「または、もしくは、あるいは」の違いと使い分け【例文80】

日本語には、選択肢を示す言葉がいくつかあります。その中でもよく使われるのが「または」「もしくは」「あるいは」です。これらは一見すると同じように思えるかもしれませんが、実は微妙なニュアンスや使用場面の違いがあります。
例えば、
- 会話で自然に聞こえるのはどれか?
- ビジネス文書ではどの語がふさわしいか?
- 書き言葉と話し言葉で使い分けるべきか?
このような疑問を感じたことはありませんか?
本記事では、それぞれの意味や違いをシンプルに解説し、80個の具体例を通して、使い分けのコツを丁寧にご紹介します。読み終えるころには、自信を持って「または」「もしくは」「あるいは」を使いこなせるようになるでしょう。
目次
「または」「もしくは」「あるいは」の違い

これら3つの接続詞は、いずれも選択肢を提示するという共通の役割を持っていますが、使われる場面や文体、ニュアンスに微妙な違いがあります。以下の表で比較してみましょう。
項目 | または | もしくは | あるいは |
---|---|---|---|
意味 | 選択肢の提示 | 選択肢の提示 | 選択肢の提示・可能性の表現 |
フォーマル度 | ややフォーマル | ややフォーマル~口語 | フォーマル(文語寄り) |
使用頻度 | 書き言葉で多い | 会話でも文章でも使いやすい | 文語で多く、口語では少ない |
ニュアンス | 客観的・機械的 | 柔らかい・やや丁寧 | 落ち着いた・文語的・丁寧 |
主な使用場面 | マニュアル、書類、説明書 | 会話、案内文、メール | 論文、エッセイ、ニュース |
口語での自然さ | やや不自然 | 自然 | やや不自然(かたい印象) |
書き言葉での使いやすさ | 高い | 高い | 高い |
その他の意味 | 特になし | 特になし | 可能性の意味もある |
- 「または」は、やや堅い文体に向いており、正確な選択を求めるような文書に最適です。
- 「もしくは」は、意味的には「または」とほぼ同じですが、会話でも自然に使えるため、柔軟性があります。
- 「あるいは」は、格式ばった文章や、選択肢だけでなく可能性を表したい場合にも適している接続詞です。
「または」の意味

「または」は、日本語の接続詞の一つで、複数の選択肢の中からどれか一つを選ぶという意味を持っています。
たとえば、「AまたはB」のように使われるとき、それは「AかBのいずれか」を示しており、どちらか一方を選んでくださいというニュアンスになります。
特徴
- 意味:いずれか一方/どちらか
- 用法:並列される2つ以上の選択肢の提示
- 使用場面:比較的フォーマルで、文書・ビジネスシーンでよく使用される
- 口語度:やや堅めの印象があり、日常会話ではやや少なめ
例:説明書などで使われる
「次のいずれかを提出してください。パスポート、または運転免許証。」
このように、「または」は客観的で機械的な選択を提示するのに適した表現です。
「もしくは」の意味

「もしくは」は、「または」と同じく複数の選択肢を提示する接続詞です。基本的な意味や使い方は「または」とほぼ同じですが、やや柔らかく、口語にも自然に馴染む表現である点が特徴です。
特徴
- 意味:いずれか一方/または
- 用法:複数の中からの選択肢の提示
- 使用場面:文語・口語どちらでも使用可能。会話でも自然
- 口語度:やや口語寄り。「または」よりも会話になじみやすい
「または」と比べて、文章の印象がやや柔らかくなるため、堅苦しすぎない表現をしたいときに選ばれることがあります。また、丁寧な印象を与えたい場面でも使われることが多いです。
例:会話や案内文などで使われる
「電話、もしくはメールでご連絡ください。」
このように、「もしくは」は選択を促しつつも柔らかい印象を与える便利な接続詞です。
「あるいは」の意味

「あるいは」は、「または」「もしくは」と同様に選択肢を提示する接続詞ですが、より文語的・書き言葉寄りの表現として使われます。また、「どちらか一方」だけでなく、「もしかすると~かもしれない」という可能性や推測を含んだ意味でも使われることがあるのが特徴です。
特徴
- 意味:
- 選択の提示(A、あるいはB)
- 可能性の表現(あるいは雨が降るかもしれない)
- 用法:複数の選択肢を並べる。文語的な文章や丁寧な表現によく使われる。
- 使用場面:エッセイ、論文、ニュース記事など、やや格式ある文体に適している。
- 口語度:口語ではあまり使われず、やや堅い印象
「あるいは」は文脈によって意味が少し広がるため、単に選択肢を列挙するだけでなく、文全体のトーンを落ち着かせたり、文章を丁寧に整えたりする効果もあります。
例:文語的な文章や推測的な表現で使われる
- 「新幹線、あるいは飛行機で移動する予定です。」
- 「あるいは彼は来ないかもしれない。」
このように、「あるいは」は格式のある場面や丁寧な文体を好むときに使うと効果的です。
「または」「もしくは」「あるいは」の使い分け

「または」「もしくは」「あるいは」はいずれも選択肢を提示する言葉ですが、使用する場面や目的、文章の雰囲気に応じて適切に使い分ける必要があります。ここでは、実際の使用シーンを想定しながら、それぞれの使い分け方をわかりやすく説明します。
①ビジネス文書や説明書 →「または」
機械的で正確な選択肢の提示をしたい場合、「または」が最も適しています。
例:
- ご希望の商品を「AタイプまたはBタイプ」からお選びください。
- 身分証明書として、運転免許証またはパスポートが必要です。
📝 ポイント:正確・明確さが重視される文書向き。話し言葉ではやや堅め。
②会話やメール、やや丁寧な表現 →「もしくは」
ややカジュアルでありながら丁寧さも保ちたいときには「もしくは」が便利です。
例:
- メールもしくはお電話でご連絡ください。
- 東京駅もしくは品川駅でお待ち合わせしましょうか?
📝 ポイント:「または」より柔らかく、「あるいは」ほど堅くない。日常的で自然な印象。
③エッセイ・論文・文芸的な表現 →「あるいは」
落ち着いた文体や可能性を含んだニュアンスを出したいときに「あるいは」が向いています。
例:
- 彼は医者、あるいは科学者になる道を考えている。
- この出来事は、あるいは時代の流れを象徴していたのかもしれない。
📝 ポイント:選択肢を提示するだけでなく、文章全体に知的・洗練された印象を加える効果がある。
書き換え可能だがニュアンスが変わる例
同じ意味でも、語を変えることで文章の印象が変わります。
文例 | 使用語句 | 印象 |
---|---|---|
お申し込みはウェブ、または電話にて承ります。 | または | 正確・事務的 |
お申し込みはウェブ、もしくは電話にて承ります。 | もしくは | 丁寧・柔らかい |
お申し込みはウェブ、あるいは電話にて承ります。 | あるいは | 文語的・落ち着いた |
使い分けの早見表
状況 | 適した語句 | 理由 |
---|---|---|
正式な文書 | または | 正確で明快な表現が必要 |
柔らかい印象 | もしくは | フォーマルすぎず自然 |
落ち着いた文体 | あるいは | 文語調や推測を含めやすい |
「または」の使い方【例文20】

「または」は、主に文書やマニュアル、ビジネスシーンで、明確かつ機械的に選択肢を提示したいときに使われます。以下に例文を20個紹介します。
日常・一般的な使い方
- 飲み物はコーヒーまたは紅茶からお選びください。
→ シンプルに選択肢を提示。 - ご希望の色を、黒または白からお選びください。
→ 限定された2つの中からの選択。 - 会議は午前中または午後に行われます。
→ 時間帯の選択肢。 - この用紙は、鉛筆またはボールペンで記入してください。
→ 指示としての使用。 - チケットはインターネットまたは窓口で購入できます。
→ 利用方法の選択肢を提示。
ビジネス文書・丁寧な表現
- 履歴書または職務経歴書をご提出ください。
→ 採用関連でよく使われる。 - クレジットカードまたは電子マネーでお支払いいただけます。
→ 支払方法の選択。 - 本人確認書類として、運転免許証または健康保険証が必要です。
→ 必須条件の明記。 - 会議室は3階または5階をご利用ください。
→ オプションを提示する指示。 - ご不明点がございましたら、担当者またはカスタマーサポートまでご連絡ください。
→ 問い合わせ先を複数提示。
文章・書類などでの使用
- 商品の返品は、購入日から7日以内または未開封の場合に限ります。
→ 条件を並列して明示。 - 5名以上または団体でのご利用は予約が必要です。
→ どちらかの条件で適用。 - 応募条件は、大学卒業または同等の学力を有することです。
→ 学歴の代替条件として。 - お申込みは、オンラインフォームまたはFAXにて承ります。
→ 提出方法の選択肢を提示。 - お客様の声は、ホームページまたはアンケート用紙にご記入ください。
→ 情報提供の手段を複数提示。
その他の場面
- この機器は乾電池またはACアダプターで動作します。
→ 機械的な選択。 - 本キャンペーンは、法人または個人事業主が対象です。
→ 対象範囲の明示。 - 故障の原因は、部品の劣化または誤操作による可能性があります。
→ 複数原因の並列表現。 - 出席者は、社内または取引先から選出してください。
→ 限られた範囲での選択。 - 1等賞品は、現金10万円または旅行券です。
→ 明確な報酬の選択肢。
📝 まとめポイント
- 「または」は選択肢を明確に伝えたいときに最適。
- 書き言葉中心だが、口頭説明でもフォーマルな場なら自然。
- 多くの例文で見られるように、ビジネス文書や案内などでの使用頻度が高い。
「もしくは」の使い方【例文20】

「もしくは」は、「または」とほぼ同じ意味ですが、やや口語的で自然な表現が特徴です。日常会話や、少し丁寧な文体でよく使われます。
日常会話での使用
- 映画、もしくはカフェに行かない?
→ カジュアルな会話でも違和感なし。 - 明日もしくは明後日に行けるかもしれません。
→ 自然な口調で予定の選択肢を提示。 - 電話もしくはLINEで連絡して。
→ 実用的な言い回し。 - 宿泊はホテル、もしくは民宿がいいかな。
→ 旅先の選択肢を柔らかく提示。 - この道をまっすぐ、もしくは右に曲がってください。
→ 指示にも適した自然な接続。
ビジネス・丁寧な表現
- 担当者もしくは部署宛にご連絡ください。
→ 柔らかく丁寧に選択を促す。 - 会議資料は紙もしくはPDFでご提出ください。
→ 媒体の選択肢提示。 - 営業時間中、窓口もしくは電話にて承ります。
→ 利用方法の案内に適している。 - お手数ですが、支店もしくは本社へお問い合わせください。
→ 連絡先の選択肢をやんわり示す。 - 履修登録は、Webもしくは学生窓口で行ってください。
→ 学内案内にもよく使われる。
メールや案内文での使用
- 商品に関するご質問は、カスタマーサポートもしくはFAQをご覧ください。
→ 対応窓口の選択肢提示。 - 注文はインターネットもしくはFAXで可能です。
→ 連絡手段の選択。 - ご来店時には、予約表もしくは確認メールをご提示ください。
→ 来店時の対応案内。 - 説明会はオンラインもしくは対面で実施予定です。
→ 開催形式の選択肢を自然に表現。 - 忘れ物は1階受付もしくは2階の事務室にてお預かりしています。
→ 案内として自然な文脈。
書き言葉としての丁寧な用法
- 複数人での参加、もしくは個人でのご応募が可能です。
→ 柔らかく、文書でも好まれる表現。 - Aプラン、もしくはBプランをご選択いただけます。
→ 商品説明などで多用。 - ご希望の日時を、平日もしくは土曜からお選びください。
→ スケジュール調整の場面で。 - 提出物はPDFファイル、もしくは紙媒体で構いません。
→ 柔らかく許容範囲を示す。 - 質問はメールもしくはチャットで受け付けています。
→ 選択肢を提示しつつ丁寧。
📝 まとめポイント
- 「もしくは」は柔らかく自然な選択表現として、会話・ビジネス文書両方に対応。
- 「または」より口語的で、かつ丁寧な印象があるため、TPOに応じて使い分けやすい。
- 日常の連絡や案内文、説明的な文章に非常になじみやすい語句。
「あるいは」の使い方【例文20】

「あるいは」は、「または」「もしくは」と同様に選択肢の提示に使われる接続詞ですが、文語的・丁寧・落ち着いた印象が強く、エッセイや論文、ニュース記事などで好まれます。また、選択肢だけでなく、可能性の示唆にも使えるのが特徴です。
文語的な選択の提示
- 新幹線、あるいは飛行機での移動を予定しています。
→ 文書調で丁寧な印象を与える。 - この企画は、営業部あるいは企画部の責任で実施されます。
→ 担当部門を示す際に文語調で。 - 書面あるいは口頭での説明が必要です。
→ 両方を並列して丁寧に提示。 - お申し込みは、郵送あるいはFAXにてお願いいたします。
→ 丁寧かつ落ち着いた表現。 - 本資料は、取引先あるいは関連部署に共有してください。
→ ビジネス文書で自然。 - 経済学部あるいは法学部を志望しています。
→ 入試などで志望を伝える表現。 - 質問は、専用フォームあるいはメールで受け付けています。
→ 場面に応じた柔らかな並列表現。 - 企業あるいは自治体が主体となって実施されます。
→ 説明的な文体に適している。 - 会場は、大ホールあるいは別館のいずれかになります。
→ 選択肢を丁寧に表現。 - 講師は、日本人あるいは外国人が担当します。
→ 国籍に関わる言い回しも柔らかく。
可能性を含む用法
- 彼はもう到着している、あるいはすでに帰ったかもしれない。
→ 可能性を示す。 - 明日は晴れる、あるいは曇りかもしれません。
→ 予測や推測で使われる。 - この病気は遺伝的要因、あるいは生活習慣に起因すると考えられている。
→ 複数原因の可能性を示唆。 - その出来事は、あるいは偶然ではなかったのかもしれない。
→ 推測的な文体に自然に合う。 - 彼の沈黙は、同意の表れ、あるいは反発かもしれない。
→ 両義的な解釈を提示。
エッセイ・論文的表現
- この動きは、新しい社会構造の兆し、あるいは単なる一時的現象かもしれない。
→ 論述文にふさわしい。 - 教育とは知識の伝達、あるいは人格の形成であるとも言える。
→ 多角的な視点を表現。 - この制度は成功の鍵、あるいは混乱の火種になる可能性がある。
→ 両面の可能性を述べる。 - 彼の行動は、使命感からのもの、あるいは恐れによるものかもしれない。
→ 解釈に幅を持たせる文章。 - 文学とは、現実の写し絵、あるいは理想の投影かもしれない。
→ 哲学的・抽象的な表現にも使用可能。
📝 まとめポイント
- 「あるいは」は文語的・丁寧・落ち着いた印象があり、書き言葉での使用に適する。
- 単なる選択だけでなく、可能性・推測にも柔らかく使える。
- エッセイや論文など、文章を深めたい場面で効果的。
「または」「もしくは」「あるいは」の類語・英語
間違えやすい使い方【例文20】

ここでは、「または」「もしくは」「あるいは」の使い方として混乱しやすいケースを紹介します。誤用とその理由、そして正しい使い方を並べて解説します。
意味が曖昧になるケース
- 誤)参加者は学生、もしくは社会人。
正)参加者は学生または社会人。
理由:「もしくは」は口語的すぎて、文書では不自然。書き言葉では「または」が適切。 - 誤)会場はA、あるいはBまたはC。
正)会場はA、B、またはC。
理由:異なる接続詞の混用は論理の流れを曖昧にするため、統一すべき。 - 誤)お茶またはジュース、もしくは水から選べます。
正)お茶、ジュース、または水から選べます。
理由:「または」「もしくは」の混在は冗長。接続詞は一つに統一するのが望ましい。 - 誤)書類の提出は、PDF、もしくは紙、あるいはWord形式で。
正)書類の提出は、PDF、紙、またはWord形式で。
理由:複数の接続詞を使うと混乱を招く。選択肢が並列する場合は同じ接続詞を使用。 - 誤)電話、またはメール、あるいはチャットをご利用ください。
正)電話、メール、またはチャットをご利用ください。
理由:読者にとって読みづらくなるため、接続語の統一が必要。
話し言葉での不自然さ
- 誤)あの映画、あるいは観に行こうか。
正)あの映画、観に行こうか。または(もしくは)別のにする?
理由:「あるいは」は文語調。話し言葉には不自然。 - 誤)今日、もしくは雨が降りそうだよね。
正)あるいは雨が降りそうだよね。
理由:「もしくは」は選択肢向き。「あるいは」は可能性や推測にも使える。 - 誤)パン、またはコーヒーが飲みたいな。
正)パンかコーヒーが飲みたいな。
理由:日常会話では「または」より「か」の方が自然。 - 誤)今週末、旅行、または家でのんびりしようか。
正)今週末は旅行、もしくは家でのんびりしようか。
理由:話し言葉としては「もしくは」が自然。 - 誤)ケーキ、もしくはクッキーを焼こうと思うの。あるいは、やめようかな。
正)ケーキ、またはクッキーを焼こうと思うの。やめるのもありかもしれない。
理由:「あるいは」は口語で多用すると不自然。接続構造も分かりにくい。
文体と合わない接続詞の選択
- 誤)下記のいずれかをご持参ください:運転免許証、もしくは学生証。
正)下記のいずれかをご持参ください:運転免許証、または学生証。
理由:ビジネス文書では「または」が適切。 - 誤)この製品は、一般ユーザー、または初心者の方にもおすすめです。
正)この製品は、一般ユーザー、あるいは初心者の方にもおすすめです。
理由:「あるいは」の方が柔らかく自然。 - 誤)お支払いは現金、あるいはクレジットカードでお願いします。
正)お支払いは現金、またはクレジットカードでお願いします。
理由:実用的な案内文では「または」がスムーズ。 - 誤)開会式は8時、または9時の予定です。
正)開会式は8時、あるいは9時の予定です。
理由:推測や未確定情報には「あるいは」が合う。 - 誤)この本は、ビジネスマン、もしくは学生におすすめです。
正)この本は、ビジネスマン、または学生におすすめです。
理由:案内文では「または」の方が論理的で読みやすい。
文章の構造が不自然
- 誤)A、B、CまたはDを選んでください。
正)A、B、C、またはDを選んでください。
理由:「または」を途中で入れるとどこから選択かが不明瞭。 - 誤)授業は月曜、火曜、あるいは木曜に行われます。
正)授業は月曜、火曜、または木曜に行われます。
理由:選択肢として使うなら「または」の方が明快。 - 誤)このアプリは、無料版、もしくは有料版、あるいは企業版があります。
正)このアプリは、無料版、有料版、または企業版があります。
理由:選択肢はすべて「または」で統一すべき。 - 誤)提出物は、手書き、または、もしくはWord形式。
正)提出物は、手書き、またはWord形式。
理由:「または」と「もしくは」の重複使用は冗長。 - 誤)この作業は、チームA、またはB、あるいはCで行ってください。
正)この作業は、チームA、B、またはCで行ってください。
理由:混在させると読み手の混乱を招く。
「または」「もしくは」「あるいは」の類語・英語

「または」「もしくは」「あるいは」は、いずれも選択肢や可能性を示す接続詞です。日本語にはこれらと同じような意味を持つ類語がいくつか存在し、英語にも近い表現があります。
ここでは、それぞれの日本語の類語と、それに対応する英語表現をまとめて解説します。
類語
表現 | 用途・特徴 |
---|---|
~か | 会話で最も一般的な接続語。柔らかく自然な印象。例:りんごかバナナ。 |
また | 並列や追加を示すが、状況により「または」に近くなることもある。例:英語またフランス語。 |
ないし(は) | フォーマルで書き言葉向き。「AないしB」のように使い、範囲や選択を示す。 |
それとも | 疑問文で選択肢を提示する時に使われる。例:コーヒーがいい?それとも紅茶? |
英語での表現
英語表現 | 意味・ニュアンス | 使用例 |
---|---|---|
or | 基本的な「または」「もしくは」に相当する語。 | Coffee or tea? |
either A or B | 「AかBのいずれか」=限定的な二者択一 | Either red or blue. |
alternatively | 「あるいは」「他の選択肢として」など、丁寧でやや文語的 | You can walk, alternatively, take a taxi. |
maybe | 「あるいは~かもしれない」という推測的な意味に対応 | Maybe he forgot. |
possibly / perhaps | 「おそらく~かもしれない」=「あるいは」の可能性のニュアンス |
よくある質問

Q1. 「または」と「もしくは」は、完全に同じ意味ですか?
A. 基本的な意味は同じで、「複数の選択肢の中からどれか一つを選ぶ」際に使います。ただし、「または」はやや硬い印象があり、書類やマニュアルなどフォーマルな文書で使われることが多いです。「もしくは」は口語にもなじみやすく、やや柔らかい表現です。文体や場面に応じて使い分けるとよいでしょう。
Q2. 「あるいは」はどうして他の2つと違う印象になるのですか?
A. 「あるいは」は文語的で丁寧な響きがあり、書き言葉や論文・エッセイなどの文脈に向いている接続詞です。また、「選択肢の提示」だけでなく、「可能性の示唆」にも使えるため、用途の幅がやや広い点も他の2語との違いです。
Q3. 会話ではどの接続詞を使うのが自然ですか?
A. 日常会話では「または」よりも「もしくは」の方が自然です。ただし、多くの場面では「AかB」のように、接続助詞「か」を使うのが一般的です。会話の中で「あるいは」を使うと、やや不自然・かたい印象を与えることがあります。
Q4. ビジネス文書ではどれを使えばいいですか?
A. 基本的には「または」が最も適しています。理由は、簡潔で論理的、かつフォーマルな印象を与えるからです。ただし、メール文などで柔らかく丁寧な印象を出したい場合は「もしくは」も問題ありません。
Q5. 「または」「もしくは」「あるいは」は混ぜて使ってもいいですか?
A. 同一文中や同一文書内で混用するのは避けた方がよいです。一貫性が失われ、読み手に違和感を与える可能性があるためです。特に複数の選択肢を列挙する際には、接続詞を統一しましょう。
Q6. 英語で「または」と表現する場合、最も自然なのは何ですか?
A. 英語では一般的に「or」が最もよく使われます。「either A or B」とすると二者択一のニュアンスが明確になり、「alternatively」は文章にやや丁寧さや文語的印象を与えます。
Q7. 「ないし(は)」との違いはありますか?
A. 「ないし(は)」は「または」と似た意味ですが、よりフォーマルで書き言葉に特化した表現です。また、「AからBまで」のような範囲を示す意味でも使えるため、用法に幅があります。ただし、日常会話ではほとんど使われません。
まとめ
「または」「もしくは」「あるいは」は、いずれも選択肢や可能性を示す日本語の接続詞ですが、それぞれに微妙なニュアンスと使いどころがあります。
「または」は、主にフォーマルな文書やビジネス文脈で使われる、やや堅めの接続詞です。正確さが求められる場面に最適です。
「もしくは」は、同様の意味を持ちつつも、やや口語的で柔らかい印象を与えるため、日常会話やメール、案内文などで使いやすい表現です。
「あるいは」は、文語的な響きがあり、エッセイや論文、推測・可能性を含む文脈に向いています。文章全体に落ち着いた雰囲気を加える効果があります。
それぞれの言葉は意味が似ているため混同されやすいですが、使用する場面や目的に応じて選び分けることで、文章の質や印象が大きく変わります。本記事の解説と例文を参考に、自然で的確な使い分けを意識してみてください。