「関心」と「感心」の違い【例文60】使い方完全マスター

日本語には、似た音や漢字を持ちながらも、意味や使い方が異なる言葉が数多く存在します。その中でも、「関心」と「感心」は非常によく似た響きを持ち、間違えて使ってしまうことも少なくありません。
例えば、
- 「彼の話にかんしんを持った」
- 「彼の行動にかんしんした」
この2つの「かんしん」は、漢字が違い、意味も異なります。
本記事では、こうした混同しやすい「関心」と「感心」の違いを、意味の解説はもちろん、実際の使用例(例文60個)や使い分けのコツ、さらに類語や英語表現も交えて詳しく解説します。言葉の正しい使い方を身につけることで、コミュニケーション力や文章力がぐっと高まります。ぜひ最後までお読みください。
目次
「関心」と「感心」の違い

「関心」と「感心」は、音が同じ「かんしん」ですが、意味や使い方には明確な違いがあります。以下の表にその違いをまとめました。
項目 | 関心(かんしん) | 感心(かんしん) |
---|---|---|
意味 | 興味や関与の気持ち | 立派だと感じる、称賛や驚きの感情 |
感情の方向性 | 興味・注意 | 賞賛・敬意・驚き |
主な対象 | 出来事、物事、社会問題、人の活動など | 人の行動、態度、努力、性格など |
ポジティブ・ネガティブ | 中立~ややポジティブ | 基本的にポジティブ(皮肉として使うことも) |
例文 | 環境問題に関心がある | 彼の礼儀正しさには感心する |
英語訳(代表例) | interest, concern | admiration, impressed |
- 「関心」は「関わりたい」「もっと知りたい」という気持ち。
- 「感心」は「すごいなあ」と感じる気持ち。
つまり、「関心」は興味の入口にあり、「感心」はすでに相手の行動などを見て感情が動いた後に使われます。
「関心」の意味

「関心(かんしん)」とは、物事に対して興味や関与の気持ちを持つことを指します。ある対象について「もっと知りたい」「注意を向けたい」と思う気持ちがあるときに使われます。
特徴
- 感情の種類:興味・注意・関与
- 対象:人、出来事、物事、社会問題など
- 使われる場面:学問・仕事・社会ニュース・趣味・日常会話
例えば、「環境問題に関心がある」という場合は、「環境問題について興味や注意を持っている」という意味になります。
「関心」はポジティブな感情だけでなく、ある事柄に対して単に注意を払っている状態でも使われます。そのため、必ずしも「良い意味」ばかりとは限りません。
「感心」の意味

「感心(かんしん)」とは、ある人の行動や考え方、物事の様子に対して「立派だ」「すばらしい」と感じ、心から称賛や驚きの気持ちを持つことを意味します。
特徴
- 感情の種類:賞賛・敬意・驚き
- 対象:人の行動、態度、努力、考え方など
- 使われる場面:人間関係・教育・ビジネス・日常の会話
例えば、「子どもが自分で片づけをしていて感心した」という場合、その行動に対して「立派だ」と思った気持ちを表しています。
「感心」は、基本的にポジティブな意味合いで使われますが、皮肉や皮肉混じりに使われることもあるため、文脈に注意が必要です(例:「そこまでやるとは感心だね…」など)。
「関心」と「感心」の使い分け

「関心」と「感心」は、使う場面を間違えると意味が通じにくくなったり、相手に誤解を与えてしまったりすることがあります。正しく使い分けるためのポイントを以下にまとめます。
判断のポイント
チェック項目 | 該当する場合に使う言葉 |
---|---|
興味や注意が向いているか? | 関心 |
行動や態度を立派だと感じたか? | 感心 |
「もっと知りたい」と思ったか? | 関心 |
「すごいな」と思ったか? | 感心 |
シチュエーション別の使い分け
シチュエーション | 正しい使い方 | 誤用例(注意) |
---|---|---|
社会問題に興味がある | 環境問題に関心がある | 環境問題に感心がある(×) |
子どもの礼儀正しさに驚いた | 子どもの態度には本当に感心した | 子どもの態度には本当に関心した(×) |
新しい技術に興味を持った | AI技術に関心がある | AI技術に感心がある(×) |
部下が早朝から自習していたのに驚いた | 部下の努力には感心する | 部下の努力には関心する(×) |
覚え方のコツ
- 「関心」は関わりたいと思う気持ち
- 「感心」は感動して賞賛する気持ち
このように、心の動きが「興味」なのか「称賛」なのかを意識することで、正しく使い分けることができます。
「関心」の使い方【例文20】

「関心」は、物事に対する興味や注意、関わりたいという気持ちを表す際に使います。以下の例文を通じて、さまざまな場面での自然な使い方を確認しましょう。
①社会・ニュースに関心を持つ例
- 彼は政治に強い関心を持っている。
- 若者の間で環境問題への関心が高まっている。
- メディアは経済格差への国民の関心を集めている。
- 少子化に関心を持つことは現代社会において重要だ。
- 新聞を読むことで国際問題に関心を持つようになった。
②学問・知識に関心を持つ例
- 子どもが科学に関心を持ち始めた。
- 歴史に関心がある人は、この博物館を楽しめるだろう。
- 私は心理学に関心を持って大学で専攻しました。
- 教育格差に関心があるため、教育NPOに参加している。
- 生物の進化に関心があって、ドキュメンタリーをよく見る。
③ビジネス・キャリアに関心を持つ例
- 最近はスタートアップ企業に関心が高まっている。
- AI技術に関心を持つ企業が増えている。
- 新入社員は業務改善に強い関心を示した。
- 顧客の関心を引く広告とは何か、常に考えている。
- 社内の健康管理制度に関心が集まっている。
④日常・個人の興味に関心を持つ例
- 音楽に関心があるので、毎週ライブに行っている。
- 日本文化に関心を持った外国人観光客が多い。
- あの俳優に関心があって、出演作を全部見ている。
- 最近、健康に関心が出てきたので運動を始めた。
- 動物福祉に関心を持つ人がSNSで情報を発信している。
「感心」の使い方【例文20】

「感心」は、誰かの行動や考え方に対して「すばらしい」「立派だ」と感じたときに使います。感情が動いて、心から称賛するような場面で用いられるのが特徴です。
①行動・努力に感心する例
- 毎日遅刻せずに通ってくる彼には本当に感心する。
- 雨の日も休まず練習する姿に感心した。
- 忙しい中でも勉強を欠かさない彼女に感心する。
- ボランティア活動に積極的な学生に感心した。
- 自分から挨拶する子どもに感心した。
②態度・礼儀に感心する例
- 面接での丁寧な受け答えに感心しました。
- 初対面でもきちんと敬語を使えるとは感心です。
- 人の話を最後までしっかり聞く姿勢に感心した。
- 敬老の日に祖父母を訪ねる習慣に感心した。
- 彼女の礼儀正しさには毎回感心する。
③思いやり・性格に感心する例
- 人の気持ちをくみ取る力に感心した。
- 誰にでも優しく接するところが感心だ。
- 相手を立てる発言ができる彼に感心した。
- 自分の失敗を素直に認める姿勢に感心した。
- 他人の成功を心から祝福できるところに感心する。
④子ども・若者に感心する例
- 自分から宿題を始めるとは感心だね。
- 電車で席を譲る中学生に感心した。
- 落ち着いて話す子どもに感心した。
- 年下の子にやさしく接する態度に感心した。
- 忘れ物をしないよう前日に準備するなんて感心だ。
間違えやすい使い方【例文20】

「関心」と「感心」は、音が同じため混同されやすい言葉です。ここでは、実際にありがちな誤用例とその正しい使い方を対比形式で紹介します。
誤用例(誤った使い方) | 正しい使い方 | 解説 |
---|---|---|
1. 彼の努力に関心した。 | 彼の努力に感心した。 | 「関心」ではなく称賛の意味なので「感心」。 |
2. 環境保護に感心があります。 | 環境保護に関心があります。 | 「感心」は称賛、「関心」は興味。 |
3. あの子の態度に関心した。 | あの子の態度に感心した。 | 態度の立派さに驚いているなら「感心」。 |
4. 新しい技術に感心がある。 | 新しい技術に関心がある。 | 興味がある場合は「関心」。 |
5. 彼の行動に強い関心を覚えた。 | 彼の行動に強い感心を覚えた。 | 行動を立派だと感じているので「感心」。 |
6. ニュースを見て災害問題に感心を持った。 | 災害問題に関心を持った。 | 興味・注意が向いたなら「関心」。 |
7. 彼のスピーチに関心を受けた。 | 彼のスピーチに感心した。 | 心が動いた=「感心」。 |
8. 世界情勢に感心を寄せている。 | 世界情勢に関心を寄せている。 | 興味・注目の場合は「関心」。 |
9. 小学生がマナーを守る姿に関心した。 | 小学生がマナーを守る姿に感心した。 | 行動をほめている場合は「感心」。 |
10. 新しいデザインに感心を示した。 | 新しいデザインに関心を示した。 | 興味・注目=「関心」。 |
11. 彼の謙虚さに関心するばかりだ。 | 彼の謙虚さに感心するばかりだ。 | 賞賛しているなら「感心」。 |
12. 投資に対して昔から感心があった。 | 投資に対して昔から関心があった。 | 興味・関与=「関心」。 |
13. 留学生の努力に関心を持った。 | 留学生の努力に感心した。 | 努力を評価=「感心」。 |
14. 国際問題に感心が高まっている。 | 国際問題に関心が高まっている。 | 興味が高まっている=「関心」。 |
15. 部下の成長に関心した。 | 部下の成長に感心した。 | 認めて称賛しているので「感心」。 |
16. テレビ番組に感心が集まっている。 | テレビ番組に関心が集まっている。 | 興味を引いているので「関心」。 |
17. 子どもの自主性に関心している。 | 子どもの自主性に感心している。 | 行動を立派だと認める=「感心」。 |
18. 宇宙の仕組みに感心がある。 | 宇宙の仕組みに関心がある。 | 興味=「関心」。 |
19. 両親の支えに関心した。 | 両親の支えに感心した。 | 感謝・称賛=「感心」。 |
20. 健康問題に感心を持つ人が増えている。 | 健康問題に関心を持つ人が増えている。 | 社会的な興味の対象=「関心」。 |
「関心」の類語(言い換え)・英語・対義語
類語(言い換え表現)
類語 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
興味 | 好奇心や知りたい気持ち | 美術に強い興味を持っている。 |
注目 | 注意して見ること | メディアは彼の発言に注目している。 |
関与 | あることに関わること | 地域活動に関与する人が増えた。 |
注意 | 気をつけて見ること | 環境変化に注意を払っている。 |
英語表現
英語 | 用法・意味 | 例文 |
---|---|---|
interest | 興味・関心 | I have a strong interest in Japanese culture. |
concern | 関心・懸念(やや形式的) | Public concern is growing over climate change. |
対義語
対義語 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
無関心 | 興味や注意がない状態 | 彼は政治に全く無関心だ。 |
無関与 | 関わっていないこと | その事件には無関与であると証明された。 |
「感心」の類語(言い換え)・英語・対義語
①類語(言い換え表現)
類語 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
称賛 | 褒めたたえること | 彼の勇気ある行動は多くの人に称賛された。 |
賞賛 | 高く評価し、ほめること | 彼女の努力は国際的に賞賛されている。 |
感動 | 心が動かされること | 彼のスピーチに深く感動した。 |
驚嘆 | 驚きとともに感心すること | 彼の知識の広さには驚嘆するばかりだ。 |
②英語表現
英語 | 用法・意味 | 例文 |
---|---|---|
admire | 称賛する、感心する | I really admire her dedication. |
impressed | 感動する、感心する | I was impressed by his presentation skills. |
③対義語
対義語 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
呆れる | あまりにひどくて言葉が出ない様子 | 彼の無責任な発言には呆れた。 |
無関心 | 関わりや評価をしない状態 | 他人の努力に無関心な態度は良くない。 |
よくある質問

ここでは、「関心」と「感心」について、読者の方からよく寄せられる疑問や混乱しやすいポイントをQ&A形式でまとめました。
Q1. 「関心を持つ」と「感心する」は両方使える場面もありますか?
A. 基本的には使い分けるべきですが、同じ対象に対して「関心」と「感心」の両方を持つことはあります。
たとえば、ある人物の行動に対して「その取り組みに関心がある(興味がある)」し、「その熱心さに感心する(立派だと思う)」というケースです。
ただし、文中での使用はそれぞれ別の意味になるため、明確に区別して使う必要があります。
Q2. 「関心」と「感心」は話し言葉と書き言葉で使い分けが必要ですか?
A. 意味や使い方は話し言葉でも書き言葉でも変わりません。ただし、口頭では音が同じなため、相手に意味が伝わりにくい場合があります。そのようなときは、前後の文脈で補足したり、「すごいと思った」「興味がある」などの言い換え表現を用いるのが効果的です。
Q3. 「関心がある」ことに「感心する」とは言えますか?
A. 通常は言いません。「関心がある」=興味がある状態であり、「感心する」=賞賛や尊敬の感情です。
例えば、「彼女が地球温暖化に関心を持っていることに感心した」というように、その「関心の持ち方」に感心するのは自然な表現です。
Q4. 「感心」はネガティブな意味で使われることもありますか?
A. はい。皮肉として使われることがあります。
例:「そんなに無理をしてまで仕事をするなんて、感心ですね(苦笑)」
このように、トーンや文脈によっては、嫌味として受け取られることもあるので注意が必要です。
まとめ
「関心」と「感心」は、同じ読み方を持つため混同されやすい言葉ですが、それぞれが示す意味や使われる場面にははっきりとした違いがあります。
「関心」は、物事への興味・関与・注目といった気持ちを表す言葉であり、「もっと知りたい」「関わりたい」と思うときに使います。一方、「感心」は、人や物事に対して「立派だ・すごい」と賞賛・敬意・驚きの感情を抱くときに使います。
両者の違いをしっかりと理解し、場面に応じて適切に使い分けることが、自然で説得力のある日本語表現につながります。本記事で紹介した60の例文や、類語・対義語・英語表現もぜひ活用して、言葉の感覚を磨いてください。
日々の会話や文章作成において、正しく「関心」と「感心」を使いこなせるようになることで、あなたの表現力は確実に一段階アップするはずです。