【200選】美しい日本語・美しい言葉(永久保存版)

桜

日本語には、四季折々の自然や人々の繊細な感情を表現する美しい言葉が数多く存在します。それらの言葉には、単なる意味以上の「情景」や「心情」が込められており、聞くだけで心が和んだり、過去の記憶がよみがえったりすることもあるでしょう。

「美しい言葉」は、日常の中でさりげなく使うことで、会話や文章に品格を与え、豊かな感性を育ててくれます。たとえば、「夕暮れ」という言葉一つをとっても、「黄昏(たそがれ)」や「夕映え(ゆうばえ)」といった表現に言い換えるだけで、より深い情緒を感じ取ることができるのです。

本記事では、そんな「美しい日本語」を200語厳選し、10のカテゴリーに分けてご紹介します。それぞれの言葉には簡単な意味や背景も添えてありますので、日本語の美しさを味わいながら、ぜひ日常に取り入れてみてください。

それでは、次章から本題に入ってまいります。

美しい日本語・美しい言葉(200選)

風鈴

【1】自然を感じる言葉

自然にまつわる言葉には、日本人の自然観や季節感が凝縮されています。以下は、風景や気象、自然の営みを美しく表現した20の言葉です。

言葉意味
花曇り(はなぐもり)桜の咲く時期に見られる、薄く曇った空模様
木漏れ日(こもれび)木々の葉の間から差し込む日光
しずく葉や花などから落ちる小さな水滴
風薫る(かぜかおる)新緑の季節に吹く、さわやかな風
山笑う(やまわらう)春になって草木が芽吹き、山がにぎやかになる様子
涼風(りょうふう)夏の涼しさを感じる風
雨上がり(あめあがり)雨が止んだ直後の、清々しい空気と風景
朝露(あさつゆ)早朝に草木の上に現れる水滴
夕映え(ゆうばえ)夕陽が空や雲を赤く染める様子
虫の音(むしのね)秋に響く虫たちの鳴き声
霧雨(きりさめ)しとしとと静かに降る細かい雨
雪解け(ゆきどけ)春先に雪が溶け始めること
初霜(はつしも)秋の終わりごろに初めて降りる霜
春霞(はるがすみ)春に見られるかすんだ空気や景色
静寂(せいじゃく)音がまったくなく、しんとした静けさ
小春日和(こはるびより)晩秋から初冬にかけての、春のように暖かい日
名残雪(なごりゆき)春先に降る、季節の終わりを告げる雪
凪(なぎ)海や湖の風が止まり、静かな水面となること
野分(のわき)秋の台風や強風を表す古語
陽だまり(ひだまり)冬などに日光が当たり、暖かく感じる場所

【2】季節を彩る言葉

日本語には、四季折々の美しさを繊細に表現する言葉が多くあります。季節ごとの風情を言葉で味わってみましょう。

言葉意味
早春(そうしゅん)春の始まり、まだ寒さが残る頃
桜前線(さくらぜんせん)桜の開花が南から北へ移動する様子
春爛漫(はるらんまん)花が咲き誇る春の盛り
新緑(しんりょく)春の終わりから初夏にかけての、若葉の緑
青葉(あおば)初夏の青々とした木の葉
盛夏(せいか)真夏、夏の盛りの時期
夕立(ゆうだち)夏の夕方に突然降る激しい雨
涼(りょう)をとる涼しさを求めて工夫すること(風鈴や打ち水など)
立秋(りっしゅう)暦の上で秋が始まる日
秋風(あきかぜ)秋の訪れを感じさせる風
秋晴れ(あきばれ)からっと晴れ渡った秋の空
木枯らし(こがらし)晩秋に吹く冷たく乾いた風
初雪(はつゆき)季節で初めて降る雪
冬支度(ふゆじたく)冬に備えての準備
寒椿(かんつばき)冬に咲く椿の花
厳冬(げんとう)一年でもっとも寒さが厳しい時期
春告草(はるつげぐさ)春の訪れを告げる花、特に梅のこと
菜の花(なのはな)春に咲く黄色い花、春の象徴
涼風至(りょうふういたる)二十四節気の一つで、涼しい風が吹き始める頃
冬日向(ふゆひなた)冬の穏やかな日差しが当たる暖かな場所

【3】人の心を表す言葉

感情や気持ちを繊細に表現する日本語は、相手への思いやりや、自分の内面を丁寧に伝える手助けをしてくれます。

言葉意味
思慕(しぼ)慕い思う気持ち。恋しさや懐かしさを含む感情
安堵(あんど)心配ごとが解消され、ほっと安心すること
慈しみ(いつくしみ)深い愛情をもって大切に思う気持ち
胸打たれる(むねうたれる)深く感動し、心が強く揺さぶられること
懐かしむ(なつかしむ)過去の出来事や人を思い出し、愛おしく感じること
喜悦(きえつ)心から喜ぶこと。大きな喜び
謙虚(けんきょ)自分を控えめにして、他者を尊重する態度
恩愛(おんあい)恩と愛情。人との深い絆や思いやりの心
悲哀(ひあい)深い悲しみと切なさを感じること
想い(おもい)強く心に抱く感情。恋愛や願い、祈りなど
焦がれる(こがれる)恋しく思って胸が締め付けられるような気持ち
安らぎ(やすらぎ)心が落ち着いて穏やかな状態
満ち足りる(みちたりる)満足していて、心に不足がないこと
素直(すなお)飾らず、まっすぐな心であること
愛おしい(いとおしい)大切で、守ってあげたいと思う気持ち
忍ぶ(しのぶ)耐え忍ぶ、または密かに思いを寄せること
慈愛(じあい)深くやさしい愛情。とくに母性的な愛
無常(むじょう)すべての物事は移り変わるという感覚
涙ぐむ(なみだぐむ)感動や悲しさで、自然と涙がこぼれそうになること
安堵感(あんどかん)安心してホッとする心の状態

【4】和の情緒を伝える言葉

日本文化特有の美意識や感受性が表現された言葉たちは、静けさ、余韻、間など「和」の精神を感じさせてくれます。

言葉意味
幽玄(ゆうげん)奥深く、はかりしれない美しさ。余韻のある美
侘び(わび)質素さや不完全さの中にある美しさ
寂び(さび)古びたものや静けさの中にある趣き
風流(ふうりゅう)自然や芸術に対する洗練された美的感覚
雅(みやび)上品で優雅な様子
詫び寂び(わびさび)侘びと寂びの美的価値観の総称。日本独自の美意識
余情(よじょう)言葉の後に残る情緒。含みや余韻
間(ま)音と音のあいだ、動きと動きのあいだの静寂
柔和(にゅうわ)穏やかでやさしい様子
静謐(せいひつ)静かで落ち着いた、穏やかな雰囲気
奥ゆかしい(おくゆかしい)控えめで品があり、心惹かれる様子
風雅(ふうが)美を愛し、趣味や教養を尊ぶ心
古雅(こが)古風で上品な趣き
清楚(せいそ)清らかで、飾り気がない美しさ
凛(りん)凛とした、気高く引き締まった姿
謙遜(けんそん)自分を低くし、他を立てる美徳
美徳(びとく)美しいとされる道徳的な行い
余白(よはく)空白の部分に宿る美しさ
一期一会(いちごいちえ)一生に一度の出会いを大切にする心
真(しん)芸道などでの正統・本質的なものを指す用語

【5】音の美しい言葉

耳に心地よく響く言葉や、音で情景を感じさせる日本語は、まるで詩のように繊細な魅力を持っています。

言葉意味
ことこと小さな音で煮物などが煮える様子
さらさら乾いたものが軽やかに触れ合う音。水の流れる音にも
ぽつぽつ雨粒が落ち始める音や様子
ひらひら軽いものが空中を舞うように落ちる様子
きらきら光が小さく瞬いて輝く様子
すやすや赤ちゃんなどが静かに気持ちよく眠る様子
ころころ軽やかに転がる様子。声や笑い声にも使う
ざわざわ木の葉や人の話し声がざわつく様子
しとしと静かに降る細かい雨の音
ちりちり小さな音が連続して響く様子(氷の割れる音など)
ふわふわ軽くて柔らかく、浮かぶような様子
ぽかぽか日差しなどで体が温まる様子
こつこつ真面目に努力を重ねる様子。足音の音にも
とぼとぼ元気なく、疲れて歩く様子
ぱちぱち火花や拍手の音
ふらふら足元がおぼつかない様子、または気持ちが定まらない様子
ぴかぴか物が光り輝いている様子
もやもや気持ちがはっきりせず、すっきりしない状態
ひそひそ小声でこっそり話す様子
くすくす我慢するように小さく笑う様子

【6】色を表す美しい言葉

日本語には自然や文化に根ざした、繊細で詩的な色の名前が数多く存在します。それぞれの色には、景色や感情を映し出す力があります。

言葉意味
紅梅色(こうばいいろ)紅梅の花のような淡い紅色
山吹色(やまぶきいろ)山吹の花にちなんだ明るい黄色
瑠璃色(るりいろ)深く澄んだ青色。宝石の瑠璃の色
藍色(あいいろ)深い青紫色。日本の伝統的な染色の色
若草色(わかくさいろ)春の若い草のような明るい緑色
桜色(さくらいろ)桜の花びらのような淡く優しいピンク
利休茶(りきゅうちゃ)茶道の祖・千利休に由来する渋めの緑がかった茶色
空色(そらいろ)澄んだ晴れた空のような淡い青色
茜色(あかねいろ)夕焼けのような赤みを帯びた橙色
黄土色(おうどいろ)土のような落ち着いた黄色がかった茶色
白練(しろねり)絹のような光沢を持つ白色
薄紅(うすくれない)淡い紅色、春の花などに多い色
漆黒(しっこく)まったく光を通さないような深い黒
銀鼠(ぎんねず)銀色がかった落ち着いた灰色
牡丹色(ぼたんいろ)牡丹の花のような華やかなピンク
青磁色(せいじいろ)青みがかった淡い緑色。陶磁器の色
菫色(すみれいろ)スミレの花のような紫がかった青色
常盤色(ときわいろ)松の葉のような濃い緑色
桃色(ももいろ)桃の花や果実のような優しいピンク色
生成り色(きなりいろ)漂白していない生成りの布のような柔らかい白色

【7】古語に見る美しい表現

古文や和歌に登場する古語は、情緒豊かで奥ゆかしい響きを持っています。今ではあまり使われなくなったものもありますが、その美しさは色あせません。

言葉意味
あはれしみじみとした感動や趣深さ
いととても、たいへん(強調の副詞)
をかし興味深く、趣がある。現代の「面白い」に近いニュアンス
しのぶ想いをこらえる、または人目を避けて行動すること
うたた寝(うたたね)うとうとと浅く眠ること
つれづれ退屈で物思いにふけるさま。静けさの中の情緒
なごり残された気配や、別れの際の余韻
はかなき儚い、すぐに消えてしまいそうなこと
かなし愛しい、いとおしい(悲しいとは異なるニュアンス)
よしなしごと取りとめのない、つまらない事柄
いぶせし気が晴れず、もやもやとする気分
うるはし端正で美しい。秩序だった様子
いとどいっそう、ますます(程度を強める語)
まめやか誠実で真面目な様子
めでたしすばらしい、立派だという意味
けしき様子、表情、気配など多義的に使われる語
おぼろけならず並々でない、格別であること
いみじとてもすばらしい、または非常にひどい(文脈により異なる)
なつかし親しみを感じて心惹かれる様子
あやし不思議で神秘的な感じ。または異様な様子

【8】自然現象を表す言葉

日本語には、自然界の移ろいや現象を細やかに表現する美しい語彙が豊富です。それぞれの言葉が描く情景は、詩的で心を打ちます。

言葉意味
時雨(しぐれ)晩秋から初冬にかけて降るにわか雨
霧(きり)微細な水滴が空気中に漂い、視界をぼやかす自然現象
露(つゆ)草や物に付着する小さな水滴。朝露によく見られる
霞(かすみ)空気中に細かな水滴や塵が漂って見通しが悪くなる状態
吹雪(ふぶき)雪が強風とともに吹きつける激しい天気
雷(かみなり)空中での放電によって起きる光と音の自然現象
稲妻(いなづま)雷が走る光。田んぼの稲に関連してこの名がある
朝焼け(あさやけ)朝に東の空が赤く染まる現象
夕焼け(ゆうやけ)夕方に西の空が赤く染まる現象
霜(しも)冷えた地面や物体に空気中の水分が凍って付着したもの
雹(ひょう)雲から降ってくる氷の粒。雷雨を伴うことが多い
霙(みぞれ)雨と雪が混ざったような降水
季節風(きせつふう)季節ごとに一定の方向から吹く風
日差し(ひざし)太陽の光のこと。特に強さや暖かさを感じる表現
朝凪(あさなぎ)朝の海が静まり返る状態
夕凪(ゆうなぎ)夕方の海に風がなく、静かな状態
星月夜(ほしづきよ)星が出ている夜のこと。とくに月明かりと星が共に見える夜
風花(かざはな)晴れた空に舞う雪。風に乗って降る様子
陽炎(かげろう)熱によって空気が揺らぎ、遠くの景色がぼやける現象
雪嵐(ゆきあらし)激しく雪が降り、風も強い状態の天候

【9】暮らしに根付いた言葉

日本人の暮らしや日常の感覚から生まれた言葉には、文化や風習、生活の中の温もりが反映されています。

言葉意味
夜長(よなが)秋から冬にかけて、夜が長く感じられること
土用(どよう)季節の変わり目(立春・立夏・立秋・立冬の直前)
朝餉(あさげ)朝ごはんの古い呼び方
夜更け(よふけ)深夜にさしかかった頃
縁側(えんがわ)家の中と外をつなぐ、屋根のある廊下のような空間
囲炉裏(いろり)日本の古民家などで使われる、床に設けられた暖房兼調理設備
手水(ちょうず)神社などで手や口を清める作法。転じて手を洗う行為
火鉢(ひばち)灰を入れて炭火を使う暖房器具
朝顔(あさがお)夏の朝に咲く花。涼を感じる植物
除夜(じょや)大晦日の夜
雪見(ゆきみ)雪景色を楽しむ風習
花見(はなみ)桜などの花を鑑賞する日本の春の行事
お裾分け(おすそわけ)他人からもらった物や自分の持ち物を、少し分けて他人にあげること
七夕(たなばた)7月7日に行う、織姫と彦星に由来する星祭り
初詣(はつもうで)新年最初に神社や寺に参拝する行事
風鈴(ふうりん)夏の風物詩として風で鳴る音を楽しむ小物
打ち水(うちみず)夏に涼を取るため、地面に水をまく風習
節分(せつぶん)季節の変わり目に行われる豆まきの行事
茶の間(ちゃのま)家族がくつろぐ居間のこと。お茶を飲む場所としての由来
睦月(むつき)旧暦で1月を表す言葉。「親しみ合う月」という意味を持つ

【10】人間関係を映す言葉

人と人とのつながりを大切にしてきた日本の文化には、関係性や気持ちを丁寧に表す言葉が多く存在します。

言葉意味
恩義(おんぎ)他人から受けた恩に対して感じる義理や感謝の心
絆(きずな)人と人を結びつける深い関係やつながり
労(ろう)をねぎらう苦労や努力に感謝し、いたわること
配慮(はいりょ)相手の立場や気持ちを思いやること
礼儀(れいぎ)社会的なマナーや他人への敬意を示す態度
信頼(しんらい)相手を信じて頼りにする心
忠義(ちゅうぎ)主君や組織への誠実な忠誠心
義理(ぎり)人として守るべき道徳的なつながりや責任
情け(なさけ)人への思いやり、やさしさ
和(わ)調和、争わず穏やかに共存すること
育む(はぐくむ)愛情や信頼などを大切に育てること
気配り(きくばり)周囲に目を配り、配慮すること
慕情(ぼじょう)深く思い慕う気持ち。恋や家族への想いなど
友愛(ゆうあい)友人間の思いやりと友情
謝意(しゃい)感謝の気持ちを表す言葉や態度
恩返し(おんがえし)受けた恩に報いること
伴侶(はんりょ)人生をともに歩む相手、配偶者など
相思相愛(そうしそうあい)互いに思い合い、愛し合っている状態
親密(しんみつ)人間関係が非常に近しく、深い信頼があること
一蓮托生(いちれんたくしょう)運命を共にする、良いことも悪いことも一緒に受け入れる関係

よくある質問

Q&A

Q1. 美しい言葉を日常で使うにはどうすればいい?

A. 最初は、手紙やメール、SNSの投稿など、文章で使うことから始めるのがおすすめです。たとえば、「今日はいい天気だね」を「今日は空が澄んでいて気持ちいいね」と言い換えるだけでも、ぐっと印象が変わります。慣れてきたら、会話の中でも自然に使えるようになります。

Q2. 古語や難しい言葉は覚えるべき?

A. 無理に覚える必要はありませんが、響きや意味に興味を持ったものから少しずつ取り入れてみましょう。古語には現代語にない情緒や奥行きがあり、言葉の背景を知ることで感受性も豊かになります。

Q3. 子供にも「美しい日本語」を教えるべき?

A. はい、ぜひ教えてあげてください。簡単な言葉からでも、日本語の奥深さや美しさに触れることで、言葉を大切にする心が育ちます。絵本や季節の行事を通じて、楽しみながら学べる環境を作るのが効果的です。

Q4. 言葉の選び方で印象は変わる?

A. 大きく変わります。たとえば、同じ「うれしい」でも「喜悦」「歓喜」「心躍る」など言い換えることで、場面に応じたニュアンスを表現できます。語彙を増やすことで、より豊かで繊細なコミュニケーションが可能になります。

まとめ

日本語には、自然の美しさや人の感情、日常の情景を繊細に表現できる「美しい言葉」が数多く存在します。これらの言葉は、話し手の感性や品格を映し出すだけでなく、聞く人の心にもやさしく響きます。

今回ご紹介した200の言葉は、どれも日常に彩りを添えるものばかりです。少しずつでも使いながら、言葉の力を感じ、心豊かな毎日をお過ごしください。美しい日本語を大切にすることは、豊かな文化を未来へとつなげる一歩でもあります。