「上旬」「中旬」「下旬」いつからいつまで?ビジネスでの使い方

「上旬(じょうじゅん)」「中旬(ちゅうじゅん)」「下旬(げじゅん)」という言葉は、日付や予定を表す際に日本語でよく使われる表現です。とくにビジネスの現場では、納期の目安やスケジュール調整などで頻繁に登場します。
しかし、「上旬って1日から何日まで?」「下旬は30日まで全部含まれるの?」といった疑問を持ったことがある方も多いのではないでしょうか。実際には、この3つの表現にはある程度共通したルールがあるものの、曖昧さも含んでいます。そのため、使い方を誤ると、相手との認識のズレが生じてしまうこともあります。
本記事では、「上旬・中旬・下旬」の正確な期間や読み方を明確にし、ビジネスシーンでの適切な使い方、さらに「月初」「月中」「月末」との違いまでをわかりやすく解説していきます。社会人としての基本的な知識として、ぜひこの機会にしっかり押さえておきましょう。
目次
そもそも「旬」とは

「旬(しゅん)」という言葉は、もともと食材の出盛りの時期を表す言葉として使われてきました。たとえば「タケノコは春が旬」「秋のサンマは脂がのっていて旬」といったように、ある食材がもっとも美味しく、かつ多く出回る時期を「旬」と呼びます。
暦の「旬」はどこから来たのか?
この「旬」という言葉が、やがて暦(こよみ)や日付の表現にも使われるようになったのは、古代中国の暦制度が関係しています。中国の旧暦では、1か月を3等分してそれぞれを「上旬」「中旬」「下旬」と呼んでいました。日本も古くから中国の暦の影響を受けていたため、この区分けがそのまま日本語にも取り入れられ、現代に至るまで使われ続けています。
1か月を3分割する意味
「旬」は、1か月を約10日ずつの3つの期間に分けるための便利な区分です。具体的には次のようになります。
- 上旬(じょうじゅん):1日〜10日
- 中旬(ちゅうじゅん):11日〜20日
- 下旬(げじゅん):21日〜月末
このように区切ることで、日付をざっくりと伝えたいときや、具体的な日程が未定の場合でも、ある程度の範囲で予定を伝えることができるのです。たとえば、「今月の中旬に打ち合わせを予定しています」と伝えれば、相手も11日〜20日の間だなと理解してくれます。
「上旬」はいつからいつまで

「上旬(じょうじゅん)」とは、その月の最初の10日間、つまり1日から10日までを指します。
上旬の期間
- 開始日:1日
- 終了日:10日
この範囲は、暦に関係なく毎月共通です。1月でも8月でも、「上旬」といえば1日〜10日の10日間を意味します。
読み方と意味
- 読み方:じょうじゅん
- 「上(じょう)」は「上の方、最初の部分」
- 「旬(じゅん)」は「10日間」の単位
合わせて「上旬」となることで、「月の最初の10日間」という意味になります。
ビジネスにおける「上旬」の使い方の注意点
ビジネスメールや社内文書などで「○月上旬に納品予定です」などと記載する場合、受け手は1日〜10日を想定します。しかし、たとえば納品予定が10日ギリギリになりそうな場合、「上旬」とだけ書くと、余裕をもって5日頃をイメージしていた相手から「話が違う」と思われることもあります。
ポイント
- 「上旬=1日〜10日」だが、実際には5日頃までをイメージする人も多い
- 相手の誤解を避けるためには、「○月10日頃までに納品予定です」など、日付を補足するのが望ましい
「初旬」との違いは?
ちなみに、「初旬(しょじゅん)」という言葉もありますが、意味は「上旬」とほぼ同じです。ただし、ビジネス文書では「上旬」の方が一般的かつ丁寧とされています。
「中旬」はいつからいつまで

「中旬(ちゅうじゅん)」とは、その月の真ん中の10日間、つまり11日から20日までを指します。
中旬の期間
- 開始日:11日
- 終了日:20日
この範囲も毎月共通です。月によっては日数が28日、30日、31日と異なりますが、中旬は常に11日〜20日です。
読み方と意味
- 読み方:ちゅうじゅん
- 「中(ちゅう)」は「真ん中、中央」
- 「旬(じゅん)」は「10日間」の単位
この2つを合わせて、「中旬」は「月の中央の10日間」という意味になります。
ビジネスにおける「中旬」の使い方と注意点
「○月中旬に会議を予定しています」などの表現はよく使われます。相手は一般的に11日〜20日のどこかだと解釈しますが、「中旬=15日ごろ」と思っている人もいるため、やや幅広い印象を与える表現です。
ポイント
- 「中旬」という言葉だけでは日付の幅がある
- 重要な納期やスケジュール調整には、具体的な日付も添えるのが丁寧
- 例:「○月中旬(15日頃)に納品予定です」
中旬に関する誤解
「中旬は15日だけを指す」という誤解を持っている人もいますが、正式には11日〜20日までの10日間を指します。カレンダーで確認すると、ちょうど月の真ん中の区間となるため、誤解のないようにしたいところです。
「下旬」はいつからいつまで

「下旬(げじゅん)」とは、その月の最後の10日間、つまり21日から月末までを指します。
下旬の期間
- 開始日:21日
- 終了日:その月の最終日(月末)
月末の日にちは、月によって以下のように異なります:
月 | 月末の日付 |
---|---|
1月 | 31日 |
2月 | 28日(うるう年は29日) |
3月 | 31日 |
4月 | 30日 |
... | ... |
12月 | 31日 |
このように、終了日は月によって変動しますが、下旬=21日〜月末という定義は変わりません。
読み方と意味
- 読み方:げじゅん
- 「下(げ)」は「下の方、終わりに近い部分」
- 「旬(じゅん)」は「10日間」の単位
したがって、「下旬」とは「月の終わりの10日間」という意味になります。
ビジネスにおける「下旬」の使い方と注意点
ビジネスのやり取りでは、「○月下旬にお届け予定です」「○月下旬に決定予定です」などの表現がよく使われます。ただし、月末の日付が30日か31日かによって受け取り方が微妙に変わる可能性があるため、納期や日程の確定が必要な場合は、日付の明示が望まれます。
ポイント
- 「下旬」は月末を含む
- 月によって最終日が異なる点に注意
- 例:「○月下旬(25日〜末日)頃に発送予定です」と補足するのが親切
「下旬=25日以降」と思っている人もいる?
実際には21日から下旬ですが、「25日くらいから末日まで」と考える人もいます。このような誤解を防ぐためにも、やはり具体的な日付を示すことが重要です。
「上旬」「中旬」「下旬」を使う場面

ビジネスシーンでの使い方
「上旬」「中旬」「下旬」といった表現は、ビジネスの現場でスケジュールや納期、予定の調整など、幅広い場面で使われます。以下では、具体的な使用例や注意点を見ていきましょう。
1. 納期・締切の提示
取引先とのやり取りや業務連絡で、納品予定日や締切日を明確に伝えるときに使われます。
- 例1:「納品は3月上旬を予定しております。」
- 例2:「報告書の提出は5月中旬を目安にお願いします。」
このように、ある程度の幅を持たせた表現は、日付が確定していないときや多少前後する可能性があるときに便利です。
2. スケジュール調整・日程の調整
会議や打ち合わせ、訪問日程の調整にも頻繁に使われます。
- 例1:「来月下旬にお打ち合わせの機会をいただけますでしょうか。」
- 例2:「上旬でご都合の良い日をいくつかお知らせください。」
明確な日付が決まっていない段階でも、おおよその希望時期を伝えられる点が利点です。
3. 社内のスケジュール共有
部署間での情報共有、進捗報告、社内会議の設定などでも利用されます。
- 例:「プロジェクトの一次報告は7月中旬を目安に進めてください。」
注意点とビジネスマナー
■ 認識のズレを防ぐ
「上旬」や「中旬」には10日間の幅がありますが、人によっては「中旬=15日前後」といった誤解をしている場合もあります。そのため、相手が誤解しないようにするには、具体的な日付の補足を入れるのがビジネスマナーです。
- 良い例:「4月下旬(25日〜末日頃)を目安に…」
- 悪い例:「4月下旬」だけだと、相手によって解釈がばらつく可能性あり
■ 相手の立場を考慮する
社内向けであれば曖昧な表現でも許容される場合がありますが、取引先や顧客とのやり取りではできるだけ正確な情報提供を心がけましょう。
類似表現との使い分け
後ほど詳しく説明しますが、「月初」「月中」「月末」とは意味が似ていても微妙に異なります。ビジネスでは表現の精度が求められるため、文脈に応じて適切な語を選びましょう。
「月初」「月中」「月末」との違い

「上旬」「中旬」「下旬」と似たような表現に、「月初」「月中」「月末」といった言葉があります。これらは同じように期間を表す言葉ですが、使い方や意味に微妙な違いがあり、ビジネスシーンでは使い分けが重要です。
意味と期間の目安
表現 | おおよその期間 | 備考 |
---|---|---|
月初 | 1日〜5日ごろ | 「冒頭」「はじめ頃」のニュアンスが強い |
月中 | 10日〜20日ごろ | 明確な定義はなく、やや曖昧 |
月末 | 25日〜月末まで | 月の終わりを強調 |
上旬 | 1日〜10日 | 明確に10日間を指す |
中旬 | 11日〜20日 | 同上 |
下旬 | 21日〜月末 | 同上 |
違いのポイント
1. 「月初」「月中」「月末」はやや感覚的な表現
これらは、あくまで「月の流れの中の位置づけ」を示すもので、明確な日付の区切りがあるわけではありません。相手によって解釈が異なることも多く、ビジネスではやや曖昧な印象を与えがちです。
2. 「上旬」「中旬」「下旬」は明確な範囲がある
こちらは10日単位で区切られており、比較的客観的な表現です。ビジネスでは「月中」よりも「中旬」の方が具体性があり、誤解が少ないため好まれる傾向にあります。
使い分けのコツ
シーン | 適した表現 | 理由 |
---|---|---|
正確な納期を伝える場合 | 上旬・中旬・下旬 | 明確な範囲があるため |
会話や社内チャットでざっくり伝える時 | 月初・月中・月末 | 柔らかく、カジュアルな印象を与える |
顧客とのやり取り | 上旬・中旬・下旬 | 客観性が高く、信頼性がある |
例文比較:
- カジュアル:「月末には仕上がる予定です。」
- ビジネス向け:「8月下旬(25日〜末日頃)に納品予定です。」
補足:英語での表現
海外のビジネス相手とやり取りをする際には、「上旬・中旬・下旬」に相当する表現を英語でどう伝えるかも重要です。以下のように表現されます:
- 上旬:early [month](例:early April)
- 中旬:mid [month](例:mid April)
- 下旬:late [month](例:late April)
ただし、これらも日本語と同じく曖昧な表現なので、必要に応じて「between April 21 and 30」など、具体的な日付を補足するのがベストです。
よくある質問(Q&A)

「上旬」「中旬」「下旬」の使い方について、実際によく寄せられる疑問や誤解をQ&A形式で解説します。
Q1. 「中旬」は15日だけのこと?
A. いいえ。「中旬」は11日〜20日までの10日間を指します。
ただし、「中旬=15日ごろ」とイメージする人も多いため、ビジネスで使う際は「○月中旬(15日前後)」などの補足を入れると、誤解を避けられます。
Q2. 「下旬」は月末の日だけを意味しますか?
A. 違います。「下旬」は21日からその月の末日までを指します。
月によっては28日や31日まであるため、相手に誤解を与えないよう「○月下旬(25日以降など)」と補足をつけるのがおすすめです。
Q3. 「上旬」「中旬」「下旬」は業界によって意味が違う?
A. 一部の業界や企業では、独自に範囲をずらして解釈している場合もあります。
たとえば「下旬=25日以降」と定めている企業や、「中旬=13〜19日」など細かくルールを決めているケースもあります。そのため、社内・社外で意味がズレていないかを確認することが重要です。
Q4. 英語圏の人に「上旬」などを伝えるには?
A. 英語では次のように表現します:
- 上旬:early [month](例:early May)
- 中旬:mid [month](例:mid May)
- 下旬:late [month](例:late May)
ただし、これらも明確な日付が決まっているわけではないため、"between May 1 and 10" など、具体的に日付を示すことがより確実です。
Q5. ビジネスメールで使うとき、どのように書けば丁寧?
A. 相手が誤解しないよう、なるべく具体的な日付や補足を添えるのがベストです。
- 例:「納品は5月中旬(15日頃)を予定しております。」
- 例:「ご訪問は5月下旬(25日〜末日頃)で調整可能です。」
曖昧な言葉だけで済ませず、相手への配慮を意識した表現を心がけましょう。
まとめ
「上旬」「中旬」「下旬」といった時期を表す言葉は、ビジネスの現場でもよく使われる基本的な日本語表現です。それぞれの期間は次の通りです:
- 上旬:1日〜10日
- 中旬:11日〜20日
- 下旬:21日〜月末
これらは、もともと中国の暦に由来し、日本でも古くから使われてきた区切り方で、月を10日単位で分ける合理的な方法です。ビジネスでは納期やスケジュールの調整、予定の共有など多くの場面で登場しますが、人によっては解釈が異なることもあるため、必要に応じて日付の補足を入れることが大切です。
また、似た表現である「月初」「月中」「月末」との違いを理解しておくことで、状況に応じた適切な表現を選べるようになります。日本語の微妙なニュアンスを正確に伝える力は、ビジネスコミュニケーションにおいて大きな信頼につながります。
正しい意味と使い方をしっかり身につけ、社内外のやり取りをよりスムーズに進めましょう。