概要と内容の違い|決定的な違いが丸わかり【例文60】

内容説明

「概要」と「内容」。どちらも情報を伝える際によく使われる言葉ですが、この2つを明確に使い分けられている人は意外と少ないかもしれません。

たとえば「企画の概要をまとめてください」と言われたときと、「企画の内容を教えてください」と言われたときでは、求められる情報の粒度が違います。「概要」は全体像や要点だけを端的に伝えるものですが、「内容」はその中に含まれる構成や具体的な情報までを含みます。

この違いを理解していないと、冗長な説明になったり、逆に情報が足りなかったりして、相手に誤解を与えてしまうことがあります。

本記事では、「概要」と「内容」の意味を整理し、両者の違いを表形式で明確に比較したうえで、各シーンにおける自然な使い方、よくある誤用、言い換え表現、英語での対応表現までを60の例文とともに解説します。文章力と伝達力を向上させるための基礎として、ぜひご活用ください。

目次

「概要」と「内容」の違い・使い分け

発見マーク

「概要」と「内容」は、どちらも情報に関わる言葉ですが、その性質と使い方にははっきりとした違いがあります。以下の表で、両者の違いを視覚的にわかりやすくまとめます。

項目概要(がいよう)内容(ないよう)
意味全体の要点や要旨を簡潔にまとめたもの実際に含まれている具体的な情報、中身
情報の粒度大まか・要約レベル詳細・深掘りされた情報
用途全体像を短時間で伝えるための紹介詳しい情報を正確に把握するための記述
表現形式箇条書き・短文・まとめ文構成文・本文・個別項目
主な使い道企画書の冒頭、プレゼンの導入、要約文契約内容、報告書本文、教材や文章の中身
英語表現summary, outline, overviewcontent, substance, information

決定的な違い

  • 概要は「要点のまとめ」。読み手に全体像だけを把握してもらうためのものです。
  • 内容は「本体の中身」。読み手が詳細まで理解・判断するための情報です。

たとえば、報告書であれば「概要」は冒頭に書く要点のまとめで、「内容」はその後に続く本文部分にあたります。

「概要」の意味

「概要(がいよう)」とは、物事の大まかな内容や要点を簡潔にまとめたものを指します。細かい部分や詳細には立ち入らず、全体の構成や流れ、主旨などのエッセンスを抜き出して記述するのが特徴です。

主な定義

  • 全体の要点・要旨を簡単にまとめたもの
  • 詳細を省き、読者・聞き手が全体像をつかめるようにした説明

使用される場面

  • 報告書の冒頭(目的や結論の要約)
  • 企画書の「概要欄」
  • プロジェクトやサービスの紹介文
  • 書籍・論文などの「概要説明」

概要は、「全体像を短時間で理解してもらう」ことを目的としており、情報の整理力や要約力が求められます。

「内容」の意味

「内容(ないよう)」とは、ある物事や文書、話の中に含まれている具体的な中身を指します。これは、構成・主張・要素・事実など、実際に存在する情報そのものであり、「概要」のように簡略化・要約されたものではありません。

主な定義

  • 文章や会話、企画、資料などに含まれる具体的な情報
  • 構成・要素・考え方・事実などの集合体

使用される場面

  • 書籍・記事の中身を説明するとき
  • 契約書・報告書などの具体的事項
  • 授業や講演での中身を指すとき
  • 提案・案内・サービスの詳細を述べるとき

「内容」は、実際に伝えたい情報の“本体”であり、読む・聞く対象に対して理解の深さや正確さを求める場面で使用されます。

「概要」を使うシーン

パソコンに向き合う人

「概要」は、相手に手短に全体像や要点を伝えたいときに使われる表現です。文書や会話の冒頭などで使われ、細かい情報に入る前の「導入」として機能します。

①ビジネス文書・報告書

  • 報告書や企画書の冒頭に、全体像を把握させる目的で使用されます。
  • 例:プロジェクトの概要、調査の概要、提案の概要

②プレゼンテーション・会議

  • 聴衆にテーマの全体像をつかんでもらうために冒頭で提示されます。
  • 例:発表の概要、議題の概要

③サービス・商品説明

  • 商品やサービスの要点を一目で理解してもらうための説明文に使われます。
  • 例:サービス概要、機能概要

④メール・案内文

  • 忙しい相手に短く情報を伝えるとき、冒頭で「概要」を述べると親切です。
  • 例:案件の概要、依頼の概要

⑤学術・研究・出版

  • 論文や書籍などで、内容を簡潔に紹介する要約部分に使われます。
  • 例:研究概要、書籍の概要

このように「概要」は、相手に要点だけを端的に伝えたい場面で非常に有効な言葉です。

シーン別「概要」の使い方【例文20】

「概要」は、全体像や要点を簡潔に伝えるときに使われます。以下では、さまざまな場面で自然に使える例文を20個紹介します。

ビジネス・業務文書

① この企画の概要を5行以内でまとめてください。
② 調査の概要は報告書の1ページ目に記載しています。
③ 会議の議題概要を事前に共有します。
④ 提案概要をプレゼン資料にまとめました。
⑤ 新システム導入の概要を上層部に説明しました。
⑥ 契約概要を簡潔に説明した文書を添付しています。

プレゼン・会議

⑦ 発表の冒頭で概要をお話しします。
⑧ このスライドではプロジェクトの概要を説明します。
⑨ 本日の会議の概要は以下の3点です。
⑩ 新商品発表の概要はすでに通知済みです。
⑪ 概要を先に伝えることで話の全体像がつかめます。

サービス・商品案内

⑫ サービスの概要をWebサイトに掲載しました。
⑬ 機能概要はパンフレットに記載しています。
⑭ 商品概要は以下の通りです。
⑮ ご案内メールに概要を記載しております。

学術・出版・その他

⑯ 論文の概要は要約欄をご覧ください。
⑰ 書籍の概要を表紙裏に掲載しています。
⑱ 研究概要をポスターにまとめました。
⑲ 研修の概要を簡単に説明しました。
⑳ アンケートの概要をメールで共有します。

「内容」を使うシーン

内容説明

「内容」は、文章・資料・会話などに含まれている実際の中身や構成、要素を表す言葉です。情報を正確に伝えることが求められる場面で使用されます。

①契約・ビジネス文書

  • 契約や合意文書で、条件や条項の中身を説明する際に使います。
  • 例:契約内容、議事録の内容、依頼内容

②教育・学習・研修

  • 授業・講義・セミナーで取り扱うテーマやトピックの中身を示す際に使います。
  • 例:授業の内容、教材の内容、研修内容

③メディア・出版・記事

  • 書籍・映画・記事などの「中身そのもの」を示す表現として用いられます。
  • 例:記事の内容、本の内容、動画の内容

④案内・説明・報告

  • 提案・報告・通知などで、実際に伝えるべき情報を指します。
  • 例:説明の内容、報告の内容、案内の内容

⑤日常会話・連絡

  • 会話やメッセージで「何を話すか」「どんな話か」を表現するときに使われます。
  • 例:話の内容、連絡内容、相談内容

「内容」は、全体像ではなく、実際の中身そのものに焦点を当てているため、理解を深めたいときや正確さが求められる場面に適しています。

シーン別「内容」の使い方【例文20】

「内容」は、あるものに含まれている具体的な情報そのものを指します。以下では、ビジネス、教育、日常など多様なシーンで使える例文を紹介します。

ビジネス・契約

① 契約内容を正確に理解することが重要です。
② 提案書の内容を社内で検討します。
③ 会議の内容を議事録にまとめました。
④ 打ち合わせの内容を関係者に共有しました。
⑤ メールの内容が曖昧で確認が必要です。
⑥ サービス内容に変更があった場合は通知します。

教育・学習

⑦ 授業の内容をノートにしっかり記録しました。
⑧ 教材の内容が難しくて理解に時間がかかる。
⑨ 研修の内容は現場で即活用できます。
⑩ 講義内容を資料として配布しました。

メディア・出版

⑪ この本の内容は初心者向けです。
⑫ 記事の内容が事実と異なる可能性があります。
⑬ 動画の内容についてコメントを求められた。
⑭ ドラマの内容が予想外で面白かった。

説明・連絡

⑮ 報告内容に不足がないか確認してください。
⑯ 説明の内容を理解するまでに時間がかかりました。
⑰ 連絡内容を部内に展開しました。
⑱ 案内内容が明確でわかりやすいです。

日常会話

⑲ その話の内容をもっと詳しく聞かせて。
⑳ 昨日の相談内容を覚えていますか?

「概要」と「内容」間違えやすい使い方【例文20】

マルバツ

「概要」と「内容」は混同されがちですが、使い方を間違えると意味が通じにくくなります。ここでは、誤用と正しい使い方を対比形式で紹介します。

ビジネス文書

① 誤:企画の内容を3行でまとめてください。
 正:企画の概要を3行でまとめてください。

② 誤:報告書の概要を詳しく書いてください。
 正:報告書の内容を詳しく書いてください。

③ 誤:会議の内容は箇条書きで十分です。
 正:会議の概要は箇条書きで十分です。

④ 誤:この提案の概要には細かなデータも含まれています。
 正:この提案の内容には細かなデータも含まれています。

⑤ 誤:発表の内容だけを一読しました。
 正:発表の概要だけを一読しました。

⑥ 誤:契約の概要は条件や条項まで記載されています。
 正:契約の内容は条件や条項まで記載されています。

メール・連絡

⑦ 誤:メールの概要が不明確です。
 正:メールの内容が不明確です。

⑧ 誤:案件の内容は簡潔にまとめておいてください。
 正:案件の概要は簡潔にまとめておいてください。

⑨ 誤:連絡の概要に間違いがありました。
 正:連絡の内容に間違いがありました。

⑩ 誤:説明の概要を30分かけて行いました。
 正:説明の内容を30分かけて行いました。

⑪ 誤:概要に事実と異なる点が含まれています。
 正:内容に事実と異なる点が含まれています。

教育・学習

⑫ 誤:講義の概要をすべて書き写しました。
 正:講義の内容をすべて書き写しました。

⑬ 誤:授業の内容を1行で説明してください。
 正:授業の概要を1行で説明してください。

⑭ 誤:教材の概要には具体的な解説が載っています。
 正:教材の内容には具体的な解説が載っています。

⑮ 誤:学習概要を深く理解する必要があります。
 正:学習内容を深く理解する必要があります。

⑯ 誤:この問題の概要は計算方法に関するものです。
 正:この問題の内容は計算方法に関するものです。

その他

⑰ 誤:動画の概要をしっかり見ておいてください。
 正:動画の内容をしっかり見ておいてください。

⑱ 誤:プレゼンの概要に感動しました。
 正:プレゼンの内容に感動しました。

⑲ 誤:記事の概要だけで判断しないでください。
 正:記事の内容だけで判断しないでください。

⑳ 誤:サービス概要を細かくご説明いたします。
 正:サービス内容を細かくご説明いたします。

「概要」の類語(言い換え)・英語表現

「概要」は、要点を短くまとめて伝える言葉です。文脈に応じて適切に言い換えることで、表現がより自然になります。

「概要」の類語(言い換え)

類語解説例文
要点特に重要なポイントを絞った表現会議の要点を3つに絞って説明します。
概略全体をざっくりと示したもの本件の概略は別紙をご参照ください。
要旨趣旨や主張の中心部分論文の要旨を読んでから本文に進んでください。
サマリー簡単なまとめ、要約(カタカナ表現)サマリー資料を先に共有します。
概観表面的・広範な視点から見たまとめ市場の概観を把握するための資料です。

「概要」の英語表現

英語解説例文
summary全体の要約、一般的な表現Please review the project summary.
overview広い視点で捉えたまとめThis document provides an overview of the proposal.
outline骨組みを簡潔に示したものHere is the outline of the presentation.
abstract論文などの要約に使われる語Read the abstract before diving into the full report.
gist話や文章の要点をつかむ表現The gist of his speech was very clear.

「概要」は要約力や情報整理力が求められるため、場面ごとに適切な言い換えを使い分けると、読み手にとってより理解しやすい文章になります。

「内容」の類語(言い換え)・英語表現

「内容」は、物事に含まれている情報や構成の中身を意味します。文章の流れや文脈に応じて、適切な言い換えを使うことで表現の幅が広がります。

「内容」の類語(言い換え)

類語解説例文
中身実際に含まれている要素この文章の中身がよく理解できませんでした。
構成組み立てられた要素の配置や順序プレゼンの構成と内容を整理し直しました。
要素構成する一つ一つの情報プロジェクトの重要な要素を再確認しました。
本文文書の主たる中身本文の内容をもう少し具体的にしてください。
データ数値や事実などの具体的な情報内容に信頼できるデータを追加してください。

「内容」の英語表現

英語解説例文
content一般的な「内容」The content of this report is well-organized.
substance主張や話の「実質的な中身」The substance of his argument was quite convincing.
subject扱っている「主題・テーマ」The subject matter is complex but important.
details内容の細部に焦点を当てるLet’s go over the details of the contract.
information提供される具体的な情報This website offers useful information on the topic.

「内容」は文脈によって求められる情報の深さや性質が異なるため、細部か全体か、抽象か具体かを意識して使い分けましょう。

よくある質問

Q&A

Q1:「概要」と「内容」の最大の違いは何ですか?

A: 概要は「要点を簡潔にまとめたもの」であり、全体像や方向性をざっくりと伝えるのに使います。一方、内容は「実際の中身」であり、詳細や構成など含まれる情報そのものを指します。


Q2:「概要だけ読む」とは、どこまでを指しますか?

A: 一般的には、文書や発表の冒頭にある「要点のみのまとめ」を読むことを意味します。細部や背景情報は含まれません。要点を把握したいときに有効な読み方です。


Q3:「概要と内容の両方を書く」と言われたら、どうすればよい?

A: まず「概要」で全体の流れや要点を短くまとめたあとに、「内容」で各項目を順を追って詳しく記述します。構成としては「概要→本文」という順番が基本です。


Q4:ビジネスメールではどちらを使えば良いですか?

A: 初めて相手に情報を伝える場合は「概要」で要点をまとめ、その後に「内容」で具体的な説明を加えるのが丁寧な構成です。内容だけだと冗長になりやすいため、まず概要を示すと親切です。


Q5:英語ではどちらの表現を選べば良いですか?

A: 「概要」は summaryoverview、「内容」は contentdetails を使います。場面に応じて使い分けることが重要です。

まとめ

「概要」と「内容」は、どちらも情報を伝える上で欠かせない言葉ですが、役割と使い方には明確な違いがあります。「概要」は、要点や全体像を簡潔に伝えるためのもの。一方、「内容」は、その中に含まれる具体的な中身そのもので、詳細までを含む表現です。

この記事では、両者の意味の違いを表形式で比較し、実際の使用シーンに即した例文60選や言い換え表現、間違えやすい使い方、よくある質問まで幅広く解説しました。適切な使い分けを身につけることで、伝える力が向上し、ビジネスでも学術的な文脈でも正確かつ効果的な表現が可能になります。