「継る」の読み方「繋がる」との違い|意味・使い方・例文付き

勉強する人

「継る(つぐ)」と「繋がる(つながる)」──この2つの言葉、一見すると似ているように見えますが、実は意味も使い方もまったく異なります。特に文章を書くときや、話し言葉として使う際に混同してしまうと、文脈が伝わりにくくなることもあるため、正しく理解して使い分けることが重要です。

本記事では、「継る」という言葉は本当に存在するのか、どのように読んでどう使うのか、そして「繋がる」とはどう違うのかを、例文を交えながら丁寧に解説していきます。現代の日本語でよく使われる「繋がる」と、やや古風で見かける機会の少ない「継る」。この2語をしっかりと区別して使いこなせるようになれば、あなたの日本語表現力はぐっとレベルアップします。

「言葉の違いをなんとなくで済ませたくない」「文章表現をもっと正確に、豊かにしたい」という方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

「継る」という言葉は存在する?読み方は?

ハテナマーク

結論から言うと、「継る」という言葉は日本語としては存在しません。正しくは、「継ぐ(つぐ)」です。

「継る」という表記は誤用

「継る(つぐ)」という表記は、時々見かけることがありますが、これは誤表記または誤変換によるものです。パソコンやスマートフォンで「つぐ」と入力して漢字変換をした際に、「継る」が候補として出ることがありますが、これは正しい日本語ではありません。

正式には、「継ぐ(つぐ)」という動詞が正解です。

「継ぐ(つぐ)」が正しい言葉

「継ぐ(つぐ)」は、以下のような意味を持つ日本語の動詞です:

  • 後を受けて続ける(例:家業を継ぐ)
  • 切れたものをつなぐ(例:言葉を継ぐ)
  • 欠けたところを補う(例:布を継ぐ)

文法的には五段活用の動詞で、現代日本語で広く使われています。

つまり、「継る」という表現は誤りであり、正しくは「継ぐ(つぐ)」と書くべきです。

「継る」の意味と使い方

ノートパソコンを打つ人

「継る」という言葉はないので、「継ぐ」の意味と使い方を解説します。

「継る(つぐ)」という表記は、一般的な日本語としては存在しません。これは誤変換や誤記として使われることがあるだけで、正式には「継ぐ」と書きます。ここでは、正しい形である「継ぐ」の意味と使い方を紹介します。

「継ぐ」の意味

「継ぐ」は、日本語の基本的な動詞のひとつで、以下のような意味があります:

  1. 引き継ぐ・受け継ぐ
     例:家業を継ぐ、志を継ぐ、伝統を継ぐ
     → 前の人や世代から責任や役目、考えなどを引き受けて続けること。
  2. つなげる・接ぎ合わせる
     例:着物を継ぐ、布を継ぐ、文章を継ぐ
     → 物理的に何かをつなぎ合わせたり、途中で切れたものを再びつなぐこと。
  3. 補う・修復する
     例:破れを継ぐ、欠けた部分を継ぐ
     → 不足している部分を補い、全体として元の形を保つこと。

文法的な使い方

「継ぐ」は五段活用の動詞で、活用例は以下のとおりです:

  • 現在形:継ぐ
  • 過去形:継いだ
  • 連用形:継いで、継ぎます
  • 仮定形:継げば
  • 命令形:継げ

使い方のコツ

  • 「継ぐ」は、形あるものにも、形のないもの(意志・文化など)にも使える便利な動詞です。
  • 「繋ぐ」と意味が近いようで、実は「継承」「補修」などのニュアンスが強い点が違いとなります。

「繋がる」の読み方

ハテナマーク

「繋がる」という言葉は、現代日本語で非常によく使われる表現です。スマートフォン、インターネット、ビジネス、日常会話など、幅広い場面で登場します。

読み方は「つながる」

「繋がる」の読み方は「つながる」です。

この言葉は動詞「繋がる」の基本形であり、自動詞(=動作の対象がない動詞)です。「~が繋がる」というように、主語に対して状態や動きが発生します。

例:

  • 電話が繋がる
  • 人と人とが繋がる
  • インターネットに繋がる

類似語との混同に注意

「つなぐ」という他動詞(~をつなぐ)もよく似た言葉ですが、これは「繋ぐ」と書きます。

  • 「繋がる」→ 自動詞:状態が成立する(例:心が繋がる)
  • 「繋ぐ」→ 他動詞:何かを結びつける動作(例:手を繋ぐ)

文法的な使い方が異なるので、書く際にはどちらが適切かを注意深く見極める必要があります。

「繋がる」の意味と使い方

メモ帳

「繋がる(つながる)」は、物理的・心理的な「つながり」や「関係性」を表す自動詞です。現代社会では、人間関係からネットワーク通信まで、あらゆる場面で頻繁に使われています。

「繋がる」の主な意味

  1. 物理的につながっている
    • 例:この道は駅まで繋がっている。
    • → 道や電線など、実体のあるものが連続している様子。
  2. 人と人、心と心がつながる
    • 例:彼とは深いところで繋がっている気がする。
    • → 心理的な関係や信頼感、絆の存在を表す。
  3. 通信やネットワークが接続される
    • 例:Wi-Fiが繋がらない、電話がやっと繋がった。
    • → テクノロジー関連でも使われ、通信状態を表す言葉として定着。
  4. 結果や影響として続いていく
    • 例:今回の成功が次のチャンスに繋がる。
    • → 原因と結果の関係を表す。抽象的な「つながり」。

使い方の特徴

  • 自動詞であるため、主語に対して自然に状態が生じるような表現になります。
  • 文語・口語どちらでも使用可能で、フォーマルな文書からカジュアルな会話まで幅広く対応。
  • 抽象的な関係性や感情を表現する際に、柔らかく、かつ深い意味を持たせることができる便利な語彙です。

現代的な使われ方

近年では、SNSの普及などにより「人と人とのつながり」が以前にも増して意識されるようになり、以下のような表現も一般化しています:

  • 「世界中の人と繋がれる時代」
  • 「フォロワーと繋がる」
  • 「リアルに繋がる」

こうした用法から、「繋がる」は単なる接続だけでなく、「関係の深さ」や「共感」といった感情的な側面を含む言葉として、広く受け入れられています。

継ると繋がるの違いを超わかりやすく

電球のひらめきマーク

ここまでで、「継る」という言葉は実際には存在せず、正しくは「継ぐ(つぐ)」であること、そして「繋がる(つながる)」とは別の意味を持つことがわかりました。

この章では、「継ぐ」と「繋がる」の違いを超わかりやすく、ポイントを整理しながら説明していきます。

結論:両者の違いは「関係性」と「動作の目的」にあり!

項目継ぐ(つぐ)繋がる(つながる)
品詞動詞(他動詞)動詞(自動詞)
主な意味引き継ぐ・受け継ぐ・補う接続される・関係ができる
使い方誰かが何かを「継ぐ」(能動的)自然に・状態として「繋がる」(受動的)
使用例事業を継ぐ、伝統を継ぐ人と人が繋がる、ネットが繋がる
抽象性やや堅め・フォーマル幅広く、日常的・抽象的な表現が多い
感情的な意味弱い(論理的・実務的な文脈)強い(絆・共感・一体感を含むことが多い)

わかりやすく言うと…

  • 「継ぐ」は、誰かから何かを“引き受ける”動作。主に「責任」「意志」「仕事」など、連続性のある行動に使います。
    • 例:祖父の代からの農業を継ぐ。
  • 「繋がる」は、自然に“関係や接続が成立する”状態を表します。通信、人間関係、抽象的な感情にもよく使われます。
    • 例:遠く離れていても心は繋がっている。

間違えやすいパターンに注意!

  • 誤:「父の事業に繋がる」→ 正:「父の事業を継ぐ
  • 誤:「想いを繋がる」→ 正:「想いを継ぐ」または「想いが繋がる」(文脈により)

継ると繋がるの使い分け

パソコンを見て考える人

「継ぐ(つぐ)」と「繋がる(つながる)」は、語感や印象が似ているため混同しやすい言葉ですが、使い分けのポイントを押さえれば、正しく自然に使えるようになります。

ここでは、よくあるシチュエーション別に、「どちらを使うべきか?」を具体的に解説します。


使い分けポイント①:能動的か、受動的か

  • 継ぐは自分の意志で何かを受け継ぐ「能動的な行動」
  • 繋がるは自然とつながりができる「状態の変化」や「結果」

✅例:

  • 父の跡を継ぐ(→ 自分が意志を持って受け継ぐ)
  • 二人の心が繋がる(→ 自然に関係ができていく)

使い分けポイント②:「引き継ぎ」か「関係の成立」か

  • 継ぐ=後を受けて続ける、補う、継承する
  • 繋がる=物や人が結びつく、関係がつく、通信などが接続される

✅例:

  • 会社の経営を継ぐ(← 父や上司から引き継いだもの)
  • インターネットが繋がる(← 自然に接続が成立する)

使い分けポイント③:感情・精神面は「繋がる」

  • 人との絆、気持ちの共鳴、心の交流といった、感情的・抽象的な「関係」は繋がるを使います。

✅例:

  • 離れていても心は繋がっている
  • 同じ夢を持つ者同士が繋がる

使い分けに迷ったら?

以下のように考えると判断がしやすくなります:

  • 誰かから何かを受け取って引き継ぐ → ✅「継ぐ」
  • 人やモノが関係性を持つ、接続する → ✅「繋がる」

「継る」の例文【10選】

ノートとペン

※「継る」という言葉は存在しないため、ここでは正しい表記である「継ぐ(つぐ)」を使った例文を10個紹介します。

「継ぐ」は主に、何かを受け継ぐ・引き継ぐ・補うという意味で使われる他動詞です。ビジネスや家族関係、文化継承など、幅広い文脈で使われます。

  1. 父の跡を継いで、老舗旅館の女将になった。
  2. 彼は亡き師匠の技術と精神を継ぐべく、修行を続けている。
  3. 次期社長として、会社の経営を継ぐことが決まった。
  4. 代々受け継がれてきた刀を、私が継ぐことになった。
  5. 地元の祭りを次の世代へ継ぐために、若者たちが集まった。
  6. 中断された議論を彼がうまく継いだことで、会議が円滑に進んだ。
  7. 家系図を調べて、誰が血筋を継いでいるのかが明らかになった。
  8. 古い着物を継いで、新しい服に仕立て直した。
  9. 彼女は母の意志を継ぎ、看護師の道を選んだ。
  10. 大切な伝統をただ守るだけでなく、未来へと継いでいくことが重要だ。

「繋がる」の例文【10選】

ノートと鉛筆

「繋がる(つながる)」は、人・モノ・情報・感情などが関係や連続性を持つことを表す自動詞です。現代の会話や文章では非常に頻繁に登場し、物理的な接続から精神的な絆まで、幅広く使われます。

  1. 地震の影響で、電話がなかなか繋がらなかった
  2. この道は、裏通りを通って商店街に繋がっている
  3. 久しぶりに幼なじみとSNSで繋がることができた。
  4. 彼の言葉が私の心に深く繋がった
  5. 国と国が文化を通して繋がる時代になった。
  6. インターネットがやっと繋がったので、仕事ができるようになった。
  7. あの経験が、今の仕事に繋がっていると感じる。
  8. 新しい出会いが、新たな可能性へと繋がることもある。
  9. 共通の趣味を通じて、多くの人と繋がった
  10. どんなに離れていても、心はいつも繋がっているよ。

これらの例文からもわかるように、「繋がる」は接続・関係・影響・共感など、様々な文脈で活用できる柔軟な言葉です。人間関係や情報の流れを表す現代語として、特に重宝されています。

間違えやすい例文【10選】

ポイント

「継ぐ(つぐ)」と「繋がる(つながる)」は、意味が異なるにもかかわらず、語感やニュアンスが似ているため混同されやすい言葉です。ここでは、「間違えやすい使用例」とその「正しい表現」を対比形式で10例ご紹介し、理解を深めていきます。

❌ 間違った表現✅ 正しい表現解説
志を繋ぐ志を継ぐ「志」は誰かの意志を引き継ぐものなので「継ぐ」が正しい。
父の跡を繋いだ父の跡を継いだ家業や役職を受け継ぐときは「継ぐ」を使う。
意志が代々繋がっている意志が代々継がれている「継承されている」意味合いなら「継ぐ」が適切。
電話が継がらない電話が繋がらない通信・接続の状態は「繋がる」が正しい。
人との縁を継ぐ人との縁が繋がる人間関係の自然な成立やつながりには「繋がる」が合う。
会話を繋いでみた会話を継いでみた一度途切れた会話を続けるのは「継ぐ」。
気持ちが継がっている気持ちが繋がっている心や感情のつながりは「繋がる」を使う。
この問題は未来に継がる可能性があるこの問題は未来に繋がる可能性がある原因と結果、影響の関係を表すときは「繋がる」。
布の端を糸で繋いだ布の端を糸で継いだ補修・接合する場合は「継ぐ」。
伝統を若い世代に繋ぐ伝統を若い世代に継ぐ受け継がせる、伝えるといった意味なら「継ぐ」が自然。

曖昧な文脈でも、主体的に行動するなら「継ぐ」/自然に成立するなら「繋がる」と覚えると便利です。

「引き継ぐ・継承する」→ 継ぐ
「接続される・関係が生じる」→ 繋がる

まとめ

「継る」という言葉は日本語には存在せず、正しくは「継ぐ(つぐ)」です。「継ぐ」は何かを引き継いだり、補ったりする能動的な動作を表し、一方で「繋がる(つながる)」は人や物、感情などが自然に結びつく状態を示します。

両者は似た響きを持つため混同されやすいですが、意味や使い方は大きく異なります。例えば、家業や意志を「継ぐ」、人との絆や通信状態は「繋がる」と使い分けるのが正解です。

本記事では、それぞれの意味と使い方、例文、間違いやすいケースなどを通して、違いを明確にしました。言葉の使い分けは、文章の説得力や伝わりやすさを大きく左右します。今回の内容を参考に、「継ぐ」と「繋がる」を場面に応じて正しく使いこなし、より洗練された日本語表現を目指しましょう。