「ですます調」とは?語尾一覧|シーン別の使い方【例文50】

日本語には、話し手や書き手の立場、相手との関係性、場面の形式さに応じて、さまざまな文体があります。その中でも「ですます調」は、丁寧で親しみやすい印象を与える文体として、日常的によく使われています。
たとえば、ビジネスメール、学校のレポート、ブログ記事、さらには接客やお客様対応など、私たちが暮らすさまざまなシーンで「ですます調」は重要な役割を果たしています。使い方を誤らなければ、相手に対して礼儀正しく、信頼感をもって接することができるでしょう。
しかし一方で、「語尾が単調になりやすい」「丁寧すぎて距離を感じる」といった悩みや、状況に応じた適切な表現の使い分けに迷う方も多いかもしれません。
この記事では、「ですます調」とは何かという基本から、具体的な語尾の一覧、実際の使い方を50個の例文でわかりやすく解説します。さらに、「ですます調」のメリットや注意点、よくある質問も取り上げ、読み終えたときには誰でも自信を持って使いこなせるようになることを目指します。
目次 [hide]
「ですます調」とは?

「ですます調」とは、文の語尾に「です」「ます」といった丁寧語を用いた文体のことを指します。正式には「敬体(けいたい)」と呼ばれる文体で、話し手が相手に対して敬意や丁寧さを示すときに使われます。
「ですます調」の特徴
- 丁寧で柔らかい印象を与える
「〜だ」「〜である」といった断定的な表現と比べて、聞き手や読み手に優しい印象を与えるのが特徴です。 - 相手との距離感を調整できる
初対面の人や目上の人との会話、文章でのやり取りにおいて、丁寧さを保ちながらも堅苦しすぎない表現が可能です。 - 会話文や日常文でもよく使われる
学校の作文、ビジネス文書、ブログ、SNS投稿など、多くの場面で使われるスタンダードな文体です。
「である調」との違い
「ですます調」に対する文体としてよく比較されるのが「である調(常体)」です。
項目 | ですます調 | である調 |
---|---|---|
例文 | これは本です。 | これは本である。 |
印象 | 丁寧で親しみやすい | 硬く論理的、客観的 |
用途 | 日常会話、ビジネス文書、説明 | 論文、報告書、研究資料 |
目的や相手に応じて使い分けることが大切です。たとえば、ビジネスメールや接客対応では「ですます調」が基本ですが、研究論文や業務報告では「である調」の方が適している場合もあります。
「ですます調」の語尾一覧
「ですます調」は、語尾によって丁寧さやニュアンスを変えることができます。ここでは、代表的な語尾を一覧表にまとめ、それぞれの特徴や使い方を詳しく解説します。
意図 | 語尾 | 用法例 | 解説 |
---|---|---|---|
断定 | ~です | これは本です。 | 丁寧な断定表現。名詞・形容動詞に使う。 |
~ます | 勉強します。 | 動詞の丁寧形。丁寧に行動を述べる。 | |
確認 | ~ですね | 綺麗ですね。 | 相手に同意を求める・感想を共有する。 |
~でしょうね | 明日は雨でしょうね。 | 確認・軽い同意・推量を含んだ確認。 | |
疑問 | ~ですか | 本ですか? | 丁寧な疑問表現。名詞や形容動詞の疑問形。 |
~ますか | 食べますか? | 動詞の丁寧疑問形。行動に対する質問。 | |
~でしょうか | 行くのでしょうか? | 推量を含んだ丁寧な疑問表現。 | |
~ませんか | 一緒に行きませんか? | 丁寧な勧誘・提案の疑問形。 | |
否定 | ~ません | 行きません。 | 動詞の否定丁寧形。 |
~ではありません | 先生ではありません。 | 名詞の否定形。「〜ではない」の丁寧形。 | |
推測 | ~でしょう | 明日は晴れるでしょう。 | 丁寧な推測・予測。 |
~だと思います | そうだと思います。 | 自分の意見・推測を丁寧に述べる。 | |
提案 | ~ましょう | 始めましょう。 | 丁寧な提案・意思表示。 |
~ませんか | 一緒に行きませんか? | 丁寧な提案・勧誘の疑問形(やわらかい提案)。 | |
指示 | ~してください | 少々お待ちください。 | 丁寧な命令表現。ビジネス・接客で多用。 |
~てください | 名前を書いてください。 | 動作の丁寧な依頼表現。 | |
勧誘 | ~ましょうか | 手伝いましょうか? | 丁寧な申し出。相手を気遣う表現。 |
過去 | ~ました | 行きました。 | 動詞の過去形。丁寧に行動を伝える。 |
~でした | きれいでした。 | 名詞・形容動詞の過去形。 | |
完了 | ~ています | 始まっています。 | 継続・完了の丁寧な表現。 |
~てしまいました | 忘れてしまいました。 | 完了・後悔を含む丁寧表現。 |
「ですます調」が使われるシーン

「ですます調」は、丁寧で聞き手や読み手に安心感を与える文体であり、多くの場面で使われます。ここでは、代表的なシーンを紹介し、それぞれの場面でなぜ「ですます調」が適しているのかを解説します。
①ビジネス文書・メール
例:
- ご確認をお願いいたします。
- 本日はお忙しい中、ありがとうございました。
解説:
ビジネスの場では、相手との信頼関係を築くために、丁寧な言葉遣いが必須です。「ですます調」は、礼儀を重んじながらも分かりやすく、相手に対する敬意をしっかりと伝えることができます。指示や依頼を柔らかく伝えるのにも最適です。
②接客・お客様対応
例:
- 少々お待ちくださいませ。
- ご注文を繰り返させていただきます。
解説:
接客業では、お客様との信頼を築くために、言葉遣いが特に重視されます。尊敬語や謙譲語を組み合わせた「ですます調」は、相手に安心感と敬意を伝える手段として不可欠です。
③ブログやSNSなどの文章
例:
- 今日はお気に入りのカフェをご紹介します。
- ぜひ参考にしてみてくださいね。
解説:
一般読者に向けたブログやSNS投稿では、あまり堅苦しくならず、かといって失礼にもならない「ですます調」がバランスのよい文体です。読者との距離を適度に保ちつつ、親しみやすさも演出できます。
④学校のレポート・作文
例:
- この実験からは、いくつかの重要なことがわかりました。
- 次に、考察を述べます。
解説:
教育の現場でも、「ですます調」は生徒や学生が基本として学ぶ文体です。主張を丁寧に伝え、文章の型を学ぶうえでも適しており、読み手(先生や審査者)への配慮にもなります。
⑤手紙やメッセージ
例:
- はじめまして。○○と申します。
- 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
解説:
手紙やメッセージでは、相手との距離感や関係性に応じて言葉遣いを調整する必要があります。「ですます調」は、どんな相手に対しても丁寧で無難な印象を与えるため、特に初対面やビジネス、フォーマルなやり取りに適しています。
シーン別の使い方【例文50】

ここでは、「ですます調」が実際にどのように使われているかを、シーンごとに例文とともに紹介します。丁寧語の使い方に迷ったときの参考にしてください。
【1】ビジネスメール(例文10)
- お世話になっております。
- ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
- 以下の資料をご確認ください。
- ご質問がございましたら、お気軽にお知らせください。
- 明日13時にお伺いいたします。
- ご返信をお待ちしております。
- ご多忙のところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
- 詳細については、別途ご連絡いたします。
- 修正が完了しましたので、再送いたします。
- 引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
【2】SNS・ブログ投稿(例文10)
- 今日はお気に入りのランチをご紹介します。
- とっても美味しかったので、ぜひ行ってみてください!
- 最近読んだ本がとても面白かったです。
- 週末は、友人とカフェに行きました。
- 写真もたくさん撮りましたよ。
- 雨の日は、おうち時間を楽しんでいます。
- 新しいレシピを試してみました!
- 気になる方はチェックしてみてくださいね。
- これからも定期的に更新していきます。
- ご覧いただき、ありがとうございました!
【3】学校のレポート・作文(例文10)
- 私はこのテーマに強い関心を持っています。
- 実験の結果、次のことがわかりました。
- この結果から、いくつかの仮説が立てられます。
- 次に、問題点について考察します。
- 本レポートの目的は、課題の解決策を探ることです。
- 結論として、最も有効な方法は〜であると考えます。
- 今後の課題として、さらなる検証が必要です。
- 調査の方法について説明します。
- 私の意見としては、〜が重要だと考えます。
- この学びを今後に活かしたいです。
【4】お客様対応・接客(例文10)
- いらっしゃいませ。
- 少々お待ちくださいませ。
- お会計は1,500円になります。
- ご注文を繰り返させていただきます。
- 恐れ入りますが、こちらにお並びください。
- 商品は明日発送いたします。
- ご来店いただき、誠にありがとうございます。
- ご質問がございましたら、お気軽にどうぞ。
- またのご利用をお待ちしております。
- ご不明な点があれば、お申し付けくださいませ。
【5】プライベートな会話・メッセージ(例文10)
- こんにちは。元気にしていますか?
- 今日は久しぶりに会えて嬉しかったです。
- 今度、ご飯でも行きましょう。
- 誕生日おめでとうございます!
- この前話していた映画、観ましたよ。
- また連絡しますね。
- 手伝っていただいて、ありがとうございました。
- 無理せず、体調に気をつけてくださいね。
- 今後とも仲良くしてください。
- 楽しい時間をありがとうございました!
「ですます調」を使うメリット

「ですます調」は、日本語における丁寧な表現方法の一つです。あらゆる場面で広く使われているのには、それだけの理由があります。この章では、「ですます調」を使うことで得られる主なメリットを3つに分けてご紹介します。
①丁寧で信頼感のある印象を与える
「です」「ます」といった語尾は、聞き手や読み手に対して敬意を示す表現です。そのため、ビジネスの場面や初対面の人とのやりとりにおいて、信頼感を与えることができます。
例:
- ×「明日、行く」
- ○「明日、伺います」
このように語尾を丁寧にするだけで、相手への印象が大きく変わります。無意識のうちに「礼儀正しい人」として評価されやすくなるのも大きなメリットです。
②誤解や摩擦を避けやすい
ストレートな言い方や断定的な言葉遣いは、ときに誤解や反感を招くことがあります。しかし、「ですます調」は柔らかい表現になるため、相手の気持ちを逆なでせず、円滑なコミュニケーションを実現しやすくなります。
例:
- ×「間違っている」
- ○「少し違っているように思います」
表現を柔らかくすることで、対立を避けつつ自分の意見を伝えることができます。
③幅広い相手・場面に対応できる
「ですます調」は、年齢・立場・関係性を問わず、ほぼすべての相手に対して使うことができます。カジュアルすぎず、堅すぎないバランスのとれた文体なので、ビジネス・日常・公的な場など、さまざまなシーンで対応可能です。
適用シーン:
- お客様への案内文
- 学校のレポート
- 面接での受け答え
- SNSやブログの投稿
- 公式な謝罪や報告
このように、使い方を覚えておくだけで、あらゆる状況に適応できる便利な表現となります。
「ですます調」を使う上での注意点

「ですます調」は非常に便利で丁寧な文体ですが、使い方を誤ると不自然な印象を与えたり、逆に相手に違和感を持たせてしまうことがあります。この章では、「ですます調」を使用する際に気をつけたいポイントを3つに絞って解説します。
①「である調」と混在させない
もっともよくあるミスが、「ですます調」と「である調(常体)」を混在させてしまうことです。文体が統一されていないと、読みにくく、内容がチグハグに感じられてしまいます。
悪い例:
この商品は高性能である。使いやすさも兼ね備えています。
良い例:
この商品は高性能です。使いやすさも兼ね備えています。
文章全体を「ですます調」で統一するか、「である調」で統一するかを事前に決めましょう。
②丁寧すぎて回りくどくならないようにする
丁寧にしようとするあまり、まわりくどくなったり、冗長な表現になってしまうことがあります。読み手のストレスになる可能性があるため、簡潔さと丁寧さのバランスを意識することが大切です。
過剰な例:
もしご不明な点などがございましたら、どうぞご遠慮なく、いつでもご連絡いただければ幸いでございます。
改善例:
ご不明点がありましたら、お気軽にご連絡ください。
ポイントは、「わかりやすさ」を犠牲にしないことです。
③文末表現が単調になりがち
「〜です」「〜ます」の繰り返しが続くと、文章にリズムがなく、退屈な印象を与えてしまうことがあります。同じ語尾が続かないよう、以下のように言い回しを工夫することが有効です。
改善方法:
- 同義の表現に言い換える(例:「〜しています」→「〜しております」)
- 接続詞や副詞を活用して文に変化をつける
- 助動詞や敬語表現を組み合わせる(例:「〜と思います」→「〜かと存じます」)
このように工夫することで、丁寧でありながら表現豊かな文章に仕上がります。
よくある質問(FAQ)

ここでは、「ですます調」に関して多くの人が疑問に感じるポイントを、Q&A形式で解説します。実際に使う際に迷いがちな部分を中心に取り上げました。
Q1:『ですます調』と『である調』の違いは何ですか?
A:
「ですます調」は丁寧で柔らかい印象を与える文体で、主に会話文や日常文、ビジネス文書などに使われます。一方、「である調」は論理的で客観的な印象を与えるため、学術論文やレポートなど、説得力や客観性が求められる文章に適しています。
比較項目 | ですます調 | である調 |
---|---|---|
例文 | これは本です。 | これは本である。 |
印象 | 丁寧・親しみやすい | 論理的・硬め |
用途 | 会話・ビジネス・SNS | 論文・公式文書・報告書 |
Q2:ビジネスメールはすべて「ですます調」にするべきですか?
A:
はい、基本的にビジネスメールでは「ですます調」を使うのがマナーです。特に社外の相手や上司、取引先に対しては、丁寧な印象を与える「ですます調」が適切です。ただし、社内での簡潔なメモやチャットでは、「である調」が使われる場合もあります。相手や状況によって使い分けましょう。
Q3:ブログやSNSでは、カジュアルな言い回しでもいいですか?
A:
読者との距離感によりますが、基本的には「ですます調」が無難です。カジュアルさを出したい場合は、「〜ですよね」「〜なんですよ」といったくだけた丁寧表現を使うことで、読者に親しみやすさを与えつつ丁寧さを保つことができます。
Q4:「ですます調」の文章でも敬語を使う必要はありますか?
A:
はい。「ですます調」はあくまで丁寧語の一種であり、敬語(尊敬語・謙譲語・丁重語)とは別物です。たとえば、お客様に対して「見る」は「ご覧になる」、「する」は「なさる」といった尊敬語に置き換える必要があります。丁寧な語尾だけでなく、動詞の敬語化も意識しましょう。
まとめ
「ですます調」は、日本語におけるもっとも基本的かつ汎用性の高い丁寧な文体です。語尾に「〜です」「〜ます」などを用いることで、相手に対して敬意を示しつつ、柔らかく親しみやすい印象を与えることができます。
この記事では、「ですます調」の定義や特徴、文末表現の一覧と用途別の例文50個、そして使う際のメリットや注意点を詳しくご紹介しました。ビジネスシーンはもちろん、ブログ、SNS、学校のレポート、手紙やメッセージなど、あらゆる場面で自然に使えることが、「ですます調」の大きな強みです。
ただし、使いすぎによって表現が単調になったり、「である調」との混在によって読みづらくなったりすることもあります。大切なのは、相手や場面にふさわしい言葉遣いを意識し、丁寧でありながらも伝わりやすい文章を心がけることです。
「ですます調」は一度身につけてしまえば、一生使える言語スキルです。場面ごとの適切な使い分けをマスターし、より円滑で心地よいコミュニケーションを実現していきましょう。