秋はいつからいつまで?何月?気象庁の定義とは

秋の清水寺

「秋って、いつからいつまでなの?」という疑問は、日常生活の中でふと感じるもののひとつです。夏の暑さが落ち着き、空が高く感じられるようになると、「もう秋かな」と感じる人も多いのではないでしょうか。しかし、「秋」という季節の範囲には、実は複数の定義が存在します。

たとえば、気象庁では秋を「9月から11月」として統計的に定義しており、季節予報や気候分析で使用されています。一方、伝統的な暦では「立秋」から「立冬」の前日までが秋とされ、文化や行事にも深く根付いています。

この記事では、「秋はいつからいつまでなのか?」という疑問に対して、気象庁の定義と暦の上での区分を比較しながら解説していきます。また、秋の季語や行事、代表的な花など、季節の魅力もたっぷりご紹介します。

この記事を読めば、「秋」を多角的に理解し、自然の移ろいをより豊かに楽しむヒントが見つかることでしょう。

秋はいつからいつまで?何月?

秋のキャンプ

気象庁が定義する「秋」

気象庁では、気温や気象データに基づいて四季を以下のように区分しています。その中で「秋」は9月1日から11月30日までの3か月間と定められています。

この定義は、季節予報や気候統計、天候レポートなどで広く使われており、平均気温の変化や自然現象を基にした実用的な分類です。紅葉や台風の季節としても知られ、この期間に秋特有の気象や行事が集中しています。

二十四節気に基づく「秋」

一方、古来の暦である「二十四節気」では、秋は立秋(8月7日ごろ)から立冬(11月7日ごろ)の前日までとされています。この区分は太陽の動き(太陽黄経)を基にしており、農作業や季節の行事の目安として使われてきました。

二十四節気における「秋」を構成する6つの節気は次のとおりです:

  • 立秋(りっしゅう):8月7日ごろ
  • 処暑(しょしょ)
  • 白露(はくろ)
  • 秋分(しゅうぶん)
  • 寒露(かんろ)
  • 霜降(そうこう):10月23日ごろ

気温的にはまだ暑さが残る8月上旬も「秋」とされるのが特徴です。

「秋は何月?」に対する答え

一般的な感覚で「秋は何月か?」と尋ねた場合、多くの人が9月・10月・11月と答えるでしょう。これは、学校の二学期が始まり、紅葉、食欲の秋、読書の秋といった行事や文化がこの時期に集中しているからです。

一方、暦の上では8月初旬からすでに「秋」に入るため、俳句などでは残暑の中にも秋の季語が使われます。つまり、「秋」という季節は、気象的・暦的・文化的にそれぞれ異なる捉え方があるのです。

気象庁による四季

日本の気象を管理する気象庁では、気温や天候の傾向に基づいて一年を「春・夏・秋・冬」の4つの季節に明確に区分しています。この分類は、気候統計や季節予報、天気予報などで広く活用されています。

以下は、気象庁が定義する四季の区分を表にまとめたものです。

季節期間特徴・気象の傾向
3月〜5月気温が徐々に上昇し、花が咲き始める。新生活の始まりもこの時期。
6月〜8月梅雨を含み、真夏の暑さが続く。台風の季節でもある。
9月〜11月気温が下がり始め、空気が澄む。紅葉や実りの季節。
12月〜2月最も寒い時期で、雪や乾燥が特徴的。

この定義は、地域ごとの気象のばらつきを平均化し、年間の気候変動を比較・分析するための基準として用いられています。また、日常生活でもこの区分に従って季節行事や衣替えなどが行われることが多いです。

暦の上での四季(二十四節気)

二十四節気(にじゅうしせっき)は、古代中国で生まれた太陽の動きを基にした暦法で、日本でも古くから季節の移ろいを知る目安として使われてきました。1年を24の節目に分け、春夏秋冬それぞれに6つの節気が割り当てられています。

以下は、二十四節気に基づく四季の区分を示した表です。

春(立春〜穀雨)

節気名新暦日付(目安)
立春2月2月4日ごろ
雨水2月2月19日ごろ
啓蟄3月3月6日ごろ
春分3月3月20日ごろ
清明4月4月5日ごろ
穀雨4月4月20日ごろ

夏(立夏〜大暑)

節気名新暦日付(目安)
立夏5月5月5日ごろ
小満5月5月21日ごろ
芒種6月6月6日ごろ
夏至6月6月21日ごろ
小暑7月7月7日ごろ
大暑7月7月23日ごろ

秋(立秋〜霜降)

節気名新暦日付(目安)
立秋8月8月7日ごろ
処暑8月8月23日ごろ
白露9月9月7日ごろ
秋分9月9月23日ごろ
寒露10月10月8日ごろ
霜降10月10月23日ごろ

冬(立冬〜大寒)

節気名新暦日付(目安)
立冬11月11月7日ごろ
小雪11月11月22日ごろ
大雪12月12月7日ごろ
冬至12月12月22日ごろ
小寒1月1月5日ごろ
大寒1月1月20日ごろ

この区分は、農作業や伝統行事の目安として重宝され、季語や年中行事にも深く影響を与えています。たとえば、「立秋」以降の暑さは「残暑」と呼ばれ、暦の上では秋であることを意味します。

現代の生活では気温や気象と若干のズレがありますが、二十四節気による四季の区分は、日本の季節感や文化を理解するうえで今なお大切な指標です。

秋を表す季語や挨拶

新米

秋は、自然が実りを迎え、空気が澄んでくる季節です。俳句や手紙の中では、そんな秋の情緒を伝えるための「季語」や「時候の挨拶」が数多く使われてきました。ここでは、代表的な秋の季語と、季節感を伝える挨拶文の例をご紹介します。

秋の代表的な季語

季語とは、俳句などで季節感を表現するために使われる言葉です。秋の季語には、自然、気候、行事、動植物など、さまざまなものがあります。

季語説明
秋風涼しく乾いた風。夏の終わりと秋の始まりを感じさせる。
月(名月)秋は月が美しく見える季節。十五夜や中秋の名月が詠まれる。
紅葉(もみじ)木々が赤や黄色に染まる秋の代表的な風景。
虫の声鈴虫やこおろぎなど、秋の夜を彩る自然の音。
新米秋に収穫される米。日本の食文化と深く結びついている。
彼岸花お彼岸の頃に咲く赤い花。秋の訪れを告げる花の一つ。

これらの季語を使うことで、言葉の中に深い季節感を込めることができます。

秋の時候の挨拶(手紙・ビジネス文書)

手紙や案内状の冒頭には、季節に応じた「時候の挨拶」を添えるのが日本の伝統的なマナーです。秋の時期に使える表現は以下の通りです。

時期挨拶例
初秋(8月中旬〜9月上旬)「初秋の候」「残暑なお厳しき折」
仲秋(9月中旬〜10月上旬)「秋涼の候」「天高く馬肥ゆる秋」
晩秋(10月中旬〜11月上旬)「深秋の候」「紅葉の美しい季節となりました」

これらの表現を添えることで、丁寧で情緒豊かな文章になります。フォーマルな手紙やメールだけでなく、季節のお便りや贈り物の挨拶文にも役立ちます。

秋の行事やイメージ

七五三

秋は「実りの秋」「芸術の秋」「読書の秋」など、さまざまなテーマで表現される季節です。気温が穏やかになり、空気が澄んでくるこの時期には、自然や文化を楽しむ行事や風物詩が数多くあります。

秋の主な行事

行事名時期内容・背景
十五夜(中秋の名月)9月中旬(旧暦8月15日)月を愛でる風習。団子やすすきを供える月見の行事。
敬老の日9月第3月曜日高齢者を敬い、長寿を祝う祝日。
秋分の日9月23日前後昼と夜の長さがほぼ等しい日。先祖を敬う行事が行われる。
運動会9月〜10月学校行事の定番。過ごしやすい気候を生かした屋外イベント。
文化祭・学園祭10月〜11月学校での文化活動を披露するイベント。芸術や表現を楽しむ機会。
七五三11月15日子どもの成長を祝う伝統行事。神社への参拝が行われる。

秋の風物詩・イメージ

秋には、視覚・味覚・聴覚を通じて感じる季節のイメージが豊富です。

  • 紅葉(こうよう):山々や街路樹が赤や黄色に染まる、日本ならではの絶景。
  • 秋刀魚(さんま):脂ののった魚が旬を迎える。焼きたての香りは秋の風物詩。
  • 稲刈り・新米:田んぼが黄金色に染まり、収穫の喜びが広がる季節。
  • 虫の声:夕方や夜に響く鈴虫やこおろぎの音が、静かな秋を感じさせる。
  • 澄んだ空と月:空が高く青く、夜には明るい月が映える秋特有の景色。

これらの行事や自然の変化は、心を落ち着ける効果もあり、多くの人にとって「自分と向き合う時間」が増える季節でもあります。

秋を代表する花【10種】

秋桜

秋は落ち着いた色合いと風情のある花が咲き誇る、美しい季節です。ここでは、日本の秋を代表する花を10種ご紹介します。

1. コスモス

  • 見頃:9月〜10月
  • 特徴:秋桜とも呼ばれる。ピンクや白の花が風に揺れる姿が可憐で、秋の代名詞。

2. 彼岸花(ひがんばな)

  • 見頃:9月中旬
  • 特徴:お彼岸の頃に咲く赤い花。別名「曼珠沙華」。神秘的な雰囲気で知られる。

3. 菊(きく)

  • 見頃:10月〜11月
  • 特徴:日本の国花。気品ある姿と香りが特徴で、菊花展や仏花にも用いられる。

4. 秋明菊(しゅうめいぎく)

  • 見頃:9月〜10月
  • 特徴:アネモネの仲間で、優雅な姿が庭を彩る。白やピンクが一般的。

5. フジバカマ

  • 見頃:9月〜10月
  • 特徴:古典にも詠まれた秋の七草の一つ。淡紫色の小花が群れて咲く。

6. オミナエシ(女郎花)

  • 見頃:8月〜9月
  • 特徴:細かい黄色の花が集まって咲く。秋の七草の一つで、優美な印象。

7. ススキ

  • 見頃:9月〜11月
  • 特徴:秋の風物詩。風に揺れる穂が美しく、月見にも欠かせない植物。

8. ダリア

  • 見頃:9月〜10月
  • 特徴:色とりどりの大輪の花。園芸品種も多く、豪華な印象。

9. サザンカ(山茶花)

  • 見頃:11月〜12月
  • 特徴:秋から冬にかけて咲く常緑低木。早咲きは秋の花として親しまれる。

10. ホトトギス

  • 見頃:9月〜10月
  • 特徴:斑点模様のある個性的な花。山野草として人気が高い秋の花。

よくある質問

ハテナマーク

ここでは、「秋はいつからいつまで?」というテーマに関して、読者からよく寄せられる質問にQ&A形式でお答えします。


Q1. 気象庁が定義する「秋」はいつからいつまで?

A. 気象庁では「秋」を9月1日から11月30日までと定義しています。この区分は気候統計や天候予報、報道などで使われる実務的なものです。


Q2. 暦の上では秋はいつ始まるのですか?

A. 暦の上では「立秋」(8月7日ごろ)から「立冬」(11月7日ごろ)の前日までが秋とされています。二十四節気に基づく伝統的な季節の区分です。


Q3. 実際に秋を感じるのはいつごろ?

A. 一般的には、9月中旬以降、朝晩が涼しくなり、空が高く澄んでくる頃に「秋らしさ」を感じる人が多いです。特に紅葉が始まる10月以降に秋を実感することが多いでしょう。


Q4. 秋と残暑はどう違うのですか?

A. 暦の上では8月7日ごろから秋ですが、実際の気温はまだ高く、夏の暑さが続くため、その期間を「残暑(ざんしょ)」と呼びます。残暑はお盆前後〜9月上旬までが一般的です。


Q5. 地域によって秋の感じ方は違いますか?

A. はい、日本は南北に長いため、秋の始まりや気候に地域差があります。北海道では9月から本格的な秋に入りますが、沖縄では10月になっても夏のような日が続くこともあります。

まとめ

「秋はいつからいつまで?」という疑問には、気象庁と暦の上で異なる定義があることがわかりました。気象庁では9月から11月を「秋」としており、気候統計や天気予報などで実用的に使用されています。一方、暦の上では立秋(8月7日ごろ)から立冬(11月7日ごろ)の前日までが秋とされ、俳句や行事に反映される文化的な季節感とされています。

秋は月見や紅葉狩りなどの風物詩が多く、涼やかな空気とともに自然や文化を楽しむのに適した季節です。また、コスモスや菊などの花々も、視覚的に秋の美しさを表現しています。この記事では、気象・暦・文化の3つの視点から秋を総合的に紹介しました。こうした多角的な理解を通じて、日本の四季をより深く味わえるきっかけになれば幸いです。