「つまずく」と「つまづく」どっちが正しい?テストの正解は?

「つまずく」という言葉、日常生活でもビジネスシーンでもよく使われますよね。たとえば、「小石につまずいた」「新しい仕事でつまずいた」といった表現。ところが、この「つまずく」、人によっては「つまづく」と書くこともあり、「あれ?どっちが正しいの?」と疑問に感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
特にSNSや文章作成ツールを使っていると、「誤字では?」と指摘されることもあります。また、学校のテストや履歴書など、正しい日本語が求められる場面では、どちらを使うべきか迷ってしまいますよね。
この記事では、「つまずく」と「つまづく」の違いや正しい使い方、学校やビジネスの現場での扱われ方、そして例文や歴史的背景など、あらゆる角度から詳しく解説します。
日本語の正しい知識は、日常生活だけでなく、信頼感のある文章を書くためにも欠かせません。この記事を通じて、「つまずく」と「つまづく」の違いをしっかり理解し、自信を持って使えるようになりましょう。
目次
「つまづく」と「つまずく」どっちが正解?

結論:どちらも間違いではない
まず結論からお伝えすると、「つまづく」も「つまずく」も、どちらも日本語として通じる表現であり、完全な誤りではありません。ただし、公式な文書や学校教育においては「つまずく」が正解とされています。その背景には、「現代仮名遣い」と「歴史的仮名遣い」の違いがあるのです。
現代仮名遣いと歴史的仮名遣いの違い
日本語の表記には、「現代仮名遣い」と「歴史的仮名遣い」という二つの基準があります。
- 現代仮名遣い:戦後の国語改革によって定められた、現代日本語に即した表記ルール。小学校や中学校、高校で教えられるのはこの仮名遣いです。
- 歴史的仮名遣い:古文や文語文で使われていた、発音とは異なる古い表記ルール。
「つまづく」は、もともと歴史的仮名遣いに基づく表記で、戦前までは広く使われていました。ところが、発音に近い「つまずく」が現代仮名遣いとして採用され、今日ではこちらが一般的で正しい表記とされています。
現在の一般的な表記は「つまずく」
新聞、書籍、辞書、教育機関など、あらゆる公式な文書では「つまずく」が採用されています。たとえば、以下のような例があります。
- 『広辞苑』:つまずく(現代仮名遣い)
- 『新明解国語辞典』:つまずく(つまづくの表記は記載なし)
- NHKや新聞社の校閲基準:「つまずく」を使用
つまり、「つまずく」が標準的で推奨される表記であるといえるでしょう。
ビジネスシーンでは「つまずく」がベター
ビジネスメール、報告書、プレゼン資料、Webサイトのコンテンツなど、正確さが求められる場面では、必ず「つまずく」を使うようにしましょう。
たとえ相手が意味を理解できたとしても、「つまづく」と表記してしまうと、誤字と捉えられる可能性があるため、注意が必要です。
学校のテストではどちらが正解?

学校のテストでは、「つまずく」が正解とされます。なぜなら、国語の授業やテストでは「現代仮名遣い」が基準とされており、「つまずく」がそのルールに沿った正しい表記だからです。
教科書や問題集でも「つまずく」が使われており、「つまづく」と書くと、たとえ意味が合っていても誤答や減点の対象になる可能性があります。
つまり、テストでは迷わず「つまずく」と書くのが正解です。学生のうちからこの表記に慣れておくと、入試や将来の文章作成でも安心です。
履歴書ではどちらが正解?

履歴書においては、「つまずく」が正しい表記とされています。これは、ビジネス文書や公的な書類では、現代仮名遣いに従った表現が求められるためです。
「つまづく」は歴史的仮名遣いに基づく表記ですが、現在では一般的ではなく、誤字や古い表記と受け取られる可能性があります。たとえば、「新しい職場でつまづいた経験が、今の自分を成長させてくれた」といった表現を履歴書や職務経歴書に書いた場合、採用担当者によっては「表記ミス」と判断されてしまうこともあるのです。
履歴書は、第一印象を左右する大切な書類です。内容がどれだけ良くても、細かい誤字や表記ミスがあると、注意力やビジネスマナーに欠けると見なされることがあります。そのため、信頼性を高める意味でも「つまずく」と書くのが無難です。
「つまづく」と「つまずく」の使い分け

「つまずく」と「つまづく」は、意味は同じですが、使われる場面によって選び方に注意が必要です。以下に、それぞれの適切な使い方をわかりやすくまとめます。
公的・正式な場面では「つまずく」
以下のようなシーンでは、必ず「つまずく」を使うべきです。
- 学校のテスト・作文
- 就職活動(履歴書・エントリーシート)
- ビジネスメール・社内文書
- 新聞・書籍・Web記事
→例:
「新人研修でいくつかの業務につまずく場面があった。」
カジュアルな場面なら「つまづく」も許容
口語的・個人的な文脈であれば、「つまづく」も使われることがあります。
- SNS投稿(X、Instagramなど)
- ブログのカジュアル記事
- 私的な日記・メモ
→例:
「何回も同じところでつまづく自分がちょっと嫌になる。」
ただし、読む人にとっては「誤字かな?」と思われることもあるため、あえて使う場合は表現の雰囲気をよく考えることが大切です。
ポイント
使用場面 | 推奨表記 |
---|---|
学校・ビジネス | つまずく |
履歴書・試験 | つまずく |
SNS・日記など | つまづく(許容) |
公的な文書全般 | つまずく |
混乱しないためにも、基本は「つまずく」を使うのが安心です。表現に個性を出したいときだけ、場面を選んで「つまづく」を使いましょう。
「つまづく」と「つまずく」の歴史的背景

「つまづく」と「つまずく」は、どちらも意味は同じですが、その表記の違いには日本語の表記法の歴史が深く関係しています。
かつて日本では、「歴史的仮名遣い」と呼ばれる古い表記ルールが使われており、その時代には「つまづく」が一般的な表記でした。この歴史的仮名遣いでは、「ず」と「づ」、「じ」と「ぢ」を区別して使うことが多く、現在よりも仮名の使い分けが複雑でした。
しかし、第二次世界大戦後の1946年、日本語表記をより簡単に、発音に近づける目的で「現代仮名遣い」が制定されました。これにより、「づ」は原則として使わず、「ず」に統一するという方針が採られました。同様に、「ぢ」と「じ」も、ほとんどの場合で「じ」に統一されています(ただし「はなぢ」など一部例外あり)。
この改革の影響で、「つまづく」は「つまずく」と書かれるようになり、これが現在の標準表記となったのです。
現代では、学校教育・辞書・公的文書・新聞など、あらゆる公式な媒体で「つまずく」が採用されています。「つまづく」という表記は、かつては正しかったものの、現在では古い表記・非標準表記という位置づけです。
このように、日本語の表記は時代とともに変化してきました。「つまづく」と「つまずく」の違いも、その一例といえるでしょう。
「つまづく」と「つまずく」【例文40】

この章では、「つまずく」と「つまづく」それぞれの使い方を具体的にイメージできるよう、例文を40個ご紹介します。
現代標準表記「つまずく」
- 新しいプロジェクトの初期段階でつまずいた。
- 入社して最初の業務で少しつまずきました。
- 経営戦略の見直しで多くの企業がつまずいている。
- プレゼンの途中で言葉につまずいてしまった。
- 英語の発音につまずく学生が多い。
- プログラミングの基礎でつまずいた経験があります。
- 営業職で最初につまずいたのは、電話応対でした。
- 試験勉強のスケジュール管理でつまずいてしまった。
- 幼児期にことばの発達で少しつまずいた。
- 政策の実行段階で政府がつまずいている。
- 就職活動の面接練習でつまずきがちです。
- 起業の初期段階でつまずいたことが後の成長につながった。
- 契約交渉の場で話の流れにつまずいた。
- セミナーの冒頭、緊張でつまずいたが、すぐに立て直した。
- 学級活動の企画づくりで何度もつまずいた。
- 新しい教材の導入で教師がつまずいている。
- リーダーシップの取り方につまずく新人が増えている。
- デザインツールの操作で最初につまずいた。
- 社内システムの変更に多くの社員がつまずいている。
- 「失敗はつまずきではなく、学びの始まり」と考えるようにしている。
歴史的仮名遣い「つまづく」(常用外)
- なんでいつも同じところでつまづくんだろう。
- 今日も朝から階段でつまづいた…寝不足かも。
- 人間関係ってちょっとしたことでつまづくよね。
- 知らない道を歩いてて石につまづいた😅
- また恋愛で同じパターンにつまづいてる気がする。
- 人生、何度もつまづいて、それでも前に進むもの。
- タイピング中に変換でつまづいて、文章が止まった。
- 今日の料理、塩の分量でつまづいた(笑)
- SNSの投稿で表現につまづいて、何度も書き直し。
- 息子が漢字の書き取りで毎回同じ字につまづく。
- 歩きスマホしてたらつまづきそうになった。
- ダンスの振付で一箇所だけどうしてもつまづく。
- 自転車のスタンド立てようとしてつまづいた…
- つまづいたことも今は良い思い出。
- DIYで棚を作ってて、ネジ締めのところでつまづいた。
- 朝から靴ひもに足を引っかけてつまづいた。
- 子どもが絵本を読みながら言葉につまづいていた。
- 小さな段差につまづいて転びそうになった。
- 目覚まし止めようとして布団の中で手がつまづいた。
- 「つまづく」って書いたら変換で赤線出た…びっくり。
ポイント
- 「つまずく」は正式・公的な場面で必ず使うべき表記。
- 「つまづく」はカジュアルな表現や親しみのある文章で使われることもあるが、誤字と誤解される可能性あり。
- どちらを使うかは、相手と目的を意識することが大切です。
「つまずく」の英語表現

① 物理的につまずく(足が何かに引っかかる)
- trip over
例:- He tripped over a rock.(彼は石につまずいた。)
- I tripped over the step and almost fell.(段差につまずいて、転びそうになった。)
②失敗する・行き詰まる(比喩的な意味)
- stumble(比喩的にも使える)
- struggle(困難に直面する)
- have trouble with ~(~に苦労する)
例:- She stumbled in her presentation.(彼女はプレゼンでつまずいた。)
- Many students struggle with math.(多くの学生が数学につまずく。)
- He had trouble with the first few weeks of his new job.(彼は新しい職場の最初の数週間につまずいた。)
③抽象的なつまずき(人生・キャリアなど)
- hit a snag(予期せぬ障害に直面する)
- encounter a setback(後退・障害に出会う)
例:- The project hit a snag due to budget issues.(予算の問題でプロジェクトがつまずいた。)
- He encountered a setback early in his career.(彼はキャリアの初期に大きなつまずきを経験した。)
まとめ表
日本語の意味 | 英語表現 | 用例 |
---|---|---|
足が引っかかる | trip over | He tripped over a rock. |
失敗・困難に直面 | stumble / struggle | She stumbled in her presentation. |
問題にぶつかる | hit a snag / have trouble | The plan hit a snag. |
一時的な後退・挫折 | encounter a setback | He encountered a setback in his career. |
よくある質問

ここでは、「つまずく」と「つまづく」に関して、読者からよく寄せられる疑問や混乱しやすいポイントをQ&A形式で解説します。
Q1.「つまずく」と「つまづく」はどちらも辞書に載っていますか?
A. 現代の国語辞典では、基本的に「つまずく」のみが見出し語として掲載されています。「つまづく」は、過去の仮名遣いとして解説がある場合はありますが、現在の標準表記とはされていません。
Q2. WordやGoogleドキュメントで「つまづく」は間違いとされますか?
A. はい、多くの場合「つまづく」と入力すると、赤線(スペルミスのマーク)が表示されるか、「つまずく」への変換が提案されます。これは現代仮名遣いに基づいて自動校正が行われているためです。
Q3. どうして「ず」と「づ」、「じ」と「ぢ」があるのですか?
A. 日本語にはかつて「ず」「づ」「じ」「ぢ」を区別する発音の違いがありました。しかし、現代ではほとんどの地域で同じ音に発音されるようになったため、表記も統一されたのです。「つまずく」はその統一ルールに従った例です。
Q4. 他にも「ず」と「づ」で迷う単語はありますか?
A. はい、以下のような言葉もよく混同されます:
正しい表記 | よくある誤り | 意味 |
---|---|---|
つまずく | つまづく | 転ぶ、失敗する |
気まずい | 気まづい | 雰囲気が悪い |
数字 | すうぢ | 数を表す記号 |
迷ったときは、辞書や校正ツールで確認する習慣をつけることが大切です。
Q5. 「つまづく」は完全な間違いと考えていいの?
A. 完全な間違いではありませんが、現代では標準表記ではないため、誤字と受け取られることがあります。特にビジネスや教育の場では「つまずく」を使用するのが正解です。
Q6. 方言や地域によって「つまづく」を使うことはありますか?
A. 多少の地域差はありますが、「つまづく」はあくまで表記の問題であり、発音に大きな差はありません。地域によって「つまづく」が親しまれていることはありますが、書き言葉としては「つまずく」が主流です。
Q7. 「つまずく」は漢字で書けますか?
A. 基本的に「つまずく」はひらがなで書くのが一般的です。漢字で書くと、「躓く」と書かれます。しかしこれは難読・旧字に近く、一般的な書き方とは言えません。
Q8. 学校で「つまづく」と書いたら不正解になりますか?
A. はい、多くの学校では減点や誤答扱いになる可能性が高いです。学校教育では現代仮名遣いが基準とされているため、必ず「つまずく」と書きましょう。
まとめ
「つまずく」と「つまづく」は、意味としてはまったく同じ言葉ですが、現代日本語においては「つまずく」が正しい表記とされています。この違いは、戦前に使われていた「歴史的仮名遣い」と、戦後に制定された「現代仮名遣い」の違いによって生まれました。
戦前は「つまづく」が一般的な表記でしたが、1946年の国語改革によって発音に即した表記が採用され、「つまずく」が正式な書き方となりました。現在では、学校教育・新聞・辞書・ビジネス文書など、あらゆる場面で「つまずく」が使われています。
そのため、テストや履歴書、ビジネスメールなど公的・正式な場面では「つまずく」を使用するのが正解です。一方、「つまづく」は私的なブログやSNSなど、自由な表現が許される場面では見かけることもありますが、誤字と受け取られるリスクもあるため注意が必要です。
言葉の使い方一つで、文章の信頼性や印象が大きく変わることもあります。「つまずく」と「つまづく」の違いを正しく理解し、シーンに応じた適切な表記を選べるようにしておきましょう。