夏はいつからいつまで?何月?気象庁の定義とは

海

「夏って、いつから始まって、いつ終わるの?」——この疑問を一度は感じたことがあるのではないでしょうか。日常生活の中では、「梅雨が明けたら夏本番」と思っていたり、「8月が終われば秋」となんとなく考えていたりする方も多いはずです。しかし、実は「夏」という季節の定義には、いくつかの異なる基準が存在します。

たとえば、気象庁が定める定義と、古くからの暦に基づく「二十四節気」では、夏の期間は少し異なります。また、俳句や手紙で使われる季語や挨拶にも、夏らしさを表現する言葉がたくさんあります。

本記事では、「夏はいつからいつまで?」という疑問に対して、以下のような複数の視点からわかりやすく解説していきます。

  • 気象庁や暦の上での定義
  • 二十四節気による季節の区分
  • 夏を象徴する行事や風物詩
  • 夏を彩る代表的な花や季語

この記事を通して、自然と文化に彩られた日本の「夏」について、より深く理解していただけたら幸いです。

夏はいつからいつまで?何月?

カレンダー

「夏がいつからいつまでか?」という問いには、気象庁では6月から8月、暦の上では5月から8月初旬という2つの答えが存在します。目的や文脈によって、適切な定義を使い分けることが大切です。

気象庁が定義する「夏」

気象庁では、気温や降水量などの気象データに基づき、四季を次のように区分しています。その中で「夏」は6月1日から8月31日までの3か月間と定義されています。

この定義は、季節ごとの天候の傾向を把握しやすくするために設けられており、長期予報や気候統計の資料でも、「夏=6月~8月」として扱われています。

たとえば、毎年発表される「夏の天候のまとめ」や「季節予報」などでも、この期間を基準に天候の変化や異常気象が分析されています。

暦の上での「夏」

一方、古来の暦である二十四節気では、「立夏(5月5日ごろ)」から「立秋(8月7日ごろ)」の前日までを「夏」としています。こちらは太陽の動き(太陽黄経)をもとにした区分で、気象とは異なる視点から季節をとらえています。

  • 立夏:5月5日ごろ。暦の上での夏の始まり。
  • 立秋:8月7日ごろ。暦の上での秋の始まり。

したがって、暦の上では夏は5月初旬から8月初旬までということになります。

「夏は何月?」に対する答え

一般的な感覚で「夏は何月?」と聞かれた場合、答えは多くの人にとって「6月から8月」となるでしょう。これは、学校の夏休みや花火大会、夏祭りなどの多くがこの時期に集中していること、そして気象庁の定義も一致していることが理由です。

ただし、北海道など涼しい地域や、沖縄のように暖かい地域では体感的な「夏の長さ」に差があり、同じ日本国内でも「夏」の感覚が少し異なる場合があります。

気象庁による四季

季節月の範囲説明
3月〜5月気温が上昇し、桜や新緑の季節。穏やかな天候が多い。
6月〜8月梅雨を含みつつ、気温が高く蒸し暑い真夏を迎える時期。
9月〜11月気温が下がり、紅葉が始まる。天候は比較的安定する。
12月〜2月気温が低く、降雪が見られる寒冷期。

この区分は、気象庁が発表する季節予報や気候統計で公式に使用されており、一般的な感覚とも一致しています。特に、長期予報(「今夏の天候」など)や災害情報(「冬の気象」など)では、この四季区分に基づいた情報提供が行われます。

暦の上での四季(二十四節気)

二十四節気とは?

「二十四節気(にじゅうしせっき)」とは、太陽の動きを基に1年を24の節目に分けた、古代中国発祥の暦法で、日本にも平安時代以降に取り入れられました。農業の目安として活用されてきたため、自然の移り変わりに非常に敏感な仕組みとなっています。

太陽が1年で通る軌道(黄道)を360度とし、それを15度ずつに区切ることで、約15日ごとに季節の変化を知らせる節気が設けられています。

①春(立春~穀雨)

節気名新暦日付(目安)
立春2月2月4日ごろ
雨水2月2月19日ごろ
啓蟄3月3月6日ごろ
春分3月3月20日ごろ
清明4月4月5日ごろ
穀雨4月4月20日ごろ

②夏(立夏~大暑)

節気名新暦日付(目安)
立夏5月5月5日ごろ
小満5月5月21日ごろ
芒種6月6月6日ごろ
夏至6月6月21日ごろ
小暑7月7月7日ごろ
大暑7月7月23日ごろ

③秋(立秋~霜降)

節気名新暦日付(目安)
立秋8月8月7日ごろ
処暑8月8月23日ごろ
白露9月9月7日ごろ
秋分9月9月23日ごろ
寒露10月10月8日ごろ
霜降10月10月23日ごろ

④冬(立冬~大寒)

節気名新暦日付(目安)
立冬11月11月7日ごろ
小雪11月11月22日ごろ
大雪12月12月7日ごろ
冬至12月12月22日ごろ
小寒1月1月5日ごろ
大寒1月1月20日ごろ

現代とのズレ

二十四節気の季節感は、農耕社会に適した形で成立しているため、現代の気温や生活サイクルとは若干のズレがあります。たとえば、立秋(8月上旬)に「秋の訪れ」とされても、現代ではまだ真夏のような暑さが続くことが多いです。

それでも、日本の四季の美しさや自然との調和を感じられる基準として、二十四節気は今でも広く親しまれています。

夏を表す季語や挨拶

浴衣

日本語の美しさを感じさせる特徴のひとつに、「季語(きご)」があります。季語とは、俳句や短歌などにおいて季節感を表すために使われる言葉で、四季折々の自然や行事、風物詩が凝縮されています。夏にも多くの季語や挨拶表現があり、日本人の感性や文化を豊かに伝えてくれます。

夏の代表的な季語

夏の季語は、初夏・仲夏・晩夏と時期ごとに分類されることもありますが、ここでは一般的に使われる主な季語をご紹介します。

季語意味・背景
夏至夏の真ん中、日が最も長い時期
蚊取り線香夏の風物詩。虫除けとして用いられる香りのある渦巻き線香
向日葵(ひまわり)夏を象徴する花。太陽に向かって咲く姿が印象的
夕立夏の午後に突然降る激しい雨
涼風(すずかぜ)暑い中に感じる涼しい風
打ち水地面に水をまいて気温を下げる、昔ながらの涼の取り方
蝉(せみ)夏の到来を知らせる昆虫。鳴き声が季節感を演出

これらの季語は、俳句だけでなく、季節のあいさつ文や広告コピーなどでも広く使われています。

夏の季節の挨拶(時候の挨拶)

ビジネス文書や手紙でも使われる「時候の挨拶」は、季節を感じさせる文章の冒頭に添えられる定型句です。夏の挨拶文には以下のようなものがあります。

時期時候の挨拶(例)
初夏(6月)「初夏の候」「若葉青葉の美しい季節となりました」
盛夏(7月)「盛夏の候」「暑さ厳しき折、いかがお過ごしでしょうか」
晩夏(8月)「晩夏の候」「残暑なお厳しき毎日が続いております」

また、夏には「暑中見舞い」や「残暑見舞い」といった季節の挨拶状を出す習慣もあります。これは、相手の健康を気遣う丁寧な日本文化の一例です。

  • 暑中見舞い:梅雨明け~立秋前(7月中旬~8月初旬)
  • 残暑見舞い:立秋(8月7日ごろ)以降

これらの挨拶を通して、気遣いや礼節を表すと同時に、夏の季節感を相手に届けることができます。

夏の行事やイメージ

風鈴

日本の夏は、自然の変化だけでなく、季節ごとの行事や風物詩によっても強く印象づけられています。ここでは、夏ならではの代表的な行事や、夏を象徴するイメージについて紹介します。

夏の代表的な行事

行事名内容・背景
七夕(たなばた)7月7日。織姫と彦星が年に一度会う日。短冊に願い事を書き、笹に飾る風習があります。
海開き6月〜7月にかけて各地の海水浴場で行われる、安全祈願とシーズン開始のイベント。
花火大会7月~8月に全国で開催。夜空を彩る花火は夏の風物詩のひとつ。
夏祭り(盆踊り)地域の神社や町内会で行われる伝統行事。屋台や盆踊りで賑わいを見せます。
お盆(盂蘭盆会)8月13日~16日。祖先の霊を迎え、供養する行事。帰省ラッシュの時期でもあります。
甲子園(高校野球)8月に行われる全国高校野球選手権大会。熱い青春の象徴として知られています。

夏を連想させる風物詩・イメージ

風物詩説明
スイカ夏の果物の代表格。水分が多く、暑さを癒してくれます。
風鈴風の音で涼を感じるための工夫。音そのものが夏の象徴。
蚊取り線香夏の虫除けアイテムとして、日本の家庭で長く親しまれています。
うちわ・扇子風を送って涼をとる昔ながらの道具。祭りでも活躍します。
かき氷暑さを和らげる冷たいスイーツ。色とりどりのシロップも楽しい要素。
セミの鳴き声夏の到来を知らせる自然の音。種類によって鳴き声も異なります。

これらの行事や風物詩は、季節感だけでなく、日本の伝統や文化とも深く結びついており、「日本の夏」を語るうえで欠かせない要素です。

夏を代表する花【10種】

朝顔

日本の夏は多くの美しい花々に彩られます。鮮やかな色や力強い咲き方が特徴的で、季節感や情緒を伝える存在としても親しまれています。ここでは、夏を代表する花を10種類紹介します。

①向日葵(ひまわり)

  • 開花時期:7月~8月
  • 特徴:太陽に向かって花を咲かせることから、「太陽の花」とも呼ばれる。夏の象徴的な存在。

②朝顔(あさがお)

  • 開花時期:7月~9月
  • 特徴:夏の朝に花を咲かせ、昼にはしぼむ。小学生の観察日記にも登場する、親しみ深い花。

③百日紅(さるすべり)

  • 開花時期:7月~9月
  • 特徴:長期間にわたって咲き続ける。幹が滑らかで、猿も滑ることからこの名が付いた。

④蓮(はす)

  • 開花時期:7月~8月
  • 特徴:泥の中から美しい花を咲かせる姿が、仏教の象徴とされる。清らかさを表す。

⑤合歓木(ねむのき)

  • 開花時期:6月~7月
  • 特徴:ふわふわした桃色の花を夜に閉じることから「眠る木」とも呼ばれる。

⑥浜昼顔(はまひるがお)

  • 開花時期:5月~8月
  • 特徴:海岸近くに自生する、淡いピンクの花。砂浜に咲くことで夏らしさを演出。

⑦芙蓉(ふよう)

  • 開花時期:8月~10月
  • 特徴:ハイビスカスに似た大輪の花で、1日花(その日のうちにしぼむ)が特徴。

⑧夾竹桃(きょうちくとう)

  • 開花時期:6月~9月
  • 特徴:街路樹としても見かける花。強い毒性を持つため、扱いには注意が必要。

⑨桔梗(ききょう)

  • 開花時期:6月~9月
  • 特徴:五角形の可憐な青紫色の花。古くから和歌や家紋にも登場する日本的な花。

⑩ハイビスカス

  • 開花時期:6月~10月
  • 特徴:南国を代表する鮮やかな花。沖縄やリゾートのイメージが強い。

よくある質問

Q&A

ここでは、「夏はいつからいつまで?」というテーマに関連して、読者からよく寄せられる疑問について、Q&A形式で解説します。


Q1. 夏は6月から始まると聞きましたが、まだ涼しい日も多いのでは?

A. 気象庁では「夏」を6月〜8月と定義していますが、6月上旬は梅雨入りする地域も多く、実際には涼しい日もあります。そのため、体感的な「夏の始まり」は、梅雨明け後の7月中旬ごろと考える人も少なくありません。


Q2. 暦の上では夏は5月から始まるって本当ですか?

A. はい、本当です。暦(=二十四節気)では、5月5日ごろの「立夏」からが夏の始まりとされています。ただしこれは気候ではなく、太陽の動きに基づく伝統的な区分です。


Q3. 「夏休み」はなぜ7月後半から始まるのですか?

A. 多くの学校では、7月下旬から8月末までを「夏休み」としています。これは、実際に最も暑く、また旧暦のお盆(8月15日)を含むため、長期の休暇として定着しました。学年末や試験日程との調整も影響しています。


Q4. 夏の終わりはいつ頃と考えるのが一般的ですか?

A. 気象庁の定義では8月31日までが夏ですが、体感的には「お盆を過ぎたら秋の気配」と感じる人も多いです。また、8月7日ごろの「立秋」以降は暦の上で秋となるため、8月は「夏の終わりと秋の始まり」が重なる時期とも言えます。


Q5. 地域によって「夏の長さ」に違いはありますか?

A. はい、日本は南北に長いため、地域によって夏の気温や期間に違いがあります。たとえば、北海道では7月中旬~8月下旬が夏のピークで、沖縄では5月から10月ごろまで夏のような気候が続きます。

まとめ

「夏はいつからいつまで?」という素朴な疑問には、実はさまざまな視点が存在します。気象庁では、気候データに基づき6月1日から8月31日までを「夏」と定義しており、天気予報や気候統計などもこの期間を基準としています。一方、古来の暦である二十四節気では、5月上旬の「立夏」から8月上旬の「立秋」の前日までが夏とされ、太陽の動きを基にした自然と調和した季節感が表現されています。

また、夏には七夕や花火大会、盆踊りなど、日本独自の行事や風物詩が豊富にあり、季語や時候の挨拶にも四季を尊ぶ文化が反映されています。さらに、向日葵や朝顔など、夏を代表する花々が季節の彩りを添えます。

このように、「夏」を理解するには気象的・暦的・文化的な観点が必要です。それぞれの視点を知ることで、季節の移ろいをより深く感じ、日々の生活の中でも夏の魅力を一層味わうことができるでしょう。