い中、地域清掃活動にご協力いただき感謝いたします。
- 本日はお足元の悪い中、自治会の集まりにお越しいただき誠にありがとうございます。
- お足元の悪い中にも関わらず、ご参加くださり深く御礼申し上げます。
- 天候が優れない中、ご来場いただきありがとうございました。
- 雨天にもかかわらず、お足元の悪い中お集まりいただき心より感謝申し上げます。
セミナー・講演・ワークショップなどの例文
- 本日はお足元の悪い中、○○セミナーにご参加いただき誠にありがとうございます。
- お足元の悪い中、お忙しい中ご出席いただきありがとうございます。
- 雨の中にも関わらず、ワークショップに足を運んでいただき感謝いたします。
- 本日のような悪天候の中、講演会にご来場いただき誠にありがとうございました。
- お足元の悪い中、わざわざ足を運んでくださり心より御礼申し上げます。
文化活動・ボランティア・その他のシーンの例文
- お足元の悪い中、発表会にご来場いただきありがとうございました。
- 雨の降る中にもかかわらず、ボランティア活動にご参加いただき感謝申し上げます。
- 本日はお足元の悪い中、お時間をいただきありがとうございました。
- 天候の優れない中、ご訪問いただき深く御礼申し上げます。
- お足元の悪い中にもかかわらず、お力添えをいただき誠にありがとうございました。
「お足元の悪い中」の言い換え・類語・英語だと

「お足元の悪い中」は非常に丁寧な表現ですが、状況や相手に応じて別の言葉に言い換えたほうがよい場合もあります。ここでは、日本語での言い換え表現や類語、そして英語での対応表現についてご紹介します。
言い換え表現
【1】天候に関する表現での言い換え
- 悪天候の中
例:悪天候の中、お越しいただきありがとうございます。 - 雨天にもかかわらず
例:雨天にもかかわらず、ご来場いただき感謝申し上げます。 - 足元の悪い天候の中
例:足元の悪い天候の中、お時間を割いていただきありがとうございました。
【2】相手の都合に配慮した表現での言い換え
- ご多用のところ
例:ご多用のところ、ご足労いただきありがとうございました。 - ご多忙の中
例:ご多忙の中、ご出席くださり誠にありがとうございます。 - お忙しい中
例:お忙しい中、お時間をいただき感謝申し上げます。
【3】距離・労力への配慮を強調した表現
- ご遠方より
例:ご遠方よりわざわざお越しいただき、誠にありがとうございます。 - わざわざ
例:わざわざお越しいただき、誠にありがとうございました。 - ご足労いただき
例:ご足労いただき、誠にありがとうございます。
類語
- ご来社いただき
- ご来場賜り
- お運びいただき
- ご臨席いただき
- ご出席いただき
これらを「悪天候の中」や「ご多用の中」などの前後に組み合わせると、よりバリエーション豊かで適切な表現になります。
英語での表現
「お足元の悪い中」にあたる英語表現は直訳が難しいため、「悪天候にもかかわらず来てくれてありがとう」という意味合いを込めた自然なフレーズを使います。
【1】丁寧な表現(フォーマル)
- Thank you for coming despite the bad weather.
(悪天候にもかかわらずお越しいただき、ありがとうございます。) - We sincerely appreciate your attendance under such inclement weather.
(このような荒天の中ご出席いただき、心より感謝申し上げます。)
【2】少しカジュアルな表現(ビジネスメールなどで)
- We appreciate you making the trip in today despite the weather.
(天候の悪い中、お越しいただきありがとうございます。) - Thank you for joining us even though the weather is not ideal.
(あまり良くない天気の中、ご参加いただきありがとうございました。)
言い換えや翻訳の選択肢を持っておくことで、相手や状況に応じた柔軟なコミュニケーションが可能になります。
よくある質問(FAQ)

「お足元の悪い中」という表現に関して、ビジネスや日常の現場でよく寄せられる質問をまとめました。意味や使い方に不安を感じる方の参考になるよう、丁寧に解説いたします。
Q1. 「お足元の悪い中」は晴れの日にも使えますか?
A. 原則として、晴れの日には使いません。
「お足元の悪い中」は、雨や雪、ぬかるみなど「道の状況が悪い日」に使う表現です。晴天時に使うと不自然な印象を与えてしまうため、その場合は「ご多用の中」「お忙しい中」などに言い換えるのが適切です。
Q3. メールや手紙などの文章でも使えますか?
A. はい、問題なく使えます。
ビジネスメールやお礼状、案内状など、文章での使用も自然です。ただし、実際に天候が悪いことが前提ですので、状況に即した使い方を心がけましょう。
Q4. 「お足元の悪い中」と「足元の悪い中」の違いはありますか?
A. 「お足元の悪い中」はより丁寧な表現です。
「お足元」とすることで、尊敬や丁寧さを表し、フォーマルな印象を与えます。ビジネスや公式の場では「お足元の悪い中」と言うのが一般的です。
Q5. 天気が急変した場合、会場で即興的に使っても大丈夫?
A. 問題ありません。
むしろ、急な雨や天候悪化に対してその場で気遣いの言葉をかけることは、丁寧な対応と受け取られます。「本日はあいにくの天気の中、お越しいただきありがとうございます」など、柔らかく伝えることも可能です。
まとめ
「お足元の悪い中」という表現は、悪天候や移動が困難な状況にもかかわらず相手が足を運んでくれたことに対する、丁寧な感謝の気持ちを表す言葉です。ビジネスシーンはもちろん、冠婚葬祭や日常のさまざまな場面で使われており、相手への敬意や配慮を伝える上で非常に有効です。
一方で、「足が悪い」という言い回しに連想されてしまい、誤解を生むのではないかと懸念する声もあります。しかし、実際には「足元」は「道路の状態」を指しており、身体的な意味は含まれていません。そのため、基本的には失礼にはあたらず、正しい敬語表現として広く認められています。
ただし、相手や場面によっては慎重を期し、「ご多用のところ」「悪天候の中」などの言い換え表現を使うのも一つの方法です。
この記事では、「お足元の悪い中」の意味や注意点、正しい使い方に加えて、具体的な例文を60個ご紹介しました。用途に応じて表現を使い分け、丁寧で誠実な印象を与える言葉選びを心がけてください。