「である調」とは?語尾一覧|シーン別の使い方【例文50】

文章の印象は、文体によって大きく変わります。その中でも「である調」は、論理的で説得力のある文章を作るときに使われることが多い文体です。ビジネス文書や論文、レポート、評論など、客観性や専門性が求められる場面でよく使われています。
一方で、「である調」は少しかたい印象を与えることがあるため、使い方には注意が必要です。シーンや読み手に合わせて、適切に使い分けることが大切です。
この記事では、「である調」とは何か、その特徴や使われる語尾の一覧、実際の使用シーンなどをわかりやすくご紹介します。また、具体的な例文を50個掲載し、シーン別の使い方も丁寧に解説します。「である調」を使うときの注意点や、よくある質問にもお答えしますので、ぜひ参考にしてください。
論理的で洗練された文章を書きたい方や、文章表現の幅を広げたい方にとって、お役に立てる内容となっています。
目次
「である調」とは?

「である調」とは、文の終わりを「〜である」「〜する」「〜した」などの断定的な語尾で締めくくる文体のことです。一般的に、論理的・客観的・硬派な印象を与えるため、ビジネスや学術的な文章によく使われます。
「ですます調」との違い
文章には大きく分けて、「である調」と「ですます調」の2つの文体があります。それぞれの特徴を比較すると、次のようになります。
文体 | 特徴 | 主な使用シーン |
---|---|---|
である調 | 断定的、論理的、硬い印象 | 論文、報告書、評論、専門ブログ |
ですます調 | 丁寧、親しみやすい、やわらかい | メール、ブログ、プレゼン資料など |
「である調」は、情報に説得力を持たせたいときや、読者に対して一定の距離感を保ちたいときに有効です。一方で、「ですます調」は読み手との関係を親しみやすくしたいときに向いています。
たとえば同じ内容でも、文体によって印象は大きく変わります。
- である調:この商品は高品質であり、長期間使用できるものである。
- ですます調:この商品は高品質で、長く使うことができます。
このように、「である調」は読み手に対して冷静で客観的な印象を与える一方、「ですます調」は柔らかく、親しみやすい印象を与えます。
「である調」の語尾一覧
「である調」は、文末表現の特徴によって文章全体に論理的で断定的な印象を与えます。ここでは、よく使われる語尾を一覧表でご紹介し、それぞれの使い方を簡単に解説します。
カテゴリ | 語尾 | 用法の説明 | 例文 |
---|---|---|---|
断定 | 〜である | 明確に言い切る | この製品は高性能である。 |
〜といえる | 根拠に基づいた断定 | この結果は成功といえる。 | |
〜に違いない | 強い確信をもって断定 | これは誤解に違いない。 | |
進行 | 〜しつつある | 現在進行中であることを示す | 技術は急速に進化しつつある。 |
〜している | 動作や状態が継続中 | 利用者数は増加している。 | |
伝達 | 〜と述べている | 他者の意見や主張を引用・伝達する | 専門家は「安全性に問題はない」と述べている。 |
〜と考える | 自分の見解や考察を述べる | 私は、それが最適な方法と考える。 | |
推測 | 〜と思われる | 客観的な状況からの推測 | 問題は内部構造にあると思われる。 |
〜だろう | 主観的な推測 | この傾向は今後も続くだろう。 | |
否定 | 〜ではない | 否定の表現 | これは誤りではない。 |
〜とは限らない | 必ずしもそうとは言えない | 大企業が成功するとは限らない。 | |
〜にすぎない | 限定的に否定する | それは一例にすぎない。 | |
過去 | 〜であった | 過去の断定的な表現 | それは重要な出来事であった。 |
〜した | 過去の動作 | 昨年、新規プロジェクトを開始した。 | |
未来 | 〜する予定である | 未来の計画や予定を示す | 来月、新サービスを開始する予定である。 |
〜するだろう | 未来の推測 | 今後も需要が伸びるだろう。 | |
命令 | 〜せよ | 指示・命令の形(書き言葉、硬い印象) | 必ず規則を守るべきである。従わなければならぬ。 |
〜すべきである | 強めの提案・義務 | 情報は正確に記録すべきである。 | |
疑問 | 〜であろうか | 疑問形(やや硬い表現) | それは本当に正解であろうか。 |
〜かもしれない | 弱い推測・可能性 | この施策は効果があるかもしれない。 |
「である調」が使われるシーン

「である調」は、文体としてやや硬く、論理的で客観的な印象を与えるため、用途が限定される一方で、非常に効果的に機能する場面があります。以下に代表的な使用シーンを紹介します。
①論文・研究レポート
学術的な文書では、事実の記述や根拠に基づく主張が求められます。「である調」は、内容を明確かつ客観的に伝えるのに適しており、学術論文や研究レポートでは定番の文体です。
例:
- この研究は、気候変動の影響を定量的に示したものである。
②ビジネス文書・報告書
上司やクライアントに提出する報告書、企画書などでは、説得力と専門性が求められます。「である調」を使うことで、信頼性のある印象を与えることができます。
例:
- 今回のキャンペーンは、ターゲット層への認知拡大に貢献したといえる。
③専門的なWeb記事・解説記事
SEO対策や専門性が求められるブログ・オウンドメディアの記事では、「である調」を用いることで、読者に対して信頼性や権威性をアピールできます。
例:
- JavaScriptは、Web開発において不可欠なプログラミング言語である。
④評論・エッセイ
文化・社会・政治などに関する評論文では、読者に対して明確な意見や立場を示す必要があります。「である調」は、そのような論調に非常に適しています。
例:
- 情報化社会において、プライバシーの保護は最重要課題である。
⑤マニュアル・手順書
使用説明書や業務マニュアルなどの実務文書では、「である調」が使われることで命令・指示のニュアンスが強調され、読み手が迷いなく行動に移しやすくなります。
例:
- 使用前に必ず電源をオフにすることが望ましい。
シーン別の使い方【例文50】

ここでは「である調」が実際にどのように使われるのかを、シーン別に具体例を挙げながらご紹介します。各シーンに適した文体の使い方を知ることで、自然で説得力のある文章が書けるようになります。
ビジネス文書(例文10)
- この施策は、今期の売上向上に大きく寄与したものである。
- 成果が出た要因として、ターゲティング戦略が適切であった点が挙げられる。
- チームの協力が、プロジェクト成功の鍵であった。
- 当社は、顧客満足度の最大化を目指している。
- 今後の方針については、慎重に検討する必要がある。
- 資料は別途メールにて提出する予定である。
- 業務の効率化が、全体の生産性向上につながるといえる。
- このレポートは、第三四半期の業績を詳細に分析したものである。
- 各部署の連携がスムーズであったことが、成功要因であろう。
- 今後は、品質管理体制の見直しが求められる。
論文・レポート(例文10)
- 本研究は、都市部における騒音問題を主題としている。
- 調査結果によれば、回答者の約70%が不満を感じている。
- この傾向は、過去10年間継続しているものである。
- データの分析から、明確な相関関係が確認された。
- 複数の要因が、影響を与えていると考えられる。
- 対象となるサンプルは、全国から無作為に抽出された。
- この仮説は、先行研究とも一致している。
- 結果として、新しい仮説の可能性が示唆された。
- 本稿では、以下の3つの視点から論じていく。
- 結論として、予測モデルの有効性は高いといえる。
専門的なWeb記事(例文10)
- HTMLとは、Webページの構造を記述するマークアップ言語である。
- SEO対策には、内部リンクの最適化が欠かせない。
- プログラミング教育は、今後ますます重要になるだろう。
- ブログの読者離脱率は、読みやすさによって左右される。
- SNSマーケティングは、ブランド認知度向上に有効である。
- IT業界では、クラウドサービスの需要が高まっている。
- WordPressは、世界中のサイト構築で広く利用されているCMSである。
- 競合分析を通じて、自社の強みを明確にすることができる。
- アルゴリズムの最適化には、継続的な改善が求められる。
- ユーザー行動の可視化が、UX改善の鍵を握っている。
評論・エッセイ(例文10)
- 現代社会における孤独は、見えにくい問題である。
- テクノロジーの進化が、人間関係に影響を及ぼしている。
- 文化の多様性は、社会の活力につながる。
- 情報化時代において、リテラシー教育の重要性は増している。
- 環境問題は、国境を越えた課題である。
- 人間の幸福とは何か、その定義は時代と共に変化してきた。
- 教育格差の拡大は、深刻な社会問題である。
- 歴史を学ぶことは、現在を理解する鍵となる。
- 表現の自由と責任は、常に表裏一体である。
- デジタル社会におけるプライバシーの在り方が問われている。
自己紹介・履歴書・志望動機(例文10)
- 私は大学で経済学を専攻していた。
- 卒業後は、IT企業にて営業職として勤務している。
- 現在は、チームリーダーとしてメンバーの育成を行っている。
- 問題解決能力には自信があり、常に冷静に対応してきた。
- これまでの経験を活かし、貴社でも貢献したいと考えている。
- 志望動機は、御社の理念に強く共感したためである。
- 私の強みは、状況判断力と粘り強さである。
- 将来的には、マネジメント業務にも挑戦したいと考えている。
- 学生時代は、マーケティング研究会に所属していた。
- 日々の業務を通じて、より高い成果を出す努力を続けている。
「である調」を使うメリット

①論理的で説得力のある文章が書ける
「である調」は、断定的な言い回しが特徴で、事実や主張をはっきりと伝えることができます。そのため、読み手に対して論理的で信頼性の高い印象を与えることができます。ビジネス文書や論文、報告書など、説得力が求められる場面に最適です。
②客観性を持たせやすい
「〜である」「〜といえる」などの語尾は、個人的な感情を抑え、客観的な表現をしやすくします。文章全体が冷静かつ中立的な印象になり、主観と客観のバランスを取りたいときに役立ちます。
③専門性・知的印象を与える
かたい表現で構成される「である調」は、専門的・学術的な分野の文章によく使われています。そのため、読み手に「知的」「専門的」といった印象を与えることができ、文章の信頼性や説得力を高める効果があります。
④文体に一貫性を持たせやすい
ビジネス文書や公式な書類など、統一感が求められる文書において、「である調」を使うことで整った印象になります。文章のトーンがブレにくくなり、読み手の理解を助ける効果もあります。
⑤書き手の意見や立場を明確にできる
「である調」は主張をはっきり述べることができるため、書き手の考えや立場を明確に表現できます。特に、論説文やエッセイなどでは、自分の主張を強く打ち出したい場合に有効です。
「である調」を使う上での注意点

「である調」は、論理的で説得力のある文章を作るのに適した文体ですが、使用にあたっては注意すべき点もあります。以下に、よくある注意点をいくつかご紹介します。
①読者に冷たい印象を与えることがある
「である調」は断定的で堅い印象を与えるため、読み手によっては冷たく感じられることがあります。特に、ブログやSNS、メールなど、親しみやすさが求められる場面では、「ですます調」のほうが適している場合もあります。
対策: 読者層を意識し、必要に応じて語尾を柔らかくする、または「ですます調」との使い分けを検討しましょう。
②表現が単調になりやすい
「〜である」「〜する」といった語尾が続くと、文章が単調に感じられがちです。読みづらさや退屈さにつながる可能性があります。
対策: 同じ語尾ばかり使わず、「〜といえる」「〜にすぎない」「〜とは限らない」など、バリエーションのある語尾を取り入れることでリズムに変化をつけましょう。
③文体が場にそぐわない場合がある
柔らかさや親しみやすさを重視すべき場面で「である調」を使うと、違和感を与えることがあります。たとえば、カジュアルな商品紹介や子ども向けの説明文などでは不自然に感じられるかもしれません。
対策: 文体選びは「誰に向けた文章か?」という視点から行うことが重要です。読者層と目的に応じて、文体を選びましょう。
④途中で文体がブレやすい
「である調」と「ですます調」が混在してしまうと、文章全体に統一感がなくなり、読み手に違和感を与える原因となります。
対策: 記事全体でどちらの文体を使うかをあらかじめ決めておき、一貫性を保つよう意識しましょう。文章作成後の見直しも効果的です。
よくある質問(FAQ)

ここでは、「である調」に関してよく寄せられる疑問や悩みにお答えします。初めて使う方や、使い分けに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
Q1. 「である調」と「ですます調」は混ぜても大丈夫ですか?
A. 基本的には混ぜない方が望ましいです。
「である調」と「ですます調」は文体の性格が異なるため、混在すると文章に一貫性がなくなり、読者に違和感を与えることがあります。ただし、特定の効果を狙って意図的に使い分ける場合(たとえば、導入部分は「ですます調」、本文は「である調」など)は、一定の効果を期待できます。
Q2. ブログやSNSでは「である調」と「ですます調」どちらが適していますか?
A. 読者との距離感によって使い分けましょう。
一般的に、親しみやすさを重視するブログやSNSでは「ですます調」が好まれます。ただし、専門的な内容や意見を論じたい場合には、「である調」を使うことで信頼性や説得力を高めることができます。
例:趣味ブログ → 「ですます調」/専門ブログ → 「である調」
Q3. 文章が堅くなりすぎるのが心配です。どうしたらよいですか?
A. 語尾や文構造に変化をつけて、読みやすさを意識しましょう。
「である調」は堅くなりがちなので、「〜と考える」「〜といえる」「〜とは限らない」などの多様な語尾を使い、文章にリズムを与えることがポイントです。また、難解な表現や漢語ばかり使わず、平易な語彙を選ぶことで読みやすさが向上します。
Q4. 「である調」を使うメリットは何ですか?
A. 論理的・客観的な印象を与えられる点が最大のメリットです。
文章に説得力を持たせたいとき、事実や主張を明確に伝えたいときに、「である調」は非常に効果的です。学術論文、報告書、専門記事など、正確さと信頼性が求められる場面に適しています。
Q5. 学生のレポートでも「である調」を使うべきですか?
A. はい、多くの場合で「である調」が推奨されます。
特に大学のレポートや論文では、客観的かつ論理的な文体が求められるため、「である調」が標準とされています。ただし、大学や教授によっては指定があることもあるので、指示に従うことが大切です。
まとめ
「である調」は、論理的で客観的な文章を構築するために非常に有効な文体です。特にビジネス文書、研究レポート、専門的な解説記事、評論など、読者に対して信頼性や説得力を求められる場面で重宝されます。
本記事では、「である調」の基本的な特徴や、よく使われる語尾をカテゴリ別に整理し、ビジネス・学術・Web記事・エッセイ・履歴書といった多様なシーンでの使用例を50個ご紹介しました。また、である調を使うメリットや使う上で注意すべき点や、読者との距離感、表現の単調さといった課題についても触れました。
文章を書く際には、内容だけでなく「どう伝えるか」も重要です。文体の選択ひとつで、伝わり方が大きく変わります。読者の属性や文章の目的に応じて、「である調」と「ですます調」を上手に使い分けることで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
「である調」をしっかりと理解し、正しく使いこなすことで、あなたの文章はより説得力を増し、読む人に強い印象を与えるものとなるでしょう。