万歳三唱の意味とは?使い方からマナー違反まで詳しく解説

これまでに「万歳三唱(ばんざいさんしょう)」を使った方も多いのではないでしょうか。結婚式や卒業式、企業の記念式典など、お祝いの場で耳にすることのあるこの言葉。掛け声とともに両手を高く挙げて「ばんざーい!」と叫ぶ光景は、多くの人にとってなじみ深いものかもしれません。
しかし、「万歳三唱って、どういう意味があるの?」「どうして3回なの?」「マナーってあるの?」といった疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。特に、フォーマルな場で音頭を取る立場になったとき、正しい使い方を知っていないと不安ですよね。
本記事では、「万歳三唱」という言葉の意味や由来、現代での使い方、そして気をつけたいマナーやマナー違反の例まで、わかりやすく解説していきます。これを読めば、どんな場面でも自信を持って「万歳三唱」を使えるようになりますよ!
「万歳三唱」の意味とは?

「万歳三唱(ばんざいさんしょう)」は、日本の伝統的な儀礼表現のひとつで、喜びや祝福を声に出して表現するための掛け声です。まずは、それぞれの言葉の意味を分解して見ていきましょう。
「万歳(ばんざい)」の意味
「万歳」はもともと、「長寿」や「永遠の繁栄」を願う言葉です。日本語の「ばんざい」は、古くは漢語由来で、元々は「1万年の命を祝う」という意味が込められていました。現代では、「ばんざい!」と両手を上げて叫ぶ行為そのものが、喜びを表すジェスチャーとして広まり、
- 成功を祝うとき
- 感謝を伝えたいとき
- みんなで盛り上がりたいとき
などに使われます。
「三唱(さんしょう)」の意味
「三唱」とは、声を合わせて3回繰り返すことを意味します。この「3回」という数字には、
- 強調の意味
- リズム感の良さ
- 調和・区切りの良さ
といった日本文化特有の感覚が込められています。たとえば「三本締め」や「三回忌」など、日本では「三」という数字が節目としてよく使われます。
「万歳三唱」の全体の意味
つまり「万歳三唱」とは、
みんなで一体となって、喜びや敬意を表すために、万歳を3回繰り返す行為
という意味になります。
この行為には、単なるお祝いの掛け声以上に、「場の雰囲気を一つにまとめる」「心を合わせる」という効果もあります。音頭を取る人が「ご唱和ください」と呼びかけ、参加者全員で「ばんざーい!」と声を合わせることで、共通の感情や目的を共有することができるのです。
万歳三唱の由来と歴史的背景

「万歳三唱」は、今でこそ式典やお祝いの場でよく使われる表現ですが、その始まりには言葉としての発展と、人々の文化的な習慣が大きく関わっています。
「万歳」の語源と意味の広がり
「万歳(ばんざい)」という言葉は、もともと中国の古典に登場する言葉で、「一万年の寿命を祝う」ことを意味していました。この言葉が日本に伝わる中で、次第に「繁栄や長寿を願う言葉」として使われるようになり、日本独自の文化として定着していきます。
江戸時代には、芝居やお祭りの場面で、観客が感動や喜びを表現する際に「ばんざーい!」と叫ぶことがあり、すでに「歓声としての万歳」は市民の間で広がっていたと考えられています。
「三唱」という形式の意味
日本では、何かを3回繰り返すという表現に、意味の重みや区切りの良さを持たせる文化があります。たとえば、
- 三本締め(さんぼんじめ)
- 三三七拍子(さんさんななびょうし)
- 三回忌
など、儀式的な行為の中で「3回」はよく使われてきました。この「三唱」も、リズムよく繰り返すことで場を引き締め、一体感を生むという効果があります。
万歳三唱の形が整ってきた背景
「万歳三唱」というスタイルが日本で定着したのは、明治時代以降とされています。当時は、式典や儀式において人々の心を一つにまとめるために、掛け声や決まりごとが整えられていきました。
そうした中で、「万歳」という祝いの言葉に「三唱」という形式が組み合わさり、祝意を表す儀式的なスタイルとして定着していったのです。
現代への受け継がれ方
現在では、次のような場面で自然に用いられています。
- 結婚式や金婚式などの人生の節目
- 卒業式や送別会などの門出を祝う場
- 表彰式や記念行事などの功績を称える場
このように、時代が進んでも「万歳三唱」は人と人とをつなぎ、共通の祝福の気持ちを分かち合う表現として受け継がれています。
現代における万歳三唱の使い方

現代の日本社会では、「万歳三唱」はフォーマルな場やお祝いの席でよく使われています。ここでは、どんな場面で、どのように「万歳三唱」が行われるのか、実際の流れや例を交えながら詳しく解説していきます。
万歳三唱が使われる主なシーン
1. 結婚式・披露宴
新郎新婦への祝福の締めくくりとして、司会者や親族代表が音頭を取り、出席者全員で万歳三唱を行います。
2. 卒業式・送別会
卒業生や退職者の新たな門出を祝って、会の終盤に万歳三唱を取り入れることがあります。
3. 表彰式・記念式典
功績をたたえたり、周年行事などで参加者の気持ちを一つにするために使われます。
4. 企業の打ち上げや決起集会
プロジェクトの成功祝いや会社の節目などで、チームワークを強める目的で使われることも。
万歳三唱の基本的な流れ
万歳三唱は形式的な流れがあります。以下のステップで進行されるのが一般的です。
ステップ1:音頭を取る人が前に出る
通常は主催者や幹事、または式の進行を務める司会者が音頭を取ります。あらかじめ決めておくのがベストです。
ステップ2:呼びかけをする
音頭を取る人が、参加者に向かって以下のように呼びかけます。
例文:
「それでは、○○さんの新たな門出を祝しまして、皆さまご唱和ください。万歳三唱、いきます!」
ステップ3:「ばんざーい!」を3回唱える
音頭を取る人の掛け声に合わせて、全員で以下のように叫びます。
- 「ばんざーい!」(両手を挙げる)
- 「ばんざーい!」(2回目)
- 「ばんざーい!」(3回目)
3回目のあと、拍手で締めるのが一般的です。
万歳三唱をよりスムーズに行うコツ
- 声のトーンは明るく、ゆっくりと:全員が合わせやすいよう、テンポを意識しましょう。
- 前もって打ち合わせしておく:急な場面ではなく、事前に音頭を取る人を決めておくと安心です。
- 無理に全員に強制しない:場の雰囲気を見ながら、自然な参加を促すのがマナーです(次章で詳しく述べます)。
万歳三唱の実例(スピーチ文)
以下に、実際に使える万歳三唱のスピーチ例を紹介します。
例:結婚式での万歳三唱のスピーチ
「ただいまご紹介にあずかりました、○○でございます。本日は、新郎新婦の門出を祝うこの素晴らしい日に、皆さまと喜びを分かち合えることを大変うれしく思っております。それでは、おふたりの末永い幸せとご両家のご多幸を祈念いたしまして、万歳三唱を行いたいと思います。皆さま、ご起立のうえ、ご唱和ください。せーの、ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!」
このように、「万歳三唱」は祝意や敬意を伝える、格式ある儀礼表現として、今でも幅広く使われています。
万歳三唱に関するマナーとマナー違反

万歳三唱は、お祝いの気持ちを形にする大切な文化ですが、使い方を間違えると、場の雰囲気を壊してしまったり、相手に不快な印象を与えることもあります。ここでは、正しいマナーと、避けるべきマナー違反の例、さらに気をつけたい配慮のポイントについてご紹介します。
万歳三唱を行うときの基本マナー
①場の雰囲気を尊重する
万歳三唱は基本的におめでたい場で使う表現です。
式典やイベントの空気感を読み、適切なタイミングで行うようにしましょう。
例:静かな感動が広がっている場面では、無理に盛り上げようとせず、自然な流れで導入する。
②無理に参加を強要しない
人によっては、万歳三唱に慣れていなかったり、恥ずかしさを感じる人もいます。
全員に強制するのではなく、「ご唱和いただける方はぜひご一緒に」といった柔らかい声かけが望ましいです。
③声のトーンやジェスチャーに注意
大声を出したり、勢いだけで行うと、相手に圧迫感を与えることも。
明るく、しかし落ち着いたトーンで進行すると、より好印象を持たれます。
マナー違反となるケース
以下のような場面・行動は、万歳三唱を行う上でマナー違反となる可能性があります。
①不適切な場面での使用
- お別れの場(例:退任式など)でトーンを間違えると不快に感じる人も
- 慎重さが求められる式典(厳粛な式や黙祷後など)での万歳は避けるべき
②ふざけて行う・冗談半分の使用
- 「ネタ」としての万歳三唱は、本来の意味を軽視していると受け取られることがあります。
- 特にフォーマルな場では、誠実な姿勢が大切です。
③個人や団体の意向を無視して行う
- 会場によっては、事前に進行が決まっていることがあります。
- 万歳三唱を勝手に始めることは、進行の妨げになる場合があるので注意が必要です。
気をつけたい配慮のポイント
万歳三唱を行うときに大切なのは、「形式にとらわれすぎず、参加者への心配りを忘れないこと」です。特に意識したいのが、年齢や文化的背景の違いです。若い世代や海外の方にとっては、万歳三唱という文化がなじみのないことも多く、戸惑うケースもあります。そのような場面では、事前に「日本ではお祝いの場で『ばんざい!』と声を合わせる伝統があります」といった、簡単な説明を添えることで、理解と参加が得られやすくなります。
また、「参加しなくても大丈夫ですよ」といった雰囲気を自然に伝えることも大切です。全員が心から納得して参加できる空気をつくることが、大人のマナーといえるでしょう。
万歳三唱を成功させる鍵は、形式ではなく心のこもった配慮です。相手の気持ちに寄り添いながら行うことで、参加者全員が心地よく締めくくれるセレモニーとなります。
万歳三唱のシーン別挨拶例文
① 結婚式・披露宴での万歳三唱
例文:
ただいまご紹介にあずかりました、○○でございます。本日は、新郎新婦の門出をお祝いできること、大変うれしく思っております。末永いご多幸と、両家のご繁栄を祈念いたしまして、万歳三唱を行いたいと思います。皆さま、どうぞご起立いただき、ご唱和ください。
それではいきます。せーの、ばんざーい!
ばんざーい!
ばんざーい!ありがとうございました!
② 卒業式・送別会での万歳三唱
例文:
本日は、○○さんの門出にあたり、こうして多くの方々とお祝いできることを大変光栄に思います。○○さんのこれからの活躍と健康、そして新たなステージでのご成功を心よりお祈りし、万歳三唱で締めくくりたいと思います。
それでは皆さま、ご起立のうえ、ご一緒にお願いします。
せーの、ばんざーい!
ばんざーい!
ばんざーい!ご協力ありがとうございました!
③ 企業・職場の表彰式・周年記念などでの万歳三唱
例文:
本日は○○周年という大切な節目を迎えることができ、社員一同でお祝いできることを大変うれしく思います。今後のさらなる発展と、皆さまの健康とご多幸を願いまして、万歳三唱を行いたいと思います。
それでは、皆さまご唱和ください。
いきます、ばんざーい!
ばんざーい!
ばんざーい!
④ カジュアルな集まり(打ち上げ・友人同士の祝い)での万歳三唱
例文:
今日までの努力、本当にお疲れさまでした!そして、みんなでこうして集まれて最高です。最後に、これからのそれぞれの活躍と幸せを祈って、万歳三唱で締めましょう!
それじゃあ、いきますよー!
ばんざーい!
ばんざーい!
ばんざーい!
まとめ

「万歳三唱」は、日本の伝統的な儀礼表現として、今もさまざまな場面で使われています。「ばんざい!」という掛け声に、祝福や感謝、敬意といった思いを込め、三度繰り返すことで場の一体感を生み出す力があります。
本記事では、万歳三唱の意味や由来から、現代における使い方、マナー違反を避けるポイントまでを解説しました。形式的に見えても、そこには人と人とをつなぐ温かい意味があります。
大切なのは、場にふさわしいかを見極め、周囲への配慮を忘れずに行うこと。正しく理解し、心を込めて実践することで、万歳三唱はその場をより感動的で印象深いものにしてくれるでしょう。ぜひ、人生の節目や大切な場面で、自信を持って活用してみてください。