「という」「と言う」の違い|公用文・ビジネスでの使い分け【例文】

ビジネスパーソン

日本語には似たような表現が数多く存在しますが、中でも混同しやすいのが「という」と「と言う」です。一見するとどちらも同じように見えますが、実は文法的な立場や意味、そして使われ方に違いがあります。

たとえば、「Aという考え方」と「Aと言う考え方」はどちらも耳にする表現ですが、文章の種類や文脈によって、適切な形を選ぶ必要があります。日常会話で曖昧に使っていても問題ない場合もありますが、ビジネス文書や公的な文章では正確な使い分けが求められることもあるのです。

本記事では、以下の内容を丁寧に解説していきます。

  • 「という」と「と言う」の意味と文法的な違い
  • 具体的な使い分け方とシーン別の使用例
  • 例文を60個掲載し、実際にどう使われるかを詳しく紹介
  • 類語や英語での言い換え方も紹介し、表現の幅を広げる

この記事を読むことで、「という」と「と言う」の正しい使い方をマスターでき、より自然で伝わりやすい日本語表現が身につきます。特に、日本語学習者、ビジネスパーソン、文章を書く機会の多い方にとって、役立つ知識となるでしょう。

目次

「という」と「と言う」の違い

発見マーク

「という」と「と言う」は、どちらも「言う」という動詞が元になっていますが、使い方・文法的役割・意味のニュアンスにおいて明確な違いがあります。以下に、違いを表で整理して解説します。

違いの比較表

項目というと言う
品詞構成助詞「と」+形式動詞「いう(慣用化)」助詞「と」+動詞「言う(活用形)」
役割形式的に名詞を修飾する(抽象的)発言・命名・主張などを具体的に示す
文法的な位置主に名詞を修飾(連体修飾)動作や主張を表す文節の一部
意味の特徴定義・引用・話題提示(やや客観的)実際に「言う」動作がある(主観的・動的)
時制の変化時制を持たないことが多い動詞なので「言った」「言う」など時制変化可能
例文Aという考え方、事故という出来事彼は「行かない」と言う、これはXと言う
使用される文体書き言葉・公用文・説明文によく使われる話し言葉・会話文・リアルな状況説明など
抽象度・硬さやや硬く抽象的やや柔らかく、動的で具体的

ポイント解説

  • という」は、ある物事を他の言葉で説明・定義したいときに使います。話者の主観はあまり入らず、情報の提示や説明に適しています。
    • 例:これは「リーダーシップという能力」だ。
  • と言う」は、誰かが何かを実際に言ったり、そう呼ばれていると説明するときに使います。話し手の意志や主観が入りやすく、動きのある文脈に向いています。
    • 例:先生が「よくできました」と言う。

「という」の意味

提案営業

「という」は、日本語における形式名詞や引用の表現として使われる語句です。助詞「と」に、形式動詞「いう(言う)」がくっついた形ですが、話し手が何かを説明・定義・引用する際に用いられるため、会話でも文章でも非常によく登場します。

主な役割と意味

用法分類説明
引用誰かの発言や考えを間接的に紹介する表現。「~という話」「~という意見」など。
説明・定義ある物事について、その内容や意味を補足する。「Xというもの」「Yという行為」など。
指示語の強調「このような」「あのような」といった意味を強調。「このような状況というのは…」など。

品詞的な分類

「という」は一見すると動詞に見えますが、文の中では文法的な機能を持つフレーズ(文節)として働きます。
特に、名詞の前に置かれて形容詞的な働き
を持つことが多く、名詞句全体を形成する重要な役割を担います。

文法的なポイント

  • 「という」は連体修飾(名詞を修飾する)として使われます。
  • 元の動詞「言う」が文法上変化して、「という」というフレーズが慣用句のように固定化されていると考えると理解しやすくなります。

「と言う」の意味

話す人

「と言う」は、動詞「言う」の連体形を使った表現です。「言う」は、話す・述べる・名前をつけるといった意味を持つ日本語の基本動詞の一つです。この「言う」に助詞「と」がついて「〜と言う」となることで、何かを言った内容や名称を具体的に示す働きを持つようになります。

主な役割と意味

用法分類説明
発言の引用誰かが実際に言った言葉を紹介。「彼は『行かない』と言う」など。
名称・呼称何かの名前や呼び方を伝える。「これは『和菓子』と言う」など。
一般的説明世の中でそのように言われているという表現。「努力を才能と言う人もいる」など。

品詞的な分類

「言う」は五段活用動詞(グループ1動詞)で、「言う」「言った」「言わない」「言えば」などの形に変化します。「と言う」はそのうち、名詞を修飾する連体形にあたり、「~という名詞」のような形で使われます。

また、「言う」は意味の中心を担う動詞であるため、文章の中で動作や主張を強く示す役割があります。これが、より抽象的・形式的な「という」との大きな違いの一つです。

文法的なポイント

  • 「と言う」は主に主語の動作や発言に焦点を当てる。
  • 実際に話された言葉や、命名、定義を示す際に用いられる。
  • 時制や丁寧語と組み合わせて、「と言った」「と言います」など、柔軟に変化する。

「という」と「と言う」の使い分け

ポイント

「という」と「と言う」は、意味が近く見えるため日常的に混同されやすい表現ですが、実際の使用場面では明確に使い分けがされています。ここでは、使い分けのポイントを文体・文脈・表現の意図ごとに解説します。

条件・文脈適切な表現説明例
ある物や概念を定義・説明したいときという「マインドフルネスという概念が注目されている」
誰かが実際に発言したことを伝えると言う「彼は『無理だ』と言う
名前や名称を紹介すると言う/という「これは抹茶ラテと言う飲み物だ」/「抹茶ラテという名前の商品」
抽象的な話題・書き言葉中心という「社会という大きな枠組みの中で考える」
会話文・具体的なやり取りと言う「先生は『落ち着いて』と言う

具体例で比較

例1:定義の場合

  • ✅ 正しい:「リーダーシップという能力が必要だ」
  • ❌ 不自然:「リーダーシップと言う能力が必要だ」
    → 定義や抽象的な内容には「という」が自然です。

例2:発言の引用の場合

  • ✅ 正しい:「彼は『明日来る』と言う
  • ❌ 不自然:「彼は『明日来る』という
    → 発言には「と言う」が適切です。

例3:呼称や命名の場合(両方可)

  • 「これは“シンプルライフ”と言う考え方だ」
  • 「“シンプルライフ”という考え方が広がっている」
    → 前者は話し言葉的で具体、後者は説明文的で抽象的。

文体による判断のヒント

  • ビジネス文書・論文・公用文 → 「という」を選ぶことが多い
  • 日常会話・小説・セリフ → 「と言う」が自然な場面が多い

公用文での「という」「と言う」の使い方

書類

公用文(行政文書・法令文・報告書など)では、表現の明確さ・簡潔さ・統一性が特に重視されます。そのため、「という」と「と言う」の使い分けも一般的な文章とは異なる配慮が求められます。

公用文における基本的な考え方

公用文では、動詞の漢字表記(例:「言う」「書く」「思う」など)を避けてひらがな表記を原則とする傾向があります。したがって、「という」と「と言う」は以下のような形で使い分けられることが多くなります。

表現公用文での使用頻度備考
という高い一般的な定義・引用・説明に使われ、文体に合う
と言う低い「言う」が動詞として表現される場合は避けられることが多い

✅ 推奨されるのは「という」であり、「と言う」は原則として避けられる傾向があります。

例文で見る公用文的な使い方

公用文での自然な表現(正しい例)

  • ×:この制度は「支援制度」と言う名称で知られている。
  • :この制度は「支援制度」という名称で知られている。
  • ×:申請者が「不要」と言う書類は提出不要とする。
  • :申請者が「不要」という意見を示した書類は提出不要とする。

公用文に適した書き換えのポイント

  • 話し言葉の要素を排除する:動的な表現を避ける
  • ひらがな表記に統一する:漢字の「言う」より「いう」を使用
  • 簡潔で客観的な文構造を意識する:「という」を使い、抽象的だが説明的に

ガイドラインによる指針(一例)

  • 内閣法制局や各省庁の文書作成マニュアルでは、「という」を使うことが望ましいと明記されている例もあります。
  • 特に、法律・条例・規則などでは、「という」に統一することで読み手に与える印象を平等かつ中立に保つことができます。

ビジネスでの「という」「と言う」の使い方

ノートパソコン

ビジネスの現場では、明瞭で誤解のない表現が求められます。書き言葉・話し言葉が入り交じる場面も多く、「という」と「と言う」を適切に使い分けることで、相手に信頼感と知的な印象を与えることができます。

書き言葉では「という」が基本

ビジネス文書(メール・報告書・資料)では、基本的に「という」が好まれます。理由は、公用文と同様、客観的で落ち着いた印象を与えるからです。また、ひらがな表記を使うことで読みやすく、柔らかい印象にもなります。

例文

  • 本件は、貴社の新規事業という位置づけで認識しております。
  • 弊社では、「コスト最適化」というテーマで提案を行っています。

話し言葉(会議・商談・プレゼン)では「と言う」も自然

一方、口頭でのやりとりやプレゼンでは、「と言う」が自然に聞こえる場面も多くあります。特に、誰かの意見や主張を紹介する場合、「と言う」が適切です。

例文

  • 山田さんは、「今のプランでは難しい」と言っています
  • お客様は「現状維持を希望する」と言うご意向でした。

ビジネスにおける使い分けのまとめ

シーン推奨される表現理由
メール・報告書「という」客観的・定義的な表現が多いため。丁寧で硬すぎない印象。
会議・会話・商談「と言う」実際の発言・意見紹介に適し、自然な語り口になる

書き換え例:丁寧で信頼感のある表現に

カジュアルな表現ビジネス向けの表現
これは「管理強化」って言う話です。これは「管理強化」という方針についての話です。
先方は「金額が高い」と言ってました。先方は「金額が高い」と言うご意見をお持ちでした。

「という」の使い方【例文20】

ビジネスパーソン

「という」は、定義・説明・引用・強調など、文章を論理的・明確にするための便利な表現です。この章では、使用パターンごとに20の例文を紹介します。

① 定義・説明(抽象的な語を具体化)

  1. リーダーシップという能力が重要視されている。
  2. 「持続可能性という言葉をよく耳にするようになった。
  3. 新型コロナウイルスという感染症が世界中に広がった。
  4. メタバースという仮想空間でのビジネスが注目されている。
  5. ペーパーレスという考え方が企業に浸透してきた。

② 話題・テーマの提示

  1. 自己肯定感というテーマについて考えてみたい。
  2. SDGsという国際目標を聞いたことがありますか?
  3. 「顧客満足度という指標が企業評価の基準になっている。
  4. 断捨離という言葉には、心理的な意味も含まれている。
  5. 「終身雇用という制度は見直されつつある。

③ 一般的な表現・口語的強調

  1. それが運命というものだと思う。
  2. 彼は天才という言葉がぴったりな人物だ。
  3. 休む勇気というのも時には必要だ。
  4. 向上心というのは、努力の源だ。
  5. 人生という長い旅の中で、多くを学ぶ。

④ 引用(直接でない情報の引用)

  1. 先生から「再提出という対応もあり得る」と伝えられた。
  2. 今回の案件は「要注意という指摘がある。
  3. 先日の会議では「コスト削減という意見が多かった。
  4. 専門家は「予想以上に早く進行するという見解を示した。
  5. 報告書には「人為的ミスという可能性が記されていた。

「と言う」の使い方【例文20】

プレゼンに臨む

「と言う」は、動詞「言う」が含まれているため、発言・名称・表現の提示など、動作や意図を明確に伝える場面で使われます。ここでは4つのパターンに分けて、自然な例文を20個紹介します。


① 発言・セリフの引用(誰かが言ったこと)

  1. 彼は「もう無理だ」と言う
  2. 上司は「確認してから報告しなさい」と言う
  3. 「それは違う」と彼女ははっきりと言った
  4. 子どもが「遊びたい」と言うので、外に出た。
  5. 医者が「安静にしてください」と言った

② 呼称・名称を紹介(〜と呼ばれている)

  1. これは「ミレニアル世代」と言う人たちの傾向だ。
  2. 「ハラスメント」と言う言葉は最近よく使われる。
  3. これを「コアコンピタンス」と言う
  4. その技術は「ブロックチェーン」と言うものだ。
  5. あの地域では「たらいうどん」と言う料理が有名だ。

③ 評価・意見の提示(~と判断される)

  1. 彼の行動は無責任だと言う人もいる。
  2. この判断は間違っていると言う声が上がっている。
  3. 「過剰反応だ」と言う批判がSNSで広がっている。
  4. あの対応は適切だったと言う意見が多数を占めた。
  5. 一部には「リスクが高すぎる」と言う懸念もある。

④ 比喩的・抽象的な使い方(感情や抽象概念の提示)

  1. この映画は「心に残る」と言う感想が多い。
  2. 彼女の笑顔は「癒やし」と言う言葉がふさわしい。
  3. この本は「人生を変える」と言う人もいるほどだ。
  4. この場所には「パワースポット」と言う雰囲気がある。
  5. 経験こそが「最高の教師」と言うのは本当だ。

間違えやすい使い方【例文20】

「という」と「と言う」は、似ているため混同しやすく、特に書き言葉での誤用が目立ちます。この章では、よくある間違い例と正しい使い方を、セットで紹介します。例文の比較を通して、使い分けの感覚をしっかりと身につけましょう。


① 誤:発言で「という」を使用している

:彼は「やめたい」という。
:彼は「やめたい」と言う。

:上司が「検討中」という。
:上司が「検討中」と言う。

:母が「気をつけて」という。
:母が「気をつけて」と言う。

:「明日出社します」という連絡があった。
:「明日出社します」と言う連絡があった。

:「無理」という彼の発言にがっかりした。
:「無理」と言う彼の発言にがっかりした。


② 誤:説明や定義で「と言う」を使用している

:リーダーシップと言う能力が必要だ。
:リーダーシップという能力が必要だ。

:これは「自己責任」と言う考え方です。
:これは「自己責任」という考え方です。

:健康経営と言う概念が注目されている。
:健康経営という概念が注目されている。

:これは「プロジェクトベース」と言う制度です。
:これは「プロジェクトベース」という制度です。

:新たな働き方と言うテーマで議論が行われた。
:新たな働き方というテーマで議論が行われた。


③ 誤:定義文なのに発言のような文体になっている

:「マインドセット」と言うのは重要だ。
:「マインドセット」というのは重要だ。

:目標管理と言うのは企業にとって基本である。
:目標管理というのは企業にとって基本である。

:読解力と言う力はすべての学習の土台だ。
:読解力という力はすべての学習の土台だ。

:効率化と言う観点から見直しが必要だ。
:効率化という観点から見直しが必要だ。

:「変革」と言う言葉がキーワードになっている。
:「変革」という言葉がキーワードになっている。


④ 曖昧な主語で文の意味が伝わりにくくなる例

:「優しさ」という人もいれば「甘さ」と言う人もいる。
:「優しさ」と言う人もいれば「甘さ」と言う人もいる。

:「それが普通」と言う価値観に縛られてはいけない。
:「それが普通」という価値観に縛られてはいけない。

:「チャレンジ」と言う姿勢を評価したい。
:「チャレンジ」という姿勢を評価したい。

:安心感と言うのは、環境整備から生まれる。
:安心感というのは、環境整備から生まれる。

:「効率重視」と言う考え方だけでは限界がある。
:「効率重視」という考え方だけでは限界がある。

「という」の類語(言い換え)・英語

四つ葉

「という」は、ある言葉や事柄を定義・説明・引用するために使われる表現です。文章の中で頻出するため、言い換え表現や英語の対応語を知っておくと、表現の幅を広げたり、文章のトーンを調整するのに役立ちます。

① 類語(言い換え表現)一覧と例文

類語・言い換え意味・使い方例文
~とされる一般的にそう考えられているこの植物は薬用として有効とされる
~と呼ばれる名称・通称を紹介するときに使うあの制度は「地域包括ケア」と呼ばれる
~と見なされる判断や評価を示すそれは違法と見なされる可能性がある。
~といった例示や補足に使われる環境問題といった課題が山積している。
~と表現される説明・比喩などで使われるこの感情は「嫉妬」と表現されることもある。

※ これらの表現は、やや客観的な文体に向いています。「という」が多用されすぎていると感じた場合に適切に言い換えることで、文章のバランスが良くなります。


② 英語での言い換えと例文

英語では「という」に対応する表現がいくつかありますが、文脈によって使い分けが必要です。

英語表現意味・使い方例文
called名称・呼称を紹介This is a plant called "Shiso".
known as世間でそう知られているHe is known as a genius in marketing.
referred to as形式的・学術的な説明に使われるThis phenomenon is referred to as "burnout".
defined as定義づけをするときに使われるLeadership can be defined as the ability to guide others.

特に「called」「known as」は口語でも頻繁に使われ、「referred to as」「defined as」はよりフォーマルな文書や学術的な文章に適しています。

「と言う」の類語(言い換え)・英語

双葉

「と言う」は、発言・意見・名称・説明などを伝える際に使われる表現です。特に会話文や説明的な文章で多用されますが、適切な言い換えを知っておくことで、繰り返しを避け、表現力を高めることができます。


① 類語(言い換え表現)一覧と例文

類語・言い換え意味・使い方例文
話す一般的な会話・口頭のやりとりを示す彼は静かな声で話した
述べる丁寧・フォーマルに発言を伝える先生は重要なポイントを述べた
伝える情報や意思を他者に届けることを表す上司に結果を伝えるように指示された。
表現する感情や考え方を言語化する自分の意見を的確に表現するのは難しい。
説明する内容や理由を詳しく述べる彼は新しい制度について詳しく説明した
発言する公の場や公式の場での言葉を指す会見で彼は大胆な発言をした
指摘する問題点や事実などをはっきりと言う専門家がリスクを指摘した

これらの言い換え表現は、「言う」よりもニュアンスが明確で意図が伝わりやすくなる特徴があります。場面に応じて使い分けることで、より洗練された文章が書けます。


② 英語での言い換えと例文

「と言う」に対応する英語表現は、状況や主語、発言のトーンによって複数あります。以下は主な言い換えです。

英語表現用法・ニュアンス例文
say最も一般的な「言う」の意味He said, "I'm tired."
tell誰かに何かを伝える(目的語が必要)She told me to wait.
state公式・客観的に述べるThe report states that the system is outdated.
mention軽く触れる、言及するHe mentioned that he might be late.
claim主張する、強く言い切るThey claim the product is eco-friendly.
explain説明する、詳しく伝えるShe explained the process in detail.
point out指摘する(重要な点・誤りなど)He pointed out the inconsistency in the data.

「say」「tell」は会話文で定番、「state」「claim」「point out」はフォーマルな文書やビジネス・報道で使われることが多いです。

よくある質問

Q&A

ここでは、「という」と「と言う」の使い分けに関して、学習者や読者からよく寄せられる疑問に対して、分かりやすく回答します。


Q1. 「という」と「と言う」はどちらを使えば正しいのですか?

A. どちらも正しい表現ですが、文脈によって適切な使い分けが必要です。

  • 「という」:定義や説明、名詞の修飾に使われます。
  • 「と言う」:発言や名称紹介など、動詞「言う」の意味が残る場面で使います。

Q2. 「〜という名前」と「〜と言う名前」の違いは?

A. 一般的に使われるのは「〜という名前」です。これは、「〜と呼ばれる名前」という意味で、形式的・説明的な表現です。
「〜と言う名前」は文法的に誤りではありませんが、会話文や話し言葉的な場面でまれに使われる程度です。


Q3. 「っていう」はどちらの省略形?

A. 「っていう」は、「という」または「と言う」の口語的な省略形です。発音上は違いが曖昧ですが、実際の意味や用法は文脈で判断します。

  • 定義や説明 → 「という」→ 口語で「っていう」
  • 発言や意見 → 「と言う」→ 口語で「って言う」「っていう」

例:

  • 「これは〇〇っていう商品です」=「という」
  • 「彼が『行かない』って言うんです」=「と言う」

Q4. 「というか」「と言うより」のような複合表現はどっちが正しい?

A. 以下のように、慣用的に定着した表現では、「という」形が使われます。

  • 「というか」:言い換え、補足、訂正の表現
  • 「というより」:比較して言い換える場合
  • 「というものの」:逆接の接続詞としての用法

いずれも、「と言うか」「と言うより」と書くのは一般的ではありません。


Q5. 書き言葉ではどちらを使うべきですか?

A. 書き言葉(論文、報告書、ビジネス文書、公用文)では、「という」を使うのが一般的です。「と言う」は話し言葉的な印象があるため、文書内では避けられる傾向にあります。

まとめ

「という」と「と言う」は、どちらも非常に頻繁に使われる日本語表現ですが、その使い分けには明確なルールとニュアンスの違いがあります。

「という」は、ある物事を定義・説明・引用するときに使われ、名詞を修飾する形式的な役割を担います。文章全体を客観的で論理的に見せたいときに非常に有効で、特に公用文やビジネス文書などでは積極的に使われる表現です。

一方で「と言う」は、実際の発言や主張、名称の紹介など、より動きのある場面や会話文に適しています。誰かが何かを言った、あるものをこう呼んでいる、といった内容を伝えるときに自然に用いられます。

本記事では、両者の文法的な違い、使用シーン別の使い分け、間違えやすい表現、ビジネス・公用文における適切な用法までを網羅的に解説しました。また、例文を60個以上掲載することで、実際の使い方がより明確に理解できるよう工夫しました。

最後に、「という」「と言う」の言い換え表現や英語対応もご紹介しましたので、文章表現の幅を広げたい方にも役立つ内容になっているはずです。

正しく使い分けることで、より伝わりやすく、洗練された日本語を身につけることができます。迷ったときは、「それが定義・説明か」「誰かの発言か」という視点で判断することがポイントです。