海外ではポケモンがポキモン?Pokémonの正しい読み方

日本では誰もが知っている「ポケモン」。子どもの頃にアニメを見たり、ゲームボーイで冒険をしたり、今ではスマホで『Pokémon GO』を楽しんだりと、幅広い世代に愛されている存在です。
しかし、海外でこの「ポケモン」という言葉を口にすると、「ん? 何のこと?」と首をかしげられた時代がありました。実は、英語圏を中心とした海外では「ポケモン」ではなく、「ポクモン」や「ポクマン」「ポキモン」と発音されていたのです。
この発音の違いを少しでもなくすために、公式では英語表記の「e」にアクセント記号(é)をつける工夫がされたんです。この小さな記号には、「ポケモン」と日本語の発音に近づけたい、という想いが込められていたとも言えるでしょう。そのおかげで、今では海外でも「ポケモン」と言って通じることが多くなってきました。
この記事では、なぜ「ポケモン」が「ポキモン」と呼ばれるようになったのか、そしてどのようにして「ポケモン」が世界に広がっていったのかを、詳しくご紹介していきます。ポケモンが好きな方はもちろん、英語や文化の違いに興味のある方にも、きっと楽しんでいただける内容になっていますよ!
目次
ポケモンという言葉の由来

「ポケモン」という言葉は、もともと日本で生まれた造語です。正式名称は「ポケットモンスター」。1996年にゲームボーイソフトとして登場した『ポケットモンスター 赤・緑』がその始まりです。
この「ポケットモンスター」は、ポケット(Pocket)サイズのモンスター(Monster)、つまり「小さなモンスター」を意味しています。ゲームの中では、プレイヤーがさまざまなモンスターたちを捕まえて育て、バトルさせるという独自の世界観が人気を集めました。
しかし、「ポケットモンスター」という名称はやや長く、子どもたちにも親しみやすいようにと略されたのが「ポケモン(Pokémon)」です。この略称は、ゲームの発売当初から公式に使用され、アニメやカードゲーム、関連グッズにも広く浸透していきました。
なぜ「ポケモン」なのか?
略し方にも日本語らしい特徴があります。たとえば「パーソナルコンピュータ」を「パソコン」、「デジタルカメラ」を「デジカメ」と言うように、日本語では外来語や長い名称を縮めて使う文化があります。
「ポケットモンスター」もその一例で、最初の2音節を取り出して「ポケ」、後ろからも「モン」を取って「ポケモン」となったわけです。
この略語は、音の響きがかわいらしく、子どもたちにも覚えやすいという点でも成功しました。結果的に「ポケモン」というブランドは、日本だけでなく世界中に広がっていくことになるのです。
海外での発音がなぜ「ポキモン」になるのか?

日本では当然のように「ポケモン」と呼ばれていますが、英語圏、特にアメリカやイギリスなどでは「ポキモン(Pokémon)」と発音されるのが一般的です。この違いは一体どこから来ているのでしょうか?
アルファベット表記と英語の発音ルール
まず、海外版のポケモンの表記を見ると「Pokémon」となっており、「e」にアクセント記号(アクサンテギュ:é)が付いています。このアクセント記号があることで、「e」は日本語の「エ」ではなく、「イ」に近い「エイ」や「イィ」という音で発音されるようになります。
英語のネイティブスピーカーが「Pokémon」を読むと、
- 「Po」は「ポ」
- 「ké」は「キェ」または「キ」
- 「mon」は「モン」
というように分解され、全体として「ポキモン(Po-kee-mon)」に近い音になるのです。
アクセントの位置も重要
日本語では「ポケモン」と、比較的平坦に発音されますが、英語では第一音節「ポ」に強いアクセントを置き、「ポォキモン」とややリズミカルに発音します。このように、アクセントの位置も発音に大きく影響しています。
たとえば英語の単語である「lemonade(レモネード)」や「café(カフェ)」も、アクセントや記号によって発音が変化します。「Pokémon」もその一例で、商標名でありながら英語のルールに従って発音されているのです。
そもそも、なぜ「é」が使われているのか?
これは後の章でも詳しく解説しますが、簡単に言えば「英語話者に“正しく”読ませるための工夫」です。単に「Pokemon」と綴ってしまうと、「ポクマン」や「ポクモン」と読まれる可能性があるため、意図的に「é」が挿入されています。
アクセント記号(é)の役割とは?

「Pokémon」の“e”には、小さな記号がついています。それが アクサンテギュ(é) と呼ばれる記号です。日本語ではあまり馴染みがありませんが、フランス語やスペイン語ではよく使われる文字装飾のひとつです。ではなぜ、「Pokémon」のeにはわざわざこの記号がつけられているのでしょうか?
海外で「Pokémon」を“正しく”読ませるための工夫
英語には「Pokémon」のように、母音が連続する言葉はたくさんあります。しかし、アクセントがどこにあるか、どの母音が強く読まれるかは、綴りからはわかりづらいことが多いのです。
たとえば、「resume(履歴書)」と「résumé(レジュメ)」は、同じ綴りに見えて実は発音がまったく違います。このように、アクセント記号があるかないかで、読み方が大きく変わるのが英語の特徴です。
「Pokemon」と書いてしまうと、英語話者は次のような発音をしてしまう可能性があります:
- ポクモン(Po-ku-mon)
- ポクマン(Po-ku-man)
- パクモン(Pa-ku-mon)など…
このような誤読を避け、ブランド名としての一貫性を保つために、あえて「é」を入れることで「ポケモン」に近い発音をさせようとしたのです。
「ポケモン」に“なるべく近づける”ための表記だった
実は、「ポキモン」という発音は完璧に一致しているわけではありません。ですが、「Pokémon」という表記にすることで、日本語の「ポケモン」に最も近い形で英語話者にも読ませることができるようになっています。
つまり、「é」は完全な一致を求めたのではなく、“なるべく日本語に近づける”ための妥協点だったのです。
実のところ、「Pokémon」の発音を「ポキモン」とするのは、英語的な解釈でややずれがあるものの、あのアクセント記号「é」がなければ、もっとかけ離れた発音になっていた可能性が高いのです。
つまり、任天堂とローカライズチームは、「ポケモン」というブランドを海外でもできるだけそのまま通じるように、「é」を使って調整したというわけです。
海外で「ポケモン」と言っても通じない?

ポケモンが世界中で人気になった1990年代後半、海外では「Pokémon」の読み方にちょっとした混乱がありました。特にアメリカやヨーロッパでは、「ポケモン」という日本の読み方が浸透する前に、「ポキモン」「ポークモン」「パキモン」など、さまざまな読み方が飛び交っていたのです。
当初は「ポキモン」や「ポークモン」と呼ばれていた
英語圏の人々にとって、「Pokémon」という単語は完全に新しい造語。見たことのない綴りとアクセント記号に、どう発音すればいいのか戸惑うのも無理はありません。
その結果、テレビCMやアニメ、ゲームのナレーションなどで「ポキモン(Po-kee-mon)」という発音が定着し、しばらくの間はこれが英語圏での標準的な呼び方になっていきました。
ただしこの「ポキモン」は、あくまで日本語の「ポケモン」を英語的に無理なく再現したものであり、完全に異なるわけではありません。
時間と共に「ポケモン」が認知されてきた
ところが近年になって、特にインターネットの普及や日本のアニメ文化への関心が高まったことにより、「本当は“ポケモン”って言うんだよね?」という認識が広がりつつあります。
YouTubeやTikTokなどのプラットフォームでは、海外のファンが日本語でアニメを視聴したり、ゲームを日本語音声でプレイしたりすることも増えました。その影響で、「Pokémon = ポケモン」という本来の発音を知っているファン層が急速に増加しています。
今ではアメリカのイベントやコンベンションでも、「ポケモン」と日本語に近い発音で話す人が少しずつ増えてきているのです。
「ポケモン」と言っても通じる時代に?
かつては「ポケモン」と言っても「何それ?」と聞き返されることもありました。でも、今では「Pokémon」というワード自体が完全にグローバルブランドとなり、多少発音が違ってもほぼ確実に通じる時代になりました。
たとえば海外旅行中に「I like Pokémon!」と日本人発音で言っても、ほとんどの人が「ああ、あのゲームね!」と反応してくれます。
結論:今や「ポケモン」は世界共通語に
初期には「ポキモン」などと呼ばれていたものの、年月とともに「ポケモン」という本来の呼び方も浸透し、現在ではどちらの発音でも世界中の人々に理解される、まさに“世界共通語”となったのです。
ファンの間での呼び方の違い

ポケモンは、今や全世界に何億人ものファンを持つメガ・コンテンツ。その中で興味深いのが、ファン同士での呼び方の違いです。
日本のファンは当然「ポケモン」と呼びますが、海外のファンは地域や文化背景によって、微妙に異なる呼び方をしていることがあります。しかも、発音だけでなく、言葉の使い方やニュアンスまで異なるケースも少なくありません。
日本:自然で感情がこもる「ポケモン」
日本では、「ポケモン」は略語でありながらも正式名称として完全に定着しています。ゲームやアニメを通して育った世代には、単なる名前以上に、思い出や感情が詰まった特別な言葉です。
「ポケモン言えるかな?」のようなリズミカルな歌や、アニメのオープニング曲などが記憶に残っている人も多いでしょう。「ポケモン」は、単なる単語というより、文化そのものと言っても過言ではありません。
海外:地域差と発音へのこだわり
一方で、海外では「Pokémon(ポキモン)」が標準的な発音とされてきましたが、最近では次のような傾向も見られます:
- ネイティブファンの中には、意識して「ポケモン」に寄せて発音する人もいる。
- 日本語版アニメやゲームを通じて、「正しい発音」を知ったファンが周囲に広めている。
- 逆に、古くからのファンほど「ポキモン」という発音に慣れており、訂正されてもピンとこないことも。
SNSなどでは、発音についての議論が時折巻き起こることもあります。「正しいのはどっち?」という問いに対し、「どちらでもいい、愛があれば!」というスタンスを持つファンも多く、温かい雰囲気が広がっているのが特徴です。
言い間違えがきっかけで盛り上がることも
実際に、イベントや配信中などで日本人ファンが「ポケモン」と自然に発音したとき、海外のファンが「あ、それがオリジナルの発音なんだ!」と驚き、話が弾むこともあります。
たとえば海外のYouTuberが「日本では“ポケモン”って言うらしいよ」と紹介したことで、コメント欄が「へえ〜!ポケモン!なんか可愛い!」と盛り上がる──そんな交流があるのも、ポケモンの魅力の一部です。
違いを楽しむファン文化
大切なのは、「呼び方が違う=間違い」ではないということ。発音や言語の違いを通じて、世界中のファンがつながり、それぞれの地域で愛され方が少しずつ違うのも、ポケモンの奥深さなのです。
「ポケットモンスター」と言っても海外では通じない?

実は、「ポケットモンスター」と言っても、海外ではほとんど通じません。実はこの言葉、日本での正式名称ではあるものの、海外では「Pokémon(ポケモン)」の名で広く知られています。
その理由は、英語圏で「monster(モンスター)」が恐ろしい存在を連想させるため、子ども向けブランドとして不向きだったことや、他の作品名と混同されやすかったことにあります。そこで、略称の「Pokémon」が世界共通のブランド名として採用されました。
実際、海外のゲームソフトやアニメ、商品パッケージにも「Pocket Monsters」という表記は見られず、「Pokémon」で統一されています。日本でも今では「ポケモン」のほうが一般的で、正式名称としての「ポケットモンスター」を知らない世代も増えています。海外で話す際は「Pokémon」が正解です。
まとめ
「ポケモン」か「ポキモン」か――その違いは、単なる発音の違いにとどまりません。日本語と英語、それぞれの言語文化に合わせて進化しながら、ポケモンというブランドは世界中に広がっていきました。
英語圏では「Pokémon」の綴りに“é”を加えることで、なるべく日本語の「ポケモン」に近づける工夫がなされ、当初は「ポキモン」と呼ばれながらも、現在では「ポケモン」という本来の発音も次第に認知されつつあります。
ファンの間では発音の違いを楽しみながら、それぞれの文化でポケモンが愛され続けていることが何よりの証です。たとえ言葉が違っても、伝わる感動や思い出は共通。ポケモンは、まさに“言葉の壁を超えた存在”として、これからも世界中で輝き続けることでしょう。