「行きづらい」と「行きずらい」どっちが正しい?【例文30】

ハテナマークと発見マーク

「どっちが正しいの?」と迷う言葉のひとつに、「行きづらい」と「行きずらい」があります。スマートフォンで変換するとどちらも出てきそうな雰囲気ですが、実際にはどちらが正しい表現なのでしょうか?

日常会話やSNS、メールのやり取りなど、私たちが日常的に使う日本語の中には、こうした“微妙な違い”を持つ言葉が多くあります。なかでも、「行きづらい」と「行きずらい」は、特に混同されやすい表現です。

この記事では、

  • 正しい使い方はどちらなのか
  • なぜ混同されやすいのか
  • 正しい意味と語源
  • 具体的な例文での使い分け

などを、わかりやすく、かつ実践的に解説します。読んだあとには、自信を持って使えるようになりますよ!

「行きづらい」と「行きずらい」どっちが正しい?

マルとバツで迷う

結論からお伝えすると、正しい日本語表現は「行きづらい」です。

「行きずらい」という表現も日常会話やSNSではよく見かけますが、これは誤った表記です。書き言葉や正式な文書では避けるべきものとされています。

「行きづらい」が正しい理由

「~づらい」は動詞の連用形に接続して、「~するのが困難である」「~しにくい」という意味を表す日本語の正規の文法表現です。

例:

  • 見づらい(=見にくい)
  • 話しづらい(=話しにくい)
  • 行きづらい(=行くのが難しい、行きにくい)

このように、「づらい」はれっきとした文法ルールに基づく言葉です。

なぜ誤用「行きずらい」が広まったのか?

「行きづらい」は発音すると「いきずらい」に聞こえることが多いため、音の響きのままに「ずらい」と書いてしまう人が多いのです。

また、日本語には「ず」と「づ」の区別が難しいという特徴もあります。これは「連濁(れんだく)」という音の変化や、地域差、教育環境による違いも一因です。

「行きずらい」はなぜ間違い?

ハテナマーク

「行きずらい」は、正しい日本語の文法に基づかない表現です。

正しくは「行きづらい」で、動詞「行く」の連用形に、「~しにくい」「困難だ」という意味の接尾語「づらい」がついた形です。一方、「ずらい」という言葉は日本語には存在しません。

音として「いきずらい」と発音されることが多いため、聞いたままに書いてしまう誤りが広まりました。しかし、辞書にも文法書にも「ずらい」は載っておらず、正式な日本語ではないとされています。

そのため、「行きずらい」は誤用であり、正しくは「行きづらい」と書くべきです。

「行きづらい」の意味

文具

「行きづらい」は、動詞「行く」の連用形「行き」に、接尾語「づらい」がついた形です。ここで使われている「づらい」は、「~しにくい」「~するのが困難である」という意味を持ちます。

つまり、「行きづらい」とは、「行くことが心理的あるいは物理的に困難である状態」を表す表現です。

「づらい」の語源と特徴

「づらい」は、「辛い(つらい)」が変化した語であり、「~するのがつらい・困難である」ことを示します。日常的な言い換えとしては「行きにくい」とも非常に近い意味を持ちますが、ニュアンスには若干の違いがあります。

  • 行きづらい:心理的な抵抗や気まずさ、人間関係の影響などで行きにくい(例:嫌な人がいるから職場に行きづらい)
  • 行きにくい:地理的・物理的にアクセスが難しい(例:バスが少なくてその場所には行きにくい)

このように、「行きづらい」は気持ちや感情に関わる困難さを表すことが多いのが特徴です。

「行きずらい」の意味

「行きずらい」は文法的には誤った表現ですが、日常会話やSNSなどのカジュアルな場面では使われているのが実情です。

意味としては、「行きづらい」とほぼ同じく「行くのが困難だ、行きにくい」といったニュアンスで使われています。発音上の違いが少ないため、話し言葉では意味が通じてしまい、誤用が定着している側面があります。

ただし、「行きずらい」はあくまでも誤表記・誤用であり、正式な文章やビジネス文書、学校での提出物などでは使うべきではありません。

書き言葉では「行きづらい」と正しく表記するのがマナーです。

「行きづらい」と「行きずらい」の違い

友達との談笑

「行きづらい」と「行きずらい」は、音の響きが似ているため混同されがちですが、文法的な正しさ・使用の適切さにおいて明確な違いがあります。以下の表にその違いをまとめました。

項目行きづらい(正しい)行きずらい(誤用)
正しさ◎ 正式な日本語。文法に則っている× 誤用。文法的に誤っている
意味「行くのが難しい」「心理的に行きにくい」実際には「行きづらい」と同様の意味で使われる
発音「いきずらい」と発音されることが多い同様に「いきずらい」と発音される
用途・場面書き言葉・ビジネス文書・公的文書に適しているSNS・会話などカジュアルな場で誤用として登場
国語辞典での記載記載あり(例:広辞苑、明鏡国語辞典など)記載なし。辞書には載っていない
推奨される使用シーンレポート、メール、プレゼン資料、ブログなど基本的に使用非推奨
  • 「行きづらい」は文法的にも辞書的にも正しい表現です。特に正式な場では必ずこちらを使用しましょう。
  • 「行きずらい」は誤表記です。会話では意味が通じることが多いものの、正しい使い方としては認められていません。

「行きづらい」と「行きずらい」の使い分け

注意

正しい使い方をしたいなら「行きづらい」

  • 書き言葉やビジネス文書、レポートなどでは必ず「行きづらい」を使いましょう。
  • 学校や職場など、きちんとした文章を書く場面では「行きずらい」はNGです。

会話やSNSでは「行きずらい」も見かけるが注意

  • 会話では「いきずらい」と発音されるため、「行きずらい」と書いてしまう人が多くいます。
  • ただし、誤用であることを理解したうえで使うことが大切です。
  • 公共の場や公的な書き言葉では避けましょう。

迷ったら「行きにくい」と言い換えるのも◎

  • どう書けばいいか迷ったときは、「行きにくい」と書けば無難です。
  • どちらの言葉にも共通する意味を持っているため、場面に合わせて使い分けましょう

「行きづらい」の使い方【例文20】

友達に会いに行く

「行きづらい」は、心理的・感情的な抵抗があって行くのが難しい場合によく使われます。以下のような場面で活用されます。

  1. 昨日あんなことを言ってしまったから、今日は会社に行きづらい。
  2. ケンカした友達の家には、なんだか行きづらいな。
  3. 上司に怒られた後は、職場に行きづらいと感じる。
  4. 久しぶりすぎて、実家に行きづらくなってしまった。
  5. 彼女と気まずくなって、共通の飲み会にも行きづらい。
  1. お通夜の直後に遊園地に行くのは、ちょっと行きづらいよね。
  2. ドレスコードが厳しいと聞いて、行きづらくなった。
  3. 知らない人ばかりだと、そのイベントには行きづらい。
  4. 服装を気にしすぎて、カフェにすら行きづらくなる。
  5. 場違いな気がして、あの集まりには行きづらい。
  1. 試験に落ちたばかりだから、予備校に行きづらい。
  2. お金を借りたままの友人の家には行きづらい。
  3. 転職を決めた会社には、もう行きづらい雰囲気がある。
  4. 新しく配属された部署に、最初は行きづらかった。
  5. 面識のない親戚の家には行きづらいと感じた。
  1. 一人で居酒屋に行くのは、なんとなく行きづらい。
  2. 女性一人でラーメン屋に行きづらいと感じる人もいる。
  3. 地元を離れてからは、地元の祭りにも行きづらい。
  4. 子どもを連れて行くには、その店は少し行きづらい。
  5. 感染対策に厳しい地域には、観光でも行きづらいと思った。

迷った時の使い方【例文10】

OK、NG

「行きづらい」と「行きずらい」で迷ったときは、言い換え表現文脈に合った他の表現を使うことで、正しく自然に伝えることができます。ここでは、迷ったときに便利な例文を10個紹介します。

①言い換え表現「行きにくい」を使う

  1. 昨日あんな態度を取ってしまって、今日は職場に行きにくい
  2. 初めての場所で不安なので、行きにくい気がします。
  3. 体調が悪くて、病院に行きにくいんです。

②気持ちを表す表現に言い換える

  1. あの人がいると思うと、ちょっと顔を出すのが気まずい
  2. 行こうと思ったけど、なんとなく気が進まない
  3. あの雰囲気では、足が向かないよね。

③状況や理由を補足して自然な表現に

  1. 知らない人ばかりで、会場に行くのをためらっている
  2. 周囲の目が気になって、正直行く気になれない
  3. あんなことがあったから、職場に行くのが憂うつなんだ。

④「行くことを控える」表現に置き換える

  1. 今はちょっと事情があって、行くのは控えている

迷ったら「行きにくい」に置き換えよう

「行きにくい」は文法的にも正しい表現で、心理的にも物理的にも使える便利な言葉です。言葉の選択に迷ったときは、無理に「行きづらい」や「行きずらい」を使わず、「行きにくい」と表現することで、自然で誤りのない文章になります。

よくある質問

Q&A

ここでは、「行きづらい」と「行きずらい」に関して、よくある疑問や混乱しやすいポイントをQ&A形式でまとめました。


Q1:LINEやSNSでは「行きずらい」でもいいの?

A:カジュアルな場面では意味が通じれば問題ないこともありますが、推奨はできません。

SNSやチャットのような砕けた表現が許容される場面では「行きずらい」が使われていることもあります。ただし、誤用と理解したうえで使う必要があります。公の場や目上の人には使わないようにしましょう。


Q2:「行きにくい」と「行きづらい」の違いは?

A:「行きにくい」は物理的・一般的な困難さ、「行きづらい」は心理的な抵抗に重点があります。

表現主な意味
行きにくい地理的・時間的に行きづらいバスが少なくて行きにくい
行きづらい心理的・人間関係的に行きにくい元恋人が来るから行きづらい

言葉のニュアンスを正確に伝えたいときは、相手や文脈に合わせて使い分けることが大切です。

まとめ

「行きづらい」と「行きずらい」は、音の響きが似ているため混同されやすい言葉ですが、正しい表記は「行きづらい」です。「づらい」は「~しにくい」「困難である」という意味の接尾語で、正式な日本語表現として国語辞典にも載っています。一方、「行きずらい」は誤った書き方で、正規の文法には存在しません。とはいえ、発音の影響で誤用が広まり、SNSや会話では使われる場面も少なくありません。

迷ったときには「行きにくい」などの言い換え表現を使うことで、自然で誤解のない文章になります。この記事では、「行きづらい」の意味や使い方、例文を通してその正しい使い方を解説しました。今後は場面に応じて、正確な表現を選べるよう意識してみましょう。