抑える・押さえるの違い|予約・要点・費用・気持ちはどっち?

スケジュールを押さえる

日本語には同じ読み方でも、使われる漢字によって意味がまったく異なる言葉がいくつも存在します。その代表的な例の一つが「おさえる」です。この言葉には「抑える」と「押さえる」の2つの漢字表記があり、それぞれ異なる意味やニュアンスを持っています。

たとえば、

  • 「感情をおさえる」と言いたいときに「押さえる」と書いてしまうと、微妙に意味がずれてしまいます。
  • 「会場をおさえる」の場面では「抑える」ではなく「押さえる」が正解です。

こうした使い分けが求められる場面は日常生活でもビジネスシーンでも多く、間違えて使ってしまうと、意図が正しく伝わらなかったり、文章の信頼性が損なわれたりする可能性もあります。

この記事では、「抑える」と「押さえる」の基本的な意味の違いから始まり、実際の使用シーンにおける使い分け方、そしてそれぞれの正しい使い方を60の例文とともにわかりやすく解説していきます。さらに、英語表現や類語・対義語、よくある誤用例なども交えながら、確実に使いこなせるようにサポートします。

読んだあとには、「どっちを使えばいいのか迷う」ことがなくなるよう、徹底的に整理された内容となっています。日本語を正しく使いたい方、文章力をアップさせたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

「抑える」と「押さえる」の違い

文具

「抑える」と「押さえる」は、どちらも「おさえる」と読むため混同しがちですが、それぞれ意味や使われる場面が明確に異なります。ポイントは、「抑える」は抽象的・内面的なコントロール「押さえる」は具体的・物理的な確保や制止です。

比較項目抑える押さえる
主な意味感情・欲求・変化などを制御する物や状況を物理的に制止・確保する
対象抽象的・内面的具体的・物理的
使用場面気持ち・費用・変化の抑制会場・物件・スケジュールの確保
例文(概要)「怒りを抑える」「費用を抑える」「会場を押さえる」「口を押さえる」
英語に近い表現suppress, controlhold down, secure
ニュアンス無理やりではなく、冷静な制御実際に手や力で制止する
  • 「抑える」=ココロや状況をコントロール
    → 感情・費用・流れなど、目に見えないものに使う
  • 「押さえる」=モノや場を確保・制止
    → 手や力で「押して」何かを固定するイメージ

「抑える」の意味

気持ちを抑える

「抑える」は、主に「感情や動作、物事の勢いなどを抑制・制御する」という意味で使われます。人の内面や抽象的なものを対象とすることが多く、精神的・心理的なコントロールを表す場面で使われます。

主な意味

  • 感情や欲求などの内面的なものを制限・コントロールする
    例:怒りを抑える、笑いを抑える、欲求を抑える
  • 事態や変化の進行を止める、または弱める
    例:物価の上昇を抑える、被害を抑える
  • ある程度の水準や範囲にとどめるようにする
    例:出費を抑える、費用を抑える
  • 力や勢いを弱める・抑制する
    例:スピードを抑える、声を抑える

特徴

  • 抽象的・内面的な事象に使われることが多い
  • コントロール・抑制のニュアンスを持つ
  • 「防ぐ」「抑制する」といった意味合いに近い

「抑える」は、単に“止める”のではなく、“適切にコントロールする”という意味合いが含まれており、特に気持ちや状況を冷静に保とうとするニュアンスが強く出る表現です。

「押さえる」の意味

スケジュール

「押さえる」は、主に「物理的に力を加えて動かないようにする」「確保する」「制御下に置く」といった意味で使われます。目に見える具体的な対象や行動に対して使われることが多く、実際に“手や力を使って押しつける”ようなイメージを伴います。

主な意味

  • 物や身体の一部を物理的に押しつける
    例:帽子が飛ばないように手で押さえる、傷口を押さえる
  • 場所や物などを確保する・キープする
    例:会場を押さえる、ホテルを押さえる、座席を押さえる
  • 重要な点や情報などを把握しておく・理解しておく
    例:要点を押さえる、ポイントを押さえる、コツを押さえる

特徴

  • 物理的・具体的な行動に用いられることが多い
  • 「確保する」「つかんで離さない」といった意味合いがある
  • 手や力、実体的な行動との関連が強い

「押さえる」は、“動かさないようにする”という直接的な意味に加えて、“大事なものをしっかりと確保・理解しておく”という派生的な意味でも広く使われています。ビジネスや日常会話でも頻出の語であり、非常に実用的な表現です。

「抑える」と「押さえる」の使い分け

双葉

「抑える」と「押さえる」はどちらも「おさえる」と読みますが、使い分けを正しく行うには、対象が抽象的か具体的か制御するのか確保するのかという視点が重要です。

判断ポイント抑える押さえる
対象が目に見えない◎(感情、流れ、費用など)×
対象が物理的△(比喩的に使う場合)◎(物、場所、人、体の部位など)
行動が制御系◎(抑制・自制)△(あまり使わない)
行動が確保・固定系△(抽象的に使うことが多い)◎(予約、手で押さえるなど)

予約は「抑える」「押さえる」どっち?

正解:押さえる

理由:
予約は、会場・席・チケットなどの「場所」や「枠」を確保する行為です。これは具体的・物理的な対象を“手で押さえる”ようなイメージに近く、「押さえる」を使うのが正解です。

例文:

  • 人気のレストランを予約で押さえた
  • 来週の会議室の予約を押さえておいてください。

要点は「抑える」「押さえる」どっち?

正解:押さえる

理由:
「要点を押さえる」とは、話や文章などの大事なポイントを確実に理解し、自分の中に取り込むイメージです。このように、重要な部分をしっかりと“つかんで離さない”という意味では、「押さえる」が正しい使い方です。

例文:

  • 発表では要点をしっかり押さえて話しましょう。
  • 面接の前に質問の要点を押さえておくと安心です。

ポイントは「抑える」「押さえる」どっち?

正解:押さえる

理由:
「ポイントを押さえる」は、重要な箇所や注目すべき部分を確実に理解・把握するという意味で使われます。このように、実際に“的を射る”“要所をしっかりつかむ”というニュアンスから、「押さえる」が適切です。

例文:

  • 試験対策では出題されやすいポイントを押さえておこう。
  • 説明は短くても、ポイントを押さえた内容にすることが大切です。

予定は「抑える」「押さえる」どっち?

正解:押さえる

理由:
「予定を押さえる」とは、日程や時間を確保する、スケジュール上の枠を確保するという意味で使われます。これは物理的・実務的な行動に近いため、「押さえる」が正しい表記です。

例文:

  • 来週の打ち合わせの予定を押さえておきました。
  • 旅行の日程を決める前に、休みの予定を押さえる必要がある。

気持ちは「抑える」「押さえる」どっち?

正解:抑える

理由:
「気持ちを抑える」とは、感情が高ぶったときに、それを表に出さずに自分の中でコントロールするという意味です。気持ちは目に見えない内面的なものなので、「抑える」を使うのが正解です。

例文:

  • 悔しさを抑えて冷静に対応した。
  • 緊張する気持ちを必死で抑えた

日程は「抑える」「押さえる」どっち?

正解:押さえる

理由:
「日程を押さえる」とは、予定として特定の日にちを確保するという意味です。これは実務的な行動であり、「予約」や「スケジュールの確保」と同じ文脈なので、「押さえる」が正しい使い方です。

例文:

  • 来月の打ち合わせの日程を押さえておいてください。
  • 会議の日程を早めに押さえることで、調整がスムーズになります。

口は「抑える」「押さえる」どっち?

正解:押さえる

理由:
「口を押さえる」は、咳やくしゃみ、叫び声などを出さないように手で物理的に覆う・ふさぐ動作を表します。これは明確に物理的な行為なので、「押さえる」を使うのが正解です。

例文:

  • 咳をするときは、口をハンカチで押さえてください。
  • 驚いて思わず口を押さえた

会場は「抑える」「押さえる」どっち?

正解:押さえる

理由:
「会場を押さえる」とは、イベントや会議などのために、特定の場所を事前に確保することを意味します。これは物理的・実務的な行動なので、「押さえる」が正しい表現です。

例文:

  • 発表会のためにホールの会場を押さえた
  • 忘年会の会場は、早めに押さえておきましょう。

スケジュールは「抑える」「押さえる」どっち?

正解:押さえる

理由:
「スケジュールを押さえる」とは、特定の時間帯や日を予定として確保することを意味します。これは実際の予定枠を押さえるという具体的な行為なので、「押さえる」を使います。

例文:

  • 来週のスケジュールを押さえておいてください。
  • 念のために、午後のスケジュールを空けて押さえてあります。

ホテルは「抑える」「押さえる」どっち?

正解:押さえる

理由:
「ホテルを押さえる」とは、宿泊予約をして部屋を確保するという意味です。実際に部屋という物理的なものを予約・確保する行動なので、「押さえる」が正しい表記です。

例文:

  • 出張のためにビジネスホテルを押さえておきました。
  • 夏休みの旅行で、早めにホテルを押さえることができた。

枠は「抑える」「押さえる」どっち?

正解:押さえる

理由:
「枠を押さえる」とは、募集人数や予約可能時間などの限られた枠を確保することを意味します。これは実務的・物理的な確保にあたるため、「押さえる」が適切です。

例文:

  • 定員に達する前にセミナーの枠を押さえておいた。
  • 面接の時間枠を押さえるために、早めに連絡した。

ツボは「抑える」「押さえる」どっち?

正解:押さえる

理由:
「ツボを押さえる」は、東洋医学やマッサージなどで使われる表現で、身体の特定のポイントを物理的に指や手で押すことを意味します。これは直接的な物理的動作なので、「押さえる」が正解です。

また、比喩的にも「要点を的確に押さえる」といった表現でも「押さえる」が使われます。

例文:

  • 肩こりに効くツボをしっかり押さえる
  • 話のツボを押さえた説明は説得力がある。

費用は「抑える」「押さえる」どっち?

正解:抑える

理由:
「費用を抑える」とは、かかるお金をできるだけ少なくするように制限・コントロールするという意味です。これは目に見えない数値や支出の流れを管理する行為であり、抽象的な「制御」にあたるため、「抑える」が正しい使い方です。

例文:

  • 旅行の費用をできるだけ抑える工夫をした。
  • 新商品の開発では、コストを抑えることが課題となる。

物件は「抑える」「押さえる」どっち?

正解:押さえる

理由:
「物件を押さえる」とは、気に入った不動産や賃貸候補を他の人に取られないように仮予約・確保することを意味します。これは実際の物理的対象を一時的に確保する行為なので、「押さえる」が正しい使い方です。

例文:

  • 気に入ったマンションの物件をすぐに押さえた
  • 賃貸物件を一つ押さえておくと安心です。

流行りは「抑える」「押さえる」どっち?

正解:押さえる

理由:
「流行りを押さえる」とは、流行しているものやトレンドを把握・理解しておくことを意味します。これは抽象的な内容ではありますが、重要な情報をしっかり「つかむ」「取り入れる」という意味合いで使われるため、「押さえる」が適切です。

例文:

  • 今のファッションの流行りはしっかり押さえておきたい。
  • 流行りのキーワードを押さえることで、効果的な広告が打てる。

「抑える」の使い方【例文20】

気持ちをコントロール

「抑える」は、感情・行動・変化・数値・衝動などを制御・抑制する意味で使われます。抽象的・内面的な対象に対して使われることが多いのが特徴です。以下に、意味ごとに分類した例文を20個ご紹介します。


① 感情・気持ちを抑える

  1. 怒りを抑えるのに必死だった。
  2. 悲しみを抑えて笑顔を作った。
  3. 笑いを抑えきれずに吹き出した。
  4. 緊張する気持ちを抑える方法を試した。
  5. 不安な感情をなんとか抑えた

② 欲求・衝動を抑える

  1. 食べたい気持ちを必死に抑えた
  2. 衝動買いを抑えるには予算管理が大切だ。
  3. 飲酒の欲求を抑える努力を続けている。
  4. カフェインを摂りたい衝動を抑えた
  5. 甘いものへの欲求を抑えるのがつらい。

③ 動きや声・行動を抑える

  1. 興奮した子どもを抑えるのに苦労した。
  2. 声を抑えて話すように注意した。
  3. 無駄な動きを抑えることで作業効率が上がる。
  4. スピードを抑えて走行してください。
  5. 発言を抑えるように指示された。

④ 数値・変化・影響を抑える

  1. 出費を抑えるために予算を見直した。
  2. 被害を最小限に抑えるため、迅速に行動した。
  3. インフレ率の上昇を抑える政策が求められる。
  4. 温室効果ガスの排出量を抑える必要がある。
  5. 熱を抑えるために薬を服用した。

「押さえる」の使い方【例文20】

口を押える

「押さえる」は、物理的に制止する、確保する、理解・把握するといった具体的な行動に使われます。以下に、意味ごとに分類した例文を20個ご紹介します。


① 物理的に押さえる(手や力で押しとどめる)

  1. 強風で帽子が飛ばないように手で押さえた
  2. 傷口をタオルでしっかり押さえる
  3. 子どもが転ばないように背中を押さえた
  4. くしゃみをする前に口を手で押さえる
  5. 荷物が崩れないように上から押さえた

② 確保する・予約する

  1. 会議室を来週分まで押さえておいてください。
  2. 出張用のホテルを早めに押さえた
  3. 人気のレストランをすぐに押さえた
  4. イベント会場を先に押さえる必要がある。
  5. 面接の日程を押さえて連絡してください。

③ 要点・ポイントを理解・把握する

  1. プレゼンでは要点をしっかり押さえて話すことが重要だ。
  2. 試験のポイントを押さえる勉強法が効果的だ。
  3. 要求された内容の本質を押さえる
  4. 記事の内容が広く浅いので、もう少しツボを押さえてほしい。
  5. 説明のコツは流れよりもポイントを押さえることだ。

④ 犯人・証拠などを捕らえる・突き止める

  1. 警察が容疑者を現場で押さえた
  2. 現場写真が決定的な証拠を押さえていた。
  3. 犯人の足取りを映像で押さえることができた。
  4. 目撃者の証言で決定的な事実を押さえた
  5. 防犯カメラが犯行の瞬間を押さえていた。

「押さえる」は、具体的な動きや結果を伴う場面で使われる語です。文脈によって意味が変わるため、例文を通じて感覚をつかむことが大切です。

間違えやすい使い方【例文20】

OKとNG

「抑える」と「押さえる」はどちらも「おさえる」と読むため、日常的に混同されやすい表現です。以下に、誤用されやすい例とその正しい表記をセットで紹介します。間違いを理解することで、正しい使い分けが身につきます。


  1. ❌ 感情を押さえる → ✅ 感情を抑える
  2. ❌ ホテルを抑える → ✅ ホテルを押さえる
  3. ❌ 出費を押さえる → ✅ 出費を抑える
  4. ❌ 会場を抑える → ✅ 会場を押さえる
  5. ❌ 怒りを押さえる → ✅ 怒りを抑える
  6. ❌ 口を抑える → ✅ 口を押さえる
  7. ❌ 費用を押さえる → ✅ 費用を抑える
  8. ❌ ポイントを抑える → ✅ ポイントを押さえる
  9. ❌ 日程を抑える → ✅ 日程を押さえる
  10. ❌ スケジュールを抑える → ✅ スケジュールを押さえる
  11. ❌ ツボを抑える → ✅ ツボを押さえる
  12. ❌ 気持ちを押さえる → ✅ 気持ちを抑える
  13. ❌ 要点を抑える → ✅ 要点を押さえる
  14. ❌ 予定を抑える → ✅ 予定を押さえる
  15. ❌ 物件を抑える → ✅ 物件を押さえる
  16. ❌ 流行りを抑える → ✅ 流行りを押さえる
  17. ❌ 声を押さえる(※文脈による) → ✅ 声を抑える(※感情的・抑制的な意味なら)
  18. ❌ 話を抑える → ✅ 話を押さえる(※要点を把握する場合)
  19. ❌ 予約を抑える → ✅ 予約を押さえる
  20. ❌ 緊張を押さえる → ✅ 緊張を抑える

「抑える」の類語(言い換え)・英語・対義語

双葉

「抑える」は、感情・行動・変化・欲求などを制御・抑制するという意味を持ちます。ここでは、その意味に対応する類語、英語表現、対義語を紹介します。


類語(言い換え)

  • 抑制する
  • 制限する
  • 我慢する
  • 控える
  • 鎮める
  • 制御する

例文:

  • 怒りを抑える → 怒りを抑制する
  • 出費を抑える → 出費を制限する
  • 気持ちを抑える → 気持ちを我慢する

英語表現

  • suppress(感情や衝動を抑える)
  • control(感情・行動・状況を制御する)
  • restrain(欲求・行動を抑える)

例文:

  • He tried to suppress his laughter.(彼は笑いを抑えようとした)
  • You should control your expenses.(支出を抑えるべきだ)
  • She managed to restrain her anger.(彼女は怒りを抑えることができた)

対義語

  • 解放する
  • 爆発する
  • 放出する
  • 増やす
  • 広げる

例文:

  • 感情を抑える ↔ 感情を爆発させる
  • 支出を抑える ↔ 支出を増やす

「抑える」は、感情や行動を冷静に制御しようとする場面で使われます。特にビジネスや文章表現では、落ち着きや自己制御を表す重要な語として頻出します。言い換えや英語表現を知ることで、より豊かな表現が可能になります。

「押さえる」の類語(言い換え)・英語・対義語

四つ葉

「押さえる」は、物理的に制止する・確保する・重要な部分を理解するなどの意味で使われます。以下では、その意味に応じた類語・英語表現・対義語を紹介します。


類語(言い換え)

  • 押しとどめる
  • 押し付ける
  • 把握する
  • 確保する
  • 固定する
  • キープする

例文:

  • 席を押さえる → 席を確保する
  • 要点を押さえる → 要点を把握する

英語表現

  • hold down(物理的に押さえる)
  • secure(確保する)
  • grasp(要点を理解する)
  • pin down(押さえつける、特定する)

例文:

  • Please hold down the paper.(紙を押さえてください)
  • We need to secure the room.(部屋を押さえる必要がある)
  • He quickly grasped the key points.(彼は要点をすぐに把握した)

対義語

  • 離す
  • 解放する
  • 逃す
  • 見落とす
  • 忘れる

例文:

  • 会場を押さえる ↔ 会場を逃す
  • 要点を押さえる ↔ 要点を見落とす

「押さえる」は、物理的な動作だけでなく、比喩的な理解や確保にも使われる非常に汎用性の高い語です。類語・英語表現を知っておくと、文章表現の幅が広がります。

よくある質問

FAQ

Q1. 「どっちを使っても通じるなら、間違えてもいいのでは?」

A. 会話では意味が通じる場合もありますが、文章やビジネスの場では誤解を招く可能性があります。特に「費用を抑える」「会場を押さえる」など、誤用すると意味が変わってしまうため、正しく使い分けることが重要です。


Q2. 辞書に「両方使える」と書いてある場合は?

A. 一部の辞書では「抑える/押さえる」が併記されていることもありますが、文脈によっては一方しか適切でないケースが多いです。辞書の記述よりも、実際の用例や意味の違いを理解して使い分けましょう。


Q3. ビジネス文書では「抑える」「押さえる」どちらが多く使われますか?

A. どちらも使用されますが、以下のように目的によって異なります。

  • 抑える(control):費用、感情、リスクなどの制御
  • 押さえる(secure, grasp):会議室、予定、要点などの確保・把握

誤用は誤解や信頼低下につながる可能性があるため注意が必要です。


Q4. 英語に訳すときはどうすればいい?

A. 対象が抽象的か具体的かで使い分けます。

  • 抑えるsuppress, control, restrain(感情・行動の制御)
  • 押さえるhold down, secure, grasp(物理的な制止、理解・確保)

例:

  • 怒りを抑える → suppress anger
  • 会場を押さえる → secure a venue
  • 要点を押さえる → grasp the main points

まとめ

「抑える」と「押さえる」は、どちらも「おさえる」と読む同音異義語ですが、その意味や使い方は大きく異なります。

「抑える」は、感情・行動・欲求・変化など、目に見えない内面的なものを制御する際に使います。一方、「押さえる」は、物理的な対象や情報・予定などを確保・固定・理解する場面で使われます。

この記事では、それぞれの意味や使い方を例文とともに丁寧に解説しました。さらに、「予約」「気持ち」「ポイント」「費用」など、具体的な語との組み合わせでどちらを使うべきかも明確に示しました。

誤用されがちな表現や、類語・英語表現・対義語まで把握しておくことで、ビジネス文書や日常会話においても正確で伝わる日本語が使えるようになります。

「どっちの漢字を使うか迷う…」という悩みは、この記事で解消できたはずです。これからは文脈に合わせて、正しく「抑える」と「押さえる」を使い分けていきましょう。