「または」「もしくは」の違い【60例文】ビジネスでの使い方

日常会話やビジネスシーンでよく使われる言葉に、「または」と「もしくは」があります。どちらも「AまたはB」というように、複数の選択肢を提示する際に用いられる接続詞ですが、その使い分けに悩む方も少なくありません。
特にビジネス文書やメールでは、言葉の選び方ひとつで相手に与える印象が変わることもあるため、「どちらを使うべきか」「違いは何か」といった疑問を持つことは非常に自然です。
本記事では、「または」と「もしくは」の基本的な意味をシンプルに整理し、それらの違いや使い分け方を明確に解説します。また、実際の使用例を豊富に紹介し、ビジネスにおける正確で適切な使い方を身につけられるよう構成しています。
60の例文を通じて、実践的な表現力が身につく内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
「または」「もしくは」の違い

「または」と「もしくは」は、いずれも「選択肢の提示」を意味する接続詞で、意味的にはほぼ同じです。ただし、語感や使用される場面、文体のトーンには違いがあります。以下の比較表で、両者の違いをわかりやすく整理します。
項目 | または | もしくは |
---|---|---|
意味 | AかBのいずれか(選択肢の提示) | AかBのいずれか(選択肢の提示) |
使用頻度 | 高い(広く使われる) | やや低い(限定的な場面で使われる) |
フォーマル度 | 普通〜ややフォーマル | ややフォーマル〜文語的 |
使用される文体 | 会話、ビジネス文書、一般的な文章 | 書き言葉、フォーマルな文書、契約書など |
印象 | 中立的で自然な表現 | 丁寧でやや堅い印象 |
言い換え可能性 | ほぼ同義語として相互に言い換え可能 | 同上(ただし文体との相性に注意) |
- 「または」は、柔らかすぎず、堅すぎない言葉として、汎用性が非常に高いです。話し言葉でも違和感がなく、メールや報告書などにも使えます。
- 「もしくは」は、より改まった印象を与えるため、契約書、マニュアル、通知文などのフォーマルな文書での使用に向いています。
つまり、意味が同じでも、誰に向けて、どんな場面で書くかによって、どちらの表現を選ぶかが変わってくるのです。
「または」の意味

「または」は、複数の選択肢の中から一つを選ぶことを示す接続詞です。主に AまたはB のように使われ、「AかBのどちらか」という意味を持ちます。
この言葉は、比較的広い場面で使用され、日常会話からビジネス文書、法的文章に至るまで、さまざまな文脈で用いられる汎用性の高い表現です。
ポイント
- 意味:二つ以上の選択肢の中から一つを選ぶという意味を持つ
- 役割:並列関係にある選択肢をつなぐ
- 語調:比較的中立的で、フォーマルな場面にも違和感なく使える
- 使い方:日常・ビジネス・公的文書など幅広い用途で使用可能
例文は次の章で紹介しますが、ここでは意味と使い方の基礎をしっかり押さえておきましょう。
「もしくは」の意味

「もしくは」も、「または」と同じく複数の選択肢の中から一つを選ぶ意味を持つ接続詞です。AもしくはB のように使われ、「AかBのいずれか」という意味になります。
「もしくは」は、「または」に比べてやや丁寧で文語的な印象を与えるため、書き言葉やフォーマルな会話・文書で用いられることが多い表現です。特にビジネス文書や契約書、公式の案内文などでは、「または」よりも好まれる場合があります。
ポイント
- 意味:二つ以上の選択肢の中から一つを選ぶ(=「または」と同じ)
- 語調:丁寧でやや文語的。落ち着いた印象を与える
- 使い方:書き言葉やフォーマルなビジネス文書に適している
- 特徴:改まった印象を与えたい場合に効果的
「または」と同様、例文は後ほど紹介しますが、まずは「もしくは」が持つ語感や使われる場面の特徴をつかんでおくことが大切です。
「または」「もしくは」の使い分け

「または」と「もしくは」は、意味自体はほぼ同じですが、**使い分けのポイントは「文体のトーン」と「相手との関係性」**にあります。特にビジネスの現場では、相手に与える印象を左右するため、文脈に応じた適切な選択が求められます。
①文体のトーンに合わせる
- カジュアルな文章や日常会話では、「または」が自然で親しみやすい印象です。
- フォーマルな文書や改まった場面では、「もしくは」を使うと丁寧な印象を与えられます。
例:
- カジュアル:
ご希望のサイズ(MまたはL)をお選びください。 - フォーマル:
ご希望のサイズ(MもしくはL)をご指定ください。
②相手との関係性で選ぶ
- 目上の人、顧客、取引先などに向けた文章では、丁寧さを意識して「もしくは」が好まれます。
- 社内メモや同僚同士のやり取りでは、「または」で十分な場合もあります。
例:
- 社内メール:
企画会議は木曜または金曜に行います。 - 顧客への案内:
ご来社は木曜もしくは金曜を予定しております。
文書の種類に合わせる
文書の種類 | 推奨される表現 |
---|---|
社内報告書 | または |
ビジネスメール(丁寧) | もしくは |
契約書・規約 | もしくは |
マニュアル | もしくは |
プレゼン資料 | または(場合によりもしくは) |
- 迷ったときは「または」でOK。多くの場面に対応可能。
- 丁寧さや改まりが必要な場合は「もしくは」を選ぶと、より適切。
- 完全な言い換えが可能なため、文体のバランスを重視して使い分けましょう。
「または」の使い方【例文20】

ビジネスでの使い方
「または」は、ビジネス文書やメールでも非常によく使われます。選択肢を示す表現として自然で、柔らかすぎず、堅すぎない中立的なトーンを持つため、社内外を問わず幅広いシーンで使用可能です。
- ご希望の納品日は、5月20日または21日のいずれかをお選びください。
- 会議室A、または会議室Bをご利用いただけます。
- お支払いは、銀行振込またはクレジットカードに対応しております。
- 書類はPDF、またはWord形式でご提出ください。
- 取引先への連絡は、電話またはメールでお願いいたします。
- 営業担当の田中、または佐藤がご案内いたします。
- ご来社の際は、公共交通機関またはタクシーをご利用ください。
- 契約は3ヶ月、または6ヶ月単位での更新が可能です。
- アカウントのログイン情報を紛失または忘失された場合は、再発行手続きを行ってください。
- ご不明点がある場合は、担当部署またはカスタマーサポートまでご連絡ください。
一般的な使い方
「または」は、日常生活やカジュアルな文書、会話の中でも広く使われる表現です。友人や家族とのやり取り、案内文、説明文など、多様な場面で自然に使えるため、使い方を覚えておくと非常に便利です。
- 映画を見るか、または家でのんびり過ごすか、迷っている。
- 赤、青、または緑の中から一つ選んでください。
- 雨天の場合は、中止または延期となります。
- 今日中に返信、または電話連絡をお願いします。
- このアプリはスマートフォン、またはタブレットでご利用いただけます。
- 参加者には賞品、または記念品をお渡しします。
- 車で行くか、または電車を利用するか考え中です。
- ご希望の方には、無料体験または割引クーポンをお送りします。
- 英語、または中国語での対応が可能です。
- 会員登録はオンライン、または郵送で行えます。
「もしくは」の使い方【例文20】

ビジネスでの使い方
「もしくは」は、「または」と同じ意味を持ちながらも、より丁寧で、文語的・格式ある印象を与える接続詞です。特に、顧客向けの文書、契約書、案内状などで使われると、文章全体が上品かつ信頼感のある印象になります。
- 商品のお届けは、来週中、もしくは翌週初めを予定しております。
- ご希望の時間帯を、午前中、もしくは午後でお知らせください。
- お支払い方法は、クレジットカード、もしくは銀行振込をご利用いただけます。
- 契約内容のご確認は、メール、もしくは郵送にてお送りいたします。
- ご不明点がございましたら、営業担当、もしくはサポートセンターまでご連絡ください。
- 面談日は5月15日、もしくは16日のいずれかをお選びください。
- 会議の開催場所は、本社、もしくはオンラインとなる可能性がございます。
- 申込書は、PDF、もしくはExcel形式でご提出ください。
- 納期は通常3営業日、**もしくは特急対応(有料)**も可能です。
- 新商品の説明は、営業担当、もしくは開発担当が行います。
一般的な使い方
「もしくは」は日常生活でも使われることがありますが、ややかしこまった印象があるため、「または」に比べるとややフォーマル寄りの場面に使われることが多いです。丁寧に話したいときや、文章を整えたいときに適しています。
- 電話、もしくはメールでの連絡をお願いします。
- 電車で行くか、もしくはバスを使うか検討中です。
- お子さまの年齢は、5歳、もしくはそれ以下である必要があります。
- ペット同伴の方は、ゲージ、もしくはキャリーバッグをご利用ください。
- イベントは中止、もしくは日程変更となる可能性があります。
- 参加希望の方は、Webフォーム、もしくは電話でお申し込みください。
- 商品に不具合がある場合は、返品、もしくは交換を承ります。
- ご希望の方には、Aセット、もしくはBセットをお選びいただけます。
- 出発は朝7時、もしくは8時の予定です。
- アンケートはスマホ、もしくはパソコンからご回答いただけます。
間違えやすい使い方【例文20】

「または」「もしくは」は意味が同じであるため、混乱しやすい表現でもあります。特に、二重表現や文法上の誤り、文脈に合わない使い方をしてしまうと、読みにくくなったり、相手に誤解を与えたりすることがあります。
ここでは、「間違えやすい用法」と「正しい用法」をセットで紹介します。
誤った使い方 | 解説 | 正しい使い方 |
---|---|---|
ご質問は、電話またはもしくはメールでお願いします。 | 「または」と「もしくは」は意味が同じなので、併用は不要。 | ご質問は、電話またはメールでお願いします。 |
赤または青もしくは緑を選んでください。 | 選択肢が多くても、接続詞は統一する方が自然。 | 赤、青、または緑を選んでください。 |
変更または中止もしくは延期になる可能性があります。 | 複数の選択肢を示す場合も、接続詞の混在は避ける。 | 変更、中止または延期になる可能性があります。 |
アンケートはスマホまたはもしくはPCでご回答ください。 | 意味が重複しており、冗長。 | アンケートはスマホまたはPCでご回答ください。 |
出席される場合は、田中または山田、もしくは鈴木が対応します。 | 過剰な接続で文が読みにくい。 | 出席される場合は、田中、山田、または鈴木が対応します。 |
お支払いは現金または振込、もしくはクレジットが可能です。 | 2つ以上の選択肢でも、「または」1つで十分。 | お支払いは、現金、振込、またはクレジットが可能です。 |
こちらのURLまたは、もしくはQRコードをご利用ください。 | 冗長かつ読みにくい構文。 | こちらのURLまたはQRコードをご利用ください。 |
ご来社は月曜、または火曜、もしくは水曜にお願いします。 | 接続詞の統一がないと読者に違和感を与える。 | ご来社は月曜、火曜、または水曜にお願いします。 |
パスワードを忘れた場合は、再発行、もしくは登録し直してください。 | 「登録し直す」は再発行とは異なる対応。別の文で示すべき。 | パスワードを忘れた場合は、再発行をご依頼ください。 |
商品はAまたはB、もしくはCのいずれかです。 | 混在させると不自然。 | 商品はA、B、またはCのいずれかです。 |
返品または、もしくは交換をご希望の方はご連絡ください。 | どちらか1つで十分。 | 返品または交換をご希望の方はご連絡ください。 |
ファイルはWordまたはExcelもしくはPDFに対応しています。 | 接続詞が複数あると分かりづらい。 | ファイルはWord、ExcelまたはPDFに対応しています。 |
お急ぎの方は、電話、または、もしくはチャットをご利用ください。 | 同義語の重複。 | お急ぎの方は、電話またはチャットをご利用ください。 |
商品は予約制です。または当日受付も可能です。 | 「または」の接続の使い方が不自然。 | 商品は予約制、または当日受付も可能です。 |
書類の提出は、PDFまたは印刷もしくはFAXでも構いません。 | 同じ意味の接続詞が混在。 | 書類の提出は、PDF、印刷またはFAXでも構いません。 |
クーポンは、レジにて提示または、もしくは入力してください。 | 重複表現で文が読みにくい。 | クーポンは、レジにて提示または入力してください。 |
面談は、オンラインまたは対面もしくは電話で行います。 | 3つ以上の選択肢でも接続詞は統一。 | 面談は、オンライン、対面または電話で行います。 |
担当者は佐藤、または、もしくは田中が対応します。 | 同義の接続詞を2つ並べるのは誤り。 | 担当者は佐藤または田中が対応します。 |
セミナーは録画または、もしくはライブ配信で提供されます。 | 冗長な表現。 | セミナーは録画またはライブ配信で提供されます。 |
相談は、LINE、または、もしくはメールで可能です。 | 文がくどく、伝わりにくい。 | 相談は、LINEまたはメールで可能です。 |
- 「または」と「もしくは」は混在させない
- 同じ文中では、接続詞は一貫して統一する
- 選択肢が多いときでも、シンプルな構文を心がける
- 相手が理解しやすい表現を選ぶことが大切
「または」の類語・英語

「または」は「AかBのどちらか」を意味する選択の接続詞であり、文脈によっては他の言葉に置き換えることも可能です。ここでは、「または」と似た意味を持つ日本語の類語と、英語表現を紹介します。
類語
類語 | 用例 | 説明 |
---|---|---|
あるいは | 資料はPDF、あるいはWord形式でお送りください。 | 「または」より少し柔らかく、話し言葉にも書き言葉にも使える |
ないし(乃至) | ご来店は10時ないし12時の間でお願いします。 | やや文語的で、ビジネス文書や契約書で使われやすい |
もしくは | 詳しくは営業部門、もしくはカスタマーサービスまで | 意味はほぼ同じ。やや丁寧・文語的な印象を与える |
✅補足:厳密な意味では、状況に応じて微妙なニュアンスの違いがありますが、日常使用においてはほぼ言い換え可能です。
英語での言い換え
英語表現 | 用例 | 説明 |
---|---|---|
or | Please choose A or B. | 最も一般的な「または」にあたる語 |
alternatively | You may contact us by email, alternatively, call us. | 書き言葉で丁寧な言い換えに使える |
either A or B | You can submit either a PDF or a Word file. | 「AまたはBのいずれか」を強調する構文 |
「もしくは」の類語・英語

「もしくは」は、「または」と同じく選択肢を示す接続詞ですが、より丁寧で文語的な響きを持ちます。文章を少しかしこまった印象に整えたいときに便利です。ここでは、「もしくは」の日本語の類語と英語表現を紹介します。
類語
類語 | 用例 | 説明 |
---|---|---|
または | 郵送、またはメールでお申し込みください。 | 意味は同じだが、「もしくは」よりカジュアル |
あるいは | ご本人、あるいはご家族の方がご来店ください。 | やや柔らかく、口語にも書き言葉にも対応可能 |
もしかすると | もしくはと似た語感を持つが、意味は異なるので注意 | 推測や可能性を示す別の接続副詞(言い換え不可) |
⚠️ 注意:「もしかすると」「もしくは」は語感が似ていますが、意味や使い方は異なります。混同しないようにしましょう。
英語での言い換え
英語表現 | 用例 | 説明 |
---|---|---|
or | You may apply online or by mail. | 一般的な選択を示す接続詞 |
alternatively | Submit your request online, alternatively, send it by post. | より丁寧・フォーマルな言い回し |
either A or B | You may submit either a PDF or a Word document. | 「いずれか」を明確にする構文 |
よくある質問(FAQ)

「または」と「もしくは」は意味が非常に似ており、多くの人が使い分けに悩む表現です。ここでは、よくある疑問をQ&A形式でわかりやすく解説します。
Q1. 「または」と「もしくは」は完全に言い換え可能ですか?
A1. 基本的には言い換え可能ですが、文体や場面に応じた使い分けが必要です。
どちらも「選択肢の提示」という意味で使えますが、「もしくは」の方が丁寧で文語的な印象があります。読者や話し相手に応じて、適切な語を選びましょう。
Q2. 会話で「もしくは」を使うのは不自然ですか?
A2. 丁寧に話す場面では自然ですが、日常会話ではやや堅く感じられることがあります。
カジュアルな場面では「または」や「あるいは」を使う方が自然です。
Q3. 契約書や公式文書では、どちらを使うべきですか?
A3. 「もしくは」が好まれる傾向があります。
「もしくは」は、より文語的でフォーマルな印象を与えるため、契約書や利用規約などでよく使用されます。ただし、会社や業界のスタイルガイドがある場合は、それに従うことが優先されます。
Q4. 「または」と「もしくは」を一文の中で併用してもいいですか?
A4. いいえ、原則として避けるべきです。
意味が同じ接続詞を混在させると、文章が冗長になり、読みにくくなります。一貫してどちらか一方を使用するのが望ましいです。
Q5. 英語の “or” に最も近い日本語表現はどれですか?
A5. 「または」が最も一般的に対応する表現です。
「もしくは」や「あるいは」でも文脈により置き換え可能ですが、文体に注意が必要です。
Q6. アナウンスや口頭の案内ではどちらを使うのがよいですか?
A6. 「または」の方が自然で聞き取りやすいため適しています。
「もしくは」は文章向きの表現のため、口頭では堅く響くことがあります。話し言葉では「または」または「あるいは」の使用が一般的です。
まとめ
「または」と「もしくは」は、いずれも複数の選択肢の中から一つを選ぶという意味を持つ接続詞です。基本的には同義語として使えますが、文体や相手との関係性によって適切な使い分けが求められます。
「または」は中立的かつ広く使われる表現であり、日常会話からビジネス文書まで幅広いシーンで活躍します。一方で「もしくは」はやや文語的で丁寧な印象を持ち、特にビジネスのフォーマルな文章や契約書などで使用される傾向があります。
本記事では、それぞれの意味やニュアンスの違いを明確にし、使い分けのポイントを具体的に解説しました。さらに、ビジネス・日常両方の場面で活用できる例文を計60本紹介し、実践的な理解を深めていただきました。
言葉選びは相手への配慮の一つ。状況に応じて自然な日本語を使いこなすことで、より信頼される表現力を身につけることができます。