「上る」「登る」「昇る」の違い【100例文】使い分け完全ガイド

日本語には、同じ読み方でも意味や使い方が異なる漢字が数多く存在します。その中でも「のぼる」と読む「上る」「登る」「昇る」は、特に混同しやすい言葉のひとつです。これらは日常会話だけでなく、ビジネスや文章表現でも頻繁に登場するため、正しく使い分けることが求められます。
たとえば、「山にのぼる」は「登る」、「エレベーターで5階にのぼる」は「上る」、「朝日がのぼる」は「昇る」が正しい表記です。しかし、意味が似ているため、どの漢字を使えばよいか迷う場面も多いのではないでしょうか。
この記事では、それぞれの「のぼる」が持つ意味と使い方の違いをわかりやすく解説し、100の例文を通じて実践的に理解を深めていきます。英語表現も紹介しているので、外国語学習中の方にも役立つ内容です。
「上る」「登る」「昇る」の正しい使い分けをマスターし、表現力を一段レベルアップさせましょう!
目次
山に「のぼる」、階段に「のぼる」の漢字は?
いきなりですが、よくある質問です。山に「のぼる」と階段に「のぼる」の漢字は「上る」「登る」「昇る」のうちのどれを使うでしょうか。いざ聞かれると、迷ってしまうこともありますよね。答えを明確にしておきます。
山に「のぼる」→ 登る

- ✅ 正しい表記:山に登る
- 理由:山のような自然の高所に対して、自分の足で登っていく動作があるため、「登る」が最適です。
- 補足:「登山(とざん)」という熟語もあるように、「登」は主に地形や物理的な高所に対して使います。
階段に「のぼる」→ 上る

- ✅ 正しい表記:階段を上る
- 理由:階段は構造物であり、日常の中で上昇移動を表現する場面では、「上る」が自然です。特に抽象的なニュアンス(上階に行く、など)も含まれる場合に「上る」が使われます。
- ただし:体力的・動作的な面を強調する場合は「登る」も間違いとはされません(例:「膝を使って必死に階段を登る」)。
しかし、一般的な表現では「上る」がよく使われます。
ポイント
文 | 正しい漢字 | 理由 |
---|---|---|
山にのぼる | 登る | 自然の高所・動作的上昇 |
階段にのぼる(一般) | 上る | 日常的・構造的な移動 |
階段にのぼる(動作強調) | 登る | 身体動作を強調する文脈 |
「上る」の意味

「上る(のぼる)」は、主に「低いところから高いところへ向かう動き」を表しますが、非常に幅広い場面で使われる漢字です。抽象的な表現や比喩的な意味でも使われるため、柔軟性が高いという特徴があります。
主な意味と使い方
1. 移動に関する「上る」
- 階段・坂道・建物などを上がる動作
- 例:階段を上る、坂を上る
- 都市に向かう移動(特に首都や中心地へ)
- 例:上京する → 東京に上る
2. 数値や量が増える
- 金額や数値が一定の水準に達する
- 例:費用が10万円に上る、参加者が500人に上る
3. 抽象的・比喩的な上昇
- 議題・話題が公式な場に提出される
- 例:問題が会議に上る
4. 天体に関する例外的用法(誤用注意)
- 本来は「昇る」を使いますが、誤用で「太陽が上る」と書かれることもあります。
- 正しい表記:太陽が昇る
「上る」の特徴まとめ
用法の種類 | 例文 | 補足 |
---|---|---|
物理的な上昇 | 階段を上る | 高い場所へ移動 |
都市への移動 | 東京に上る | 政治・文化の中心地への移動 |
数値の上昇 | 売上が1億円に上る | 数や量が増える場合 |
抽象的な動作 | 話題が議会に上る | 正式な場に持ち上がる |
「上る」は最も汎用性が高く、会話や文章でも幅広く使用される言葉です。ただし、実際に登る動作や自然現象には適していない場面もあるため、他の「登る」「昇る」との違いに注意が必要です。
「登る」の意味

「登る(のぼる)」は、実際に高い場所へ向かって身体を使って上がる動作に使われる漢字です。対象となるのは「山」「坂」「塔」「はしご」など、物理的な高所であり、実際の動きが伴う場面に限定されるのが特徴です。
主な意味と使い方
1. 山や坂など自然の高所に上がる
- 高い地形に向かって移動する動作
- 例:山に登る、坂道を登る
2. 建築物や構造物を上がる
- 人工的なものを上に向かって移動する
- 例:はしごを登る、塔に登る
3. 比喩的な使い方(少数)
- キャリアや修行段階を積み重ねる意味で使われることもある
- 例:出世街道を登る(※「昇る」でも可)
「登る」の特徴まとめ
用法の種類 | 例文 | 補足 |
---|---|---|
自然の高所 | 富士山に登る | 登山やハイキングなど |
人工的な構造物 | 展望台に登る | 階段やはしごを使用する場合 |
比喩的な努力 | キャリアの階段を登る | やや文語的・詩的表現で使われることあり |
「登る」は物理的な動きが前提であるため、「上る」や「昇る」のような抽象的な使い方には適していません。たとえば、金額や太陽、地位の上昇などには使わないのが原則です。
「登る」は特に登山や冒険の話題など、実際の行動を描写する場面で欠かせない漢字です。「上る」との使い分けが紛らわしい場合もありますが、実際に足を使って登るなら「登る」を選ぶ、と覚えておくと便利です。
「昇る」の意味

「昇る(のぼる)」は、自然現象や社会的な地位の上昇、儀式的・精神的な上昇などに使われる漢字です。「登る」や「上る」と異なり、人が自力で行う動作ではなく、自然や制度、流れの中で上昇するものを表します。
主な意味と使い方
1. 天体が空に現れる
- 太陽や月、星などが地平線から上がる
- 例:太陽が昇る、月が昇る
2. 地位・役職・身分が上がる
- 昇進・昇格など社会的な立場の向上
- 例:課長に昇る、地位が昇る
3. 儀式的・精神的な上昇
- 神聖な場に上がる、精神的に高まる
- 例:祭壇に昇る、魂が天に昇る
「昇る」の特徴まとめ
用法の種類 | 例文 | 補足 |
---|---|---|
天体の動き | 朝日が昇る | 自然現象、日常的に使われる |
地位・役職の上昇 | 部長に昇る | 昇進・出世を意味する |
儀式的・精神的上昇 | 神殿に昇る、霊魂が天に昇る | 宗教・精神的表現で使われることが多い |
「昇る」は自然な力や外的要因による上昇を表すのが基本です。そのため、自力で登る行動(山やはしごなど)には使わないのが原則です。また、「太陽が登る」などと書いてしまいがちですが、これは誤用であり、正しくは「太陽が昇る」となります。
「昇る」は、日常的な描写からビジネス文書、さらには文学作品や宗教的表現に至るまで、幅広く使われる美しい日本語表現のひとつです。意味の深さを理解して使いこなせば、文章表現に豊かさが加わります。
「上る」「登る」「昇る」の違い・使い分け

「上る」「登る」「昇る」は、いずれも「のぼる」と読み、“高いところへ向かう”という共通点を持っていますが、その使われ方や意味には明確な違いがあります。この章では、3つの漢字の違いを一目で理解できる比較表と、詳しい解説を掲載します。
比較表:意味・使用例・特徴の違い
漢字 | 主な意味 | 使用例 | 特徴・使う場面 |
---|---|---|---|
上る | 抽象的・広範な上昇 | 東京に上る、金額が上る | 都市への移動、数値の増加、比喩的 |
登る | 実際に身体で高所に到達する動作 | 山に登る、はしごを登る | 物理的移動、具体的行動 |
昇る | 自然・社会・精神的な上昇 | 太陽が昇る、地位が昇る | 自然現象・地位向上・儀式的上昇 |
使い分けのポイント
● 「上る」は最も汎用性が高い
- 比喩や抽象的な動きに使われます。
- 都市への移動(上京)、数値(売上、金額、温度など)の上昇などにも幅広く対応。
例:
・東京へ上る(=上京する)
・費用が10万円に上る
● 「登る」は“自力で登る”動作に特化
- 山、坂、階段など、身体を使って物理的に高所へ到達する場合に使います。
- 視覚的にも“登っている”イメージが浮かぶシーンに限定されます。
例:
・富士山に登る
・子どもが木に登る
● 「昇る」は自然現象や地位の変化
- 天体(太陽・月)や社会的地位、精神的・儀式的上昇などに用いられます。
- 自然の流れや制度による上昇である点が特徴です。
例:
・朝日が昇る
・彼は部長に昇ることになった
3つの「のぼる」は、すべて「上へ行く」ことを示す一方で、「どうやって上るのか」「何が上るのか」によって使い分ける必要があります。以下のように覚えておくとよいでしょう。
「上る」= 抽象的・広範囲の上昇
「登る」= 身体を使った具体的な移動
「昇る」= 自然・制度・精神的な上昇
「上る」の使い方【例文20】

この章では、「上る」が使われる典型的なシーンを20の例文で紹介します。「移動」「数値」「比喩的表現」など、多彩な用法に注目してください。
① 都市や場所への移動に使う「上る」
- 来月、仕事で東京へ上る予定です。
- 毎年春になると、多くの人が京都に上ってくる。
- 大学進学を機に上京することになった。
- 祖父は戦後すぐに東京に上り、商売を始めた。
- 政治家は頻繁に上京して会議に出席している。
② 数値や量が増加する意味で使う「上る」
- 今月の売上が1,200万円に上った。
- 修理費用は5万円にも上った。
- 被害総額は100億円に上ると見られている。
- 総参加者数は約2,000人に上る。
- その論文は引用回数が1,000件に上るという。
③ 比喩的・抽象的な内容に使う「上る」
- その問題はついに裁判に上った。
- 提案が会議の議題に上ったのは先週だ。
- 苦情が役所に上ったことで、調査が始まった。
- 事件の詳細が報道に上ることはなかった。
- この作品は国際的な評価に上っている。
④ 動作としての上昇・移動に使う「上る」
- ゆっくりと坂道を上っていく。
- 階段を上るだけで息が切れた。
- ケーブルカーが山道を上っていく。
- 猫が棚の上まで上って寝ている。
- 子どもが遊具を上って遊んでいる。
「上る」は、抽象的・比喩的な表現から物理的な移動まで、非常に多様な使い方があります。特にビジネスや公式文書では、数値や議題の上昇に使う機会が多いため、ニュアンスを意識して活用しましょう。
「登る」の使い方【例文20】

この章では、「登る」が使われる場面を具体的な例文で20個紹介します。いずれも、身体を使って物理的に高い場所へ移動するという特徴がよく現れています。
① 山・丘など自然の地形に登る
- 初めて富士山に登ったときは感動した。
- 近所の低い山に登って、ピクニックを楽しんだ。
- 秋になると紅葉を見に山登りに行く。
- 子どもたちは小さな丘に登って遊んでいる。
- その登山道は初心者でも登りやすい。
② 建物・構造物に登る
- 火災訓練で非常階段を登った。
- 老朽化したはしごを登るのは危険だ。
- 子どもが遊具のジャングルジムを登っている。
- 展望台に登ると絶景が広がっていた。
- 高層ビルの屋上まで階段で登った。
③ 垂直に近いものを登る
- サルが素早く木を登っていった。
- クライマーが岩壁を登る姿に見惚れた。
- ロッククライミングで崖を登るのはスリルがある。
- 忍者のように壁を登るシーンが映画に出てくる。
- 滑り台の逆から登るのは危ない。
④ 比喩的な使い方(やや文語的)
- 彼は困難を乗り越え、人生の山を登った。
- 芸の道を一歩ずつ登ってきた。
- 長い年月をかけて頂点まで登った職人。
- 努力の末に高みへと登っていった。
- 地道な修行を経て、自らの限界を登り詰めた。
「登る」は、実際に“登る”という動作があるかどうかが使い分けの最大のポイントです。山や建物など、自力で高所に移動しているイメージがある場合は、「登る」が最も自然です。
比喩的な使い方も一部ありますが、基本的には物理的な動作が伴う場合に使うよう意識しましょう。
「昇る」の使い方【例文20】

この章では、「昇る」が使われる典型的な場面を20の例文で紹介します。「昇る」は、自然現象・社会的地位の向上・精神的・儀式的な上昇を表現する際に使われる漢字です。
① 天体や自然現象に関する「昇る」
- 今朝は真っ赤な朝日が昇った。
- 月が東の空に昇ってきた。
- 星が夜空に静かに昇っていく。
- 山の向こうから太陽が昇る瞬間を見た。
- 日の出の時間に合わせて海岸で昇る太陽を撮影した。
② 地位・役職・階級などの上昇
- 彼は課長に昇ることが決まった。
- 実力で一気にトップの座に昇った。
- 昇進試験に合格し、役職に昇る。
- 努力の末、会長にまで昇りつめた。
- 若くして指導者の地位に昇った人物。
③ 儀式的・精神的な上昇に使う
- 儀式の場で祭壇に昇る。
- 亡き祖母の魂が天に昇っていった。
- 修行を重ね、ついに悟りの境地に昇った。
- 法要で僧侶が本堂の壇上に昇る。
- 昇天する英雄を描いた古代の物語。
④ 比喩的な用法(社会的・精神的な上昇)
- 株価が急激に昇った。
- 彼の名声は世界的に昇りつつある。
- 名誉ある舞台に昇る機会を得た。
- 芸術家としての評価が年々昇っている。
- 精神性が昇華されていくような作品だった。
「昇る」は、自然に上がっていく、または他者によって引き上げられるような上昇を表します。自分の意志で登る「登る」とは異なり、天体や制度的な動き、精神的・宗教的な文脈で使うのが基本です。
比喩的に使う場合も、「昇る」には荘厳・格式・上品さが感じられるため、文学的・詩的な表現にも適しています。
間違えやすい使い方【例文10】

「上る」「登る」「昇る」はすべて「のぼる」と読むため、意味の違いを理解していないと誤用が生じやすい言葉です。この章では、間違えやすい例とその正しい表現を対比形式で紹介し、使い分けの理解を深めましょう。
間違えやすい例文と正しい表現
誤用表現 | 正しい表現 | 解説 |
---|---|---|
1. 太陽が登る | 太陽が昇る | 自然現象は「昇る」で表す |
2. 山に上る | 山に登る | 実際に登る動作は「登る」 |
3. 部長に登る | 部長に昇る | 役職の上昇は「昇る」 |
4. 費用が1万円に登った | 費用が1万円に上った | 数値や金額は「上る」が正しい |
5. 木に上る | 木に登る | 物理的に登る動作には「登る」を使う |
6. 星が空に登る | 星が空に昇る | 天体の上昇は「昇る」 |
7. 京都に登る | 京都に上る | 首都圏や文化の中心地への移動には「上る」 |
8. 魂が天に登る | 魂が天に昇る | 精神・宗教的上昇は「昇る」 |
9. 猫が屋根に昇る | 猫が屋根に登る | 動物の行動=実動作は「登る」 |
10. 会議に登る | 会議に上る | 議題として上がる=抽象的には「上る」が適切 |
ポイントまとめ
- 動作的な上昇 → 登る(山、はしご、木)
- 抽象的な上昇・数値・議題 → 上る(金額、話題、都市)
- 自然・地位・精神的な上昇 → 昇る(太陽、役職、魂)
このように、同じ「のぼる」でも、対象や文脈によって正しい漢字が大きく異なります。日本語の微妙なニュアンスを理解することで、より自然で的確な表現ができるようになります。
「上る」の英語表現・英文【例文10】

「上る」は、数値・量の増加や、都市への移動、話題の浮上など抽象的な“上昇”を表現します。英語では、以下のような動詞やフレーズを使って表現します。
英語でよく使われる表現
日本語の意味 | 英語表現 | 解説 |
---|---|---|
数値が上る | rise / increase / reach | 状況に応じて使い分ける |
東京に上る | go up to Tokyo / go to Tokyo (from rural) | 地方→首都の移動 |
話題に上る | be brought up / come up | 会話や会議の中で出てくる場合 |
英文例(訳付き)
- The total cost rose to over 10,000 yen.
→ 総費用は1万円を上回った(上った)。 - More than 500 people came up to Tokyo for the event.
→ イベントには500人以上が東京に上った。 - The issue came up during the meeting.
→ 会議中にその問題が議題に上った。 - His salary increased significantly last year.
→ 彼の給料は昨年大幅に上がった。 - The number of applicants reached 1,200.
→ 応募者数は1,200人に上った。 - That topic has never been brought up in class.
→ その話題は授業中に上ったことがない。 - Many people go up to Tokyo after graduation.
→ 卒業後に多くの人が東京に上る。 - Prices rose due to inflation.
→ インフレの影響で物価が上がった(上った)。 - The temperature climbed to 35 degrees Celsius.
→ 気温は35度に上った。 - Her name came up in the conversation.
→ 彼女の名前が話に上った。
ポイント解説
- rise / increase / climb / reach:数値や金額の上昇に幅広く使える。
- go up to Tokyo:東京など首都圏への移動を文化的背景として表現。
- come up / be brought up:会話や議題で“取り上げられる”ニュアンスを出す。
「登る」の英語表現・英文【例文10】

「登る」は、山・はしご・木・坂などを実際に身体を使って登る動作を表す言葉です。英語では主に climb を使いますが、状況によっては go up, scale, hike up なども使われます。
英語でよく使われる表現
日本語の意味 | 英語表現 | 解説 |
---|---|---|
山に登る | climb a mountain / hike up a mountain | climb は動作全般、hike は登山的ニュアンス |
はしごに登る | climb a ladder | 垂直方向の動作 |
木に登る | climb a tree | 主に子ども・動物がする動作 |
坂を登る | walk up a hill / go up a slope | 穏やかな坂に対して使う |
英文例(訳付き)
- He climbed Mt. Fuji last summer.
→ 彼は昨年の夏に富士山に登った。 - The child climbed the tree to get the ball.
→ 子どもがボールを取るために木に登った。 - She climbed up the ladder carefully.
→ 彼女は慎重にはしごを登った。 - They hiked up the mountain trail for three hours.
→ 彼らは3時間かけて登山道を登った。 - I walked up a steep hill to reach the temple.
→ 寺までたどり着くために急な坂を登った。 - The monkey quickly climbed the pole.
→ サルが素早くポールに登った。 - We climbed to the top of the tower.
→ 私たちは塔の頂上まで登った。 - He scaled the rock wall like a professional.
→ 彼はプロのように岩壁を登った。 - The boy climbed onto the jungle gym.
→ 少年はジャングルジムに登った。 - I was too tired to climb another step.
→ もう一段登る元気もなかった。
ポイント解説
- climb:万能な「登る」の英単語。山、木、建物、壁などに使用可能。
- hike:登山・トレッキングのような長時間の登りに最適。
- scale:「登攀(とうはん)」や難易度の高い登りに使われる、ややフォーマル。
- walk/go up:坂道など穏やかな傾斜に対して使われる表現。
「昇る」の英語表現・英文【例文10】

「昇る」は、天体(太陽・月・星)の出現や、地位・名声の上昇、精神的な高まりを表す語です。英語ではこれに対応する表現として、rise, ascend, go up, be promoted などが使われます。
英語でよく使われる表現
日本語の意味 | 英語表現 | 解説 |
---|---|---|
太陽・月が昇る | rise / come up | 自然現象の上昇に使う |
地位・役職が昇る | be promoted / rise to | 出世・昇進の場面で使う |
精神的・象徴的に昇る | ascend / rise | 宗教・抽象的・文学的表現に用いられることも多い |
英文例(訳付き)
- The sun rises in the east.
→ 太陽は東から昇る。 - The moon came up behind the mountain.
→ 月が山の向こうから昇ってきた。 - Stars rise in the night sky.
→ 星が夜空に昇る。 - He was promoted to section chief last month.
→ 彼は先月、課長に昇った(昇進した)。 - She rose to the position of director.
→ 彼女は部長の地位に昇った。 - His reputation has risen rapidly.
→ 彼の名声は急速に昇っている。 - The soul ascended to heaven.
→ 魂が天に昇った。 - The priest ascended the altar.
→ 司祭が祭壇に昇った。 - The smoke rose into the sky.
→ 煙が空へ昇っていった。 - Through years of dedication, he rose above all others.
→ 長年の努力を経て、彼は他を超えて昇りつめた。
ポイント解説
- rise:自然現象(太陽・月・煙)や名声・評判の上昇に。
- ascend:精神的・儀式的・抽象的な上昇に適した文語的表現。
- be promoted / rise to:役職・社会的地位の昇進に対して使う。
- come up:カジュアルな言い回しで天体や話題が“現れる”ニュアンス。
よくある質問(FAQ)

ここでは、「上る」「登る」「昇る」に関して多くの方が抱きやすい疑問をQ&A形式でまとめました。使い分けに自信がない方や、より深く理解したい方は、ぜひ参考にしてください。
Q1. 「上る」「登る」「昇る」は、どれがいちばんよく使われますか?
A. 使用頻度としては「上る」が最も多く使われます。
「金額が上る」「東京に上る」など、抽象的・比喩的な意味にも対応できるため、会話や文章における汎用性が高いのが特徴です。
Q2. 「太陽が上る」と書いても間違いではない?
A. 一般的には誤用とされます。
自然現象(太陽・月・星など)には「昇る」を使うのが正しい表記です。ただし、話し言葉や子ども向け表現では「上る」が使われることもありますが、正式な文章では避けましょう。
Q3. 「登る」と「昇る」はどちらも「上昇」を意味しますが、何が決定的に違うのですか?
A. 決定的な違いは、「自力で登る」か「自然・制度的に昇る」かです。
- 自分の足で山や塔を登る → 登る
- 太陽が空に昇る、地位が上がる → 昇る
動作性があるかどうかを判断基準にしましょう。
Q4. 会社の昇進については、「昇る」しか使えませんか?
A. はい、「昇進」や「出世」に関する表現には「昇る」が適切です。
例:「課長に昇る」「役員に昇進する」
「登る」は物理的な動作なので、役職に使うのは不自然です。
Q5. 話題が会議で取り上げられた場合、「上る」「昇る」どちらが正しい?
A. 正解は「上る」です。
「話題」「議題」が公式の場に提出されるという意味では、抽象的な上昇を表す「上る」がふさわしいです。
例:「その提案が議題に上った」
Q6. 英語でも「登る」「昇る」「上る」は使い分けされますか?
A. はい、文脈によって使い分けがされます。
たとえば:
- 山に登る → climb a mountain
- 太陽が昇る → the sun rises
- 地位が昇る → be promoted / rise to
つまり、日本語ほど漢字に表れてはいませんが、動詞の選び方で意味の違いが明確にされます。
Q7. 自然と出世、両方に「昇る」が使えるのはなぜ?
A. 「昇る」は、自然な上昇・定められた流れでの上昇を意味するため、太陽や月の動きと同様に、人の出世なども「自然な流れ」として表現されやすいからです。この点において、「登る」のような“努力・動作”とは性質が異なります。
まとめ
「上る」「登る」「昇る」は、すべて「のぼる」と読みますが、それぞれの漢字には明確な使い分けのルールがあります。
- 「上る」は、抽象的・比喩的な上昇に使われ、数値の増加や都市への移動、議題として取り上げられるときなどに使います。
- 「登る」は、実際に身体を使って高い場所へ移動する動作に使われ、山やはしご、坂道、塔など物理的な対象が基本です。
- 「昇る」は、太陽・月・星といった天体の上昇や、地位・名声の上昇、さらには精神的・儀式的な上昇など、自然・制度的に高まるものに用いられます。
この記事では、これら3語の違いを表や具体的な例文100個で徹底的に解説しました。また、英語表現もあわせて紹介することで、言語感覚の広がりも図れる内容となっています。正しい漢字を使い分けることで、あなたの文章表現はより自然で信頼性のあるものになります。迷いやすいポイントをしっかりと押さえ、今後の実践に役立ててください。