端面とは?どこ?読み方は?断面図と端面図の違いとは

製造業や建設業、機械設計などの現場では、「端面(たんめん)」という言葉がよく使われます。しかし、初めてこの用語に触れる方にとっては、「端面ってどこのこと?」「何を意味するの?」と疑問に思うかもしれません。さらに、「断面図」と「端面図」という似たような言葉もあり、混同しやすいポイントです。
この記事では、端面の読み方や意味、実際に端面がどこを指すのか、さらには端面加工や端面切削についてもわかりやすく解説していきます。また、混乱しやすい断面図との違いについても触れ、最後には端面を英語でどう表現するかも紹介します。
ものづくりに関わる方はもちろん、技術用語に興味のある方にも役立つ内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください!
目次
端面とは?

ものづくりや設計の現場では、「端面(たんめん)」という言葉が頻繁に登場します。まずは読み方と意味から詳しく見ていきましょう。
端面の読み方
端面は、「たんめん」 と読みます。漢字をそのまま読めば「たんめん」ですが、業界用語としても正式にこの読み方が使われています。ただし、日常生活ではあまり耳にする機会がないため、初めて聞いた方は「どんな面だろう?」と戸惑うかもしれません。
端面の意味
端面とは、材料や部品の「端(はし)」にできる平らな面のことを指します。たとえば、丸棒を輪切りにしたときの「切り口」や、鉄板を切断したときの「断ち切った面」などがこれにあたります。
具体的なイメージとしては、次のようなものです。
- パイプの切り口の平らな部分
- 金属板の切断後の平面
- シャフト(軸)の先端の断面
つまり、部材の終わりに位置する平らな面=端面と覚えておくと良いでしょう。
端面はどこ?

端面とは、材料や部品の端にできる平らな面のことですが、具体的にはどこを指すのでしょうか?
形状ごとに見ていきましょう。
具体例でイメージしてみましょう
- 金属棒(円柱形):
円柱状の棒の両端にある円形の平面部分が端面です。
たとえば、シャフトや丸棒などでは、切断面で丸く見える部分がこれにあたります。 - パイプ:
中が空洞になった円柱形のパイプも、両端の開口部の断面(リング状の平面)が端面です。 - 板材(プレート):
四角形や長方形の板を切ったときにできる切断された側面の平らな部分が端面になります。 - 角材(四角柱):
木材や鉄の角材では、正方形または長方形になっている端の面が端面です。
端面の特徴
- 切断や成形後に現れる面であること
- 材料や部品の「端(エッジ)」に位置すること
- 加工前は粗いことが多く、正確な寸法や美しい仕上げのために追加加工されることが多い
特に円柱形の端面は、回転軸に関連する部品(シャフト、ローラーなど)で非常に重要な加工対象になります。
端面加工とは

端面加工とは、材料や部品の端面をきれいに仕上げたり、正確な寸法に整えたりする加工のことを指します。ただ切断しただけでは、端面は粗かったり、バリ(材料の飛び出し)が残ったりしているため、追加の加工が必要になるのです。
端面加工の主な目的
- 寸法精度を確保するため
→ 端面を正確な長さに仕上げることで、部品同士の組み合わせや動作精度を高めます。 - 表面の平滑度を向上させるため
→ 荒れた切断面を滑らかにすることで、接触部分の摩擦や摩耗を防ぎます。 - 美観を整えるため
→ 製品の外観品質を向上させるためにも、端面の仕上げは重要です。 - 安全性を高めるため
→ バリや鋭利なエッジを除去することで、作業中のケガを防止します。
端面加工でよく使われる方法
- 旋盤加工(端面切削)
- フライス加工(平面を削る)
- 研削加工(さらに高精度な表面仕上げ)
- バリ取り作業(手作業や専用機械でエッジを滑らかにする)
端面加工は、単なる仕上げだけでなく、部品の性能や寿命を左右する大切なプロセスなのです。
端面切削とは

端面切削とは、工作機械を使って端面を削り、平らで寸法通りの仕上がりに整える加工方法です。
特に、旋盤(せんばん)と呼ばれる機械を使った作業が一般的です。
端面切削の主な工程
- ワーク(加工する材料)を固定する
→ 旋盤のチャックと呼ばれる部分で、部品をしっかり固定します。 - 回転させながら工具をあてる
→ ワークを高速回転させ、固定された切削工具(バイト)を端面に当てて削っていきます。 - 寸法を測りながら削り進める
→ 目標とする寸法・平面度になるように、少しずつ削ります。 - 仕上げ削りを行う
→ 最後に、滑らかで精度の高い面に仕上げます。
端面切削で重要なポイント
- 平面度の確保
→ 部品同士を正しく組み合わせるために、端面の平面度(平らさ)が非常に重要です。 - 寸法精度の管理
→ 指定された長さに正確に仕上げるため、途中で何度も寸法測定を行います。 - 切削条件の最適化
→ 材料の硬さや工具の種類に応じて、回転速度や送り速度を適切に設定します。
端面切削で使われる主な機械
- 旋盤(普通旋盤、CNC旋盤)
- 卓上旋盤(小型部品向け)
- 自動旋盤(大量生産向け)
旋盤加工による端面切削は、非常に高い精度が求められる部品製作には欠かせないプロセスです。
端面削りとは

端面削りとは、材料や部品の端面を、工具で削り取って平滑かつ正確な状態に仕上げる作業を指します。名前が似ている「端面切削」と混同されがちですが、端面削りはより広い意味を持つ場合があります。
端面切削との違い
- 端面切削:
→ 主に旋盤などを使って、回転させながら工具で削る加工を指します。 - 端面削り:
→ 旋盤だけでなく、フライス盤(平面加工機)や手作業による削り作業も含みます。
つまり、端面削りは旋盤加工だけに限らず、端面を削って整えるすべての行為を広く指す言葉と考えるとわかりやすいでしょう。
端面削りの方法
- フライス盤での削り
→ ワーク(材料)を固定し、エンドミルと呼ばれる工具を回転させて端面を削ります。
特に板材や角材の端面加工に使われます。 - 手作業での削り
→ ヤスリやグラインダーを使って、手作業で端面のバリ取りや仕上げを行うこともあります。 - サンダーやディスクグラインダー使用
→ 鉄板やパイプなどの端面を、電動工具で素早く削って仕上げる方法です。
端面削りの目的
- 寸法を微調整するため
- 平滑な仕上がりを得るため
- バリや鋭角部を除去して安全性を高めるため
現場では、部品や加工精度に応じて、旋盤、フライス盤、手作業などを使い分けながら端面削りを行っています。
断面図と端面図の違い
設計図や図面を読むとき、「断面図」と「端面図」という似た言葉が出てきます。一見似ていますが、意味も役割も異なるので、しっかり区別して理解することが大切です。
断面図とは?

断面図とは、物体を仮想的に切断して、内部の構造や形状を表した図のことです。たとえば、建物の壁を真ん中で切って、中の部屋や配管の配置を見せるような図が断面図です。機械部品なら、内部にある溝や空洞、芯の形などをわかりやすく描きます。
- 【例】パイプの断面図
→ 外径と内径の関係(肉厚)を示すために、パイプを輪切りにした断面を描く
端面図とは?

一方、端面図は、材料や部品の端面をそのまま真上から見た図です。つまり、「部品の端っこを正面から見るとこうなっていますよ」という形状を示すためのものです。内部構造ではなく、端面の形(丸い、四角い、穴が空いているなど)を表現するのが目的です。
- 【例】シャフトの端面図
→ 中央に穴が開いている丸い面を描く
まとめ:違いのポイント
項目 | 断面図 | 端面図 |
---|---|---|
何を示す? | 内部構造や内部形状を示す | 端面(部材の端の形)を示す |
視点 | 仮想的に切った内部の様子を見る | 端から真っ直ぐに見た様子を見る |
用途 | 内部仕様や機能を把握するため | 外形寸法や取付け位置を確認するため |
このように、断面図と端面図は視点も目的も違うため、図面上で見分ける際には注意が必要です。
端面を英語で言うと?

製造業や設計の現場では、海外とのやりとりや英語の図面を読む機会も増えています。そのため、「端面」を英語でどう表現するかを知っておくととても便利です。
端面の英語表現
- End face(エンドフェイス)
- End surface(エンドサーフェス)
これらの表現が、端面を指す一般的な英語表現です。「End」は「端(はし)」、「Face」や「Surface」は「面」を意味するため、日本語の「端面」と直訳に近い形になっています。
図面での表記例
- "Machining of end face"(端面の加工)
- "Flatness of end surface"(端面の平面度)
- "End face dimension"(端面の寸法)
このように、端面に関連する指示が英語の図面に書かれていることもあります。特に機械加工図面では、「End face」と「Surface finish(表面仕上げ)」がセットで指定されることも珍しくありません。
注意点
「End face」と言った場合、通常は材料の端にある正面の平らな面を指しますが、文脈によってはカット面全体を指す場合もあります。正確に伝えたいときは、追加で「Flatness(平面度)」や「Perpendicularity(直角度)」といった用語を併用することが推奨されます。
まとめ
「端面(たんめん)」とは、材料や部品の端にできる平らな面を指す言葉であり、製造や設計の現場では非常に重要な概念です。金属棒やパイプ、板材、円柱状の部品など、さまざまな形状において端面は存在し、特に寸法精度や仕上がり品質に直結するため、適切な端面加工や端面切削が求められます。
また、似た言葉である「断面図」と「端面図」についても、内部構造を示す断面図と、端の形状を示す端面図では視点と目的が異なることを理解しておく必要があります。さらに、国際的な現場では「端面」を英語でEnd faceやEnd surfaceと表現する場面も多く、知っておくと業務の幅が広がります。
ものづくりに関わる方にとって、端面の正しい理解は、より高精度な設計・加工を実現するための基礎知識です。この記事を通して、端面についての疑問がスッキリ解消できたなら幸いです。